拾われた後は

なか

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46.謝ります

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   朝ごはんの前、マリアさんとメリッサさん、ディルさん其々に謝りに行った。
   3人とも何も言わず、抱きしめてくれた。マリアさんとメリッサさんには涙ぐまれてしまい、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいになる。軽率な僕の行動を反省するしかない。


   その場にいないケリーさんを探しにいくと、馬にエサをあげていた。僕に気づいて笑顔を見せてくれる。

「昨日は助けてくれてありがとうございました。ご迷惑をかけてすみませんでした。」

「ハルカ様、私はあなたの護衛も任されていたのに、危険な目に合わせて、申し訳なく思ってます。罰こそ受けても、お礼を言われることではないんですよ。」

「護衛?」

   そんなこと初めて知った。顔に出ていたのだろう。ケリーさんが自分は元軍人で、屋敷での僕の護衛を頼まれていたことを話してくれた。それなのに、こっそりいなくなるなんて、ひどいことをしてしまった。

「ケリーさん、本当にごめんなさい。」

「気にしないでください。それに、あなたがいなくなると、皆もだけど、クロスが泣きますからね。泣かさないでやってください。今朝はいつもより張り切って朝食作ってますよ。」

「はい。これからもよろしくお願いします。」

   改めてみると、確かにケリーさんは精悍な感じで、がっちりとしていて、軍にいたと言っても納得してしまう。

   ケリーさんはそうだと言って、その大きな手でポケットから小さな布に包んだ物を取り出し、渡してくれた。開けてみるとそれは、昨日無くしたと思っていたペンダントだった。

   嬉しくて、思わず抱きつく。ケリーさんは照れたように、手を自分の服でゴシゴシした後、頭を撫でてくれた。

「切れていたので、直してあります。私は手先が器用ではないので、やったのはクロスですけど。」

   何度もお礼を言って、ケリーさんに厨房に行くよう促されて、屋敷の中に戻る。


   そっと厨房を覗くと、クロスさんがすぐに僕に気づいて駆け寄ってきた。そして、僕の腫れた頬に気づくと、泣き出した。

「心配かけして、本当にごめんなさい。」

「かわいそうに、可愛い顔が腫れてるじゃないか。ひどい目にあって。俺の弟子になんてことするんだ。誰だか知らないが、みじん切りにしてやる。
   お前、もうどっか行くんじゃないぞ!」

   ズビズビ泣きながら、クロスさんは僕の頭をぐりぐり撫でてくれた。ケリーさんはこれを予想してたのか。

「ごめんなさい。泣かないでください。」

「泣いてない!」

   そんな無茶を言うクロスさんに、思わず笑ってしまった。

「約束破ろうとしてごめんない。昨日のスープ、嬉しかったです。また、作り方教えてくれますか?」

「当たり前じゃないか!怪我が治ったら、また一緒に料理しような。」

  まだまだ泣きそうなクロスさんとこれ以上いたら仕事が進まず、迷惑をかけてしまう。
   自分のせいだけど、心が痛い。この傷はきっと皆を傷つけて、心配させた僕への罰だと思う。

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