【完結】フェイクオメガ

水樹風

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第7.5話 **


「ダ、ダメだよ……んっ、んんっ、汐音……。」
「なんで?続きするから、風呂から出たんだろ?」


 そう言って、汐音は直央をトロトロに蕩けさせる──。



 お互いに大学の課題が重なりすれ違いが続いていた汐音と直央は、少しでも一緒にいたくて汐音の家で最後のレポートの仕上げをしていた。
 正直、課題をやり始めてすぐ、二人はこの選択を後悔する。
 ずっとお預けを食らってきているのに、すぐ隣に恋人がいる中、カタカタとパソコンに向かい続けなくてはいけないこの苦痛。


「直央、終わりそう?」
「うん……あと、最後の補足だけ。汐音は?」
「俺も、このデータまとめれば……。」


 高2で付き合い始めて2年が過ぎ、別々の大学に進学しても二人の交際は順調だった。
 ベータの男同士、よく知らない他人に何か言われることはあっても、お互い家族は理解があり、今も友達としてではなく恋人として堂々と汐音の家にあがれていた。


「よしっ!終わったぁぁ。」


 直央が嬉しそうに言いながら、バンザイをしておもいきり体を伸ばす。


「マジ?……俺、もうちょい……。」


 汐音が疲れ切った目を閉じて、瞼の上から軽く指で押さえていると、香菜子がドアをノックし顔を出した。


「汐音、直央くん、悪いけど正嗣さんも私も急に出なきゃいけなくなっちゃって。夕食は冷蔵庫に入ってるから、温めて食べてくれる?」


 天宮家では、時々ハウスキーパーが来るものの、家事は香菜子がしている。香菜子が忙しい時は父の正嗣や子供たちが分担するのも当たり前のことだった。


「はいよ。帰りは?遅くなるの?」
「私は泊まりになっちゃうかも。正嗣さんも遅くなるみたいだから。」
「ん、わかった。」
「直央くん、またゆっくり食事しましょうね。」
「はいっ。」
「じゃ、お願いね。」


 階下では正嗣が出かけるところらしく、玄関で音がしていた。香菜子も慌ただしく支度をして家を出ていく。
 僅かながらガレージから部屋まで聞こえたエンジン音が遠くなって、二人は示し合わせたように見つめ合った。


「直央、俺もう限界……。」
「僕もっ!」



 直央は普段、とてもシャイで奥手だ。童顔で年齢より幼く見えるものの、高校時代の成績はいつも学年上位。弓道部で主将まで務めた彼は、ベータ女子やオメガのアイドル的存在だった。
 汐音は当初、そんな直央を忌々しく思っていた。両親も兄もアルファなのに自分だけがベータだとわかり、家族は何も接し方を変えていないのに、自分で勝手にひねくれていた時期で、ちやほやされる直央が気に食わなかったのだ。

 一部の打算的な人間に、天宮の人間なら当然アルファだろうと決めつけられすり寄って来られるのにも辟易としていた時、汐音は体育の授業中派手に怪我をしてしまう。
 彼をアルファだと決めつけ持ち上げていた連中が冷ややかな視線を送る中、真っ直ぐに駆け寄り心配してくれたのが直央だった。
 きちんと話をしてみれば、直央は本当に純粋で可愛らしく、愛されたい側の人間だったのだ。
 汐音はどんどんと直央に夢中になり、直央にも汐音が全てになった──。


 汐音の部屋でスイッチが入ってしまい貪るように求め合うキスをした二人は、そのまま絡み合って階段を下りバスルームへと向かった。
 いつもは恥ずかしがって裸になるまでに時間がかかる直央が、今日は「ダメ」も「待って」も言わず服を脱がされていく。汐音はそれだけでもう堪らなかった。


「今日はどうしたの?積極的じゃん。」
「あん、……だって、こんなに……あ、しなかったの……ん、ん、…初めてだから……。」

  顕になっていく肌のあちこちにキスをされ、舌を這わされて、直央の昂りにはすっかり熱が集まっている。


「欲しくなっちゃった?」


 汐音の甘やかしながらも意地悪な声に、直央は必死に縋り付く。


「ん、もう……早くっ、しおん……。」

  汐音はバスルームではあくまでのつもりだった。
 しかし直央は、体を綺麗にしてもらい、合間合間に舌を絡ませて甘い言葉を囁かれるだけで、もう達してしまいフラフラになってしまった。


「ほら、直央。のぼせるから上がろう。」


 軽く体を拭きバスローブを羽織って2階へ行こうとしたが、今度は汐音の方が限界になる。


「ダ、ダメだよ……んっ、んんっ、汐音……。」


 汐音はリビングのソファーに直央を押し倒し、そのまま準備を済ませた彼の蕾をクルクルと刺激して、首筋を舐め上げた。


「なんで?続きするから、風呂から出たんだろ?」
「そう、だけど……ん、ンんっ、ここじゃっ……あ、あぁんっ!」
「平気だよ、父さんも母さんも出かけたばっかなんだから。」


 汐音は、今日は兄の伊織も夕食に呼ばれていることを、すっかり失念していた。


「あ、あ、でもっ……、待って……ひゃぁぁ!」


 直央の蕾から垂れてきたジェルで濡れた汐音の指がクチュンと入り込み直央を溶かし始める。


「ああ、スッゲ。直央に指食いちぎられそう。」


 汐音の長い中指と薬指を受け入れた直央のナカは、恥ずかしがって逃げようとする本人とは裏腹に、うねりながら吸い付き汐音を求めていた。


「ん、あぁんっ、そんな……言わないでぇ……。」
「ん?なにを?……直央の体は欲しがりで、こーんないやらしいって?」


 いつもは優しくて直央を甘やかすくらいの汐音も、情事の時は意地悪だ。
 でもそれは直央の羞恥心と理性を溶かしていく最短の方法だと、汐音が知っているからだった。


「ほら、どうして欲しい?……ん?」


 直央の胸の突起は既に汐音の口に苛められ過ぎて赤くなっている。それでも快感を拾い続け、直央はひたすら甘く可愛い声で喘ぎ続けた。


「し、おんっ!ああっ、も、……早くぅ……。」
「んん?早く、なあに?」


 それが合図だとわかる汐音は、直央を見下ろしながら、バスローブのポケットに入れてきたスキンの袋の端を噛んで破る。その間も彼の指はグチュグチュと淫らな音をたて続けていた。


「ん、うんんっ!奥、もっと奥ぅ……。」


 汐音は取り出したスキンを直央の昂りにつける。


「ソファー汚すとまずいから、直央もつけような。」
「しおんっ、早くぅ……あん、あ、あっ……奥、欲しいっ!」


 汐音は指を抜き、自身の熱杭にもスキンをつけると意地悪に直央の唇を甘噛みした。


「このお口でちゃんと言って。俺、どうしたらいいの?」


 とろんとした瞳で汐音を見つめながら、直央の手が汐音の滾った熱に伸びる。


「これ、汐音のこれで、お腹の奥、ぐちゃぐちゃにしてぇ……。」
「ん、よく言えました。じゃあ、直央はどうするんだっけ?」


 汐音が直央のおでこにキスして囁く。
 直央は体を起こしてソファーに膝立ちになると、自分のバスローブを捲り上げて背もたれに手をつき腰を突き出した。


「最高の眺め……。直央はホントに、いやらしい、なっ!」


 直央を溶かす為に待てをさせられ続けていた汐音の理性は、いい加減限界だった。


「えっ!?あぁん、あぁっ!そんな激しっ!」


 パンッ、パンッと肌のぶつかる音が水音と共に響き渡る。
 もうすっかり汐音を受け入れるためだけの直央の胎内ナカを感じ、汐音は自分だけの直央が愛しくて堪らなくなった。


「直央っ、好き!大好き!」


 汐音は楔を最後まで突き入れると、直央の体を起こして両手首を掴み、そのまま彼を揺さぶり攻め続ける。


「あ、あ、あぁっ!それ、ダメぇ!イくっ、イくからぁっ!」
「もう、ちょっと、我慢……なっ。」


 直央は本当に絶頂の直前だったのに、汐音に胸を抱きかかえられ、昂りを握り押さえられて、達することを許されなかった。


「ひゃぁん!あ、あぁ、そんな……しおんっ!」


 拷問のような快感の中、汐音の熱が直央のナカで質量を増す。直央は涙目で喘ぐことすらままならなくなっていった。


「あっ、んんっ!直央、イくよ!直央っ!」


 汐音の腰つきがラストスパートをかける。汐音の絶頂に合わせイくことを許された直央は、声も出せずに大きく体を波打たせると、そのままくったりとソファーに倒れ込んだのだった。


「今日も直央はエロくて最高だったよ。」


 そう言いながら、汐音が温かいタオルで直央の体を拭いている。
 直央は恥ずかしそうに「バカ」と呟くと、汐音の首に腕をまわして唇を啄み、甘く妖艶に耳元で囁いた──。


「汐音、2階のベッドで……もう1回……。」













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