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20話
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鉄音が響いて、あちこちで怒号、叫びが響き渡る。
屋敷のすぐ外で繰り広げられるのは、王家が差し向けた騎士と、脱走兵から着いて来てくれた護衛の皆との戦。
無力な私はレヴを抱きしめるしかできない。
「ナディ? ぐーうは? どうしたの」
「大丈夫だよ、皆が頑張ってくれているから。何も不安はないはず。大丈夫だよ」
自分に言い聞かせる。
そうしないと不安で身が震えるからだ。
屋敷の奥の部屋、僅かな護衛が私に付き添いながら外を伺い見る。
「グラスランさん達は善戦しているが、相手は精鋭騎士な上に数が多いぞ」
「分が悪いな。持ちこたえられる時間は限られていそうだ」
小声だけど聞こえてしまう声は、嫌でも不安を掻き立てる。
考えてみれば、王家としては最後に残された手段は証言者の抹消。
私を消す事が最善である事実は変わらない。
加えてこの街で姿と名を示してドルメン公爵と話した時から……王家側に居場所が漏れるのは当然だった。
油断……今まで順調であるから侮っていた。
相手は王家だというのに。
「ナディ、ナディ!」
ふと、考えていた時にレヴが私の名を呼ぶ。
視線を上げると、ふわりとレヴが抱きしめてきた。
「だいじょぶ、ぐーうはつよいもん! レヴがうでずもうで、いっつもかてないぐらい」
「レヴ……」
「だからこわくないよ。それにレヴがいっしょにいるから」
こんな小さな子に心配されるほどに、私は怯えていたのだろうか。
情けなさと共に、レヴに感謝して頭を撫でる。
「ありがとう、レヴ。そうだよね。きっと大丈夫」
「うん!」
この子も怖いはずだ、なのに励ましてくれている。
私が怯えていても状況は変わらない、戦いも知らぬ私が独断で動いたって改善はしない。
今はただ……この戦場に慣れた周囲の皆に頼るしかない。
「応援はまだか!?」
「恐らく、他の王家騎士が足止めしているんだろう」
「これじゃあもたないぞ! 相手との練兵の差は歴然だ!」
この場に残った護衛達がやり取りを繰り広げる。
その間際、グラスランさんの声が響いた。
「作戦を変える! 兎だ!」
なんの事か分からないが、グラスランさんの声に護衛達の掛け声が上がった。
途端に、傍に居てくれた少数の護衛達が私とレヴの手をとる。
「兎……ナディアちゃんとレヴだけ極秘に逃がす作戦だ」
「え……」
「近くの厩舎まで走るぞ、ナディアちゃん達は馬にのって避難しろ」
「そ、それでは皆さんは……」
「決死の覚悟じゃない。これは皆が生きるための作戦だ。ナディアちゃんが逃げれば、俺達もばらけて退避できる!」
そう言って、護衛達が周囲に目を配りながら屋敷を出て行く。
見つかれば作戦は終わる。
ゆえに建物の影に隠れ、少しずつ剣の音響く場所から遠ざかった。
「報告通りなら、王都から騎士団が近くまで来ているはずだ。ナディアちゃんはそれに何とか合流してくれ」
「は、はい!」
「レヴを頼んだぞ」
ぎゅっとレヴを抱きしめて、厩舎にたどり着く
馬達も騒ぎに反応していたのか起き上がっており、直ぐに走ってくれそうだ。
しかし……一つだけ予想外の事があった。
「あ、あれ……スード? どうして」
厩舎にいたはずの、馬のスード。
なぜかあの子がいないのだ。
「まさか、手綱が外れたのか?」
「おい、今はそんな事は構ってられない! 他の馬に乗せろ!」
スード、どこに行ったの。
手綱が外れたからといって、逃げ出すような子ではないはずだ。
ふと気になったのは、手綱がくくられていた箇所が齧られたように木が損傷している。
まさかあの子が噛んで、この場を離れたの? どうして?
「こい、ナディアちゃん! この馬に乗って逃げろ!」
「は、はい!」
しかし考えている暇はない、レヴと共に用意してもらった馬に乗りこもうと走る。
が……
ヒュンッと、風を切る音が耳に響いた。
「っ!」
「しまっ!」
馬の手綱を握っていた護衛の足に、矢が突き刺さったのだ。
それに驚いた馬が走り出してしまう。
少し先の街道から、矢を射たらしき王家騎士が真っ直ぐ私の元へと向かってきていた。
「見つかったぞ! くそ!」
「あっちとは別働隊が厩舎を張っていたんだ。しっかり退路まで塞いでやがった」
護衛が剣を抜くけれど、相手は精鋭騎士である上に数は多い。
私はレヴを抱き上げて後ずさる。
「ナディ……だいじょぶ、レヴが、レヴがいっしょいるから」
レヴの声が震えている、訳も分からないだろうけれど危険だというのは分かっているのだろう。
こんな小さな子を巻き込んでしまった……
その罪悪感に襲われながらも、なんとか逃げようと模索する中。
「ナディア嬢! 直ぐに馬に乗れ!」
しわがれた声が響いて、王家騎士へと切りかかる影が見えた。
グラスランさんだ、こっちに援護に来てくれたんだ!
「直ぐにいけ! 早く!」
「グラスランさん、っ!!」
視線を向けながら、彼の姿に言葉を失う。
あちこちに傷を負いながら、彼は数人の精鋭騎士相手を足止めしているのだ。
私が逃げたとしても、もうあの傷では彼は逃げられないと流石に分かる。
「ぐーうのこえ。ぐーうきたの?」
私が抱きしめているレヴが、嬉しそうな声をあげる。
でも傷だらけのグラスランさんを見せる訳にはいかず、目を覆うように抱き上げて用意された次の馬に乗る。
「グラスランさん……ごめんなさい」
「いい。逃げてくれ。儂が二人を護れたなら、歳にしてはいい仕事ができたもんだ」
「……」
「いけっ! こんな所で年寄りに構って死んでいいはずがないだろう!」
傷だらけのグラスランさんの檄に合わせるように、私が乗った馬が走り出す。
精鋭騎士達は怒声を浴びせて、更に彼に切りかかる。
鍔迫り合いが響く中で、グラスランさんは剣を弾かれた。
虚しく、地面に剣が突き刺さり。
グラスランさんはだらりと両手を下げ、膝を落とした。
「っ! グラスランさん!」
走り出した馬は止まらず、小さくなっていくグラスランさんの背に……剣が振り上げられる。
駄目、駄目だ。
グラスランさんが死んでしまう。
なのに、私はなにもできないの?
「ナディア嬢!」
ふと響いた叫ぶ声、グラスランさんを見つめると……彼の口が動いた。
大きな声、絞り出すような声が私に届く。
「レヴと共に、どうか幸せになってくれ。約束通りにな」
夜闇に響いた声、グラスランさんに迫る刃は止まらない。
彼の首へと吸い込まれるように振り下ろされた王家騎士の剣が、人の死を予期させる。
「いや、駄目! グラスランさん!」
いや、いやだ。
グラスランさん……レヴと共に王都に来て、パンを食べてくれるはずだったんだ。
こんな所でお別れだなんて、そんなの絶対に駄目だ。
しかし私に、抵抗する力はないまま。
刃はグラスランさんへと突き刺さる運命は、変えられはしなかった。
––––
はずだった。
「っ!!」
なにかが、風を切って逃げる私達とすれ違った。
暗闇の中で松明の明かりに照らされた影が、恐るべき速度でグラスランさんの元へと向かっていたのだ。
「馬? だ、誰が?」
走っていたのは馬。
誰かが騎乗しており、銀光煌めく刃がグラスランさんに迫る王家騎士を切り裂いた。
続けて切り返した剣が見事な円弧を描き、他の王家騎士達を薙ぎ切る。
「あの馬、スード……まさか」
見間違うはずはない走っていた馬はスードだ。
そして馬上に居たのは……
「ナディア、逃げなくていい! もう大丈夫だ」
そう叫びながら剣を構えていたのは、かつて私を逃がしてくれて。
ずっと王都で戦ってくれていたセトアさんだった。
屋敷のすぐ外で繰り広げられるのは、王家が差し向けた騎士と、脱走兵から着いて来てくれた護衛の皆との戦。
無力な私はレヴを抱きしめるしかできない。
「ナディ? ぐーうは? どうしたの」
「大丈夫だよ、皆が頑張ってくれているから。何も不安はないはず。大丈夫だよ」
自分に言い聞かせる。
そうしないと不安で身が震えるからだ。
屋敷の奥の部屋、僅かな護衛が私に付き添いながら外を伺い見る。
「グラスランさん達は善戦しているが、相手は精鋭騎士な上に数が多いぞ」
「分が悪いな。持ちこたえられる時間は限られていそうだ」
小声だけど聞こえてしまう声は、嫌でも不安を掻き立てる。
考えてみれば、王家としては最後に残された手段は証言者の抹消。
私を消す事が最善である事実は変わらない。
加えてこの街で姿と名を示してドルメン公爵と話した時から……王家側に居場所が漏れるのは当然だった。
油断……今まで順調であるから侮っていた。
相手は王家だというのに。
「ナディ、ナディ!」
ふと、考えていた時にレヴが私の名を呼ぶ。
視線を上げると、ふわりとレヴが抱きしめてきた。
「だいじょぶ、ぐーうはつよいもん! レヴがうでずもうで、いっつもかてないぐらい」
「レヴ……」
「だからこわくないよ。それにレヴがいっしょにいるから」
こんな小さな子に心配されるほどに、私は怯えていたのだろうか。
情けなさと共に、レヴに感謝して頭を撫でる。
「ありがとう、レヴ。そうだよね。きっと大丈夫」
「うん!」
この子も怖いはずだ、なのに励ましてくれている。
私が怯えていても状況は変わらない、戦いも知らぬ私が独断で動いたって改善はしない。
今はただ……この戦場に慣れた周囲の皆に頼るしかない。
「応援はまだか!?」
「恐らく、他の王家騎士が足止めしているんだろう」
「これじゃあもたないぞ! 相手との練兵の差は歴然だ!」
この場に残った護衛達がやり取りを繰り広げる。
その間際、グラスランさんの声が響いた。
「作戦を変える! 兎だ!」
なんの事か分からないが、グラスランさんの声に護衛達の掛け声が上がった。
途端に、傍に居てくれた少数の護衛達が私とレヴの手をとる。
「兎……ナディアちゃんとレヴだけ極秘に逃がす作戦だ」
「え……」
「近くの厩舎まで走るぞ、ナディアちゃん達は馬にのって避難しろ」
「そ、それでは皆さんは……」
「決死の覚悟じゃない。これは皆が生きるための作戦だ。ナディアちゃんが逃げれば、俺達もばらけて退避できる!」
そう言って、護衛達が周囲に目を配りながら屋敷を出て行く。
見つかれば作戦は終わる。
ゆえに建物の影に隠れ、少しずつ剣の音響く場所から遠ざかった。
「報告通りなら、王都から騎士団が近くまで来ているはずだ。ナディアちゃんはそれに何とか合流してくれ」
「は、はい!」
「レヴを頼んだぞ」
ぎゅっとレヴを抱きしめて、厩舎にたどり着く
馬達も騒ぎに反応していたのか起き上がっており、直ぐに走ってくれそうだ。
しかし……一つだけ予想外の事があった。
「あ、あれ……スード? どうして」
厩舎にいたはずの、馬のスード。
なぜかあの子がいないのだ。
「まさか、手綱が外れたのか?」
「おい、今はそんな事は構ってられない! 他の馬に乗せろ!」
スード、どこに行ったの。
手綱が外れたからといって、逃げ出すような子ではないはずだ。
ふと気になったのは、手綱がくくられていた箇所が齧られたように木が損傷している。
まさかあの子が噛んで、この場を離れたの? どうして?
「こい、ナディアちゃん! この馬に乗って逃げろ!」
「は、はい!」
しかし考えている暇はない、レヴと共に用意してもらった馬に乗りこもうと走る。
が……
ヒュンッと、風を切る音が耳に響いた。
「っ!」
「しまっ!」
馬の手綱を握っていた護衛の足に、矢が突き刺さったのだ。
それに驚いた馬が走り出してしまう。
少し先の街道から、矢を射たらしき王家騎士が真っ直ぐ私の元へと向かってきていた。
「見つかったぞ! くそ!」
「あっちとは別働隊が厩舎を張っていたんだ。しっかり退路まで塞いでやがった」
護衛が剣を抜くけれど、相手は精鋭騎士である上に数は多い。
私はレヴを抱き上げて後ずさる。
「ナディ……だいじょぶ、レヴが、レヴがいっしょいるから」
レヴの声が震えている、訳も分からないだろうけれど危険だというのは分かっているのだろう。
こんな小さな子を巻き込んでしまった……
その罪悪感に襲われながらも、なんとか逃げようと模索する中。
「ナディア嬢! 直ぐに馬に乗れ!」
しわがれた声が響いて、王家騎士へと切りかかる影が見えた。
グラスランさんだ、こっちに援護に来てくれたんだ!
「直ぐにいけ! 早く!」
「グラスランさん、っ!!」
視線を向けながら、彼の姿に言葉を失う。
あちこちに傷を負いながら、彼は数人の精鋭騎士相手を足止めしているのだ。
私が逃げたとしても、もうあの傷では彼は逃げられないと流石に分かる。
「ぐーうのこえ。ぐーうきたの?」
私が抱きしめているレヴが、嬉しそうな声をあげる。
でも傷だらけのグラスランさんを見せる訳にはいかず、目を覆うように抱き上げて用意された次の馬に乗る。
「グラスランさん……ごめんなさい」
「いい。逃げてくれ。儂が二人を護れたなら、歳にしてはいい仕事ができたもんだ」
「……」
「いけっ! こんな所で年寄りに構って死んでいいはずがないだろう!」
傷だらけのグラスランさんの檄に合わせるように、私が乗った馬が走り出す。
精鋭騎士達は怒声を浴びせて、更に彼に切りかかる。
鍔迫り合いが響く中で、グラスランさんは剣を弾かれた。
虚しく、地面に剣が突き刺さり。
グラスランさんはだらりと両手を下げ、膝を落とした。
「っ! グラスランさん!」
走り出した馬は止まらず、小さくなっていくグラスランさんの背に……剣が振り上げられる。
駄目、駄目だ。
グラスランさんが死んでしまう。
なのに、私はなにもできないの?
「ナディア嬢!」
ふと響いた叫ぶ声、グラスランさんを見つめると……彼の口が動いた。
大きな声、絞り出すような声が私に届く。
「レヴと共に、どうか幸せになってくれ。約束通りにな」
夜闇に響いた声、グラスランさんに迫る刃は止まらない。
彼の首へと吸い込まれるように振り下ろされた王家騎士の剣が、人の死を予期させる。
「いや、駄目! グラスランさん!」
いや、いやだ。
グラスランさん……レヴと共に王都に来て、パンを食べてくれるはずだったんだ。
こんな所でお別れだなんて、そんなの絶対に駄目だ。
しかし私に、抵抗する力はないまま。
刃はグラスランさんへと突き刺さる運命は、変えられはしなかった。
––––
はずだった。
「っ!!」
なにかが、風を切って逃げる私達とすれ違った。
暗闇の中で松明の明かりに照らされた影が、恐るべき速度でグラスランさんの元へと向かっていたのだ。
「馬? だ、誰が?」
走っていたのは馬。
誰かが騎乗しており、銀光煌めく刃がグラスランさんに迫る王家騎士を切り裂いた。
続けて切り返した剣が見事な円弧を描き、他の王家騎士達を薙ぎ切る。
「あの馬、スード……まさか」
見間違うはずはない走っていた馬はスードだ。
そして馬上に居たのは……
「ナディア、逃げなくていい! もう大丈夫だ」
そう叫びながら剣を構えていたのは、かつて私を逃がしてくれて。
ずっと王都で戦ってくれていたセトアさんだった。
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