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21話
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父が去った後、頃合いを見てジーニアス様が屋敷を出てくる。
「俺が父上と会わなくてよかったのか」
「今、貴方とお父様が会えば……流石に驚きで倒れてしまいますよ。まさか隣国の王太子様がいるなんて思わないでしょうから」
「そうか」
ジーニアス様とはそんなやり取りを交わしていると、彼の護衛騎士がなにやら耳打ちをする。
すると途端に彼は残念そうに呟いた。
「どうやら、そろそろ国に帰らねばならない」
「王太子様はご多忙ですものね」
「……王妃時代の君程でない」
「そういえば……ジーニアス様がここに来た理由を、そろそろ教えて頂いても?」
「それは……君と」
尋ねた言葉に、ジーニアス様は俯いて何かを呟く。
だが……背を向けて歩き始めた。
「いつか言う。ただ今回は、君に会いに来ただけだ」
「私に?」
「あぁ」
「……では、また来てくださいね。待ってます」
王妃時代に過ごす機会があった私には、彼が抱く想いには薄く感付くものがあった。
でも今は、彼がその心の内を話すまでは待つ気持ちで手を振る。
彼の想いが私の予想通りなら、今は答えが決められないから。
ジーニアス様も小さく微笑み「必ずまた来る」と言って、帰りの馬車へと乗り込んだ。
「さぁ、私達はまだまだ頑張らないと……皆も手伝ってくださいね!」
弟のレルクや、使用人や護衛兵の皆。
そして集まってくれた元文官の皆へと号令をかけ、私は再び様々な事業を進めるための準備を始めた。
◇◇◇
そうして……廃妃となってから半年が過ぎた。
リエン地方での生活が忙しくも楽しいために、あっという間に感じる。
皆に仕事を割り振り、大きな事業を進めていくのは前世を思い出す。
『堂本さん! 今回の商品も売れ行きいいみたいです』
思えば、忙しくて前世を気にかけられなかったけれど……
前世での仕事、共に事業を進めていた後輩は大丈夫だろうか。
私は死んで……後輩に任せる形になってしまったのだろうか。
『堂本さん、本当に羨ましい成果ですね。手伝えて光栄です』
『私も田口さんみたいにならないように……会社で評価される下地を作っておかないとですね』
前世の後輩の言葉、やる気があったみたいだから大丈夫だと思う。
でも、私の最後の記憶が確かなら階段から突き落としたのは田口さんだ。
あの後……会社や、私の身の周りはどうなったのだろうか。
「……様」
まぁ、今ここで考えても仕方ないのだけど。
「ラツィア様、入室しても良いでしょうか」
「っ」
どうやら、執務室に誰かが来ていたようだ。
慌てて身を正して、扉の外に声をかける。
「失礼します。ご報告をよろしいでしょうか」
元文官の一人、今は私の補佐官だ。
彼は書類を手に、報告を述べる。
「街の衛生環境は良好です。排泄物、ゴミなどは常に一定の場所に捨てる習慣が領民にも沁みついてきたようです」
「良好ね」
「加えて……排泄物を利用した肥料についてですが」
文官が少し引きながら報告する。
それは私がこの半年で進めていたもう一つの事。
排泄物をたい肥として利用するというものだ。
人の排泄物を生活ごみと共に大きな水瓶に入れ、封と共に土に数か月埋めておく。
すると内部で発酵が起こり、発酵熱によって殺菌と虫を殺す。
発酵が終わった後は、落ち葉などと混ぜる事で、たい肥の完成だ。
「いやぁ……田舎のおばあちゃんに聞いたのを覚えていてよかった」
「え? なんの事でしょうか?」
「いえ、なんでもないわ。報告を続けて」
「は、はい。言われた通りに排泄物の肥料を、近隣の農家に資金を払って協力してもらい。畑にまいて作物を育てはじめました」
ほぉほぉ、順調に進めてくれているのは元文官の皆のおかげだ。
感謝と共に頷いていると、補佐官は困惑しながら報告を続けた。
「お、驚いた事に……通常よりも多くの苗が発芽したと報告を受けております。成長も良く、農家の方も驚いておりました」
「そうでしょうね。良い結果が出れば他の農家にも広めるわよ」
「わ、分かりました! し、しかし本当にここまでの結果がでるとは」
ふふ、まぁ驚くのも当たり前なほどに、たい肥の力は凄い。
前世の江戸時代にて、百万人を超えた人口都市の食糧問題を排泄物によるたい肥で支えたといわれる程だ。
その効果が良すぎて、江戸時代では排泄物が高値で取引されたという。
加えて排泄物の処理方法が確立し、街も綺麗になるというメリット付きだ。
「おばあちゃん……教えてくれてありがとう」
「おばあちゃん?」
「いえ、なんでもないわ。続けて」
「は、はぁ」
思わず前世について触れてしまうが、慌てて取り繕って次の報告を聞く。
補佐官は新たな書類を私に見せた。
「次に水の生産も順調です。一定の利益を上げております」
「いい事づくしね」
「生産量も上がり、過剰量が出来ているようで……」
「では過剰分の水は、他領地の孤児院に寄付しましょう。以前の神父様が話を通してくれるわ」
「分かりました」
他領地まで巻き込んで、孤児院の子供達が湯浴みをする事を勧めるのには理由がある。
湯浴みで清潔にしただけで、病気のリスクは減る。
その効果が……続く文官の言葉で分かる。
「では、次の報告ですが……ラツィア様が湯浴みをなさったという孤児院の子供達ですが、病になる子がこの半年間で激減いたしました」
「っ!」
「その噂を聞いて、孤児院へと子を持つ母親達が尋ねており、孤児を真似て、子供を洗う家庭が増えております」
望んでいた成果に、心の中でガッツポーズをしてしまう。
孤児が半年間の間も健康でいるというのは大きな出来事だ。
母親としては我が子が健康である方法があるならばと、孤児院へと助言を尋ねるのも自然の事。
「湯浴みは危険だと伝えられても、実際に健康に生きる孤児の子を見れば……母としては試すわよね」
「ええ、ただでさえ数年前には流行り病で多くの子供が犠牲になりましたから」
文化とは、強制したって根付かない。
だからこそ、孤児院の子供達が健康になる姿を実際に見せ……湯浴みの重要性を伝えた。
結果としてこのリエン地方には、少しずつだが湯浴みを行う家庭が増えている!
「良好ね、この調子で皆に湯浴みの重要性を気付いてもらうわよ!」
「はい。石鹸の生産工房も建設は順調です。予定どおりにあと半年後には、隣国に石鹸を卸せるかと」
「流石、皆の助力あってこそよ」
「有難きお言葉です」
補佐官からの嬉しい報告に、胸が満たされていると……
屋敷の外から賑やかな声が聞こえてきた。
「どうやら、来られたようですね」
「えぇ、今日も元気いっぱいね」
窓を開けば、弟のレルクがたくさんの子供を連れて来ていた。
皆、孤児院の子供達だ。
「あ! ラツィアさまだ!」
「きょうも、せっけんをね。もらいにきまちた!」
「あいがと、ラツィアさま!」
孤児院の子供達に月に一度……湯浴みのための石鹸と、お菓子を上げる日。
こうして来てもらうのは、湯浴みで良い匂いのする子供達を大人に認識してもらい、さらに湯浴みに興味をもってもらうためだ。
でも……それ以上に。
「みんな、今日はシチューを作ってもらったから。ここで食べていきなさい」
「しちゅー!」
「やた!」
「ラツィアさま。すき~」
様々な思惑はあれど、子供達と過ごす時間というのは楽しい。
湯浴みのおかげでいい匂いがいっぱいで、廃妃にされたあの社交界に比べれば天国だ。
「ラツィア様、最後に報告を良いですか?」
ふと、補佐官が小さく耳元で呟く。
「王家についてです」
「なにかあったの?」
「実は……ラツィア様が廃妃となってから国営事業がいくつも止まっており、クドス陛下の評価も落ちております。貴族家からの非難が王家に対して非常に高まっています」
そう……
どうやら思った以上に早く、王家の失態が貴族に伝わり始めたようだ。
私は清潔な生活に進み始めており、王家は勝手に落ちぶれていく。
狙い通りの算段が起きているようだ。
「俺が父上と会わなくてよかったのか」
「今、貴方とお父様が会えば……流石に驚きで倒れてしまいますよ。まさか隣国の王太子様がいるなんて思わないでしょうから」
「そうか」
ジーニアス様とはそんなやり取りを交わしていると、彼の護衛騎士がなにやら耳打ちをする。
すると途端に彼は残念そうに呟いた。
「どうやら、そろそろ国に帰らねばならない」
「王太子様はご多忙ですものね」
「……王妃時代の君程でない」
「そういえば……ジーニアス様がここに来た理由を、そろそろ教えて頂いても?」
「それは……君と」
尋ねた言葉に、ジーニアス様は俯いて何かを呟く。
だが……背を向けて歩き始めた。
「いつか言う。ただ今回は、君に会いに来ただけだ」
「私に?」
「あぁ」
「……では、また来てくださいね。待ってます」
王妃時代に過ごす機会があった私には、彼が抱く想いには薄く感付くものがあった。
でも今は、彼がその心の内を話すまでは待つ気持ちで手を振る。
彼の想いが私の予想通りなら、今は答えが決められないから。
ジーニアス様も小さく微笑み「必ずまた来る」と言って、帰りの馬車へと乗り込んだ。
「さぁ、私達はまだまだ頑張らないと……皆も手伝ってくださいね!」
弟のレルクや、使用人や護衛兵の皆。
そして集まってくれた元文官の皆へと号令をかけ、私は再び様々な事業を進めるための準備を始めた。
◇◇◇
そうして……廃妃となってから半年が過ぎた。
リエン地方での生活が忙しくも楽しいために、あっという間に感じる。
皆に仕事を割り振り、大きな事業を進めていくのは前世を思い出す。
『堂本さん! 今回の商品も売れ行きいいみたいです』
思えば、忙しくて前世を気にかけられなかったけれど……
前世での仕事、共に事業を進めていた後輩は大丈夫だろうか。
私は死んで……後輩に任せる形になってしまったのだろうか。
『堂本さん、本当に羨ましい成果ですね。手伝えて光栄です』
『私も田口さんみたいにならないように……会社で評価される下地を作っておかないとですね』
前世の後輩の言葉、やる気があったみたいだから大丈夫だと思う。
でも、私の最後の記憶が確かなら階段から突き落としたのは田口さんだ。
あの後……会社や、私の身の周りはどうなったのだろうか。
「……様」
まぁ、今ここで考えても仕方ないのだけど。
「ラツィア様、入室しても良いでしょうか」
「っ」
どうやら、執務室に誰かが来ていたようだ。
慌てて身を正して、扉の外に声をかける。
「失礼します。ご報告をよろしいでしょうか」
元文官の一人、今は私の補佐官だ。
彼は書類を手に、報告を述べる。
「街の衛生環境は良好です。排泄物、ゴミなどは常に一定の場所に捨てる習慣が領民にも沁みついてきたようです」
「良好ね」
「加えて……排泄物を利用した肥料についてですが」
文官が少し引きながら報告する。
それは私がこの半年で進めていたもう一つの事。
排泄物をたい肥として利用するというものだ。
人の排泄物を生活ごみと共に大きな水瓶に入れ、封と共に土に数か月埋めておく。
すると内部で発酵が起こり、発酵熱によって殺菌と虫を殺す。
発酵が終わった後は、落ち葉などと混ぜる事で、たい肥の完成だ。
「いやぁ……田舎のおばあちゃんに聞いたのを覚えていてよかった」
「え? なんの事でしょうか?」
「いえ、なんでもないわ。報告を続けて」
「は、はい。言われた通りに排泄物の肥料を、近隣の農家に資金を払って協力してもらい。畑にまいて作物を育てはじめました」
ほぉほぉ、順調に進めてくれているのは元文官の皆のおかげだ。
感謝と共に頷いていると、補佐官は困惑しながら報告を続けた。
「お、驚いた事に……通常よりも多くの苗が発芽したと報告を受けております。成長も良く、農家の方も驚いておりました」
「そうでしょうね。良い結果が出れば他の農家にも広めるわよ」
「わ、分かりました! し、しかし本当にここまでの結果がでるとは」
ふふ、まぁ驚くのも当たり前なほどに、たい肥の力は凄い。
前世の江戸時代にて、百万人を超えた人口都市の食糧問題を排泄物によるたい肥で支えたといわれる程だ。
その効果が良すぎて、江戸時代では排泄物が高値で取引されたという。
加えて排泄物の処理方法が確立し、街も綺麗になるというメリット付きだ。
「おばあちゃん……教えてくれてありがとう」
「おばあちゃん?」
「いえ、なんでもないわ。続けて」
「は、はぁ」
思わず前世について触れてしまうが、慌てて取り繕って次の報告を聞く。
補佐官は新たな書類を私に見せた。
「次に水の生産も順調です。一定の利益を上げております」
「いい事づくしね」
「生産量も上がり、過剰量が出来ているようで……」
「では過剰分の水は、他領地の孤児院に寄付しましょう。以前の神父様が話を通してくれるわ」
「分かりました」
他領地まで巻き込んで、孤児院の子供達が湯浴みをする事を勧めるのには理由がある。
湯浴みで清潔にしただけで、病気のリスクは減る。
その効果が……続く文官の言葉で分かる。
「では、次の報告ですが……ラツィア様が湯浴みをなさったという孤児院の子供達ですが、病になる子がこの半年間で激減いたしました」
「っ!」
「その噂を聞いて、孤児院へと子を持つ母親達が尋ねており、孤児を真似て、子供を洗う家庭が増えております」
望んでいた成果に、心の中でガッツポーズをしてしまう。
孤児が半年間の間も健康でいるというのは大きな出来事だ。
母親としては我が子が健康である方法があるならばと、孤児院へと助言を尋ねるのも自然の事。
「湯浴みは危険だと伝えられても、実際に健康に生きる孤児の子を見れば……母としては試すわよね」
「ええ、ただでさえ数年前には流行り病で多くの子供が犠牲になりましたから」
文化とは、強制したって根付かない。
だからこそ、孤児院の子供達が健康になる姿を実際に見せ……湯浴みの重要性を伝えた。
結果としてこのリエン地方には、少しずつだが湯浴みを行う家庭が増えている!
「良好ね、この調子で皆に湯浴みの重要性を気付いてもらうわよ!」
「はい。石鹸の生産工房も建設は順調です。予定どおりにあと半年後には、隣国に石鹸を卸せるかと」
「流石、皆の助力あってこそよ」
「有難きお言葉です」
補佐官からの嬉しい報告に、胸が満たされていると……
屋敷の外から賑やかな声が聞こえてきた。
「どうやら、来られたようですね」
「えぇ、今日も元気いっぱいね」
窓を開けば、弟のレルクがたくさんの子供を連れて来ていた。
皆、孤児院の子供達だ。
「あ! ラツィアさまだ!」
「きょうも、せっけんをね。もらいにきまちた!」
「あいがと、ラツィアさま!」
孤児院の子供達に月に一度……湯浴みのための石鹸と、お菓子を上げる日。
こうして来てもらうのは、湯浴みで良い匂いのする子供達を大人に認識してもらい、さらに湯浴みに興味をもってもらうためだ。
でも……それ以上に。
「みんな、今日はシチューを作ってもらったから。ここで食べていきなさい」
「しちゅー!」
「やた!」
「ラツィアさま。すき~」
様々な思惑はあれど、子供達と過ごす時間というのは楽しい。
湯浴みのおかげでいい匂いがいっぱいで、廃妃にされたあの社交界に比べれば天国だ。
「ラツィア様、最後に報告を良いですか?」
ふと、補佐官が小さく耳元で呟く。
「王家についてです」
「なにかあったの?」
「実は……ラツィア様が廃妃となってから国営事業がいくつも止まっており、クドス陛下の評価も落ちております。貴族家からの非難が王家に対して非常に高まっています」
そう……
どうやら思った以上に早く、王家の失態が貴族に伝わり始めたようだ。
私は清潔な生活に進み始めており、王家は勝手に落ちぶれていく。
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