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26.友人のこと1
しおりを挟む※エミリオサイド
いつものように遠慮なく夕飯をご馳走になり、カイルの自室に移動した。
ここにくる前、ハルカくんを部屋まで送り届けるのにくっついて行ったけど、カイルは別れ際、何度も1人でお風呂に入る時の注意を繰り返していた。さらに、やっぱり心配だから見てると言い出す始末。
子供じゃないからと必死に断って、赤い顔で必ず気をつけると、何度も約束させられていたハルカくんがちょっと気の毒になるくらいだった。
こんなに過保護な奴だっけ?
こいつ子供できたらこんな感じになっちゃうのかなーと想像したけど、なんか違うな。
ことりと琥珀色の液体が入ったグラスを目の前に置かれる。強めの酒だが、いつもさらりと高級品を出してくる。
「迷い人の資料読んだことあるか?」
唐突に向かいのソファに座ったカイルが聞いてくる。
「いや、ちゃんとはないな。お前詳しいの?」
珍しく言いよどんでいる。
「機密文書扱いだ。迷い人の記録があるのはこの500年で2人だ。
1人目は500年前、耳と尻尾のないニンゲンという種族の成人男性が西の森に現れている。
彼は違う世界の知識を王にもたらし、ある分野は飛躍的に発達した。しかし、異端として忌み嫌う勢力もあったようだ。はっきりと記されていないが、どうやら徐々に精神を病み、その結果、約3年後自ら命を絶ったらしい。」
重い沈黙が、一時流れた。
「まぁ、突然違う世界に独りきりで、孤独に耐えられなかったのかもな。」
「ああ。だから、俺はハルカを同じ目に合わせたくないんだ。陛下にも改めて直々に、保護を任せると命を受けた。」
カイルはグラスに口をつけた。
「…あの子はまだ小さな子供だ。」
じっとグラスを見つめて呟く。
確かにかわいい子狼みたいな子だ。艶のある黒髪に黒目がちの瞳。控え目で、あの笑顔を見ると、華奢な体をぎゅーってしたくなる。
しかし、ハルカくんは迷い人だ。本来なら王宮で保護し、今後のことを検討するのが妥当だろう。
もちろんそれはカイルも承知の上だろうけど。
ハルカくんが現れてから、初めてみる友人の姿。お前そんなキャラだっけ、と何回も心の中で突っ込んだね。
面倒見はいいけど、どちらかと言うと一線を引く、クールなタイプだったはずだ。仕事以外で子供や女性と接近してるのを見たことがない。
俺は友人として、お前には幸せになってほしいわけ。ハルカくんがせめて後、10才くらい上の女の子だったらまだ良かったになぁ。
俺が知らなかっただけで、もしかしてカイルって……。
「ねえ、ここだけの話、カイルって小さい男の子に、その、関心があったわけ?」
言い終わらないうちに、物凄く冷たい軽蔑の目で見られた。そうだよね。すみません。
「ん?そいや、ハルカくんっていくつ?」
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