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18話
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「ぐっ……うぐっ」
腹部に強烈な打撃を受け、ムルガ公爵は悶絶する。
だが彼へと容赦することなく、襟首が掴み上げられた。
「カトレア公爵邸に幾人か訪れておりましたが……貴方の差し金ですね」
「はは、そうだヴィオラ嬢……私を罰しに来たか?」
「……」
もう退路はないからこそ、ムルガは最後の抵抗を試みる。
力の差は歴然、言い逃れもできない。
ならばもう、彼には説得という選択肢のみだ。
「なぁ、聞け。私はいつだって最善を選んだはずだ」
「……」
「民のためにリア嬢を王妃にしたい。その考えを君は否定できるか? この王国を発展させる最善は、紛れもなく我らの考えこそが正しいはずだ」
「それで、私やルカが犠牲になっても。発展のためなら仕方ないと?」
「もちろん、君が隠していたこれらの力を知っていれば……協力するよう頼んだ。だが当時は貴族同士の政略の渦中で、君の犠牲のみで国が発展するなら最善でもあった」
分かってくれと、訴えるように視線を投げる。
しかし、ヴィオラは冷たい瞳のまま静かに呟く。
「だから、貴方はリアとルークを引き合わせるため……馬車の横転事故を引き起こしたと」
「っ!」
なぜ、それを知っているのか……ムルガは混乱する。
過去、意図的にルーク陛下の馬車の横転事故を引き起こし、その怪我をリアに治療させた。
政略による計画にて、王家へと難なくリアを取り込ませたのだ。
これを知るのは、自分と大臣……そしてリアと、その父のみ。
まさかと思ってムルガは顔を上げて冷や汗をかく。
「ズカスは……お前に?」
「ええ、父と同じ拘留所にて……受刑者に囲まれながら吐いてくれましたよ」
「な……」
「正義を謳い、忠義を誓うべき国王陛下を危機に陥れた貴方の行為は……最善でしたか?」
「……」
「結局、口では詭弁を言うけど……本心は利益のために他人を犠牲にする貴方に正義を謳う立場などないわ」
そこまで知られているのは、ムルガにとって最悪の出来事だ。
なにせ王家へと意図的に危険事象に引き合わせたなどと分かれば重罪。
王家への反逆行為に捉えられてしまう……絶望的なものだ。
「馬車の横転事故の件、そして私を嵌めた件も含めて全て証言してもらうわ」
「……馬鹿が、馬鹿が! お前は大馬鹿者だ!! 何も分かっていない! お前は……この国を破滅に導こうとしているだけだぞ!」
「破滅に導く、私が?」
「我ら貴族の協力もあって王国とは維持される。王家が多大な支持があるのは、ひとえに貴族の安定があってこそ」
ムルガはなんとか絞り出した反論を述べていく。
「此度の件が明るみになって多くの貴族が罰せられる事態が民に知られてみろ……王国中に広がるのは王家への不信と不安だ。そういった負の感情は争いの種にもなる!」
「……」
「明るみにならない方が良い事もあるはずだ。悪い事は言わない……何も知らぬ生活に戻れ。私も手出しなどしないと約束すーー」
ズンッと、重たい音が響く。
ヴィオラが踏みしめた足が、ムルガの眼前の床を砕いた。
「勘違いしているようだけど、私は貴方達にこの国を任せないため……ここまでしているの」
「なにを言っている! 貴族あっての王家だ。こんなにも多くの貴族が消えれば混沌を招くだけだ!」
「それが起きぬ支持を得る。混乱など起こさせない」
「できるはずがない! ただでさえ廃妃となったお前に民の信憑は低いのだから!」
ムルガは叫びながら、ヴィオラを睨む。
「ルーク陛下の馬車の横転事故は、確かに意図的に起こした。しかしあれでリア嬢が実際に陛下を治癒した事で、民は安堵して希望を持てたんだ!」
「そういった利益の側面も大きい事は承知の上。だからこそ、代用となる強引な力を千回もやり直して身に着けておいたの」
なにを言っている。
そんな疑問を漏らそうと思ったムルガの胸倉を、ヴィオラが掴み上げ。
小さく微笑んだ。
「すでに我がカトレア公爵領にて、病気を患い、働けなくて生活に困っていた人々を治療している。この力でね」
「や、やはり……聖女の素質が……お前にも!?」
「ええ、貴方達が盲信していたリア以上の力で……彼らを救い、確かな支持を得ている。これを広げていけば……貴方の言う混乱も収めるのは容易だと、分かるでしょう?」
ムルガにとって、もう反論する術はない。
現に目の前で見せつけられた力は、自身が無関係な貴族であれば諸手を挙げて協力したい逸材。
当たり前だ、命の救世主となりえる聖女の素養を持つものに……王国の中枢を担っていた知略も備わるのだ。
その時点で嵌める相手を間違えたと、ムルガはようやく察した。
だからこそ、なんとか極小の可能性に賭けて言葉を発した。
「な、なぁ……ヴィオラ嬢。今からでも謝罪をさせてほしい、許しを得ることは……」
「無理」
「頼む、失いたくない……ようやくここまで、手に入れたというのに!」
「ムルガ公、私のお父様も待っております。早く同じ牢に入るようにお願いしますね」
「やめろ……やめろ! お願いだ! お願いだぁ!」
必死の叫びなど聞くつもりもなく、ムルガは騎士団により連行されていく。
全ての悪事は明るみになり……自らを嵌めた貴族達はこれで終焉に向かうはず。
ヴィオラはあとに残った、たった一人の女性へと想いを馳せる。
「さてリア。貴方を守っていた貴族は消えたわ。残る貴方にもう……後ろ盾はないはずよ」
そして、もう一人にも考えを向ける。
かつては愛していた彼へと……
「ルーク、貴方には……相応の責任をとってもらう。それしか物語通りに進む方法はないから」
そう呟いていたヴィオラの背に、父であるゼインが手を当てた。
彼は穏やかに微笑む。
「まだ全てが終わったわけではないが、後は私達に任せて。気張らなくてもよい日常に一時戻っておくといい」
「ゼインお父様、確かに……その通りですね」
実はハースとルカに関しては、ゼインが乗ってきていた馬車に同行している。
ムルガの凶行に巻き込まれぬため、当然避難していた。
「ヴィオラさん、終わりましたか?」
だから待っていた馬車に乗りこむと、ハースが心配そうに立ち上がった。
そして彼女の手をそっと握る。
「怪我、ないですか。もし必要なら屋敷まで転移魔法もできるので言ってください」
「心配せずとも大丈夫よ、ハース」
「心配ぐらいさせてください。僕だって……ヴィオラ様の力になりたいんです」
その言葉に、ヴィオラは少し驚く。
今まであまり感情を発露させてこなかったハースが、初めて自分を慮っている。
彼の瞳に込められる気持ちを、少し感じ取る。
「時間逆行についても、あと少しで分かりそうですよ。ヴィオラ様もあと少しで終わるんですよね」
「ええ、もうあと少しよ」
「ねぇ、ヴィオラ様は……本当に女王になりたいのですか」
「この王国を正すにはそれしか、方法はない」
「僕は、ヴィオラ様には全て忘れて……ただ幸せに生きて欲しい。これからも全てを背負うのは……息苦しくないですか?」
千回繰り返してきて、初めてハースに本気で心配されている。
そんな慣れない光景にヴィオラはほんの少し、鼓動が熱くなった。
だからこそ、誠意を込めて答える。
「そうね……もし、別の道があるなら。私も考えてみたいとは思ってる。少しだけね」
なにか、別の活路があるなら。
ヴィオラだって、好きに生きていきたい。
その本音にハースは嬉しそうに笑った。
「っ!! なら僕が見つけてみせますよ。ヴィオラ様が……安息に暮らせるように」
「ハース……?」
そんなやり取りをしていた時……
「ん……おねさま、かえってたの?」
馬車の中で避難していたルカは、ハースの隣で寝ており、うつろに目を開いた。
ローブをかけてもらい、暖かそうに包まれている。
「えへへ、おねさま。おかえり」
「ただいま、ルカ。馬車の中で怖くなかった?」
「だいじょぶ、ハースもいたもん。でもね……おててだして」
ヴィオラは従って手を出せば、ルカは小さな指で手を掴んで自らの頬に当てる。
そしてハースの手も握って、ニコニコと笑うのだ。
「ふたりとも、おててぽかぽかだ」
「ルカ……」
「るかね、おねさまと……おにいちゃんみたいなハースがいて、うれしい」
「ふふ、ハースがお兄様になれば……確かに嬉しいね」
「うん。ふたりと、もっといっしょにいたいもん。だいすき」
ルカの言葉に、ハースは俯きながらある答えを漏らした。
「僕も一緒にいられるよう、頑張るつもりだよ」
「ほんと? やた……やた!」
ハースの表情は、少し大人びて見えた。
そして耳まで赤くした彼の言葉に、ヴィオラは驚きつつも微笑んだ。
二人の手を頬に当てて、嬉しそうなルカもいるおかげで……
彼女の張り詰めていた気が、家族の元では和らいでいった。
腹部に強烈な打撃を受け、ムルガ公爵は悶絶する。
だが彼へと容赦することなく、襟首が掴み上げられた。
「カトレア公爵邸に幾人か訪れておりましたが……貴方の差し金ですね」
「はは、そうだヴィオラ嬢……私を罰しに来たか?」
「……」
もう退路はないからこそ、ムルガは最後の抵抗を試みる。
力の差は歴然、言い逃れもできない。
ならばもう、彼には説得という選択肢のみだ。
「なぁ、聞け。私はいつだって最善を選んだはずだ」
「……」
「民のためにリア嬢を王妃にしたい。その考えを君は否定できるか? この王国を発展させる最善は、紛れもなく我らの考えこそが正しいはずだ」
「それで、私やルカが犠牲になっても。発展のためなら仕方ないと?」
「もちろん、君が隠していたこれらの力を知っていれば……協力するよう頼んだ。だが当時は貴族同士の政略の渦中で、君の犠牲のみで国が発展するなら最善でもあった」
分かってくれと、訴えるように視線を投げる。
しかし、ヴィオラは冷たい瞳のまま静かに呟く。
「だから、貴方はリアとルークを引き合わせるため……馬車の横転事故を引き起こしたと」
「っ!」
なぜ、それを知っているのか……ムルガは混乱する。
過去、意図的にルーク陛下の馬車の横転事故を引き起こし、その怪我をリアに治療させた。
政略による計画にて、王家へと難なくリアを取り込ませたのだ。
これを知るのは、自分と大臣……そしてリアと、その父のみ。
まさかと思ってムルガは顔を上げて冷や汗をかく。
「ズカスは……お前に?」
「ええ、父と同じ拘留所にて……受刑者に囲まれながら吐いてくれましたよ」
「な……」
「正義を謳い、忠義を誓うべき国王陛下を危機に陥れた貴方の行為は……最善でしたか?」
「……」
「結局、口では詭弁を言うけど……本心は利益のために他人を犠牲にする貴方に正義を謳う立場などないわ」
そこまで知られているのは、ムルガにとって最悪の出来事だ。
なにせ王家へと意図的に危険事象に引き合わせたなどと分かれば重罪。
王家への反逆行為に捉えられてしまう……絶望的なものだ。
「馬車の横転事故の件、そして私を嵌めた件も含めて全て証言してもらうわ」
「……馬鹿が、馬鹿が! お前は大馬鹿者だ!! 何も分かっていない! お前は……この国を破滅に導こうとしているだけだぞ!」
「破滅に導く、私が?」
「我ら貴族の協力もあって王国とは維持される。王家が多大な支持があるのは、ひとえに貴族の安定があってこそ」
ムルガはなんとか絞り出した反論を述べていく。
「此度の件が明るみになって多くの貴族が罰せられる事態が民に知られてみろ……王国中に広がるのは王家への不信と不安だ。そういった負の感情は争いの種にもなる!」
「……」
「明るみにならない方が良い事もあるはずだ。悪い事は言わない……何も知らぬ生活に戻れ。私も手出しなどしないと約束すーー」
ズンッと、重たい音が響く。
ヴィオラが踏みしめた足が、ムルガの眼前の床を砕いた。
「勘違いしているようだけど、私は貴方達にこの国を任せないため……ここまでしているの」
「なにを言っている! 貴族あっての王家だ。こんなにも多くの貴族が消えれば混沌を招くだけだ!」
「それが起きぬ支持を得る。混乱など起こさせない」
「できるはずがない! ただでさえ廃妃となったお前に民の信憑は低いのだから!」
ムルガは叫びながら、ヴィオラを睨む。
「ルーク陛下の馬車の横転事故は、確かに意図的に起こした。しかしあれでリア嬢が実際に陛下を治癒した事で、民は安堵して希望を持てたんだ!」
「そういった利益の側面も大きい事は承知の上。だからこそ、代用となる強引な力を千回もやり直して身に着けておいたの」
なにを言っている。
そんな疑問を漏らそうと思ったムルガの胸倉を、ヴィオラが掴み上げ。
小さく微笑んだ。
「すでに我がカトレア公爵領にて、病気を患い、働けなくて生活に困っていた人々を治療している。この力でね」
「や、やはり……聖女の素質が……お前にも!?」
「ええ、貴方達が盲信していたリア以上の力で……彼らを救い、確かな支持を得ている。これを広げていけば……貴方の言う混乱も収めるのは容易だと、分かるでしょう?」
ムルガにとって、もう反論する術はない。
現に目の前で見せつけられた力は、自身が無関係な貴族であれば諸手を挙げて協力したい逸材。
当たり前だ、命の救世主となりえる聖女の素養を持つものに……王国の中枢を担っていた知略も備わるのだ。
その時点で嵌める相手を間違えたと、ムルガはようやく察した。
だからこそ、なんとか極小の可能性に賭けて言葉を発した。
「な、なぁ……ヴィオラ嬢。今からでも謝罪をさせてほしい、許しを得ることは……」
「無理」
「頼む、失いたくない……ようやくここまで、手に入れたというのに!」
「ムルガ公、私のお父様も待っております。早く同じ牢に入るようにお願いしますね」
「やめろ……やめろ! お願いだ! お願いだぁ!」
必死の叫びなど聞くつもりもなく、ムルガは騎士団により連行されていく。
全ての悪事は明るみになり……自らを嵌めた貴族達はこれで終焉に向かうはず。
ヴィオラはあとに残った、たった一人の女性へと想いを馳せる。
「さてリア。貴方を守っていた貴族は消えたわ。残る貴方にもう……後ろ盾はないはずよ」
そして、もう一人にも考えを向ける。
かつては愛していた彼へと……
「ルーク、貴方には……相応の責任をとってもらう。それしか物語通りに進む方法はないから」
そう呟いていたヴィオラの背に、父であるゼインが手を当てた。
彼は穏やかに微笑む。
「まだ全てが終わったわけではないが、後は私達に任せて。気張らなくてもよい日常に一時戻っておくといい」
「ゼインお父様、確かに……その通りですね」
実はハースとルカに関しては、ゼインが乗ってきていた馬車に同行している。
ムルガの凶行に巻き込まれぬため、当然避難していた。
「ヴィオラさん、終わりましたか?」
だから待っていた馬車に乗りこむと、ハースが心配そうに立ち上がった。
そして彼女の手をそっと握る。
「怪我、ないですか。もし必要なら屋敷まで転移魔法もできるので言ってください」
「心配せずとも大丈夫よ、ハース」
「心配ぐらいさせてください。僕だって……ヴィオラ様の力になりたいんです」
その言葉に、ヴィオラは少し驚く。
今まであまり感情を発露させてこなかったハースが、初めて自分を慮っている。
彼の瞳に込められる気持ちを、少し感じ取る。
「時間逆行についても、あと少しで分かりそうですよ。ヴィオラ様もあと少しで終わるんですよね」
「ええ、もうあと少しよ」
「ねぇ、ヴィオラ様は……本当に女王になりたいのですか」
「この王国を正すにはそれしか、方法はない」
「僕は、ヴィオラ様には全て忘れて……ただ幸せに生きて欲しい。これからも全てを背負うのは……息苦しくないですか?」
千回繰り返してきて、初めてハースに本気で心配されている。
そんな慣れない光景にヴィオラはほんの少し、鼓動が熱くなった。
だからこそ、誠意を込めて答える。
「そうね……もし、別の道があるなら。私も考えてみたいとは思ってる。少しだけね」
なにか、別の活路があるなら。
ヴィオラだって、好きに生きていきたい。
その本音にハースは嬉しそうに笑った。
「っ!! なら僕が見つけてみせますよ。ヴィオラ様が……安息に暮らせるように」
「ハース……?」
そんなやり取りをしていた時……
「ん……おねさま、かえってたの?」
馬車の中で避難していたルカは、ハースの隣で寝ており、うつろに目を開いた。
ローブをかけてもらい、暖かそうに包まれている。
「えへへ、おねさま。おかえり」
「ただいま、ルカ。馬車の中で怖くなかった?」
「だいじょぶ、ハースもいたもん。でもね……おててだして」
ヴィオラは従って手を出せば、ルカは小さな指で手を掴んで自らの頬に当てる。
そしてハースの手も握って、ニコニコと笑うのだ。
「ふたりとも、おててぽかぽかだ」
「ルカ……」
「るかね、おねさまと……おにいちゃんみたいなハースがいて、うれしい」
「ふふ、ハースがお兄様になれば……確かに嬉しいね」
「うん。ふたりと、もっといっしょにいたいもん。だいすき」
ルカの言葉に、ハースは俯きながらある答えを漏らした。
「僕も一緒にいられるよう、頑張るつもりだよ」
「ほんと? やた……やた!」
ハースの表情は、少し大人びて見えた。
そして耳まで赤くした彼の言葉に、ヴィオラは驚きつつも微笑んだ。
二人の手を頬に当てて、嬉しそうなルカもいるおかげで……
彼女の張り詰めていた気が、家族の元では和らいでいった。
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