くじ引きで決められた転生者 ～スローライフを楽しんでって言ったのに邪神を討伐してほしいってどゆこと!?～

剣術の授業

「ハァ……ハァ……」

「つ、疲れた……」

「先生…厳しい……」

肩で息をしながらクラスメイトが言う。

「ハッハッハッ！お前達！もう根を上げるのか！早いな！」

学長さんが楽しそうに、それはそれは楽しそうに言う……

「な、なかなかハードなんだな……」

クロノスさんも苦笑いをしてる。



今は僕達以外のクラスメイトが順番に学長さんと手合わせをして、手合わせをしたクラスメイトが…まぁ……見ての通りだね。

「よし！次は特待生組だ！順番に来い！」

「……じゃあ…私行ってくるよ…」

学長さんの言葉に渋々といった感じで、ノインが僕達に言った。

「頑張ってね！」

「いってらっしゃい。」



「……ただいまぁ…」

ノインが帰ってきた。なんか……スゴい疲れきってる感じだね……

「お帰り、ノイン。スゴいね！あんなに剣術が出来るって知らなかったよ！」

僕はノインが戻ってきて第一声にそう言った。本当にスゴかったんだよ！一番粘ってたし、技術もあったんだよ！

「そうかなぁ？…ルークとユイっていうヤバい人がいるからそんな気はしないんだけどなぁ…」

「スゴい分かるよ。二人を基準にしてはダメだよね。次元が違うから。」

ノインの呟きにカインが頷いた。

「じゃあ、次は私が行こうか。ノインが行ったしね。」

続けてカインが木剣を持って学長さんの方へ歩いて行った。



「……疲れるね…なかなかハードだったよ……」

カインも息を荒くして帰ってきた。

「お疲れー！はい、お水！」

優依が冷えた水が入った水筒をカインに手渡す。

「ありがとう、ユイ。いただくよ。」

カインが今まで見たことないような、嬉しそうな笑みを浮かべて水筒を受け取った。

……そんなに嬉しかったのかな？確かに、運動した後に冷たい飲み物貰うと嬉しいけど……なんか違うような……

「じゃ、私行ってくるね！」

「いってらっしゃい！」

優依が学長さんの所に行ったのを確認してからカインの方を見た。

「ねえ、カイン。」

「どうかしたかい？」

……いつも通りだ……気のせいだったのかな？

「ルーク？」

「ううん、ごめん。なんでもない。」

「そうかい？ならいいよ。」

僕は優依と学長さんの手合わせに目を戻す。手合わせは、かなり接戦だった。優依も学長さんも本気を出してない。

「ユイ！お前の本気はそんなもんじゃないだろう！魔法もアリだ！本気で来い！」

「あら、学長様が魔法を使った私の本気に耐えれますの？」

「ハハハハッ！では試してみよう！」

…え？ちょっと待って？魔法も使ったら実習室が耐えれないんじゃない？だから優依は魔法使ってなかったんだけど……

ガキィィィッ

学長さんが上から剣を振り下ろし、優依は剣で受け止める。向かい合ってる状態だね！

「ハァ……もう…」

優依が仕方ないといった感じで魔法を使うと……

「なっ!?」

学長さんは前方にバランスを崩した。その隙に優依は学長さんの首筋に木剣を当てた。そっか！攻撃魔法は危ないから、剣にちょっとだけ魔法を使ったんだ！

「……チェックメイト…ですわ。学長様。」

「ガハハハハッ！本当に負けるとはな！どんな魔法かも分からん！ついでに最後のチェックなんたらもな！」

豪快に学長は笑う。……楽しそうだね…ちなみに優依が使った魔法は水魔法だよ！剣に薄く、水の膜を張ったんだ！だから、上から力が入ると剣が滑ってバランスを崩したんだよ。優依の身長が低いから、学長さんは絶対に上から力を入れることになるからね！……チェックメイトも仕方ない…のかな？一応、チェックメイトってチェス用語で、チェスはこの世界にもあるはずなんだけどなぁ……学長さんが知らないだけかな？

「どんな魔法を使ったか聞いてもいいか！」

「私が使ったのは水魔法ですわ。剣に薄い水の膜を張り、上から力が加わると滑る仕組みですの。」

「繊細な魔力コントロールが必要だな！俺には向かん！よし！最後にルークだ！さあ！楽しむぞ！」

……楽しむぞ！って……一応、授業だよね？これ……教えるっていうか…遊んでる気がするような……

「……よろしくお願いします、学長。」

僕は木剣を構える。

「いつでもいいぞ！」

こうして、僕と学長さんの手合わせが始まったのだった……