【完結】捨てられ正妃は思い出す。

なか

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 授業が終わり、いつものように次の授業の準備を手早く済ませると私はモネ達にお手洗いに行くと告げて教室を後にして、男子生徒達の校舎と繋がっている渡り廊下に向かった。
 そこに立っていたアイザックに、私は周囲に人がいない事を確認して声をかける。

「アイザック、頼んでいた事…分かりましたか?」

「あぁ、しかしおかしな頼み事だな…学園で君に敵意を向けているような人物を探して欲しいなんて」

 私は彼の騎士としての直感に頼ってとあるお願いをした、学園で過ごす私を隠れて監視し、私に敵意を向けた人物を教えて欲しいといった内容だ。
 そのために今日はわざわざ必要もない場所をウロウロと歩き回った。

「結果はどうでしたか?」

「結論から言えば、少ないが敵意を向ける者はいた……しかしこれは君の目立つ行為や服装に対する評価のようなものだ、友好的な者は敵意を向けるはずがない」

「そうでしたか………では、貴方の直感で私の身近で大きな敵意を向けている人物を教えてください」

「無論、ランドルフだな…それは君もよく分かっているだろう」

「ええ、嫌というほどに…他には?」

「和解する前のエリザや舞踏会ではガーランド講師だな…後は気になる程度なのだが…」

 言いよどんだ彼に私は促すように声を掛ける。

「些細な事でも構いません、教えてくれませんか?」

「ローザも、君に対して僅かにだが敵意を向けているように感じた…だが、これもランドルフ関連だろう、奴なら出鱈目な話もするだろうからな」

 なるほど…アイザックの敵意を感じた相手を見れば、私の覚えにも当てはまる…それにしてもローザが既に私に敵意を抱いているのであれば下手な接触はむしろ逆効果だ、なんとか説得してあのランドルフと距離を置いてもらいたいのだけど…。
 今は向こうからの反応を待つしかないだろう。





「ところでだ、デイジー…」

「っ!?顔が近いですよ…アイザック」

 急に近寄った彼に思わず目を逸らす、舞踏会以降…彼との距離間が上手く取れないでいる、何故か恥ずかしいと思ってしまうのだ、しかしこれは一時の事だろう、時間が経てば前のように戻るはずだ。
 思考している間にアイザックは言葉を投げかける。


「なぜ急にこんな頼みをしたのだ?教えてくれないだろうか?」

 当然の質問だろう、彼にしてみればいきなり敵意を向けられていないか確かめて欲しいなど気になるに決まっている、しかし話して良いものだろうかとも思う。

「気になっただけです、私がどれだけ多くの人に嫌われているかを…」

「噓が下手だなデイジー、俺は君がその程度を気にする柔な性格ではない事は知っているぞ」

「わ、私の何を知って…」

 言いかけた私の口元にアイザックの指先が当たり、間近に迫った顔に私の頬は朱に染まってしまう、いきなり過ぎるのだ、彼の距離の取り方に文句でも言ってやろうかと思ったが、続く彼の言葉でそんな事は忘れてしまった。

「言ったはずだ、俺が君に抱いている恋心はいかなる逆境、困難でさえも立ち向かう勇気であり、君に振り向いてもらうためであれば、王家にだって逆らって見せる…そんな俺を信頼してくれないだろうか?君の信頼に足りないだろうか?俺は君を本気で想って守りたいと思っている…」

「っ!い…いきなりなんですよ…貴方は…」

「これが俺だ、君のためなら積極的になれる」

「……わ、分かりました!言いますから…とりあえず離れてください!」

 いつしか目と鼻の先になっていた顔の距離に私は跳ねる鼓動を抑えるので必死であった、彼の積極的な行動は舞踏会の頃からエスカレートしている、気を付けなければならない。
 少なくとも今の私はそういった事に現を抜かしている暇は………ないから。


「貴方を信用します…ですが今から話す事はモネとエリザには内緒でお願いします…下手に不安を煽るだけですので」

「無論だ、俺も彼女達に余計な不安を与えたくない」

 アイザックと意見が同意し、一安心しながら私はとある考えを告げた。

「昨日の一件、私はアイザック、モネとエリザを襲った人物がいると考えています」

「………な、なんだと?」


 彼の驚く声と共に私はそう思った理由の説明を始めた。

 彼らの記憶と今朝の会話の中に襲ったと思われる疑いが存在していたからだ。



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