くじ引きで決められた転生者 ~スローライフを楽しんでって言ったのに邪神を討伐してほしいってどゆこと!?~

はなとすず

文字の大きさ
90 / 107

剣術の授業 2

しおりを挟む
僕は学長さんの方に木剣を構える。

「ルーク様!頑張って下さい!」

クラスメイトの一人がそう言ってくれた。

「ありがとう!……いきます!」

お礼を言った後、学長さんの近くまで走り、魔法で身体強化をしてジャンプした。そのまま上から斬りつける。

「甘い!上からの攻撃は身動きが取れないだろう!」

「そうでしょうか?」

学長さんが俺の胴体を狙って木剣を振るう。僕は物理障壁を足元に展開して、障壁を足場にして学長さんの一撃をかわした。

「学長、いくら対人戦の経験が少ない僕でもあれくらいは予想出来ますよ?」

「ハハハハハッ!!物理障壁の新しい使い方だな!」

「そうでしょうか?」

漫画やラノベだと結構メジャーだよね!

「では…これはどうだ!」

学長さんはどこから取り出したのか、剣を二本同時に振るう。左手は僕の右肩辺りに、右手は左側から腰に向かっている。

僕は土魔法で即席の土の短剣を作って短剣を左手に持つ。そのまま、短剣で腰を狙った攻撃を弾き、木剣は右肩の攻撃を弾いた。

「土魔法も使えるのか!凄いな!だが耐久性はイマイチみたいだ!」

「即席で作ったものですので…時間があればもう少しマシなものも作れますよ。」

「なんでもアリだな!ユイの時は多少手を抜いたが、次は本気でいく!では続けていくぞ!」



……そこからはスピード重視の打ち合いだった。攻撃を受け流しては返す、受け流しては返す、を繰り返してそれなりに時間が経った。

今の状況は、少し僕が押されてるんだ。

「……くっ…」

学長さんの上からの攻撃を受け止めて、なんとか回避する。

「そろそろ体力が限界か!」

「ふぅ……そうですね…限界は近いですよ。」

「そうか!ではラストスパートといこう!」

木剣と木剣がぶつかりあう音が再び、実習室に響く。状況は変わらず、僕が押されてる。

その木剣と木剣がぶつかりあう音の中に小さな声が聞こえた気がした。本当に小さな声だったけど、僕にはちゃんと聞き取れた。その声を聞いた僕は、ずっと受け流していたのを一気に攻めに変えた。

「!!」

いきなりのことで学長さんも驚いたみたいだね!

その一瞬の隙に、学長さんの体制を崩して首元に木剣を当てた。

「ハァ…ハァ……チェックメイト…ですよ、学長。」

僕は肩で息をしながら学長さんにそう告げた。

「ハハハハハッ!実に楽しい手合わせだった!また暇が、あれば一緒に手合わせしよう!」

「……もう十分です………と言いたいですが…またよろしくお願いします。」

対人戦は沢山の人と手合わせして慣れないといけないからね!

「そうか!ならまた暇があれば!…では今日の授業は終わりだ!また明日!」

『ありがとうございました!』



……こうして、剣術の授業は幕を閉じた……





「皆さん、これから時間空いてますか?」

僕は帰る準備を始めたクラスメイトに問いかけた。

「俺は空いてます。」

「私も空いてますよ。」

「ボクもです。」

皆から空いているという返事が聞こえた。

「でしたら、少し時間をいただけますか?渡したいものがあるので…」

「分かりました!では、三十分後に校舎の裏庭でいいですか?」

僕の言葉にクラスのまとめ役みたいなイメージの男子生徒……名前はノア…だったかな?が答えてくれた。

「はい、大丈夫です。では三十分後に校舎の裏庭で。僕達は先に失礼します。」



僕達は一旦、寮に戻って来た。今からお土産の準備をするんだ!

一人ずつ個包装にしてラッピングしたよ!

「こんな感じでいいよね?」

「うん!バッチリだよ!」

皆で最終確認をしてから、寮を出た。

クロノスさんとルナさんは寮で待っててくれるよ!ラッピングも、二人とも手伝おうか?って言ってくれたけど、僕達がクラスの皆に渡すし遠慮しておいたよ!それに……クロノスさんに任せると手間が増えるような気がして……

僕達が裏庭に着くと、既にクラスメイトは全員揃っていた。

「待たせてしまってすみません。実は、ついこの前まで東にある島国……ヤマトに行っていたので、そのお土産を渡したかったんです。」

「!!わざわざありがとうございます!」

『ありがとうございます!』

リーダーぽい男子生徒…ノア君が頭を下げると他のクラスメイトも頭を下げた。

「ヤマトは王国と全く文化が違うと聞きました。どのようなところだったのですか?」

「そうですね……」

……僕からしたら江戸時代の日本ってイメージだから…なんて言ったらいいか分かんないや……

「確かに、ヤマトは王国とは文化は全然違ったけど、とてもいい国だったよ。」

「ええ、とても落ち着いた雰囲気かと思えば、催しがある時は明るく活気が溢れていましたわ。」

言葉に詰まった僕と優依を見てカインとノインがフォローしてくれた。

「そうなのですね!歴史なんかも気になりますし一度行ってみたいです!」

……ヤマトはヤマトだから、日本じゃないけど……似た国の文化や歴史に興味を持ってくれて嬉しいな!


しおりを挟む
感想 19

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います

しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。

お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」 この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。 父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。 ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。 今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。 その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。

戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに

千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」 「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」 許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。 許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。 上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。 言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。 絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、 「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」 何故か求婚されることに。 困りながらも巻き込まれる騒動を通じて ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。 こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。

魔力0の貴族次男に転生しましたが、気功スキルで補った魔力で強い魔法を使い無双します

burazu
ファンタジー
事故で命を落とした青年はジュン・ラオールという貴族の次男として生まれ変わるが魔力0という鑑定を受け次男であるにもかかわらず継承権最下位へと降格してしまう。事実上継承権を失ったジュンは騎士団長メイルより剣の指導を受け、剣に気を込める気功スキルを学ぶ。 その気功スキルの才能が開花し、自然界より魔力を吸収し強力な魔法のような力を次から次へと使用し父達を驚愕させる。

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

処理中です...