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黒豚令息と訳あり令嬢の学園生活〜怒涛の進学編〜
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庭園の東屋では男子生徒が4人、何か話し合っていて、その中の1人が何か魔術の呪文を唱えると、たちまちデイビッドの姿に変化した。
上手くいったことを確認すると、それを見て皆でゲラゲラ笑い、更に何か打ち合わせの様な事を始めた。
(なるほど…どっちかが偽物ってワケね!?)
(一部始終見ててこっちを疑うな!!)
(混ざったらわかんなくなるじゃない。そしたら見分けるのが面倒なのよ。)
(お前、かまわずどっちも締め上げる気だろ…)
恐らくシェルリアーナはどちらが偽物かなどと悩まない。
本物だろうと偽物だろうとお構い無しに全力で張り倒すだろう。
(頼むから止めてくれ…)
(でも…そうね…あの見た目ならいいとこ30点てとこかしら?)
(写し身系は見分けが難しいんだろ?)
(そうでも無いわよ?姿だけ真似られても演技も必要だもの。人相の良い方が偽物ね…わかったわ!)
(どうせ俺は悪人面だよ!!)
例えば他人の婚約者に成りすますことが出来たら、どんな悪事を思い付くだろう。
しかもそれをカメラに納めようなどという悪趣味な悪戯を目の当たりにしてを、この2人が許すはずがない。
まずはシェルリアーナが出て行き、デイビッドモドキに声をかけた。
「あらぁ!デイビッドじゃない、こんな所で何してるの?」
「やぁ、ミス・シェルリアーナ、奇遇だな。今婚約者と待ち合わせしてるとこだ。」
「はい、原点!」
「へ?」
「表情が明る過ぎ、あと姿勢が良過ぎ。極めつけは話し方ね。そんな爽やかに喋らないわよアイツは…あとその顔でその呼び方ヤメて…気持ち悪いわ…」
(いや、お前こそあんな声の掛け方した事ねぇじゃん…)
言うが早く、シェルリアーナの足元から四方に伸びた黒い影が、隠れていた3人とデイビッドの偽物を縛り上げ、引きずり出して壁に思い切り叩き付けた。
崩れ落ちた4人をギリギリと締め上げていると、やがて魔法が解け、デイビッドの姿が消えて3年生の生徒の1人に戻る。
声も出ないこの4人をどう料理してやろうか考えていると、庭園の向こうからヴィオラが現れたので、デイビッドが出て行き、久々に2人切りで話をした。
シェルリアーナはその様子を影から見守りながら、隠蔽魔法の結界の中で男共に尋問していた。
「ホラ!言ってみなさいよ!?何が目的だったの?!」
「お…俺達はなにも…」
「他人に成り済ましてカメラまで構えて、その言い訳は苦しいわね!?淑女科の庭園まで来て、一体何をしようとしてたのかしら…さ、白状なさい!?」
すると中のひとりが降参してペラペラ喋り出した。
「お、俺達、あの令嬢の弱みを握れって言われて…」
「誰によ?!」
「し…知らない!ただ、一番いいネタが手に入ったヤツには次のテストの問題の予想がもらえるって話で…」
「だから!誰がそんな事言ってんのかって聞いてんの!」
「け…掲示版だよ!廊下の魔法掲示版に…書いてあったから…」
「黒幕もわかんないで下級生の女の子を騙してネタにしようとしてたの?予想を上回るクズね!」
「手でも握った瞬間に魔法を解いて、浮気の証拠にしようと思って…」
「お、俺は違う!この姿でキスでも迫れば流石に嫌がるだろうから…黒豚ついに破局か?ってタイトル付けて新聞にする予定だったんだ!!」
「言い訳した所で、どっちもクズよ!!」
久々にブチギレたシェルリアーナは、このところ溜まっていた鬱憤をこの4人に向けて叩き付けた。
「そこそこスッキリしたわ。」
「こっちも、ヴィオラと話ができた。ずいぶん溜め込んでたみたいだったな…ここに来ていきなり妙な噂が増えて来たせいだ。一度流れた噂を消すのは難しい…でも…」
「噂を噂で塗り潰す事は出来るわ!」
「そーゆーの…あんま得意じゃねぇんだけどな…」
「あら、だったら私に任せてよ。ちょっとカフェ行ってため息混じりに誰かに愚痴ればあっと言う間に話題総取りよ?!」
「こわぁ……」
まだ動けない4人を放ったまま、シェルリアーナとデイビッドは政務科の廊下にある件の掲示版まで来ると、シェルリアーナが真っ白な掲示版に魔力を流し、浮かび上がってきた書き込みを読んでいく。
〈ヴィオラ令嬢の聖女虐め〉
〈特待クラスでカンニング疑惑〉
〈王族を誑し込む悪女の実態〉
〈黒豚の婚約者チョコレートの王子と浮気か!?〉
ずらずら書き込まれた、根も葉もない本当にただの一人歩きした噂話が集まる中心に、何かでかでかと書かれている。
〈ヴィオラ・ローベル令嬢のネタ大募集。聖女を脅かす悪女追放に向けてご協力を!(デイビッド・デュロックの醜態その他悪事についても随時募集中。)〉
「燃やしていい?」
「公共物ならそれもダメなんだろ?確かここに書き込んだ本人以外消去できねぇんだったよな?じゃ、ここは教員として正しく動くしかねぇな…」
そう言うとデイビッドは何故そんな物を持っているのか、ポケットから取り出したドライバーで四隅のネジを外すと、掲示版を壁から剥がした。
「風紀違反ってヤツだ。このまま魔力判別に出して、書き込んだ奴を片っ端から取っ捕まえて罰則対象にしてやるよ。」
「確かに、それは生徒側じゃ出来ないわね。じゃそっちは任せたわよ!?」
その場で別れた2人は、それぞれの向かうべき場所へ進んで行った。
教員室ではデイビッドが持ち込んだ掲示版に、他の教員達が群がり事態の深刻さを話し合っていた。
「これは酷い…」
「学園が何をする所か分かっていないのかしら!」
「この様な不特定多数による卑劣な行為が見過ごされていたと言うのですか!?」
「この掲示版は生徒の自己表現の自由を尊重し、互いに意見を交換し合える重要な情報共有の場として長年親しまれてきましたが…以前からこの様な使い方もされていたのでしょうなぁ…教員ももっと目を光らせておくべきでした…」
「直ぐに魔法学棟へ持って行って生徒の特定を!関わった者は懲罰、首謀者は停学とします!!」
渋ったのは淑女科と政務科の教員達だけで、他の教員達の怒りもあり、こちらは直ぐに対処してもらえることになった。
「迅速な対処、ありがとうございます。」
「何呑気な事言ってるの!?貴方の名前も書いてあるのよ!?」
「まぁそうですが、でもこの程度…」
「何がこの程度ですか!!貴方が貶されることで婚約者の立場も危うくなるのですよ!?もっと危機感を持たなければ!自分で何とかしようとせずに、今回の様に学園を巻き込みなさい!貴方自身も護られるべき対象である事をもっと自覚する事!良いですね?!」
久々にミセス・ミネルバの説教を食らい、耳が痛くなるのを我慢してから研究室へ戻ろうとすると、エリックが付いてきた。
「とんでもない事になりましたね…あれ、淑女科でないと知らない情報も書かれてましたよ?情報提供者やまた聞きの噂もあるんでしょう…どうなさるおつもりですか?」
「ひとまず、噂の方はシェルに任せて、こっちはヴィオラをなんとかしないとな。直接的な攻撃じゃない以上魔法でも防げないとなると、あとできることは何だ?…」
考えている内に羊のスペアリブの煮込みと、ヴィオラの好きなニンジンと玉ねぎのポタージュができ上がる。
カブとニンジンの葉っぱでサラダを作り、ふわふわの白パンとゴマの入ったパンを添えて待っていると、本を抱えたヴィオラが走って来た。
「遅くなっちゃいました!お手伝いできなかった…」
「そんなんかまわねぇよ。どうだった?少しは気晴らしできたか?」
「はい!面白い本、たくさん借りてきました!」
「気持ちの切り替え方は人それぞれだ。ため込むのは一番良くない。ここで我慢は禁物!いいな?!」
「わかってます!もう溜め込んだりしません!心配かけてごめんなさい…」
「謝る必要はないさ。これからも無理に笑わなくていい。不機嫌なヴィオラも怒ってるヴィオラも、全部見せてくれて構わない。俺にとっちゃ何しててもヴィオラは可愛いから問題無いしな。」
「かわいくない!かわいくないです!!」
「どうでもいいから早く支度して…」
「そろそろシェル様がお腹空き過ぎて不機嫌ですよ?」
シェルリアーナとデイビッドにあれこれ世話されながら、スープを口に運ぶヴィオラの表情はスッキリと明るくなっていた。
(ダブル過保護に挟まれてまぁ…でも…なんだろう、婚約者と友人と言うより…これあれだ、保護者的な目線になってない?パパとママの立場逆転してるけど!…って言ったらなんか言われるから黙っとこ…)
エリックは賢く口を閉ざした。
上手くいったことを確認すると、それを見て皆でゲラゲラ笑い、更に何か打ち合わせの様な事を始めた。
(なるほど…どっちかが偽物ってワケね!?)
(一部始終見ててこっちを疑うな!!)
(混ざったらわかんなくなるじゃない。そしたら見分けるのが面倒なのよ。)
(お前、かまわずどっちも締め上げる気だろ…)
恐らくシェルリアーナはどちらが偽物かなどと悩まない。
本物だろうと偽物だろうとお構い無しに全力で張り倒すだろう。
(頼むから止めてくれ…)
(でも…そうね…あの見た目ならいいとこ30点てとこかしら?)
(写し身系は見分けが難しいんだろ?)
(そうでも無いわよ?姿だけ真似られても演技も必要だもの。人相の良い方が偽物ね…わかったわ!)
(どうせ俺は悪人面だよ!!)
例えば他人の婚約者に成りすますことが出来たら、どんな悪事を思い付くだろう。
しかもそれをカメラに納めようなどという悪趣味な悪戯を目の当たりにしてを、この2人が許すはずがない。
まずはシェルリアーナが出て行き、デイビッドモドキに声をかけた。
「あらぁ!デイビッドじゃない、こんな所で何してるの?」
「やぁ、ミス・シェルリアーナ、奇遇だな。今婚約者と待ち合わせしてるとこだ。」
「はい、原点!」
「へ?」
「表情が明る過ぎ、あと姿勢が良過ぎ。極めつけは話し方ね。そんな爽やかに喋らないわよアイツは…あとその顔でその呼び方ヤメて…気持ち悪いわ…」
(いや、お前こそあんな声の掛け方した事ねぇじゃん…)
言うが早く、シェルリアーナの足元から四方に伸びた黒い影が、隠れていた3人とデイビッドの偽物を縛り上げ、引きずり出して壁に思い切り叩き付けた。
崩れ落ちた4人をギリギリと締め上げていると、やがて魔法が解け、デイビッドの姿が消えて3年生の生徒の1人に戻る。
声も出ないこの4人をどう料理してやろうか考えていると、庭園の向こうからヴィオラが現れたので、デイビッドが出て行き、久々に2人切りで話をした。
シェルリアーナはその様子を影から見守りながら、隠蔽魔法の結界の中で男共に尋問していた。
「ホラ!言ってみなさいよ!?何が目的だったの?!」
「お…俺達はなにも…」
「他人に成り済ましてカメラまで構えて、その言い訳は苦しいわね!?淑女科の庭園まで来て、一体何をしようとしてたのかしら…さ、白状なさい!?」
すると中のひとりが降参してペラペラ喋り出した。
「お、俺達、あの令嬢の弱みを握れって言われて…」
「誰によ?!」
「し…知らない!ただ、一番いいネタが手に入ったヤツには次のテストの問題の予想がもらえるって話で…」
「だから!誰がそんな事言ってんのかって聞いてんの!」
「け…掲示版だよ!廊下の魔法掲示版に…書いてあったから…」
「黒幕もわかんないで下級生の女の子を騙してネタにしようとしてたの?予想を上回るクズね!」
「手でも握った瞬間に魔法を解いて、浮気の証拠にしようと思って…」
「お、俺は違う!この姿でキスでも迫れば流石に嫌がるだろうから…黒豚ついに破局か?ってタイトル付けて新聞にする予定だったんだ!!」
「言い訳した所で、どっちもクズよ!!」
久々にブチギレたシェルリアーナは、このところ溜まっていた鬱憤をこの4人に向けて叩き付けた。
「そこそこスッキリしたわ。」
「こっちも、ヴィオラと話ができた。ずいぶん溜め込んでたみたいだったな…ここに来ていきなり妙な噂が増えて来たせいだ。一度流れた噂を消すのは難しい…でも…」
「噂を噂で塗り潰す事は出来るわ!」
「そーゆーの…あんま得意じゃねぇんだけどな…」
「あら、だったら私に任せてよ。ちょっとカフェ行ってため息混じりに誰かに愚痴ればあっと言う間に話題総取りよ?!」
「こわぁ……」
まだ動けない4人を放ったまま、シェルリアーナとデイビッドは政務科の廊下にある件の掲示版まで来ると、シェルリアーナが真っ白な掲示版に魔力を流し、浮かび上がってきた書き込みを読んでいく。
〈ヴィオラ令嬢の聖女虐め〉
〈特待クラスでカンニング疑惑〉
〈王族を誑し込む悪女の実態〉
〈黒豚の婚約者チョコレートの王子と浮気か!?〉
ずらずら書き込まれた、根も葉もない本当にただの一人歩きした噂話が集まる中心に、何かでかでかと書かれている。
〈ヴィオラ・ローベル令嬢のネタ大募集。聖女を脅かす悪女追放に向けてご協力を!(デイビッド・デュロックの醜態その他悪事についても随時募集中。)〉
「燃やしていい?」
「公共物ならそれもダメなんだろ?確かここに書き込んだ本人以外消去できねぇんだったよな?じゃ、ここは教員として正しく動くしかねぇな…」
そう言うとデイビッドは何故そんな物を持っているのか、ポケットから取り出したドライバーで四隅のネジを外すと、掲示版を壁から剥がした。
「風紀違反ってヤツだ。このまま魔力判別に出して、書き込んだ奴を片っ端から取っ捕まえて罰則対象にしてやるよ。」
「確かに、それは生徒側じゃ出来ないわね。じゃそっちは任せたわよ!?」
その場で別れた2人は、それぞれの向かうべき場所へ進んで行った。
教員室ではデイビッドが持ち込んだ掲示版に、他の教員達が群がり事態の深刻さを話し合っていた。
「これは酷い…」
「学園が何をする所か分かっていないのかしら!」
「この様な不特定多数による卑劣な行為が見過ごされていたと言うのですか!?」
「この掲示版は生徒の自己表現の自由を尊重し、互いに意見を交換し合える重要な情報共有の場として長年親しまれてきましたが…以前からこの様な使い方もされていたのでしょうなぁ…教員ももっと目を光らせておくべきでした…」
「直ぐに魔法学棟へ持って行って生徒の特定を!関わった者は懲罰、首謀者は停学とします!!」
渋ったのは淑女科と政務科の教員達だけで、他の教員達の怒りもあり、こちらは直ぐに対処してもらえることになった。
「迅速な対処、ありがとうございます。」
「何呑気な事言ってるの!?貴方の名前も書いてあるのよ!?」
「まぁそうですが、でもこの程度…」
「何がこの程度ですか!!貴方が貶されることで婚約者の立場も危うくなるのですよ!?もっと危機感を持たなければ!自分で何とかしようとせずに、今回の様に学園を巻き込みなさい!貴方自身も護られるべき対象である事をもっと自覚する事!良いですね?!」
久々にミセス・ミネルバの説教を食らい、耳が痛くなるのを我慢してから研究室へ戻ろうとすると、エリックが付いてきた。
「とんでもない事になりましたね…あれ、淑女科でないと知らない情報も書かれてましたよ?情報提供者やまた聞きの噂もあるんでしょう…どうなさるおつもりですか?」
「ひとまず、噂の方はシェルに任せて、こっちはヴィオラをなんとかしないとな。直接的な攻撃じゃない以上魔法でも防げないとなると、あとできることは何だ?…」
考えている内に羊のスペアリブの煮込みと、ヴィオラの好きなニンジンと玉ねぎのポタージュができ上がる。
カブとニンジンの葉っぱでサラダを作り、ふわふわの白パンとゴマの入ったパンを添えて待っていると、本を抱えたヴィオラが走って来た。
「遅くなっちゃいました!お手伝いできなかった…」
「そんなんかまわねぇよ。どうだった?少しは気晴らしできたか?」
「はい!面白い本、たくさん借りてきました!」
「気持ちの切り替え方は人それぞれだ。ため込むのは一番良くない。ここで我慢は禁物!いいな?!」
「わかってます!もう溜め込んだりしません!心配かけてごめんなさい…」
「謝る必要はないさ。これからも無理に笑わなくていい。不機嫌なヴィオラも怒ってるヴィオラも、全部見せてくれて構わない。俺にとっちゃ何しててもヴィオラは可愛いから問題無いしな。」
「かわいくない!かわいくないです!!」
「どうでもいいから早く支度して…」
「そろそろシェル様がお腹空き過ぎて不機嫌ですよ?」
シェルリアーナとデイビッドにあれこれ世話されながら、スープを口に運ぶヴィオラの表情はスッキリと明るくなっていた。
(ダブル過保護に挟まれてまぁ…でも…なんだろう、婚約者と友人と言うより…これあれだ、保護者的な目線になってない?パパとママの立場逆転してるけど!…って言ったらなんか言われるから黙っとこ…)
エリックは賢く口を閉ざした。
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