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あの人達の現在は…
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翌日……
僕達は今、馬車で王宮に向かってるよ!
「う~ん……確かに、進路って考えたことなかったかも。」
昨日、シルファと話したことを馬車の中で皆に話すと、優依が一番最初に反応した。
「…私は決まってしまってるから…なんとも言えないね。」
「……確かに…カインは決まってるね……」
苦笑いしながら言ったカインにノインも苦笑いした。
「ん?決まってる?……あぁ…そういや第一王子だったな。」
「そういや…って……忘れてたの?今、カインとノインの家に向かってるのに?」
「……現実逃避だ…平民が王宮に行くんだぞ?現実逃避くらいさせてくれ……」
優依のツッコミにクロノスさんが遠い目をした。
「そんなこと言っても現実からは逃げれないのよ?諦めた方がいいわ。」
「……それもそうだな。」
クロノスさんがルナさんの言葉に同意した。
というより…ルナさんはいつもと変わらない感じだったから気にしてないかと思ってたけど……ルナさんはもう諦めちゃってたんだね……
「皆様、到着しました。」
御者さんが馬車のドアを開けてくれた。
「ありがとうございます。」
馬車から降りて王宮に入ると玄関ホールにいた使用人が頭を下げて挨拶する。
『王子殿下、王女殿下、お帰りなさいませ。ルーク様、ユイ様、ようこそいらっしゃいました。』
「ただいま。」
「ただいま戻りましたわ。」
「お邪魔します。」
「お邪魔いたします。」
僕達は貴族モードで返事をした。
「父上達はどこにいるか知ってるかい?」
「陛下から『いつもの応接室にいる』と仰せ付かっております。」
「……応接室?」
カインが心当たりがないといった感じで首を傾げた。
「カイン…多分、僕達がいつも陛下と話す時の応接室のことだと思うよ。」
僕がタメ口で話したからか、この場にいた使用人全員の視線が僕に集まった。
「なるほどね…ルーク達に向けての伝言ってことか……私達にすればいいのに……」
「まぁ…陛下らしいとは思うよ。」
「それもそうだね。……皆は仕事に戻っていいよ。私達は自分達で向かうから。」
『畏まりました。』
僕に集まっていた使用人の視線もカインの言葉で全部仕事に戻った。
「ご無沙汰しております、王子殿下、王女殿下。」
僕達が応接室に向けて歩いていると、ニーヴェ侯爵と会った。
「ご無沙汰しておりますわ。」
「そうだね、ニーヴェ侯爵。確か、私達のデビュタントの時以来かな。」
「左様でございます。殿下…少しルーク殿とユイ殿と話しても?」
「もちろん。」
カインの返事を聞いてから侯爵は僕と優依を見た。
「お久しぶりです、侯爵様。」
「久しぶり!私達とは…神聖国に行く前に応接室で話した時以来だね!」
周りに人もいないし、ニーヴェ侯爵は前世の事も知ってるから優依はかる~い感じで挨拶した。
「ええ、その時の息子…クオンの罰についてなのですが……」
あ……クオンが罰受けてたの忘れてた……
「実は……まだ、帰ってきてないのです……」
「「……は?」」
僕と優依の声が重なる。
え?なんで?あれから大分経ってるのに……
「最初に予定していた一週間なんですが……クオンには反省が全く見られなかったので、もう一週間追加したんですが……それでも反省は見られず、まだ辺境にいるのです。」
……まだ懲りてないの?ある意味感心出来るよ……
「え、えと……じゃあ、あの大人二人組みは?」
「その二人は予定通り、一週間で帰ってきました。」
優依の疑問にニーヴェ侯爵が答えた。
大の大人二人は懲りて帰ってきたみたい……
「それからはどうしてるの?」
「すっかり改心したようで辺境の貴族を悪く言う事もなくなりましたし、真面目に働いています。それなのにあの愚息は……」
愚息って……物腰柔らかい侯爵にここまで言わすとは……クオンも侮れないよ……ここまできたら怒りより呆れが強くなっちゃう……
「……夏期休暇の際に帰省されましても訓練所には行かない方がよろしいかと…よく癇癪を起こして暴れているそうなので……」
「そうですか…分かりました。わざわざありがとうございます。」
「いえ…辺境伯家にはご迷惑をおかけします……」
……ハァ…クオンを改心させようとしても無意味な気がしてきたよ……
「……そろそろ僕達は失礼しますね。陛下に待っていただいてるので…」
「!!そうだったのですね。引き留めてしまい申し訳ありません。」
「大丈夫だよ!だって相手は陛下だもん。笑って終わりだよ!」
優依がそんな風に言うけど……
「優依……多分『陛下だから』だよ……」
「あ…そういうことか。」
「うん、そういうこと。……では、侯爵様。僕達は失礼します。」
「はい。後日、よければ屋敷に招待させて下さい。私の妻も会いたがっていますので、一緒にお茶でも。」
「はい!是非!」
「では、またお手紙を送りますね。」
「はい!」
ニーヴェ侯爵の奥さんかぁ……どんな人なんだろう?楽しみだな!
僕達は今、馬車で王宮に向かってるよ!
「う~ん……確かに、進路って考えたことなかったかも。」
昨日、シルファと話したことを馬車の中で皆に話すと、優依が一番最初に反応した。
「…私は決まってしまってるから…なんとも言えないね。」
「……確かに…カインは決まってるね……」
苦笑いしながら言ったカインにノインも苦笑いした。
「ん?決まってる?……あぁ…そういや第一王子だったな。」
「そういや…って……忘れてたの?今、カインとノインの家に向かってるのに?」
「……現実逃避だ…平民が王宮に行くんだぞ?現実逃避くらいさせてくれ……」
優依のツッコミにクロノスさんが遠い目をした。
「そんなこと言っても現実からは逃げれないのよ?諦めた方がいいわ。」
「……それもそうだな。」
クロノスさんがルナさんの言葉に同意した。
というより…ルナさんはいつもと変わらない感じだったから気にしてないかと思ってたけど……ルナさんはもう諦めちゃってたんだね……
「皆様、到着しました。」
御者さんが馬車のドアを開けてくれた。
「ありがとうございます。」
馬車から降りて王宮に入ると玄関ホールにいた使用人が頭を下げて挨拶する。
『王子殿下、王女殿下、お帰りなさいませ。ルーク様、ユイ様、ようこそいらっしゃいました。』
「ただいま。」
「ただいま戻りましたわ。」
「お邪魔します。」
「お邪魔いたします。」
僕達は貴族モードで返事をした。
「父上達はどこにいるか知ってるかい?」
「陛下から『いつもの応接室にいる』と仰せ付かっております。」
「……応接室?」
カインが心当たりがないといった感じで首を傾げた。
「カイン…多分、僕達がいつも陛下と話す時の応接室のことだと思うよ。」
僕がタメ口で話したからか、この場にいた使用人全員の視線が僕に集まった。
「なるほどね…ルーク達に向けての伝言ってことか……私達にすればいいのに……」
「まぁ…陛下らしいとは思うよ。」
「それもそうだね。……皆は仕事に戻っていいよ。私達は自分達で向かうから。」
『畏まりました。』
僕に集まっていた使用人の視線もカインの言葉で全部仕事に戻った。
「ご無沙汰しております、王子殿下、王女殿下。」
僕達が応接室に向けて歩いていると、ニーヴェ侯爵と会った。
「ご無沙汰しておりますわ。」
「そうだね、ニーヴェ侯爵。確か、私達のデビュタントの時以来かな。」
「左様でございます。殿下…少しルーク殿とユイ殿と話しても?」
「もちろん。」
カインの返事を聞いてから侯爵は僕と優依を見た。
「お久しぶりです、侯爵様。」
「久しぶり!私達とは…神聖国に行く前に応接室で話した時以来だね!」
周りに人もいないし、ニーヴェ侯爵は前世の事も知ってるから優依はかる~い感じで挨拶した。
「ええ、その時の息子…クオンの罰についてなのですが……」
あ……クオンが罰受けてたの忘れてた……
「実は……まだ、帰ってきてないのです……」
「「……は?」」
僕と優依の声が重なる。
え?なんで?あれから大分経ってるのに……
「最初に予定していた一週間なんですが……クオンには反省が全く見られなかったので、もう一週間追加したんですが……それでも反省は見られず、まだ辺境にいるのです。」
……まだ懲りてないの?ある意味感心出来るよ……
「え、えと……じゃあ、あの大人二人組みは?」
「その二人は予定通り、一週間で帰ってきました。」
優依の疑問にニーヴェ侯爵が答えた。
大の大人二人は懲りて帰ってきたみたい……
「それからはどうしてるの?」
「すっかり改心したようで辺境の貴族を悪く言う事もなくなりましたし、真面目に働いています。それなのにあの愚息は……」
愚息って……物腰柔らかい侯爵にここまで言わすとは……クオンも侮れないよ……ここまできたら怒りより呆れが強くなっちゃう……
「……夏期休暇の際に帰省されましても訓練所には行かない方がよろしいかと…よく癇癪を起こして暴れているそうなので……」
「そうですか…分かりました。わざわざありがとうございます。」
「いえ…辺境伯家にはご迷惑をおかけします……」
……ハァ…クオンを改心させようとしても無意味な気がしてきたよ……
「……そろそろ僕達は失礼しますね。陛下に待っていただいてるので…」
「!!そうだったのですね。引き留めてしまい申し訳ありません。」
「大丈夫だよ!だって相手は陛下だもん。笑って終わりだよ!」
優依がそんな風に言うけど……
「優依……多分『陛下だから』だよ……」
「あ…そういうことか。」
「うん、そういうこと。……では、侯爵様。僕達は失礼します。」
「はい。後日、よければ屋敷に招待させて下さい。私の妻も会いたがっていますので、一緒にお茶でも。」
「はい!是非!」
「では、またお手紙を送りますね。」
「はい!」
ニーヴェ侯爵の奥さんかぁ……どんな人なんだろう?楽しみだな!
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