悪役令嬢なんて呼ばせない!

もげこ

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気付いたら転生してました。

3.5.亡霊の父の決意

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「さっき、妖精を見た…。」

「?」

いつも口数の少ない我が息子シャロンが、ポツリと呟いたのは、久しぶりに魔導書を買う為、息子も連れて街の古書店へと出かけ、ついでに、とある公爵家に訪問した帰りの馬車の中だった。


***


魔導師の家系である当家。私も魔導師として国王に仕える身である。

向かいに座る息子は、まだ6歳だが、国一番名高い魔導師だった曽祖父譲りの強力な魔力を秘めている事が既にわかっている。
将来は国王に仕え、この国の更なる繁栄を支えるだろう。
いや、そのように導く事が私の使命だと考えている。
そうでなければ、この子を産むと共に息を引き取った妻に、申し訳が立たない。


そんな息子は強い魔力からか、精霊に愛されている。
妖精を見たといのもあり得る話ではある。

「蜂蜜色の髪の毛、フワフワで…。」

「??」

先に寄った古書店で珍しくせがまれて、買ってやった本を大事そうに撫でる息子。
今開いているページには、息子が言う様、ウェーブのかかった髪をフワリとさせた妖精の絵が描かれていた。

…たしかその妖精、元は高貴な精霊だが、イタズラが過ぎて、妖精に堕とされたのではなかったか。

そんな癖のある妖精の絵を愛おしそうに撫でる息子の姿に、曽祖父の片鱗を見る。曽祖父譲りなのは並々ならぬ魔力だけでは無いのではなさそうだ。


曽祖父、私の祖父にあたる人は、大変気難しい人だったそうだ。

既に他界はしており、私も幼い頃に数回会っているが、実際の記憶は乏しい。
ただ、そこは国一番と言われた魔導師。周囲から様々な逸話を人々から伝え聞く。

いつも、眉間に皺を寄せ、口数少なく。人を近づかせなかった祖父。

唯一心を開いていたのが身分違いの大恋愛の末、結ばれた奥方、つまり私の祖母だけだったそう。
その祖母に対する執着は並大抵では無かったとのこと…。

「フワフワの妖精…僕の、妖精。」

「ああ、妖精…な。」

僕の妖精か…。
息子よ、父は、
まだ早いかもしれないが、
孫の顔が見れるのか心配だよ…。

仄暗い瞳に妖精を映す息子。色んな意味で、将来に不安を覚えるが、妻に誓って、「息子を立派な魔導師に育てる」その決意は変わらない。
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