21 / 140
第21話 忙しくも楽しい日々
しおりを挟む
私たちは超特急で旅の準備を終え、逃げる様に王都を後にした。
運が良かったのは、移動のための幌馬車を手に入れたことと、御者兼お世話係として名乗り出てくれた、メイドのエマさんという強力な仲間が出来たことだ。
それで私達の旅はぐっと楽になった。
そして、出来る事も……。
「はい、エマさんそこで照れない! もっとぐっと手を上げて!」
「は、はいっ」
昼下がりの道中。馬を休ませるついでに私達は食事を始めたのだが地面に足が付いている時間は貴重だ。
という事で、早々に食べ終わった私は、エマさんにダンスの指導をしていた。
まあ、本格的なダンスの事は全然知らなくて、見よう見まねで覚えたMMDのダンスだけど。
「何やってるの! そこはもっとぴょんぴょん跳んで胸を揺らすところでしょっ! エマさん自分の武器の使い方分かってんのっ!?」
「ひ、ひゃいぃっ!」
「もっとよもっと! ああもう、下着外してノーブラになりなさいっ! そっちのが揺れるからっ」
「いやぁぁぁっ!!」
私怨? 籠ってないない。全然ない。怒ってなんかないし、羨ましくもないもんね。
金髪巨乳三つ編みメイドのエマさんが、実は今年で十六歳になって、私より一学年下なのにその背と胸はどうなってんの何食べたのちくしょうとか全然思ってないから。
「で、殿下ぁ~。助けてくださいぃ~」
目を回したエマさんが、ついにグラジオスに助けを求めた。何故グラジオスかと言うと、護衛の兵士たちはこの状態の私を恐れて警備などという理由をつけて逃走してしまっているからだ。
唯一この場に残って馬の番をしていたグラジオスだが、その顔にはハッキリ「止めろ、俺を巻き込むな」と書いてあった。
それでもエマさんは貞操の危機とばかりに両手を胸の前で祈る様に合わせ、半泣きになりながら食い下がる。その恐怖に歪んだ顔は、何とも言えない色気を放っていて、ちょっと変な趣味に目覚めてしまいそうだ。
「お願いしまずぅぅ~」
そんな庇護欲をそそるエマさんに心動かされたか、グラジオスは頭を掻きながら私の方を向いた。
「……はぁ、雲母。もう少し勘弁してや……」
「グラジオス。ICレコーダーで音楽聞いてていいよ」
「エマ、雲母の言う事をよく聞くんだぞ」
「そんなぁぁぁっ!!」
欲に負けたグラジオスの手のひらは、ドリルのようにぐるっぐる回った。
ふっふっふっ……甘い。私が一番グラジオスをうまく扱えるのだ。そのグラジオスに助けを求めたって無駄に決まっている。
「あ、充電はしといてね」
「分かっている」
いそいそと馬車へ向かうグラジオスの背中に声を投げかけてから、私はエマさんの練習に戻った。
仕方ない、ノーブラはさすがに勘弁してあげよう。……その分揺らしてもらうけど。
そんな風にして、私達は意外に楽しい一週間の旅路を過ごしたのだった。
王都に居た時よりも、ずっと。
私たちは馬に乗る護衛の兵士達と共に砦の中に入った。
何の連絡もしていないし、する時間も無かったため、砦側からは私達を王都に送り届けた兵士が帰って来た程度にしか認識していないはずだ。
だというのに一兵士たちの出迎えに、わざわざモンターギュ侯爵も姿を現した。
侯爵は兵士一人一人に声をかけながら私達の居る幌馬車の方にまでやってきて、
「ひ、久しいな、モンターギュ卿」
「お久しぶりです~。また来ちゃいました~。あは、あはははは……」
「で、殿下!?」
私たちの姿を認めて目を白黒させた。
「どど、どういう事ですか!? お、お前達! 殿下を王都に送り届けたのではなかったのか!?」
あ~、パニくってるパニくってる。そうだよね。片道馬で一週間かかるのに、三週間かかって帰ってきたらグラジオスも一緒って。意味分かんないよね。
え、きちんと行った? ってなるよね。
「落ち着け、モンターギュ卿。私達は確かに王都まで向かったし彼らは任務を遂行した。だが、私を……」
「私達!」
重要な事だから訂正しておく。
グラジオスも頷くと、訂正に応じてくれた。
「……私達を帝国への使者として送るという新たな任務を父上から申し付かったというわけだ」
事情を説明されても、侯爵は未だに理解が及んでいないのか、固まったままだ。
常識的に考えて、それも仕方ない事だろう。これほど連続して王太子があちこち動き回るなど、そうそうあるわけが無い。
だから私はもっと率直に説明することにした。
「グラジオス、いじめられてるんです」
私のとんでもなく歯に衣着せぬ物言いに、馬車から降りて馬の手綱を握っていたエマさんが思わず吹き出してしまう。
「待て、その言い方はなんだ」
「え、事実でしょ? それとも虐待の方が良かった?」
あれはどう見てもそうとしか思えない、悪意にまみれた行為だ。
「あれは父上なりに私の事を考えて下さっているだけだ。そのような下賤な行いではないっ」
虐待されている側は、だんだん自分の方が悪いから責められるんだって思うようになっちゃうって言うけど、グラジオスも歪んじゃってるなぁ、これ。
まったく、仕方ない。これは時間をかけて矯正してあげるしかないよね。
「分かったから。今はモンターギュ侯爵の方が先でしょ」
「む。そ、そうだな」
侯爵は、私の言葉に何か覚えがあったのか、顎に手を当てて無言で頷いている。
あまり王都に来たことが無いと言っていたモンターギュ侯爵ですら噂に知っているくらいだ。この話は相当有名なのだろう。
「モンターギュ侯爵、そういう事です」
「……なるほど、そういう事ですか。理解しました。礼を言います、イイノヤ様」
グラジオスを他所に、侯爵と二人して頷き合う。グラジオスを通して心が通じ合った瞬間だった。
「……モンターギュ卿、陛下のお言葉も伝えたいが、何よりあれからどうなったのか情報が欲しい」
「分かりました。ではその事も含めて……前にお通ししました客間は覚えていらっしゃいますでしょうか? そちらで伺います」
「ああ、頼む」
どうやら話はまとまった様であった。となれば……。
「すみません、モンターギュ侯爵。私とエマさんは別行動させて……というか、歌わせていただきたいのですがよろしいですか?」
「ええぇぇっ!?」
エマさんの抗議は無視する。このことに置いて決定権は彼女にはないのだ。理由? 私が歌いたいから。
エマさんに度胸を付けてもらうって理由が二番目くらいにあるけど。
「イイノヤ様は相変わらずですなぁ……」
お褒めにあずかり光栄の至り。歌は私の存在意義で、歌を私から取ったら何も残らないし、仕方ないよね。
「兵隊さんたちの慰問にもなりますから、ね? ね?」
私は両手を顔の前で合わせて必死にお願いした。
グラジオスの、お前が歌いたいだけだろう、みたいな視線が突き刺さるが、これも無視。
目的のためには理由なんて些細な事だ。
「あまり兵たちの気が抜けるのはよくないのですが……」
「え~……」
「イイノヤ様たっての頼みとあらば仕方ありませんな。許可いたしましょう」
「やった!」
私は許可が貰えたことを、躍り上がって喜んだ。一方、エマさんの方はそんなぁ~とうな垂れている。も~、後でお仕置きしちゃうからね。
「ですが、出来れば私が見られる時にしていただきたいですな」
「それはもちろんですっ! ありがとうございますっ!!」
喜ぶ私を、モンターギュ侯爵はまるでおじいちゃんみたいに柔らかい笑みを湛えて見つめてくれていた。
貴族って、いけ好かない人達ばかりではなくこういう人も居るのだと、改めて私は理解したのだった。
運が良かったのは、移動のための幌馬車を手に入れたことと、御者兼お世話係として名乗り出てくれた、メイドのエマさんという強力な仲間が出来たことだ。
それで私達の旅はぐっと楽になった。
そして、出来る事も……。
「はい、エマさんそこで照れない! もっとぐっと手を上げて!」
「は、はいっ」
昼下がりの道中。馬を休ませるついでに私達は食事を始めたのだが地面に足が付いている時間は貴重だ。
という事で、早々に食べ終わった私は、エマさんにダンスの指導をしていた。
まあ、本格的なダンスの事は全然知らなくて、見よう見まねで覚えたMMDのダンスだけど。
「何やってるの! そこはもっとぴょんぴょん跳んで胸を揺らすところでしょっ! エマさん自分の武器の使い方分かってんのっ!?」
「ひ、ひゃいぃっ!」
「もっとよもっと! ああもう、下着外してノーブラになりなさいっ! そっちのが揺れるからっ」
「いやぁぁぁっ!!」
私怨? 籠ってないない。全然ない。怒ってなんかないし、羨ましくもないもんね。
金髪巨乳三つ編みメイドのエマさんが、実は今年で十六歳になって、私より一学年下なのにその背と胸はどうなってんの何食べたのちくしょうとか全然思ってないから。
「で、殿下ぁ~。助けてくださいぃ~」
目を回したエマさんが、ついにグラジオスに助けを求めた。何故グラジオスかと言うと、護衛の兵士たちはこの状態の私を恐れて警備などという理由をつけて逃走してしまっているからだ。
唯一この場に残って馬の番をしていたグラジオスだが、その顔にはハッキリ「止めろ、俺を巻き込むな」と書いてあった。
それでもエマさんは貞操の危機とばかりに両手を胸の前で祈る様に合わせ、半泣きになりながら食い下がる。その恐怖に歪んだ顔は、何とも言えない色気を放っていて、ちょっと変な趣味に目覚めてしまいそうだ。
「お願いしまずぅぅ~」
そんな庇護欲をそそるエマさんに心動かされたか、グラジオスは頭を掻きながら私の方を向いた。
「……はぁ、雲母。もう少し勘弁してや……」
「グラジオス。ICレコーダーで音楽聞いてていいよ」
「エマ、雲母の言う事をよく聞くんだぞ」
「そんなぁぁぁっ!!」
欲に負けたグラジオスの手のひらは、ドリルのようにぐるっぐる回った。
ふっふっふっ……甘い。私が一番グラジオスをうまく扱えるのだ。そのグラジオスに助けを求めたって無駄に決まっている。
「あ、充電はしといてね」
「分かっている」
いそいそと馬車へ向かうグラジオスの背中に声を投げかけてから、私はエマさんの練習に戻った。
仕方ない、ノーブラはさすがに勘弁してあげよう。……その分揺らしてもらうけど。
そんな風にして、私達は意外に楽しい一週間の旅路を過ごしたのだった。
王都に居た時よりも、ずっと。
私たちは馬に乗る護衛の兵士達と共に砦の中に入った。
何の連絡もしていないし、する時間も無かったため、砦側からは私達を王都に送り届けた兵士が帰って来た程度にしか認識していないはずだ。
だというのに一兵士たちの出迎えに、わざわざモンターギュ侯爵も姿を現した。
侯爵は兵士一人一人に声をかけながら私達の居る幌馬車の方にまでやってきて、
「ひ、久しいな、モンターギュ卿」
「お久しぶりです~。また来ちゃいました~。あは、あはははは……」
「で、殿下!?」
私たちの姿を認めて目を白黒させた。
「どど、どういう事ですか!? お、お前達! 殿下を王都に送り届けたのではなかったのか!?」
あ~、パニくってるパニくってる。そうだよね。片道馬で一週間かかるのに、三週間かかって帰ってきたらグラジオスも一緒って。意味分かんないよね。
え、きちんと行った? ってなるよね。
「落ち着け、モンターギュ卿。私達は確かに王都まで向かったし彼らは任務を遂行した。だが、私を……」
「私達!」
重要な事だから訂正しておく。
グラジオスも頷くと、訂正に応じてくれた。
「……私達を帝国への使者として送るという新たな任務を父上から申し付かったというわけだ」
事情を説明されても、侯爵は未だに理解が及んでいないのか、固まったままだ。
常識的に考えて、それも仕方ない事だろう。これほど連続して王太子があちこち動き回るなど、そうそうあるわけが無い。
だから私はもっと率直に説明することにした。
「グラジオス、いじめられてるんです」
私のとんでもなく歯に衣着せぬ物言いに、馬車から降りて馬の手綱を握っていたエマさんが思わず吹き出してしまう。
「待て、その言い方はなんだ」
「え、事実でしょ? それとも虐待の方が良かった?」
あれはどう見てもそうとしか思えない、悪意にまみれた行為だ。
「あれは父上なりに私の事を考えて下さっているだけだ。そのような下賤な行いではないっ」
虐待されている側は、だんだん自分の方が悪いから責められるんだって思うようになっちゃうって言うけど、グラジオスも歪んじゃってるなぁ、これ。
まったく、仕方ない。これは時間をかけて矯正してあげるしかないよね。
「分かったから。今はモンターギュ侯爵の方が先でしょ」
「む。そ、そうだな」
侯爵は、私の言葉に何か覚えがあったのか、顎に手を当てて無言で頷いている。
あまり王都に来たことが無いと言っていたモンターギュ侯爵ですら噂に知っているくらいだ。この話は相当有名なのだろう。
「モンターギュ侯爵、そういう事です」
「……なるほど、そういう事ですか。理解しました。礼を言います、イイノヤ様」
グラジオスを他所に、侯爵と二人して頷き合う。グラジオスを通して心が通じ合った瞬間だった。
「……モンターギュ卿、陛下のお言葉も伝えたいが、何よりあれからどうなったのか情報が欲しい」
「分かりました。ではその事も含めて……前にお通ししました客間は覚えていらっしゃいますでしょうか? そちらで伺います」
「ああ、頼む」
どうやら話はまとまった様であった。となれば……。
「すみません、モンターギュ侯爵。私とエマさんは別行動させて……というか、歌わせていただきたいのですがよろしいですか?」
「ええぇぇっ!?」
エマさんの抗議は無視する。このことに置いて決定権は彼女にはないのだ。理由? 私が歌いたいから。
エマさんに度胸を付けてもらうって理由が二番目くらいにあるけど。
「イイノヤ様は相変わらずですなぁ……」
お褒めにあずかり光栄の至り。歌は私の存在意義で、歌を私から取ったら何も残らないし、仕方ないよね。
「兵隊さんたちの慰問にもなりますから、ね? ね?」
私は両手を顔の前で合わせて必死にお願いした。
グラジオスの、お前が歌いたいだけだろう、みたいな視線が突き刺さるが、これも無視。
目的のためには理由なんて些細な事だ。
「あまり兵たちの気が抜けるのはよくないのですが……」
「え~……」
「イイノヤ様たっての頼みとあらば仕方ありませんな。許可いたしましょう」
「やった!」
私は許可が貰えたことを、躍り上がって喜んだ。一方、エマさんの方はそんなぁ~とうな垂れている。も~、後でお仕置きしちゃうからね。
「ですが、出来れば私が見られる時にしていただきたいですな」
「それはもちろんですっ! ありがとうございますっ!!」
喜ぶ私を、モンターギュ侯爵はまるでおじいちゃんみたいに柔らかい笑みを湛えて見つめてくれていた。
貴族って、いけ好かない人達ばかりではなくこういう人も居るのだと、改めて私は理解したのだった。
1
あなたにおすすめの小説
『身長185cmの私が異世界転移したら、「ちっちゃくて可愛い」って言われました!? 〜女神ルミエール様の気まぐれ〜』
透子(とおるこ)
恋愛
身長185cmの女子大生・三浦ヨウコ。
「ちっちゃくて可愛い女の子に、私もなってみたい……」
そんな密かな願望を抱えながら、今日もバイト帰りにクタクタになっていた――はずが!
突然現れたテンションMAXの女神ルミエールに「今度はこの子に決〜めた☆」と宣言され、理由もなく異世界に強制転移!?
気づけば、森の中で虫に囲まれ、何もわからずパニック状態!
けれど、そこは“3メートル超えの巨人たち”が暮らす世界で――
「なんて可憐な子なんだ……!」
……え、私が“ちっちゃくて可愛い”枠!?
これは、背が高すぎて自信が持てなかった女子大生が、異世界でまさかのモテ無双(?)!?
ちょっと変わった視点で描く、逆転系・異世界ラブコメ、ここに開幕☆
辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました
腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。
しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。
中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています
浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】
ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!?
激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。
目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。
もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。
セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。
戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。
けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。
「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの?
これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、
ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。
※小説家になろうにも掲載中です。
子供にしかモテない私が異世界転移したら、子連れイケメンに囲まれて逆ハーレム始まりました
もちもちのごはん
恋愛
地味で恋愛経験ゼロの29歳OL・春野こはるは、なぜか子供にだけ異常に懐かれる特異体質。ある日突然異世界に転移した彼女は、育児に手を焼くイケメンシングルファザーたちと出会う。泣き虫姫や暴れん坊、野生児たちに「おねえしゃん大好き!!」とモテモテなこはるに、彼らのパパたちも次第に惹かれはじめて……!? 逆ハーレム? ざまぁ? そんなの知らない!私はただ、子供たちと平和に暮らしたいだけなのに――!
【完結】身分を隠して恋文相談屋をしていたら、子犬系騎士様が毎日通ってくるんですが?
エス
恋愛
前世で日本の文房具好き書店員だった記憶を持つ伯爵令嬢ミリアンヌは、父との約束で、絶対に身分を明かさないことを条件に、変装してオリジナル文具を扱うお店《ことのは堂》を開店することに。
文具の販売はもちろん、手紙の代筆や添削を通して、ささやかながら誰かの想いを届ける手助けをしていた。
そんなある日、イケメン騎士レイが突然来店し、ミリアンヌにいきなり愛の告白!? 聞けば、以前ミリアンヌが代筆したラブレターに感動し、本当の筆者である彼女を探して、告白しに来たのだとか。
もちろんキッパリ断りましたが、それ以来、彼は毎日ミリアンヌ宛ての恋文を抱えてやって来るようになりまして。
「あなた宛の恋文の、添削お願いします!」
......って言われましても、ねぇ?
レイの一途なアプローチに振り回されつつも、大好きな文房具に囲まれ、店主としての仕事を楽しむ日々。
お客様の相談にのったり、前世の知識を活かして、この世界にはない文房具を開発したり。
気づけば店は、騎士達から、果ては王城の使者までが買いに来る人気店に。お願いだから、身バレだけは勘弁してほしい!!
しかしついに、ミリアンヌの正体を知る者が、店にやって来て......!?
恋文から始まる、秘密だらけの恋とお仕事。果たしてその結末は!?
※ほかサイトで投稿していたものを、少し修正して投稿しています。
ブラック企業に勤めていた私、深夜帰宅途中にトラックにはねられ異世界転生、転生先がホワイト貴族すぎて困惑しております
さくら
恋愛
ブラック企業で心身をすり減らしていた私。
深夜残業の帰り道、トラックにはねられて目覚めた先は――まさかの異世界。
しかも転生先は「ホワイト貴族の領地」!?
毎日が定時退社、三食昼寝つき、村人たちは優しく、領主様はとんでもなくイケメンで……。
「働きすぎて倒れる世界」しか知らなかった私には、甘すぎる環境にただただ困惑するばかり。
けれど、領主レオンハルトはまっすぐに告げる。
「あなたを守りたい。隣に立ってほしい」
血筋も財産もない庶民の私が、彼に選ばれるなんてあり得ない――そう思っていたのに。
やがて王都の舞踏会、王や王妃との対面、数々の試練を経て、私たちは互いの覚悟を誓う。
社畜人生から一転、異世界で見つけたのは「愛されて生きる喜び」。
――これは、ブラックからホワイトへ、過労死寸前OLが掴む異世界恋愛譚。
異世界から来た娘が、たまらなく可愛いのだが(同感)〜こっちにきてから何故かイケメンに囲まれています〜
京
恋愛
普通の女子高生、朱璃はいつのまにか異世界に迷い込んでいた。
右も左もわからない状態で偶然出会った青年にしがみついた結果、なんとかお世話になることになる。一宿一飯の恩義を返そうと懸命に生きているうちに、国の一大事に巻き込まれたり巻き込んだり。気付くと個性豊かなイケメンたちに大切に大切にされていた。
そんな乙女ゲームのようなお話。
転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。
琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。
ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!!
スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。
ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!?
氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。
このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる