【完結】元ゼネコンなおっさん大賢者の、スローなもふもふ秘密基地ライフ(神獣付き)~異世界の大賢者になったのになぜか土方ばかりしてるんだがぁ?

嘉神かろ

文字の大きさ
52 / 54

第52話 失敗したら消しとぶんだがぁ?

しおりを挟む
52
「ふぅ……」

 これから作る魔道具に必要な機能は二つ。

 一つはあの超がつくほどの膨大な魔力を安全に制御できるだけの高度な魔力操作機能。
 もう一つは、神獣の代わりになるような膨大な魔力生産機能。

 等級だけ見たら、僕の本気装備と同じ位になりそうだねぇ……。

 まぁ、純粋な魔力を扱う装置だから、独自魔法の時みたいに細かい外力の計算はいらない。
 その分いくらかは楽なはずだよ。

 少なくとも、数日から数週間かけるなんてことにはならない。

 いつあの魔力溜まりが暴発してもおかしくない状況だから、そこは幸いかねぇ。

「フェル、少しばかり血を分けてくれるかい? 神獣ラインカッツェの力を組み込みたいんだ」
「にゃぁ」
「うん。終わったら、いつもより多めにベーコンをあげるよ」

 神獣たちはそれぞれ、何かしらの概念を司ってる。
 神獣ラインカッツェの司るのは、その穢れなき猫の名前が意味するとおり、純潔。制御する魔力をより純度の高いものにして、制御を楽にするには最適な力だ。

 ゲーム時代はほとんど意味のない、フレーバーテキストも同然の情報だったけど、人生、何が役に立つか分からないものだねぇ。

 これを遠心分離機にかけて赤血球やら何やらを分離したあと、特殊な糸を漬け込み、魔導錬成のスキルを発動。純潔の概念を定着させる。

 聖属性由来の素材と親和性の高い白竜系の、それも最上位、白神竜の素材を使って作った糸だ。問題は無いはず……。

「よし、上手くいったね。強度も必要十分」

 これを魔力伝導率の非常に高い神鉄とミスリルの合金の針金とより合わせて、回路用の導線を作る。
 これで制御用の魔力回路を作れば、そうそう誤作動は起こさないはずだ。

 魔力回路の制作については大賢者の得意分野に入るから、あとは僕自身が判断を間違えないだけ。

 制御する魔力量的に、自然魔力の吸収だけじゃ賄えない。
 コスト的にその機能も組み込みはするけど、いくらかは動力源からひっぱらないとダメだねぇ。

 制御用の魔力回路は、テンプレートを少し弄るだけでどうにかなる。

 ただ、生半可な精度じゃいけない。
 慎重に、慎重に……。

 ああ、もう、心臓の音がうるさいねぇ。

「はぁぁぁ……」
 
 よし、こんなところかなぁ?

「フィア、コペン、全力で結界を張ってもらっていいかい? 魔力回路はこっちで形成するから」
「にゃっ」
「んにゃっ!」

 うん、さすがの出力。これなら最上位竜クラスのブレスでも防ぎきれる。

 動作テストには、黒神竜の魔石を使おうか。白神竜と同じ最上位竜で、名前を持つような特殊個体じゃなくても推奨討伐ML三千四百五十のモンスターだ。テストには十分。

 作った回路を通して魔石の魔力を制御し、ちょっと複雑な魔法の魔力回路を作ってみる。
 僕のステータスは参照されないから、最悪、禁術でも大惨事にはならない。

「【ニヒリティソーンズ】」

 光と闇の本来対消滅するはずの属性を複合し、大規模に召喚した巨大な荊に付与してぶつける魔法だ。
 回路としてはかなり複雑になるから、これを自動制御できるなら最低限の要件はクリアしたと判断していいはず。

 ……うん、安定して発動してる。ただ余裕はなさそうだ。
 一番重要な制御機構としては、不安だねぇ。

 闇属性の強い黒神竜の魔石を使ってる影響に関しては、出ていないね。
 神獣ラインカッツェの力を使った魔力の純化は一発で上手くいったみたいだ。

 制御能力を弄るなら、ここか。
 動力源から引っ張る魔力が多くなるけど、仕方ないねぇ。

「【ニヒリティソーンズ】」

 ……よし、さっきより余裕がありそうだ。

 でもまだ安心できるラインじゃぁない。
 もう少し弄らないと……。

「……ここが妥協ラインかねぇ。まだ少し不安だけど、これ以上は必要魔力量が多くなりすぎる」

 あとは、強度の十分な動力源の受け皿が必要が。
 回路に干渉しないように魔力伝導率が低く、かつ丈夫な素材か……。

「たしか、アダマンタイトと地神竜の鱗を混ぜると魔法耐性の高い金属になったねぇ……」

 剛性ばかり高くて靱性が低いのは不安だけど、まぁ、今回は大丈夫なはず。
 
 在庫は、インゴッド一つかぁ。足りないなぁ。

 いや、待てよぉ?
 魔力伝達の阻害なら、表面がその合金ならいいわけか。

 なら、刀みたいに柔らかい金属をアダマンタイト合金で挟んだ構造がいい。靱性の問題を解決できる。

 鍛冶師系のそれには及ばないけど、魔導錬成を併用すれば……、うん、いい感じだ。

 あとは、元の魔力吸収装置とかみ合わせる部分。
 ここは導線になるから神鉄とミスリルの合金で作るとして、大きさは、あの神獣に合わせないとか。

 建築師のスキルはこういう時も便利だねぇ。

「…………できた、ねぇ」
「んにゃ?」

 けっこうかかったねって、そりゃあねぇ。
 むしろ、かなり早くできた方だと思うなぁ。

 いや、神獣にそんなこと言っても仕方ないか。

「あとはこれと、あの神獣を入れ替えるだけだよ」
「にゃぁ?」
「方法は、位置を入れ替える魔剣師の魔法を使おうと思ってる」

 後衛職と入れ替わって攻撃を代わりに受けるために使う魔法なんだけど、ほとんど同時に入れ替わるから、今回は最適だと思うんだよねぇ。

 ただ――

「もしほんの少しでも位置がずれたら、ボン、だから、心の準備はしておいてねぇ」
「んにゃっ!?」

 コペン、フィアの後ろに隠れたくらいじゃぁ意味ないよぉ?

「話は聞いてたね。そういうわけだから、僕の魔法を受け入れてくれるかい?」

 首肯っと。
 良かったよ。ここで拒否されたら、見方判定にならなくて魔法が失敗した可能性があるからねぇ。

 ただ失敗するだけならいいけど、中途半端に発動したら、あの魔力溜まりが神獣の制御から離れて暴発する。
 せっかく頑張ったんだから、そんなオチは歓迎したくないよねぇ。

「それじゃあ、三つ数えたら入れ替えるよぉ。心の準備は、もうできてるってことにするよぉ。一、二……」

 さぁ、上手くいってちょうだいよぉ……!



しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

荷物持ちを追放したら、酷い目にあった件について。

しばたろう
ファンタジー
無能だと思い込み、荷物持ちのレンジャーを追放した戦士アレクス。 しかし―― 彼が切り捨てた仲間こそが、 実はパーティを陰で支えていたレアスキル持ちだった。 事実に気づいた時にはもう遅い。 道に迷い、魔獣に襲われ、些細な任務すらまともにこなせない。 “荷物持ちがいなくなった瞬間”から、 アレクスの日常は静かに崩壊していく。 短絡的な判断で、かけがえのない存在を手放した戦士。 そんな彼と再び肩を並べることになったのは―― 美しいのに中二が暴走する魔法使い ノー天気で鈍感な僧侶 そして天性の才を秘めた愛くるしい弟子レンジャー かつての仲間たちと共に、アレクスはもう一度歩き出す。 自らの愚かさと向き合い、後悔し、懺悔し、それでも進むために。 これは、 “間違いを犯した男が、仲間と共に再び立ち上がる” 再生の物語である。 《小説家になろうにも投稿しています》

【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~

きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。 前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。

【最強モブの努力無双】~ゲームで名前も登場しないようなモブに転生したオレ、一途な努力とゲーム知識で最強になる~

くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
アベル・ヴィアラットは、五歳の時、ベッドから転げ落ちてその拍子に前世の記憶を思い出した。 大人気ゲーム『ヒーローズ・ジャーニー』の世界に転生したアベルは、ゲームの知識を使って全男の子の憧れである“最強”になることを決意する。 そのために努力を続け、順調に強くなっていくアベル。 しかしこの世界にはゲームには無かった知識ばかり。 戦闘もただスキルをブッパすればいいだけのゲームとはまったく違っていた。 「面白いじゃん?」 アベルはめげることなく、辺境最強の父と優しい母に見守られてすくすくと成長していくのだった。

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

赤ん坊なのに【試練】がいっぱい! 僕は【試練】で大きくなれました

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前はジーニアス 優しい両親のもとで生まれた僕は小さな村で暮らすこととなりました お父さんは村の村長みたいな立場みたい お母さんは病弱で家から出れないほど 二人を助けるとともに僕は異世界を楽しんでいきます ーーーーー この作品は大変楽しく書けていましたが 49話で終わりとすることにいたしました 完結はさせようと思いましたが次をすぐに書きたい そんな欲求に屈してしまいましたすみません

【完結】うさぎ転生 〜女子高生の私、交通事故で死んだと思ったら、気づけば現代ダンジョンの最弱モンスターに!?最強目指して生き延びる〜

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
 女子高生の篠崎カレンは、交通事故に遭って命を落とした……はずが、目覚めるとそこはモンスターあふれる現代ダンジョン。しかも身体はウサギになっていた!  HPはわずか5、攻撃力もゼロに等しい「最弱モンスター」扱いの白うさぎ。それでもスライムやコボルトにおびえながら、なんとか生き延びる日々。唯一の救いは、ダンジョン特有の“スキル”を磨けば強くなれるということ。  跳躍蹴りでスライムを倒し、小動物の悲鳴でコボルトを怯ませ、少しずつ経験値を積んでいくうちに、カレンは手応えを感じ始める。 「このままじゃ終わらない。私、もっと強くなっていつか……」  最弱からの“首刈りウサギ”進化を目指して、ウサギの身体で奮闘するカレン。彼女はこの危険だらけのダンジョンで、生き延びるだけでなく“人間へ戻る術(すべ)”を探し当てられるのか? それとも新たなモンスターとしての道を歩むのか?最弱うさぎの成り上がりサバイバルが、いま幕を開ける!

【改訂版アップ】10日間の異世界旅行~帰れなくなった二人の異世界冒険譚~

ばいむ
ファンタジー
10日間の異世界旅行~帰れなくなった二人の異世界冒険譚~ 大筋は変わっていませんが、内容を見直したバージョンを追加でアップしています。単なる自己満足の書き直しですのでオリジナルを読んでいる人は見直さなくてもよいかと思います。主な変更点は以下の通りです。 話数を半分以下に統合。このため1話辺りの文字数が倍増しています。 説明口調から対話形式を増加。 伏線を考えていたが使用しなかった内容について削除。(龍、人種など) 別視点内容の追加。 剣と魔法の世界であるライハンドリア・・・。魔獣と言われるモンスターがおり、剣と魔法でそれを倒す冒険者と言われる人達がいる世界。 高校の休み時間に突然その世界に行くことになってしまった。この世界での生活は10日間と言われ、混乱しながらも楽しむことにしたが、なぜか戻ることができなかった。 特殊な能力を授かるわけでもなく、生きるための力をつけるには自ら鍛錬しなければならなかった。魔獣を狩り、いろいろな遺跡を訪ね、いろいろな人と出会った。何度か死にそうになったこともあったが、多くの人に助けられながらも少しずつ成長し、なんとか生き抜いた。 冒険をともにするのは同じく異世界に転移してきた女性・ジェニファー。彼女と出会い、ともに生き抜き、そして別れることとなった。 2021/06/27 無事に完結しました。 2021/09/10 後日談の追加を開始 2022/02/18 後日談完結しました。 2025/03/23 自己満足の改訂版をアップしました。

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

処理中です...