85 / 140
第84話 なーかせたーなーかせた
しおりを挟む
「こうなればエマもその最終兵器を使うしかないと思うの。大丈夫。大きさではシャムさんの倍近くあるじゃない」
「ああ、はい。そうですね……」
ダメだ。いつもなら過剰に反応して逃げ回ってくれるのに、今日は一切反応してくれない。
それほどダメージを受けているみたいだった。
「……エマ、グラジオス好きだよね」
「ああはい、そうですね……」
エマが戦う前から敗北者になってしまっていた。
完全にもうどうでもいいです好きにしてくださいって感じだ。
私はがっくりと肩を落としてうな垂れた後、エマの隣に腰掛ける。
しかしそれ以上は何もできず、身を寄り添わせる事しかできなかった。
「……雲母さん」
「なに~」
そんなエマが突然口を開いた。
……相変わらず幽霊みたいに生気のない声だったけれど。
「雲母さんはどう思ってるんですか?」
「どうって……?」
「殿下に対してです。時折その……思わせ振りな態度する時あるじゃないですか」
そういう風に見えていたのだろうか。なんというか、私的にはそういうつもりは無かったのだけど。
確かにグラジオスの事は憎からず思っている所はある。というか多分私の人生の中で一番仲が良い異性がグラジオスだ。
でも――。
「私ね。そういう相手、作りたくないんだ」
「……どうしてですか?」
正直、なんと言っていいか困る。
理由を説明したくないのではない。説明しづらいのだ。
「私ね……この……国というか大陸に来たの、自分の意志じゃないんだ」
本当は大陸どころが異世界からやって来たのだ。しかもその方法だって分からない。
パソコンの前に座っていたら、いつの間にかこの世界に居たのだから。
そんな事を言っても信じる信じない以前に理解すら出来ないだろう。
実際グラジオスもあんまり分かって無かったみたいだし。
「だから、もしかしたらいきなり連れ戻されるかもしんないの」
いきなり異世界に転移したのだから、その逆だって十分に起こりうるはずだ。
「それは……」
エマはその先どう言っていいのか分からなかったのか、続きを言葉にしないまま口を閉ざす。
「私が望む望まないに関わらずね。連れ戻される時が来たとしたら、嫌とか言えないし、エマたちに御別れも言えないと思うの」
「そ、そんなのあんまりですよ。どんな人たちがやってくるか分かりませんけど、私や殿下やハイネさん達でキララさんの事守りますっ。絶対連れて行かせたりしませんっ」
……嬉しかった。
私の事をそんなに求めていてくれるなんて思っても無かったから。
いや、そうだったらいいなって思ってはいたけど、実際言われると涙が出そうになるくらい嬉しい。
私は思わずエマに抱き着いてしまった。
エマも私の事を迷わず抱き返してくれる。
いつもはちょっと腹が立つエマのふくらみが胸にあたっても、今は素直に許すことが出来た。
「ありがと。そんな感じだから……そういう人はちょっと作りたくないなって。まあ、こんなに想ってくれる友達が出来ちゃった時点で遅い気もするけど」
「雲母さんは帰りたいんですか?」
「う~ん。絶対に帰りたくないって言ったら嘘になるんだけど……」
お父さんお母さんに会いたいし、向こうの友達にも会いたい。
そこで気付く。私の中ではまだ帰るなんだって。
こっちが主体になっていなかった事に。
だから私は……。
「……ごめんね」
「謝る事じゃないですよ。誰だって故郷に対して未練があるのは当たり前ですから」
そうじゃない。そうじゃないんだけど……。
私は自分の気持ちに嘘をついて、蓋をして、心の奥底に封印する。
こんなに大切に想われているのに、仲間だと家族だと想われているのに、私は自分の事をお客様だって考えてるってことを知られたくなかったから。
「エマたちとこうして暮らしてるとすっごく幸せ。大好き」
「私も雲母さんが大好きです」
「ああもう、やっぱりエマは私がお嫁さんにする。俺の嫁~」
「ダメです、お断りします」
「う~あ~フラれた~~っ」
私達は風に笑い合って、じゃれ合って精一杯今の時間を楽しむ。
友達……親友との時間を。
「あ、でも雲母さんも誰かを好……」
エマが何かを言おうとしたその瞬間、コンコンとドアがノックされた。
私は慌てて抱擁を止めると、おかしな所がないか服装を軽くチェックしてからノックの主に許可を出した。
「失礼いたしますわ」
部屋に入って来たのは意外な事にシャムだった。
いつもの明るい表情とは違って、深刻そうな面持ちである。
「どうしたんですか?」
私達は別にシャムの事が嫌いなわけではない。どちらかと言うと好きな方だ。
一生懸命でいい娘だし、変な裏も無いので嫌う理由がない。
私が腹を立てているのはグラジオスに対してであって、この娘にではないのだ。
「キララ様にお願いがあって参りました」
その先は言われなくても察しがついた。この娘の行動原理はグラジオスしかないのだから。
「わたくしに歌のお稽古をつけてくださいませんか? もちろん謝礼はお支払いいたしますわ」
予想通りのお願いをしてきたシャムに対し……。
「うん、ダメです」
私は即座に断った。
もちろん意地悪とかじゃなく理由はきちんとある。
「な、なぜですの?」
「……シャムさんはなんで私に歌を教わりたんですか?」
「それはもちろん、グラジオス殿下に上手な歌をお聞かせしたいからですわ」
シャムは相変わらず予想通りの答えを返して来た。まっすぐで一途なのはいいけれど、もう少し絡め手というかズルさを知ってもいいのではないだろうかと少し心配になる。
「それが教えない理由です」
ため息をつきながら指摘したのにも関わらず、シャムはきょとんとしている。
やはり分かっていない様だ。分からない時点でアウトだというのに。
「私が歌うのは、歌いたいからです」
もちろんエマもそうだ。
エマは最初こそグラジオスに付き合う形で始めたのだが、それならグラジオスより竪琴の腕前が上になるほど練習する必要はない。
適当に下手くそなままで居て、グラジオスに教わった方が気を引けるだろう。
でもわざわざ一人でも練習をして上手くなった。そこにはきちんと理由があるはずで、それを見抜いた私が無理やり連れ回した結果、見事歌馬鹿の仲間入りを果たしたというわけだ。
「ただ上手に歌いたいだけなら私より教えるのが上手い人はいっぱい居ます。そっちを頼った方が上達できますよ」
音楽とは自らの内側にある衝動を出す行為なのだ。
理由が内に無い人は、始めから音楽に向いていない。
「で、ですがそれでも私はグラジオス殿下と一緒に……」
「そこが勘違いなんです。私もグラジオスも、歌が好きだから一緒に居るんです。一緒に居るために無理して歌っているわけじゃないんです。好きでもないのに歌われても迷惑です。グラジオスも絶対にそう言います」
遠謀深慮の欠片も無い、あまりにもドストレート過ぎる物言いに、シャムは始め鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしていたのだが、時間が経つにつれて表情を変えていき……。
「…………うぐっ……ふあっ……」
とうとう泣き出してしまった。
私は慌てて棚から綺麗なハンカチを取り出すと、謝りながらシャムの顔に押し当てる。
エマもシャムの傍まで行き、背中を撫でて慰め始めた。
……ちょっと、エマの視線が痛い。
「え、えっとですね。無理してっていうところがグラジオスも引っ掛かるところだと思うんで、無理にじゃなければいいと思いますよ」
慌ててフォローをするが、シャムの美しい藍色の瞳からはとめどなく涙が溢れ出る。
シャムはしばらく嗚咽を繰り返しながらその場に立ち尽くしていた。
「ああ、はい。そうですね……」
ダメだ。いつもなら過剰に反応して逃げ回ってくれるのに、今日は一切反応してくれない。
それほどダメージを受けているみたいだった。
「……エマ、グラジオス好きだよね」
「ああはい、そうですね……」
エマが戦う前から敗北者になってしまっていた。
完全にもうどうでもいいです好きにしてくださいって感じだ。
私はがっくりと肩を落としてうな垂れた後、エマの隣に腰掛ける。
しかしそれ以上は何もできず、身を寄り添わせる事しかできなかった。
「……雲母さん」
「なに~」
そんなエマが突然口を開いた。
……相変わらず幽霊みたいに生気のない声だったけれど。
「雲母さんはどう思ってるんですか?」
「どうって……?」
「殿下に対してです。時折その……思わせ振りな態度する時あるじゃないですか」
そういう風に見えていたのだろうか。なんというか、私的にはそういうつもりは無かったのだけど。
確かにグラジオスの事は憎からず思っている所はある。というか多分私の人生の中で一番仲が良い異性がグラジオスだ。
でも――。
「私ね。そういう相手、作りたくないんだ」
「……どうしてですか?」
正直、なんと言っていいか困る。
理由を説明したくないのではない。説明しづらいのだ。
「私ね……この……国というか大陸に来たの、自分の意志じゃないんだ」
本当は大陸どころが異世界からやって来たのだ。しかもその方法だって分からない。
パソコンの前に座っていたら、いつの間にかこの世界に居たのだから。
そんな事を言っても信じる信じない以前に理解すら出来ないだろう。
実際グラジオスもあんまり分かって無かったみたいだし。
「だから、もしかしたらいきなり連れ戻されるかもしんないの」
いきなり異世界に転移したのだから、その逆だって十分に起こりうるはずだ。
「それは……」
エマはその先どう言っていいのか分からなかったのか、続きを言葉にしないまま口を閉ざす。
「私が望む望まないに関わらずね。連れ戻される時が来たとしたら、嫌とか言えないし、エマたちに御別れも言えないと思うの」
「そ、そんなのあんまりですよ。どんな人たちがやってくるか分かりませんけど、私や殿下やハイネさん達でキララさんの事守りますっ。絶対連れて行かせたりしませんっ」
……嬉しかった。
私の事をそんなに求めていてくれるなんて思っても無かったから。
いや、そうだったらいいなって思ってはいたけど、実際言われると涙が出そうになるくらい嬉しい。
私は思わずエマに抱き着いてしまった。
エマも私の事を迷わず抱き返してくれる。
いつもはちょっと腹が立つエマのふくらみが胸にあたっても、今は素直に許すことが出来た。
「ありがと。そんな感じだから……そういう人はちょっと作りたくないなって。まあ、こんなに想ってくれる友達が出来ちゃった時点で遅い気もするけど」
「雲母さんは帰りたいんですか?」
「う~ん。絶対に帰りたくないって言ったら嘘になるんだけど……」
お父さんお母さんに会いたいし、向こうの友達にも会いたい。
そこで気付く。私の中ではまだ帰るなんだって。
こっちが主体になっていなかった事に。
だから私は……。
「……ごめんね」
「謝る事じゃないですよ。誰だって故郷に対して未練があるのは当たり前ですから」
そうじゃない。そうじゃないんだけど……。
私は自分の気持ちに嘘をついて、蓋をして、心の奥底に封印する。
こんなに大切に想われているのに、仲間だと家族だと想われているのに、私は自分の事をお客様だって考えてるってことを知られたくなかったから。
「エマたちとこうして暮らしてるとすっごく幸せ。大好き」
「私も雲母さんが大好きです」
「ああもう、やっぱりエマは私がお嫁さんにする。俺の嫁~」
「ダメです、お断りします」
「う~あ~フラれた~~っ」
私達は風に笑い合って、じゃれ合って精一杯今の時間を楽しむ。
友達……親友との時間を。
「あ、でも雲母さんも誰かを好……」
エマが何かを言おうとしたその瞬間、コンコンとドアがノックされた。
私は慌てて抱擁を止めると、おかしな所がないか服装を軽くチェックしてからノックの主に許可を出した。
「失礼いたしますわ」
部屋に入って来たのは意外な事にシャムだった。
いつもの明るい表情とは違って、深刻そうな面持ちである。
「どうしたんですか?」
私達は別にシャムの事が嫌いなわけではない。どちらかと言うと好きな方だ。
一生懸命でいい娘だし、変な裏も無いので嫌う理由がない。
私が腹を立てているのはグラジオスに対してであって、この娘にではないのだ。
「キララ様にお願いがあって参りました」
その先は言われなくても察しがついた。この娘の行動原理はグラジオスしかないのだから。
「わたくしに歌のお稽古をつけてくださいませんか? もちろん謝礼はお支払いいたしますわ」
予想通りのお願いをしてきたシャムに対し……。
「うん、ダメです」
私は即座に断った。
もちろん意地悪とかじゃなく理由はきちんとある。
「な、なぜですの?」
「……シャムさんはなんで私に歌を教わりたんですか?」
「それはもちろん、グラジオス殿下に上手な歌をお聞かせしたいからですわ」
シャムは相変わらず予想通りの答えを返して来た。まっすぐで一途なのはいいけれど、もう少し絡め手というかズルさを知ってもいいのではないだろうかと少し心配になる。
「それが教えない理由です」
ため息をつきながら指摘したのにも関わらず、シャムはきょとんとしている。
やはり分かっていない様だ。分からない時点でアウトだというのに。
「私が歌うのは、歌いたいからです」
もちろんエマもそうだ。
エマは最初こそグラジオスに付き合う形で始めたのだが、それならグラジオスより竪琴の腕前が上になるほど練習する必要はない。
適当に下手くそなままで居て、グラジオスに教わった方が気を引けるだろう。
でもわざわざ一人でも練習をして上手くなった。そこにはきちんと理由があるはずで、それを見抜いた私が無理やり連れ回した結果、見事歌馬鹿の仲間入りを果たしたというわけだ。
「ただ上手に歌いたいだけなら私より教えるのが上手い人はいっぱい居ます。そっちを頼った方が上達できますよ」
音楽とは自らの内側にある衝動を出す行為なのだ。
理由が内に無い人は、始めから音楽に向いていない。
「で、ですがそれでも私はグラジオス殿下と一緒に……」
「そこが勘違いなんです。私もグラジオスも、歌が好きだから一緒に居るんです。一緒に居るために無理して歌っているわけじゃないんです。好きでもないのに歌われても迷惑です。グラジオスも絶対にそう言います」
遠謀深慮の欠片も無い、あまりにもドストレート過ぎる物言いに、シャムは始め鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしていたのだが、時間が経つにつれて表情を変えていき……。
「…………うぐっ……ふあっ……」
とうとう泣き出してしまった。
私は慌てて棚から綺麗なハンカチを取り出すと、謝りながらシャムの顔に押し当てる。
エマもシャムの傍まで行き、背中を撫でて慰め始めた。
……ちょっと、エマの視線が痛い。
「え、えっとですね。無理してっていうところがグラジオスも引っ掛かるところだと思うんで、無理にじゃなければいいと思いますよ」
慌ててフォローをするが、シャムの美しい藍色の瞳からはとめどなく涙が溢れ出る。
シャムはしばらく嗚咽を繰り返しながらその場に立ち尽くしていた。
1
あなたにおすすめの小説
『身長185cmの私が異世界転移したら、「ちっちゃくて可愛い」って言われました!? 〜女神ルミエール様の気まぐれ〜』
透子(とおるこ)
恋愛
身長185cmの女子大生・三浦ヨウコ。
「ちっちゃくて可愛い女の子に、私もなってみたい……」
そんな密かな願望を抱えながら、今日もバイト帰りにクタクタになっていた――はずが!
突然現れたテンションMAXの女神ルミエールに「今度はこの子に決〜めた☆」と宣言され、理由もなく異世界に強制転移!?
気づけば、森の中で虫に囲まれ、何もわからずパニック状態!
けれど、そこは“3メートル超えの巨人たち”が暮らす世界で――
「なんて可憐な子なんだ……!」
……え、私が“ちっちゃくて可愛い”枠!?
これは、背が高すぎて自信が持てなかった女子大生が、異世界でまさかのモテ無双(?)!?
ちょっと変わった視点で描く、逆転系・異世界ラブコメ、ここに開幕☆
辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました
腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。
しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。
中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています
浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】
ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!?
激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。
目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。
もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。
セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。
戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。
けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。
「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの?
これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、
ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。
※小説家になろうにも掲載中です。
子供にしかモテない私が異世界転移したら、子連れイケメンに囲まれて逆ハーレム始まりました
もちもちのごはん
恋愛
地味で恋愛経験ゼロの29歳OL・春野こはるは、なぜか子供にだけ異常に懐かれる特異体質。ある日突然異世界に転移した彼女は、育児に手を焼くイケメンシングルファザーたちと出会う。泣き虫姫や暴れん坊、野生児たちに「おねえしゃん大好き!!」とモテモテなこはるに、彼らのパパたちも次第に惹かれはじめて……!? 逆ハーレム? ざまぁ? そんなの知らない!私はただ、子供たちと平和に暮らしたいだけなのに――!
【完結】身分を隠して恋文相談屋をしていたら、子犬系騎士様が毎日通ってくるんですが?
エス
恋愛
前世で日本の文房具好き書店員だった記憶を持つ伯爵令嬢ミリアンヌは、父との約束で、絶対に身分を明かさないことを条件に、変装してオリジナル文具を扱うお店《ことのは堂》を開店することに。
文具の販売はもちろん、手紙の代筆や添削を通して、ささやかながら誰かの想いを届ける手助けをしていた。
そんなある日、イケメン騎士レイが突然来店し、ミリアンヌにいきなり愛の告白!? 聞けば、以前ミリアンヌが代筆したラブレターに感動し、本当の筆者である彼女を探して、告白しに来たのだとか。
もちろんキッパリ断りましたが、それ以来、彼は毎日ミリアンヌ宛ての恋文を抱えてやって来るようになりまして。
「あなた宛の恋文の、添削お願いします!」
......って言われましても、ねぇ?
レイの一途なアプローチに振り回されつつも、大好きな文房具に囲まれ、店主としての仕事を楽しむ日々。
お客様の相談にのったり、前世の知識を活かして、この世界にはない文房具を開発したり。
気づけば店は、騎士達から、果ては王城の使者までが買いに来る人気店に。お願いだから、身バレだけは勘弁してほしい!!
しかしついに、ミリアンヌの正体を知る者が、店にやって来て......!?
恋文から始まる、秘密だらけの恋とお仕事。果たしてその結末は!?
※ほかサイトで投稿していたものを、少し修正して投稿しています。
ブラック企業に勤めていた私、深夜帰宅途中にトラックにはねられ異世界転生、転生先がホワイト貴族すぎて困惑しております
さくら
恋愛
ブラック企業で心身をすり減らしていた私。
深夜残業の帰り道、トラックにはねられて目覚めた先は――まさかの異世界。
しかも転生先は「ホワイト貴族の領地」!?
毎日が定時退社、三食昼寝つき、村人たちは優しく、領主様はとんでもなくイケメンで……。
「働きすぎて倒れる世界」しか知らなかった私には、甘すぎる環境にただただ困惑するばかり。
けれど、領主レオンハルトはまっすぐに告げる。
「あなたを守りたい。隣に立ってほしい」
血筋も財産もない庶民の私が、彼に選ばれるなんてあり得ない――そう思っていたのに。
やがて王都の舞踏会、王や王妃との対面、数々の試練を経て、私たちは互いの覚悟を誓う。
社畜人生から一転、異世界で見つけたのは「愛されて生きる喜び」。
――これは、ブラックからホワイトへ、過労死寸前OLが掴む異世界恋愛譚。
異世界から来た娘が、たまらなく可愛いのだが(同感)〜こっちにきてから何故かイケメンに囲まれています〜
京
恋愛
普通の女子高生、朱璃はいつのまにか異世界に迷い込んでいた。
右も左もわからない状態で偶然出会った青年にしがみついた結果、なんとかお世話になることになる。一宿一飯の恩義を返そうと懸命に生きているうちに、国の一大事に巻き込まれたり巻き込んだり。気付くと個性豊かなイケメンたちに大切に大切にされていた。
そんな乙女ゲームのようなお話。
転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。
琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。
ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!!
スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。
ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!?
氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。
このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる