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19話
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報告を受けた後、私はグラスランさんやレヴが待つ街まで戻る。
もう戦線は危機的状況を脱した、その報告はすでに知れ渡ったのか、なんと街中から賞賛の声が聞こえ出す。
「ナディア嬢、聞いたぞ! よくぞ……よくぞ!」
「ナディ~」
賞賛の声の中から、グラスランさんやレヴが私の元へ来てくれる。
グラスランさんは感嘆して無事を喜び、レヴは事情は分かっていないけれど、周りの皆が嬉しそうなのが分かって私に抱きつく。
「ナディ、すごいことしたの?」
「そうみたいね。私も皆が喜んでくれて、気付いたよ」
「じゃあ、レヴがいっぱいほめる! ぎゅってしてあげるもん!」
抱きしめてくるレヴに、帰ってきた安堵感。
そして王都に帰れるという達成感に満たされながら、レヴを抱きしめ返した。
本当に良かった。
全てが上手くいって……
◇◇◇
その日はもう夕刻、多数の兵士がお祝いムードの中、私達はドルメン公爵に貸して頂いている屋敷に戻る。
「ナディア嬢。報告では明日には王都から重要参考人の嬢の護衛として、騎士団が到着するそうだ」
「騎士団が……?」
「あぁ、だから明日からは騎士達と共に王都にいくといい。聖女の力も騎士団と王都に届くはず……丁重に扱ってくれるはずだ」
明日に騎士団が来てくれて、この街を出て王都に向かう。
つまりはここで最後に過ごす夜だと考えていた時、ふと服の袖が引かれた。
眠たそうに目をくしくしと撫でるレヴだ。
「ナディ、レヴねむねむするから。いっしょいて」
「レヴは甘えん坊だね」
「ナディにだけだもん」
可愛らしいレヴの頭を撫でると、嬉しそうに笑う。
この子に救われて、緊張感の無い日々を送らせてもらえたのだ。
今夜ぐらいは、いっぱい一緒に過ごそう。
「じゃあ、レヴが寝るまで一緒にいてあげるね」
「やた、ナディといっしょ。あんしんするの。すき」
夜も更けて、撫でていたレヴが安らかな寝息を立て始める。
それを見届けていると、寝台近くの椅子に座っていたグラスランさんが小声で呟いた。
「ナディア嬢。いよいよ王都に戻る時だ。儂らの護衛もここで終わりだな」
「本当に感謝しております。グラスランさん、皆さんが居なければこの結果は無かった……」
「いや、結果を出せたのは……嬢が噂の広がりを熟知し、策を講じたからこそだ」
「それでも、皆の協力が無ければ王都に戻る事は叶わなかったと思います」
一つでも足りなければ無理だった。
この旅に、何か一つでも欠けていたり、出会いが無ければ出来なかった事だ。
「儂らの護衛はここで終わりだ。明日には嬢は騎士団に護ってもらえる。もう大丈夫だ」
「……少し、寂しいですね」
「決して別れではないさ。儂らだって脱走した件は情状酌量を貰える、また会えるさ。ただ最後に一つだけ。儂の頼みを聞いてくれないか?」
「頼み?」
「もし全てが終わって嬢が王都に戻れたなら、レヴの身元引受人となってくれんか?」
レヴの身元引受人?
その言葉を告げたグラスランさんはレヴを見つめ、小さな声で語り続ける。
「レヴの身元は分からないが、この国ではそういった子がごまんといる」
「……そうなのですね」
「戦争から帰ってこれなくなった父親、その精神的疲労から子を捨て自死を選ぶ母親。レヴもきっとそんな遺児の一人なのだろう。珍しい事ではない、誰かを責める事もできん」
「……」
「この子は儂らのようなろくでなしに育てられながらも……優しく育ってくれた。閉塞感のあった儂らの元に笑みがあったのは、紛れもなくこの子のおかげだ」
グラスランさんがレヴの頭を撫でる。
その顔は悲しげだ。
「儂はこの子を育ててやりたい。だが脱走兵の過去を持つ儂らでは、身元引受人などの手続きはできんだろう。身元が無ければ、行く当ては悲惨だ」
「……」
「だからナディア嬢に頼みたい。どうかレヴの身元引受人となって、王都でこの子を暮らさせてやってくれんか? もちろん儂らは出来る限りの援助はすると誓う。金銭的苦労はさせんように––––」
グラスランさんの言葉の途中であったが、私は間髪入れずに答える。
もちろん、答えは決まっていたからだ。
「グラスランさん、私がレヴを引き取ります。こんな身の上で頼りないかもしれませんが……」
「っ!! 良いのか?」
「でも条件があります。レヴが寂しがりますから……グラスランさん達も王都に来て下さいね。私がいつでもパンを焼きますから」
私だってレヴの明るさには助けられた、報いる事ができるなら王都で共に暮らす事はむしろこちらから望む事だ。
聖女の力を使った今、元の生活に戻れるとは断定できはしないけれど……今からでも平穏を願い、語ってもいいはずだ。
私の条件に、グラスランさんはホッとしたように微笑んだ。
「たくさん、たべさせてもらおうかのう。今から楽しみだ」
「とびきりのを焼きます。だから……楽しみにしてください」
「まさかこの歳になって、こんなにも楽しみが出来るとは」
呟いたグラスランさんが、窓際へと歩いていく。
夜空を眺めながら、ほっとため息を漏らしていた。
「安心できるよ。儂はもう十分だ」
「レヴだってグラスランさんとも一緒に居たいはずです。だから……いつでも会いに来てください」
他愛のない会話をして、互いに未来についてを語り合う。
そんな時間を過ごしている時に、グラスランさんは窓から外を見ながら呟いた。
「……誰か、この屋敷に向かってくるな」
「え? 誰が来たのですか?」
グラスランさんの言葉に釣られて、私も窓から屋敷を伺い見る。
この部屋は二階で、こちらの屋敷に向かってくる兵士が確かに見えた……
酷く焦っている様子だ。
「グ、グラスラン殿! 至急報告があります!」
窓から私達が見ているのを確認したのか、兵士はこちらに声をかけた。
グラスランさんが身を乗り出して答える。
「どうした」
「お、王家騎士が街の兵士を襲っております! 狙いは恐らくナディっ––––」
言葉の途中であった。
報告をしていた兵士の腹部に、深々と矢が突き刺さって倒れる。
突然の出来事の中で、グラスランさんが私の肩を掴んで窓から引き離した。
「伏せろ!」
途端に窓に無数の矢が降り注ぎ、壁からは貫通した矢じりが突き出す。
何が起こったのか、理解できない。
けれど一気に鼓動が跳ね上がり、呼吸が荒くなる。
「っ! 儂ももうろくしたな。王家にとって……今だナディア嬢を消す事が有効ならば、襲撃の指示を出すのも当然だったというのに、油断した」
「グラスランさ……」
「……儂に何があっても、約束通り。レヴを頼んだぞ、ナディア嬢」
私が伏せながら顔を上げた時には、グラスランさんは壁に立て掛けていた剣を握っていた。
そして窓から下へと飛び降りた。
「皆! 王家の襲撃だ……ここを死守せよ!」
叫ぶグラスランさんの声に、屋敷の階下から即座に足音が響き渡る。
私の護衛のために、あの村から着いて来てくれていた人々がいたのだが……彼らがグラスランさんの声かけと共に外に出たのだ。
「大丈夫か、ナディアちゃん!」
「直ぐにレヴと共に、奥の部屋に!」
数人がこの部屋まで来てくれて、避難を誘導してくれる。
私は彼らに連れられながら、音で起き上がったレヴを抱き上げる。
窓を見れば複数の矢が突き刺さり、見える街道には真っ黒な鎧を身に着けた騎士が迫っているのが見えた。
あれが……王家が差し向けた騎士。
恐らく、こういった荒事が専門だと推測できた。
「皆、ここが最後の正念場だ!」
グラスランさんの声が響き、一気に緊張感が走る。
夜闇の空気が張り詰めていく。
「王家にとってナディアという証言者を消す事こそが、この事態を収める最後の手段だ。なにがあっても死守せよ! 近くには軍部駐屯地もある。時間を稼げば援軍は直ぐに来る!」
グラスランさんの声と共に、剣を鞘から抜き払う音が鳴り響く。
鉄音鳴る王家騎士が、近づく音も耳まで届いた。
「持ちこたえろ。あの村を出た時に誓った通り、ナディア嬢を護りきれ! 護衛としての役目、剣を握って戦う使命を今度こそ全うせよ!」
かつて脱走兵として、自らの行いが不名誉だと言っていた彼ら。
しかし、今の彼らは逃げる事なく立ち向かう姿勢を示した。
もう戦線は危機的状況を脱した、その報告はすでに知れ渡ったのか、なんと街中から賞賛の声が聞こえ出す。
「ナディア嬢、聞いたぞ! よくぞ……よくぞ!」
「ナディ~」
賞賛の声の中から、グラスランさんやレヴが私の元へ来てくれる。
グラスランさんは感嘆して無事を喜び、レヴは事情は分かっていないけれど、周りの皆が嬉しそうなのが分かって私に抱きつく。
「ナディ、すごいことしたの?」
「そうみたいね。私も皆が喜んでくれて、気付いたよ」
「じゃあ、レヴがいっぱいほめる! ぎゅってしてあげるもん!」
抱きしめてくるレヴに、帰ってきた安堵感。
そして王都に帰れるという達成感に満たされながら、レヴを抱きしめ返した。
本当に良かった。
全てが上手くいって……
◇◇◇
その日はもう夕刻、多数の兵士がお祝いムードの中、私達はドルメン公爵に貸して頂いている屋敷に戻る。
「ナディア嬢。報告では明日には王都から重要参考人の嬢の護衛として、騎士団が到着するそうだ」
「騎士団が……?」
「あぁ、だから明日からは騎士達と共に王都にいくといい。聖女の力も騎士団と王都に届くはず……丁重に扱ってくれるはずだ」
明日に騎士団が来てくれて、この街を出て王都に向かう。
つまりはここで最後に過ごす夜だと考えていた時、ふと服の袖が引かれた。
眠たそうに目をくしくしと撫でるレヴだ。
「ナディ、レヴねむねむするから。いっしょいて」
「レヴは甘えん坊だね」
「ナディにだけだもん」
可愛らしいレヴの頭を撫でると、嬉しそうに笑う。
この子に救われて、緊張感の無い日々を送らせてもらえたのだ。
今夜ぐらいは、いっぱい一緒に過ごそう。
「じゃあ、レヴが寝るまで一緒にいてあげるね」
「やた、ナディといっしょ。あんしんするの。すき」
夜も更けて、撫でていたレヴが安らかな寝息を立て始める。
それを見届けていると、寝台近くの椅子に座っていたグラスランさんが小声で呟いた。
「ナディア嬢。いよいよ王都に戻る時だ。儂らの護衛もここで終わりだな」
「本当に感謝しております。グラスランさん、皆さんが居なければこの結果は無かった……」
「いや、結果を出せたのは……嬢が噂の広がりを熟知し、策を講じたからこそだ」
「それでも、皆の協力が無ければ王都に戻る事は叶わなかったと思います」
一つでも足りなければ無理だった。
この旅に、何か一つでも欠けていたり、出会いが無ければ出来なかった事だ。
「儂らの護衛はここで終わりだ。明日には嬢は騎士団に護ってもらえる。もう大丈夫だ」
「……少し、寂しいですね」
「決して別れではないさ。儂らだって脱走した件は情状酌量を貰える、また会えるさ。ただ最後に一つだけ。儂の頼みを聞いてくれないか?」
「頼み?」
「もし全てが終わって嬢が王都に戻れたなら、レヴの身元引受人となってくれんか?」
レヴの身元引受人?
その言葉を告げたグラスランさんはレヴを見つめ、小さな声で語り続ける。
「レヴの身元は分からないが、この国ではそういった子がごまんといる」
「……そうなのですね」
「戦争から帰ってこれなくなった父親、その精神的疲労から子を捨て自死を選ぶ母親。レヴもきっとそんな遺児の一人なのだろう。珍しい事ではない、誰かを責める事もできん」
「……」
「この子は儂らのようなろくでなしに育てられながらも……優しく育ってくれた。閉塞感のあった儂らの元に笑みがあったのは、紛れもなくこの子のおかげだ」
グラスランさんがレヴの頭を撫でる。
その顔は悲しげだ。
「儂はこの子を育ててやりたい。だが脱走兵の過去を持つ儂らでは、身元引受人などの手続きはできんだろう。身元が無ければ、行く当ては悲惨だ」
「……」
「だからナディア嬢に頼みたい。どうかレヴの身元引受人となって、王都でこの子を暮らさせてやってくれんか? もちろん儂らは出来る限りの援助はすると誓う。金銭的苦労はさせんように––––」
グラスランさんの言葉の途中であったが、私は間髪入れずに答える。
もちろん、答えは決まっていたからだ。
「グラスランさん、私がレヴを引き取ります。こんな身の上で頼りないかもしれませんが……」
「っ!! 良いのか?」
「でも条件があります。レヴが寂しがりますから……グラスランさん達も王都に来て下さいね。私がいつでもパンを焼きますから」
私だってレヴの明るさには助けられた、報いる事ができるなら王都で共に暮らす事はむしろこちらから望む事だ。
聖女の力を使った今、元の生活に戻れるとは断定できはしないけれど……今からでも平穏を願い、語ってもいいはずだ。
私の条件に、グラスランさんはホッとしたように微笑んだ。
「たくさん、たべさせてもらおうかのう。今から楽しみだ」
「とびきりのを焼きます。だから……楽しみにしてください」
「まさかこの歳になって、こんなにも楽しみが出来るとは」
呟いたグラスランさんが、窓際へと歩いていく。
夜空を眺めながら、ほっとため息を漏らしていた。
「安心できるよ。儂はもう十分だ」
「レヴだってグラスランさんとも一緒に居たいはずです。だから……いつでも会いに来てください」
他愛のない会話をして、互いに未来についてを語り合う。
そんな時間を過ごしている時に、グラスランさんは窓から外を見ながら呟いた。
「……誰か、この屋敷に向かってくるな」
「え? 誰が来たのですか?」
グラスランさんの言葉に釣られて、私も窓から屋敷を伺い見る。
この部屋は二階で、こちらの屋敷に向かってくる兵士が確かに見えた……
酷く焦っている様子だ。
「グ、グラスラン殿! 至急報告があります!」
窓から私達が見ているのを確認したのか、兵士はこちらに声をかけた。
グラスランさんが身を乗り出して答える。
「どうした」
「お、王家騎士が街の兵士を襲っております! 狙いは恐らくナディっ––––」
言葉の途中であった。
報告をしていた兵士の腹部に、深々と矢が突き刺さって倒れる。
突然の出来事の中で、グラスランさんが私の肩を掴んで窓から引き離した。
「伏せろ!」
途端に窓に無数の矢が降り注ぎ、壁からは貫通した矢じりが突き出す。
何が起こったのか、理解できない。
けれど一気に鼓動が跳ね上がり、呼吸が荒くなる。
「っ! 儂ももうろくしたな。王家にとって……今だナディア嬢を消す事が有効ならば、襲撃の指示を出すのも当然だったというのに、油断した」
「グラスランさ……」
「……儂に何があっても、約束通り。レヴを頼んだぞ、ナディア嬢」
私が伏せながら顔を上げた時には、グラスランさんは壁に立て掛けていた剣を握っていた。
そして窓から下へと飛び降りた。
「皆! 王家の襲撃だ……ここを死守せよ!」
叫ぶグラスランさんの声に、屋敷の階下から即座に足音が響き渡る。
私の護衛のために、あの村から着いて来てくれていた人々がいたのだが……彼らがグラスランさんの声かけと共に外に出たのだ。
「大丈夫か、ナディアちゃん!」
「直ぐにレヴと共に、奥の部屋に!」
数人がこの部屋まで来てくれて、避難を誘導してくれる。
私は彼らに連れられながら、音で起き上がったレヴを抱き上げる。
窓を見れば複数の矢が突き刺さり、見える街道には真っ黒な鎧を身に着けた騎士が迫っているのが見えた。
あれが……王家が差し向けた騎士。
恐らく、こういった荒事が専門だと推測できた。
「皆、ここが最後の正念場だ!」
グラスランさんの声が響き、一気に緊張感が走る。
夜闇の空気が張り詰めていく。
「王家にとってナディアという証言者を消す事こそが、この事態を収める最後の手段だ。なにがあっても死守せよ! 近くには軍部駐屯地もある。時間を稼げば援軍は直ぐに来る!」
グラスランさんの声と共に、剣を鞘から抜き払う音が鳴り響く。
鉄音鳴る王家騎士が、近づく音も耳まで届いた。
「持ちこたえろ。あの村を出た時に誓った通り、ナディア嬢を護りきれ! 護衛としての役目、剣を握って戦う使命を今度こそ全うせよ!」
かつて脱走兵として、自らの行いが不名誉だと言っていた彼ら。
しかし、今の彼らは逃げる事なく立ち向かう姿勢を示した。
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