くじ引きで決められた転生者 ～スローライフを楽しんでって言ったのに邪神を討伐してほしいってどゆこと!?～

ヤマトの宿で…

店の外に出ると、もう夕方で夕日が綺麗だったよ！僕達は宿に戻って部屋にいる。夕食は宿で食べるよ！民宿みたいな感じだし、夕食込みなんだ！けど、その前に……

「ほら、ルーク。風呂行くぞ。」

「分かってる！早く行こう！」

「ったく……尻尾振った子犬みたいだな。」

「別にいいでしょ！お風呂とか温泉が好きなの！」

そう！温泉！温泉があるんだよ！久しぶりの温泉！めっちゃ楽しみ！

「ルークに置いて行かれないようにしないといけないね。」

カインは一人そう呟き、小走りで温泉に向かうルークとそれを追いかけるクロノスの後を追い、歩いて行ったのだった……



僕達は温泉に入った後、今は脱衣場にいる。やっぱり、温泉は気持ちいいね！最高だったよ！露天風呂と室内があって両方入ったよ！露天風呂から見える景色は絶景だったんだ！他の人が見てないうちに写真撮っちゃった！

「ルーク。これってどうするんだい？」

カインは初めて見る浴衣をどう着るのか迷ってるみたい。

「まず、それを羽織って。」

「…これでいいかい？」

「うん。そしたら次は、右側を左に持ってきて左側は右に持っていって、左側が前になるようにして。」

「……こうかい？」

「ん～……ちょっと貸してね。」

着方は合ってたんだけど、ちょっと長かったから浴衣を腰のところで持ち上げて裾をあげる。そのまま、帯を結んで少し左側にリボン結びのリボンがくるようにする。

「はい！出来たよ！」

「ありがとう。」

「………お前、なんで知ってんだ？」

クロノスさんが不思議そうだね！

「知ってるんだから知ってるだよ！」

「俺が言いたいことはそうじゃねぇよ。まぁ……合ってはいるか。……なら、どうして左側を前にするかは知ってるか？」

日本人の常識だよね！

「右側を前にするのは死装束で普通に着るには縁起が悪いからでしょ。」

「……なんでも知ってるな…お前……」



僕達は部屋に戻って夕食まで百人一首をした。

「ルーク！百人一首しよ！」

「いいよ！」

「さんざんやったのにまだやんのかよ……」

「ノイン、話は聞いていたけど、二人の試合を見るのは初めてじゃないかい？」

「そうだね。なんか楽しみだよ。」

「ふふふ。二人とも頑張って！」

僕達は百人一首の札を取り出して試合の準備をする。今回も読み上げは読み上げ機がしてくれるよ！

「「よろしくお願いします。」」

『なにわづに　さくやこのはな　ふゆごもり　いまをはるべと　さくやこのはな　いまをはるべと　さくやこのはな』

……何がくる？

『きみがため　ぉ』

バンッ！

やった！取れた！……まぁ……大山札(決まり字が６字以上の札のことだよ！)は優依が苦手だから初めから取るつもりじゃなかったのかもしれないけど……

『しからざりし　いのちさえ　ながくもがなと　おもいけるかな　ながくもがなと　おもいけるかな』



そんな感じで試合は続いて結果は……まぁ…皆、予想はしてたと思うけど、僕の負けだよ。強すぎるよ……

百人一首で遊んで片付けをしていると女将さん……かな？みたいな人が夕食の準備が出来たことを知らせてくれて部屋に持ってきてもらった。

夕食を食べていると優依が口を開いた。

「そういえば……明日って百人一首の大会の決勝戦でしょ？服装の決まりってあるの？」

あ…確かに。日本じゃ袴だったりするもんね！

「んー…特にないが……袴を着る人が多いな。」

優依の顔が一気に明るくなった。

「ホント!?ルーク！私も袴がいい！」

「僕に言わないでよ！僕に言われてもどうしようもないじゃん！」

「あ…確かに……じゃ、自分で用意しよ。」

「うん、そうして。」

「いやいやいや…袴にするのは勝手だが……すぐに準備できないぞ？」

……確かに、普通ならできないよね……けどね、クロノスさん……僕達は創造魔法が使えるからね……すぐに準備できちゃうんだよ……

「大丈夫！私とルークで適当にするから！」

「ハァ……無理なら言えよ？なんとかならないかあたってみるからよ。」

「ありがとう！てことで、ルークは後でよろしくね～」

「うん。」

「ねぇ。ルーク、ユイ。」

次はノインが口を開いた。

「どうしたの？ノイン？」

「魔物を討伐した時の魔石のお金ってまだ残ってるでしょ？それで、その……ハカマ？を買ったら？明日には間に合わないかもしれないけどヤマトにいる間にはなんとか出来るでしょ？」

「……いいの？」

優依が遠慮しぎみに言う。

「うん！ね？カイン。」

「そうだね。ダメな理由なんてないからね。」

「じゃあ…買っちゃおうかな。」

ふふふ…優依、凄く嬉しそうだね！

「なら、皆で一緒に浴衣買うのはどう？」

「流石ルーク！やっぱり浴衣だよね！カイン、ノイン！皆で浴衣買おう！」

僕の提案に優依が乗ってきて、明日は優依の百人一首の決勝戦が終わったら呉服屋に行って、優依の袴と、皆の浴衣を買うことになった。