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33.絡まれました
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少し離れた所から、言い争うような声が聞こえてきた。ちょっとガラの悪い大柄な男が女性に絡んでいるようだった。パシンと音が響き、女性が頬を叩いた。男が大きな声を出し、女性の手首を掴んでいた。周りの人は少し遠巻きに見ている。
どうしよう、とオロオロしているとカイルさんが立ち上がる。
「ハルカ、絶対ここでじっとしてろ。いいな。」
僕が頷くと、その騒ぎの方に駆けていった。それからは一瞬だった。その男の手首を掴んで背中側へぐるっと回して拘束し、地面に倒す。背中に片膝を乗せて動けないようにしている。
僕の方まで歓声と男の呻き声が聞こえたきた。
カイルさんすごい!
こんなに強かったんだ。男として憧れるなぁと感心していたら、僕とカイルさんの間に2人の男が立った。
その人たちを見ると、すぐそばで僕をニヤニヤ見ていた。耳が変なのがバレたのかな、と一瞬ヒヤリとする。
「お嬢ちゃんかわいいね。ひとり?」
気持ちの悪い猫撫で声に、ぞわりと鳥肌が立つ。
「一緒に来てる人がいるので、」
「えー、今ひとりでいたでしょ。そんな薄情な奴ほっとしてさ、俺たちとあっちいこうよ。」
断っても去る気配がない。なにこれカツアゲでもされるのかな。僕お金持ってないんだけど。
「いえ、結構ですから。痛っ。」
そう言ってる途中にぐいっと強く腕を引かれ、無理矢理立たされる。手を振りほどこうと体を捻って暴れると、頭のリボンが少しズレてしまう。
「何これ、ニセモノ?亜種?ま、珍しくてもかわいいからいーや、ほら、あっちいこうよ。」
ズルズルと引きずられそうになり、泣きたくなったが、必死で抵抗する。
「離せっ。」
「その汚い手を離せ。」
カイルさんの声がしたと思ったら、僕の腕を握っていた男が倒れた。次の瞬間、驚いているもう1人の男の腹にカイルさんの足がめり込む。倒れた2人を足蹴にすると、動かなくなった。
大丈夫かな、かすかにピクピクしてるけど。
「ハルカ!大丈夫かっ。」
フードを被せられ、縦に抱き上げられる。顔が近くに見えて安心する。
「はい、ありがとうございます。」
ちょっと強く握られたから痣になってるかもしれないけど、関節も痛くないし平気だろう。
「大佐、申し訳ありません!お連れの方に怪我は有りませんか。」
フードからのぞくと、軍服を着た人が倒れた男達を縄で縛っていた。警備担当なのだろうか、もう1人がカイルさんに近づく。
「ご苦労様。大丈夫のようだ。ただ酔っ払いが増える時間だ。気をぬくな。応援が必要なら呼ぶように。」
「はっ。」
キリッとした返事。軍は警察みたいな仕事もあるらしい。
お祭りの日なのに大変だな。カイルさんは降ろしてくれなさそうだから、そのままでぺこりと頭を下げてみた。
「お仕事、お疲れ様です。ありがとうございます。」
「俺たちは帰るが、よろしくな。」
カイルさん、ごみ!と言うと、テーブルの上にまとめておいた袋を片手で取り、そのまま歩き出す。
直立不動の警備の人たちに、首に手を回して捕まったままだったけど、一応さようなら、とだけ挨拶してその場を離れた。
どうしよう、とオロオロしているとカイルさんが立ち上がる。
「ハルカ、絶対ここでじっとしてろ。いいな。」
僕が頷くと、その騒ぎの方に駆けていった。それからは一瞬だった。その男の手首を掴んで背中側へぐるっと回して拘束し、地面に倒す。背中に片膝を乗せて動けないようにしている。
僕の方まで歓声と男の呻き声が聞こえたきた。
カイルさんすごい!
こんなに強かったんだ。男として憧れるなぁと感心していたら、僕とカイルさんの間に2人の男が立った。
その人たちを見ると、すぐそばで僕をニヤニヤ見ていた。耳が変なのがバレたのかな、と一瞬ヒヤリとする。
「お嬢ちゃんかわいいね。ひとり?」
気持ちの悪い猫撫で声に、ぞわりと鳥肌が立つ。
「一緒に来てる人がいるので、」
「えー、今ひとりでいたでしょ。そんな薄情な奴ほっとしてさ、俺たちとあっちいこうよ。」
断っても去る気配がない。なにこれカツアゲでもされるのかな。僕お金持ってないんだけど。
「いえ、結構ですから。痛っ。」
そう言ってる途中にぐいっと強く腕を引かれ、無理矢理立たされる。手を振りほどこうと体を捻って暴れると、頭のリボンが少しズレてしまう。
「何これ、ニセモノ?亜種?ま、珍しくてもかわいいからいーや、ほら、あっちいこうよ。」
ズルズルと引きずられそうになり、泣きたくなったが、必死で抵抗する。
「離せっ。」
「その汚い手を離せ。」
カイルさんの声がしたと思ったら、僕の腕を握っていた男が倒れた。次の瞬間、驚いているもう1人の男の腹にカイルさんの足がめり込む。倒れた2人を足蹴にすると、動かなくなった。
大丈夫かな、かすかにピクピクしてるけど。
「ハルカ!大丈夫かっ。」
フードを被せられ、縦に抱き上げられる。顔が近くに見えて安心する。
「はい、ありがとうございます。」
ちょっと強く握られたから痣になってるかもしれないけど、関節も痛くないし平気だろう。
「大佐、申し訳ありません!お連れの方に怪我は有りませんか。」
フードからのぞくと、軍服を着た人が倒れた男達を縄で縛っていた。警備担当なのだろうか、もう1人がカイルさんに近づく。
「ご苦労様。大丈夫のようだ。ただ酔っ払いが増える時間だ。気をぬくな。応援が必要なら呼ぶように。」
「はっ。」
キリッとした返事。軍は警察みたいな仕事もあるらしい。
お祭りの日なのに大変だな。カイルさんは降ろしてくれなさそうだから、そのままでぺこりと頭を下げてみた。
「お仕事、お疲れ様です。ありがとうございます。」
「俺たちは帰るが、よろしくな。」
カイルさん、ごみ!と言うと、テーブルの上にまとめておいた袋を片手で取り、そのまま歩き出す。
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