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気付いたら転生してました。
14.幸せの青いバラ
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その日は、シャロンが遊びに来た。
出迎える前に、レイモンドを呼んでもらう。
「お姉様、お呼びですか?」
「ええ、この前話した、シャロンが遊びに来たの。紹介するわ!」
レイモンドと一緒に書庫へ行く。
「シャロン、私の弟のレイモンドよ!レイモンド、シャロンよ!」
「メリー、なんかアホっぽい。」
「シャロン、うるさい。レイモンドのこと、いじめたりしたら、承知しないわよ?」
「レイモンドです。よろしく、シャロン。」
「よろしく。」
「はい、紹介終了!一緒に遊びましょ!」
窓際のテーブルに着くなり、前に座るシャロンがジロジロと私を見てきた。
「今日のメリー、なんが違う。どうしたの?」
「どうしたのって。どうもしないわよ!もっと言い方ってもんが…。それより、これいいでしょ~?」
少し振り返り、シャロンに髪飾りを見せる。
「ああ、綺麗な髪飾りだね。」
「でしょ~。これ、レイモンドが選んでくれたの。」
「……ふ~ん。」
シャロンは少し目を細めてから、本に視線を落とす。
「えっと、シャロン君は、すごい難しそうな本を読むんですね。なんの本ですか?」
「…北地方の文化について。シャロンでいいよ。君いらない。」
「あ、はい…。」
「この前は、南地方だったわよね?それ、そんなに面白い?」
「面白い。」
「へ~、物好き。私は最近、『ジャックの冒険』にはまってるの!」
書架から『ジャックの冒険』の1巻を取り出して机に置く。
「童話?そんな本あったんだ。」
「お父様が子どもの頃に揃えたんですって。ジャックがカッコイイの!お姫様を守るためにドラゴンと戦ったり、幸せの青いバラを求めて旅をしたり……。」
「ふ~ん。」
「おもしろそうですね。」
あまり関心の無いシャロンに対し、にこやかに微笑むレイモンド。
レイモンドの笑顔が嬉しくて、私はジャックがいかにカッコ良いか、力説してしまった。
「お姉様は、騎士がお好きなんですね。」
「ん?騎士が好きなわけではないわよ?強くって、お姫様を守れて幸せにしちゃうところに憧れちゃうわ!」
(私も、ジャックの様に、愛しのエメラルドちゃんを立派に守り、幸せに導くわ!!)
そんな私の思いを知る事もなく、レイモンドは天使の微笑みを浮かべている。
その後も、他愛も無い話をしたり、本を読んだり時間が過ぎていった。
***
「そろそろ、帰る。」
そう言って立ち上がったシャロン。
立ち上がったまま、何かに気を取られた様に足を止めている。
「どうしたの?」
私の問い掛けに答えること無く、スッと出窓に飾られていた白いバラに近付き、1本抜いた。
私とレイモンドが見守る中、バラに手をかざして、ブツブツ呟きだす。
途端にバラが光に包まれた。
光が収まるとそこには青色のバラがあった。
「!?」
「これあげる。」
そう言って、シャロンはポンと青いバラを放って寄越した。なんとかキャッチできた。
「すごいっ!今の魔法!?…綺麗ね。ありがとう、シャロン。ってちょっと待ってよ!」
フンと鼻を鳴らして立ち去ろうとする、シャロン。耳が赤い。
青いバラ…。
幸せの青いバラ?
無関心な様で、ちゃんと私の話を聞いてたのね。
***
その日の夕食、青いバラの話をした。
「白色のバラを魔法で青色に変えちゃったの。びっくりしたわ。」
「白色バラを青色にか。6歳だったよなぁ。さすがフィンリー家の漆黒は伊達じゃないね。」
「フィンリー家の漆黒?」
「あぁ、シャロン君の家は長く魔導師の家系なんだけど、時々シャロン君の様に、髪も瞳も真っ黒な子が生まれるんだ。みんなとっても強い魔力を持っている。シャロン君の前の漆黒はお祖父さん。国一番の魔導師として伝説級だよ。」
そういや、そんな設定でしたね。
「そうなんですね~。」
「でも、バラを青色にするってそんな簡単な事じゃないんだよなぁ。魔力の強さより、むしろ制御する力や繊細さが必要だから。うん。シャロン君の将来が楽しみだ!」
うんうんと、1人納得しているお父様。シャロンはブツブツ呟くだけで、白いバラを青くしていたけど、結構高等な技術だったようだ。
(魔法ね……。)
「そう言えば、私にも魔法って使えるの?」
「ん?魔力はあるね。でも魔法が使えるかは、どうだろ?何はともあれ、勉強しなきゃいけないよ。」
「勉強?」
「良い機会だ!家庭教師をつけよう!文字の読み書きは、シャロン君が本当に教えてくれたから良かったけど、魔法の基礎はさすがにねぇ~。レイモンドも一緒に勉強するといい。いい先生を探しとくね。」
「ありがとう?ございます?」
「ありがとうございます!」
何か釈然としない私。笑顔のレイモンド。
そして、お父様は大変ご機嫌。次の日には家庭教師が決定したので、よっぽど、家庭教師を付けられることが嬉しかったようだ。
その時は思いもしなかった。今日の出来事が、彼の事を追い詰める一因になるだなんて……。
出迎える前に、レイモンドを呼んでもらう。
「お姉様、お呼びですか?」
「ええ、この前話した、シャロンが遊びに来たの。紹介するわ!」
レイモンドと一緒に書庫へ行く。
「シャロン、私の弟のレイモンドよ!レイモンド、シャロンよ!」
「メリー、なんかアホっぽい。」
「シャロン、うるさい。レイモンドのこと、いじめたりしたら、承知しないわよ?」
「レイモンドです。よろしく、シャロン。」
「よろしく。」
「はい、紹介終了!一緒に遊びましょ!」
窓際のテーブルに着くなり、前に座るシャロンがジロジロと私を見てきた。
「今日のメリー、なんが違う。どうしたの?」
「どうしたのって。どうもしないわよ!もっと言い方ってもんが…。それより、これいいでしょ~?」
少し振り返り、シャロンに髪飾りを見せる。
「ああ、綺麗な髪飾りだね。」
「でしょ~。これ、レイモンドが選んでくれたの。」
「……ふ~ん。」
シャロンは少し目を細めてから、本に視線を落とす。
「えっと、シャロン君は、すごい難しそうな本を読むんですね。なんの本ですか?」
「…北地方の文化について。シャロンでいいよ。君いらない。」
「あ、はい…。」
「この前は、南地方だったわよね?それ、そんなに面白い?」
「面白い。」
「へ~、物好き。私は最近、『ジャックの冒険』にはまってるの!」
書架から『ジャックの冒険』の1巻を取り出して机に置く。
「童話?そんな本あったんだ。」
「お父様が子どもの頃に揃えたんですって。ジャックがカッコイイの!お姫様を守るためにドラゴンと戦ったり、幸せの青いバラを求めて旅をしたり……。」
「ふ~ん。」
「おもしろそうですね。」
あまり関心の無いシャロンに対し、にこやかに微笑むレイモンド。
レイモンドの笑顔が嬉しくて、私はジャックがいかにカッコ良いか、力説してしまった。
「お姉様は、騎士がお好きなんですね。」
「ん?騎士が好きなわけではないわよ?強くって、お姫様を守れて幸せにしちゃうところに憧れちゃうわ!」
(私も、ジャックの様に、愛しのエメラルドちゃんを立派に守り、幸せに導くわ!!)
そんな私の思いを知る事もなく、レイモンドは天使の微笑みを浮かべている。
その後も、他愛も無い話をしたり、本を読んだり時間が過ぎていった。
***
「そろそろ、帰る。」
そう言って立ち上がったシャロン。
立ち上がったまま、何かに気を取られた様に足を止めている。
「どうしたの?」
私の問い掛けに答えること無く、スッと出窓に飾られていた白いバラに近付き、1本抜いた。
私とレイモンドが見守る中、バラに手をかざして、ブツブツ呟きだす。
途端にバラが光に包まれた。
光が収まるとそこには青色のバラがあった。
「!?」
「これあげる。」
そう言って、シャロンはポンと青いバラを放って寄越した。なんとかキャッチできた。
「すごいっ!今の魔法!?…綺麗ね。ありがとう、シャロン。ってちょっと待ってよ!」
フンと鼻を鳴らして立ち去ろうとする、シャロン。耳が赤い。
青いバラ…。
幸せの青いバラ?
無関心な様で、ちゃんと私の話を聞いてたのね。
***
その日の夕食、青いバラの話をした。
「白色のバラを魔法で青色に変えちゃったの。びっくりしたわ。」
「白色バラを青色にか。6歳だったよなぁ。さすがフィンリー家の漆黒は伊達じゃないね。」
「フィンリー家の漆黒?」
「あぁ、シャロン君の家は長く魔導師の家系なんだけど、時々シャロン君の様に、髪も瞳も真っ黒な子が生まれるんだ。みんなとっても強い魔力を持っている。シャロン君の前の漆黒はお祖父さん。国一番の魔導師として伝説級だよ。」
そういや、そんな設定でしたね。
「そうなんですね~。」
「でも、バラを青色にするってそんな簡単な事じゃないんだよなぁ。魔力の強さより、むしろ制御する力や繊細さが必要だから。うん。シャロン君の将来が楽しみだ!」
うんうんと、1人納得しているお父様。シャロンはブツブツ呟くだけで、白いバラを青くしていたけど、結構高等な技術だったようだ。
(魔法ね……。)
「そう言えば、私にも魔法って使えるの?」
「ん?魔力はあるね。でも魔法が使えるかは、どうだろ?何はともあれ、勉強しなきゃいけないよ。」
「勉強?」
「良い機会だ!家庭教師をつけよう!文字の読み書きは、シャロン君が本当に教えてくれたから良かったけど、魔法の基礎はさすがにねぇ~。レイモンドも一緒に勉強するといい。いい先生を探しとくね。」
「ありがとう?ございます?」
「ありがとうございます!」
何か釈然としない私。笑顔のレイモンド。
そして、お父様は大変ご機嫌。次の日には家庭教師が決定したので、よっぽど、家庭教師を付けられることが嬉しかったようだ。
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