拾われた後は

10.教えてもらいました

  しばらく額を押さえてぼーとしてると、目の前のドアがノックされた。慌てて開けるとマリアさんが立っていた。

「よろしいですか？少しお話をしましょうか。」

「はい。どうぞ入ってください。」

   ソファに座ると目の前にあたたかなお茶が置かれる。マリアさんが立ったままなので、遠慮されたが、お願いして座ってもらった。

「ご主人様はお仕事なので、今日は私がお相手しますね。色々お聞きになりたいこともあるでしょう。私が答えらる範囲でお教えしますね。」

「そんな、マリアさんもお仕事あるでしょうから、僕のことは。」

「今日の私のお仕事はハルカ様のお相手をするよう言付かってますから。」

   笑顔でそう言われしまう。カイルさんが僕が寂しがったりしないようにしてくれたのかな。

「もちろん、お仕事でなくても大歓迎なのです。私の今日の楽しみを奪わないで下さい。」

   そこまで言われたら、甘えることにして色々教えてもらおう。いつ迄かは分からなくてもここで生活していかないといけないし、最悪、1人で働いて生きてかなきゃいけないだろう。

「では、よろしくお願いします。
でも僕のこと様付はやめて下さい。僕はたたのお世話になっているだけの人間なので。
あと、敬語もやめてもらえると嬉しいです。」

   ぺこりと頭を下げる。少しの間、押し問答になったけどマリアさんが折れてくれた。

「わかったわ。でも女中頭のメリッサさんと執事のディルさんに見つかると怒られちゃうから、内緒ね。」  

「はい。」 

「それにしても、ハルカくんはなんてかわいいの！初めて出会うかわいさだわ～。髪はつやつやさらさら、ほっぺすべすべで。」

 「あ、あのっ！このうちのことまず教えてください！」

  急に昨日の初対面と同じ勢いで話し出したマリアさんを慌てて止める。小さいとかかわいいはおいといて、止めなければ延々続きそうただ。
   言っとくけど僕は成長期前で童顔なだけだ！


「そうね、ごめんね。
うーん、この屋敷のご主人様は朝出かけていったカイル様。お仕事は王国軍で大佐っていう偉い位置にいらっしゃるの。ヴァング家って名門のお家の出だけど、それだけじゃなくお仕事もできるすごい方よ。

    この国は2つの種族がいて、犬と狼それぞれを先祖に持つの。ちなみに王様とか名家の方々は大体狼ね。後、一般の人はほとんど犬よ。」

   とにかくこの世界のことを知しらなくちゃと午前をほとんどマリアさんに付き合ってもらい過ごした。

  いろんなことが分かったけど、とにかくここは所謂獣人の国で、僕がいた世界とは違うってことだった。