108 / 140
第107話 ほんの少しの前進
しおりを挟む
チクチクとシャツのほころびを縫い繕う。
コスプレ衣装を自分で作っただけあって、裁縫はまあ得意な方だ。
でもそれはミシンがあった地球での話。
ずうっと手作業だけで縫い続けるのは、正直言って相当苦痛だった。
ミシンは構造的にはさほど難しいものではないのだが、毎回下糸を確実に通し続ける精度を出せるかとなると話は別だ。
この世界における冶金技術の低さや彫金技術ではちょっと難易度が高いだろう。
洗濯機の歯車とは求められるレベルが違うのだ。
「む~~」
もっと体を動かすような仕事の方が性に合っているのだが……。
「んんっ、キララ様」
唸っていたら、家令さんに注意されてしまった。
他のメイドさん達と同じ扱いにしてくださいと頼んでみたのだが、様付けだし敬語を使ってくるとはいえ本当にいちメイドとして扱ってくれるという、線の細い見た目と違ってなかなか豪胆な女性だ。
「すみません」
謝罪をしてから作業に戻る。
そのまま無言でチクチクやっていたら……何故か外が騒がしくなってきた。
口笛や歓声のようなものまで聞こてくる。
もしかしてこの戦争が終わったとか? なんて期待に胸を膨らませて居たら……。
「キララ様」
また注意されてしまった。
「針仕事をなさっているというのに、その様に気もそぞろでは危のうございます。特別扱いをして差し上げましょうか?」
特別扱い。つまりは私がグラジオスの奥さんである王太子妃として扱うという意味である。
さすがにそれは勘弁してもらいたい。地位の高い人にはあまりなりたくないのだ。
だって同年代の女性であるメイドさん達と普通に屈託なくおしゃべりとかしたいし。
「はい、すみませんでした」
私は謝った後に作業に戻ったのだが、やはり気になって仕方がなかった。
私以外にも衣服の補修を行っているメイドさんは居るのだが、彼女たちも興味を隠し切れない様だ。
そこへトントンと扉が叩かれる音が響いた。
「何か?」
家令さんが作業の手を止めぬままに扉の外へ問いかける。
「殿下がキララ様をお呼びになってらっしゃいます。それからエールの樽は幾つまでなら開けても良いかと」
お、祝杯?
でも全部開けろってわけじゃないから終わったわけではなさそう?
「すみません、何があったんですか? 場合によっては着る服とかあるんで……」
なんて、実は何があったか知りたいだけだけど。他のメイドさん達も知りたいだろうし。
「オーギュスト伯爵が奇襲を成功させたとの事です。詳しくは私も聞き及んでおりませんが」
私とメイドさん達は思わず歓声の声を上げる。
オーギュスト伯爵は少数兵士と共にこっそり出撃し、敵補給部隊を攻撃する手筈になっていたはずだ。
どのくらいの打撃を与えたかは分からないが、戦争終結が早まったことは確かだろう。
私は扉の向こうに居る兵士と思しき男性に礼を言ってから立ち上がる。
「じゃあ、その……すみません」
「はい」
うひー、家令さんの声が怖い。
べ、別に針仕事がヤなわけではないですよ~。呼ばれたから仕方なく。仕方なくですからね。
なんて心の中で言い訳を並べ立てながら道具を片付けた後、私は急いでグラジオスの所へと向かったのだった。
「オーギュスト伯爵! 皆さん! お疲れ様です!」
私はスカートの裾を片手でつまんで走りながら大声を上げる。
ちょっとはしたないかとも思ったが、オーギュスト伯爵の後ろに控えている兵士さん達が嬉しそうに手を振ってくれたので良しとしておこう。
そのまま全速力でグラジオスの隣にまで走る。
「兵をねぎらうと言ったら何をするか分かるな?」
たどり着いたばかりの私に、グラジオスがそう言ってニヤリと笑いかける。
そんなの言われるまでもない。
こういうチャンスは逃さず歌っていくのが私達のスタイルだからね。
グラジオスも久しぶりに歌えるから嬉しいはずだ。
「分かる分かる。エマとハイネは?」
「お前より先に来たからな。既に準備しに行ったぞ」
出遅れたー。でも私が一番楽だしってグラジオスの楽器は私が用意しなきゃダメだった。急がなきゃ。
「ありがと、行ってくる!」
来て早々自室へと飛んで戻る羽目になったが、この苦労はむしろ嬉しい苦労だ。
歌う為なら買ってでもやりたいくらいだ。
私はオーギュスト伯爵に一礼した後また走り出した。
――シュガーソングとビターステップ――
宴席の中、任務の重圧から解放されてはしゃぎまわっている兵士たちの間をクルクル踊りながら歌い続ける。
目の前の兵士の手を取って飛び跳ねたり、ハイタッチを交わしてみたりととにかく精一杯歌を捧げ、雰囲気を盛り上げていく。
目の前に居る兵士たちは、全員命を捨てる覚悟で戦ってくれた。
そしてその結果、補給部隊の一つを壊滅させるという功績を上げてくれたのだ。
その功績と覚悟に報いる為にも私は歌い続けた。
もちろん、私自身も歌を楽しんでいたが。
「みんなありがとね~」
曲が終わり、私は大声でみんなにお礼を告げる。
兵士達はそんな私にエールの並々注がれたコップを突き上げて喜びを表してくれた。
「じゃあ次は……」
何の曲にしようか。そう仲間たちと相談しようとした時。ふっと一瞬目の前の景色が歪み、足元に大きな落とし穴が現れたような錯覚に陥る。
カクッと足から力が抜けて、私はその場にしゃがみこんでしまった。
「どうした、雲母」
慌ててグラジオスが私の所にまで一足飛びに駆け寄ってくる。
「……大丈夫。さっき回りすぎて目が回っちゃった」
実はこうなった原因に、心当たりがあった。でもグラジオスを心配させないように私は適当に言い繕う。
グラジオスは一応その言い訳で納得してくれたのか、そうかと頷いた後に私の手を掴んで引き起こしてくれた。
その様子を見た兵士達が、ヒューヒューと口笛を吹いて私達を茶化し出す。
「おい、からかうな」
なんて言っているが、グラジオスの顔はニヤついている。
私との仲が周りからも祝福されているのが嬉しいのだろう。
私も雰囲気に乗って、
「やぁ~ん。私愛されてる~」
なんて言って混ぜっ返してみると、兵士たちも大声で笑いだした。
……うん、大丈夫かな。
完全に煙に巻けたと判断した私は、仲間の方へと振り返る。
「ねえ、次だけど……楽しい曲で行きたいよね」
「あ、それなら自分ロックな曲がいいと思うっす!」
趣味丸出しのハイネの言葉に苦笑を返しつつ、私は次の歌の準備を始めるのだった。
コスプレ衣装を自分で作っただけあって、裁縫はまあ得意な方だ。
でもそれはミシンがあった地球での話。
ずうっと手作業だけで縫い続けるのは、正直言って相当苦痛だった。
ミシンは構造的にはさほど難しいものではないのだが、毎回下糸を確実に通し続ける精度を出せるかとなると話は別だ。
この世界における冶金技術の低さや彫金技術ではちょっと難易度が高いだろう。
洗濯機の歯車とは求められるレベルが違うのだ。
「む~~」
もっと体を動かすような仕事の方が性に合っているのだが……。
「んんっ、キララ様」
唸っていたら、家令さんに注意されてしまった。
他のメイドさん達と同じ扱いにしてくださいと頼んでみたのだが、様付けだし敬語を使ってくるとはいえ本当にいちメイドとして扱ってくれるという、線の細い見た目と違ってなかなか豪胆な女性だ。
「すみません」
謝罪をしてから作業に戻る。
そのまま無言でチクチクやっていたら……何故か外が騒がしくなってきた。
口笛や歓声のようなものまで聞こてくる。
もしかしてこの戦争が終わったとか? なんて期待に胸を膨らませて居たら……。
「キララ様」
また注意されてしまった。
「針仕事をなさっているというのに、その様に気もそぞろでは危のうございます。特別扱いをして差し上げましょうか?」
特別扱い。つまりは私がグラジオスの奥さんである王太子妃として扱うという意味である。
さすがにそれは勘弁してもらいたい。地位の高い人にはあまりなりたくないのだ。
だって同年代の女性であるメイドさん達と普通に屈託なくおしゃべりとかしたいし。
「はい、すみませんでした」
私は謝った後に作業に戻ったのだが、やはり気になって仕方がなかった。
私以外にも衣服の補修を行っているメイドさんは居るのだが、彼女たちも興味を隠し切れない様だ。
そこへトントンと扉が叩かれる音が響いた。
「何か?」
家令さんが作業の手を止めぬままに扉の外へ問いかける。
「殿下がキララ様をお呼びになってらっしゃいます。それからエールの樽は幾つまでなら開けても良いかと」
お、祝杯?
でも全部開けろってわけじゃないから終わったわけではなさそう?
「すみません、何があったんですか? 場合によっては着る服とかあるんで……」
なんて、実は何があったか知りたいだけだけど。他のメイドさん達も知りたいだろうし。
「オーギュスト伯爵が奇襲を成功させたとの事です。詳しくは私も聞き及んでおりませんが」
私とメイドさん達は思わず歓声の声を上げる。
オーギュスト伯爵は少数兵士と共にこっそり出撃し、敵補給部隊を攻撃する手筈になっていたはずだ。
どのくらいの打撃を与えたかは分からないが、戦争終結が早まったことは確かだろう。
私は扉の向こうに居る兵士と思しき男性に礼を言ってから立ち上がる。
「じゃあ、その……すみません」
「はい」
うひー、家令さんの声が怖い。
べ、別に針仕事がヤなわけではないですよ~。呼ばれたから仕方なく。仕方なくですからね。
なんて心の中で言い訳を並べ立てながら道具を片付けた後、私は急いでグラジオスの所へと向かったのだった。
「オーギュスト伯爵! 皆さん! お疲れ様です!」
私はスカートの裾を片手でつまんで走りながら大声を上げる。
ちょっとはしたないかとも思ったが、オーギュスト伯爵の後ろに控えている兵士さん達が嬉しそうに手を振ってくれたので良しとしておこう。
そのまま全速力でグラジオスの隣にまで走る。
「兵をねぎらうと言ったら何をするか分かるな?」
たどり着いたばかりの私に、グラジオスがそう言ってニヤリと笑いかける。
そんなの言われるまでもない。
こういうチャンスは逃さず歌っていくのが私達のスタイルだからね。
グラジオスも久しぶりに歌えるから嬉しいはずだ。
「分かる分かる。エマとハイネは?」
「お前より先に来たからな。既に準備しに行ったぞ」
出遅れたー。でも私が一番楽だしってグラジオスの楽器は私が用意しなきゃダメだった。急がなきゃ。
「ありがと、行ってくる!」
来て早々自室へと飛んで戻る羽目になったが、この苦労はむしろ嬉しい苦労だ。
歌う為なら買ってでもやりたいくらいだ。
私はオーギュスト伯爵に一礼した後また走り出した。
――シュガーソングとビターステップ――
宴席の中、任務の重圧から解放されてはしゃぎまわっている兵士たちの間をクルクル踊りながら歌い続ける。
目の前の兵士の手を取って飛び跳ねたり、ハイタッチを交わしてみたりととにかく精一杯歌を捧げ、雰囲気を盛り上げていく。
目の前に居る兵士たちは、全員命を捨てる覚悟で戦ってくれた。
そしてその結果、補給部隊の一つを壊滅させるという功績を上げてくれたのだ。
その功績と覚悟に報いる為にも私は歌い続けた。
もちろん、私自身も歌を楽しんでいたが。
「みんなありがとね~」
曲が終わり、私は大声でみんなにお礼を告げる。
兵士達はそんな私にエールの並々注がれたコップを突き上げて喜びを表してくれた。
「じゃあ次は……」
何の曲にしようか。そう仲間たちと相談しようとした時。ふっと一瞬目の前の景色が歪み、足元に大きな落とし穴が現れたような錯覚に陥る。
カクッと足から力が抜けて、私はその場にしゃがみこんでしまった。
「どうした、雲母」
慌ててグラジオスが私の所にまで一足飛びに駆け寄ってくる。
「……大丈夫。さっき回りすぎて目が回っちゃった」
実はこうなった原因に、心当たりがあった。でもグラジオスを心配させないように私は適当に言い繕う。
グラジオスは一応その言い訳で納得してくれたのか、そうかと頷いた後に私の手を掴んで引き起こしてくれた。
その様子を見た兵士達が、ヒューヒューと口笛を吹いて私達を茶化し出す。
「おい、からかうな」
なんて言っているが、グラジオスの顔はニヤついている。
私との仲が周りからも祝福されているのが嬉しいのだろう。
私も雰囲気に乗って、
「やぁ~ん。私愛されてる~」
なんて言って混ぜっ返してみると、兵士たちも大声で笑いだした。
……うん、大丈夫かな。
完全に煙に巻けたと判断した私は、仲間の方へと振り返る。
「ねえ、次だけど……楽しい曲で行きたいよね」
「あ、それなら自分ロックな曲がいいと思うっす!」
趣味丸出しのハイネの言葉に苦笑を返しつつ、私は次の歌の準備を始めるのだった。
0
あなたにおすすめの小説
不貞の子を身籠ったと夫に追い出されました。生まれた子供は『精霊のいとし子』のようです。
桧山 紗綺
恋愛
【完結】嫁いで5年。子供を身籠ったら追い出されました。不貞なんてしていないと言っても聞く耳をもちません。生まれた子は間違いなく夫の子です。夫の子……ですが。 私、離婚された方が良いのではないでしょうか。
戻ってきた実家で子供たちと幸せに暮らしていきます。
『精霊のいとし子』と呼ばれる存在を授かった主人公の、可愛い子供たちとの暮らしと新しい恋とか愛とかのお話です。
※※番外編も完結しました。番外編は色々な視点で書いてます。
時系列も結構バラバラに本編の間の話や本編後の色々な出来事を書きました。
一通り主人公の周りの視点で書けたかな、と。
番外編の方が本編よりも長いです。
気がついたら10万文字を超えていました。
随分と長くなりましたが、お付き合いくださってありがとうございました!
美男美女の同僚のおまけとして異世界召喚された私、ゴミ無能扱いされ王城から叩き出されるも、才能を見出してくれた隣国の王子様とスローライフ
さら
恋愛
会社では地味で目立たない、ただの事務員だった私。
ある日突然、美男美女の同僚二人のおまけとして、異世界に召喚されてしまった。
けれど、測定された“能力値”は最低。
「無能」「お荷物」「役立たず」と王たちに笑われ、王城を追い出されて――私は一人、行くあてもなく途方に暮れていた。
そんな私を拾ってくれたのは、隣国の第二王子・レオン。
優しく、誠実で、誰よりも人の心を見てくれる人だった。
彼に導かれ、私は“癒しの力”を持つことを知る。
人の心を穏やかにし、傷を癒す――それは“無能”と呼ばれた私だけが持っていた奇跡だった。
やがて、王子と共に過ごす穏やかな日々の中で芽生える、恋の予感。
不器用だけど優しい彼の言葉に、心が少しずつ満たされていく。
悪役令嬢は調理場に左遷されましたが、激ウマご飯で氷の魔公爵様を餌付けしてしまったようです~「もう離さない」って、胃袋の話ですか?~
咲月ねむと
恋愛
「君のような地味な女は、王太子妃にふさわしくない。辺境の『魔公爵』のもとへ嫁げ!」
卒業パーティーで婚約破棄を突きつけられた悪役令嬢レティシア。
しかし、前世で日本人調理師だった彼女にとって、堅苦しい王妃教育から解放されることはご褒美でしかなかった。
「これで好きな料理が作れる!」
ウキウキで辺境へ向かった彼女を待っていたのは、荒れ果てた別邸と「氷の魔公爵」と恐れられるジルベール公爵。
冷酷無慈悲と噂される彼だったが――その正体は、ただの「極度の偏食家で、常に空腹で不機嫌なだけ」だった!?
レティシアが作る『肉汁溢れるハンバーグ』『とろとろオムライス』『伝説のプリン』に公爵の胃袋は即陥落。
「君の料理なしでは生きられない」
「一生そばにいてくれ」
と求愛されるが、色気より食い気のレティシアは「最高の就職先ゲット!」と勘違いして……?
一方、レティシアを追放した王太子たちは、王宮の食事が不味くなりすぎて絶望の淵に。今さら「戻ってきてくれ」と言われても、もう遅いです!
美味しいご飯で幸せを掴む、空腹厳禁の異世界クッキング・ファンタジー!
おばさんは、ひっそり暮らしたい
蝋梅
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。
たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。
さて、生きるには働かなければならない。
「仕方がない、ご飯屋にするか」
栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。
「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」
意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。
騎士サイド追加しました。2023/05/23
番外編を不定期ですが始めました。
理想の男性(ヒト)は、お祖父さま
たつみ
恋愛
月代結奈は、ある日突然、見知らぬ場所に立っていた。
そこで行われていたのは「正妃選びの儀」正妃に側室?
王太子はまったく好みじゃない。
彼女は「これは夢だ」と思い、とっとと「正妃」を辞退してその場から去る。
彼女が思いこんだ「夢設定」の流れの中、帰った屋敷は超アウェイ。
そんな中、現れたまさしく「理想の男性」なんと、それは彼女のお祖父さまだった!
彼女を正妃にするのを諦めない王太子と側近魔術師サイラスの企み。
そんな2人から彼女守ろうとする理想の男性、お祖父さま。
恋愛よりも家族愛を優先する彼女の日常に否応なく訪れる試練。
この世界で彼女がくだす決断と、肝心な恋愛の結末は?
◇◇◇◇◇設定はあくまでも「貴族風」なので、現実の貴族社会などとは異なります。
本物の貴族社会ではこんなこと通用しない、ということも多々あります。
R-Kingdom_1
他サイトでも掲載しています。
【完結】モブ令嬢としてひっそり生きたいのに、腹黒公爵に気に入られました
22時完結
恋愛
貴族の家に生まれたものの、特別な才能もなく、家の中でも空気のような存在だったセシリア。
華やかな社交界には興味もないし、政略結婚の道具にされるのも嫌。だからこそ、目立たず、慎ましく生きるのが一番——。
そう思っていたのに、なぜか冷酷無比と名高いディートハルト公爵に目をつけられてしまった!?
「……なぜ私なんですか?」
「君は実に興味深い。そんなふうにおとなしくしていると、余計に手を伸ばしたくなる」
ーーそんなこと言われても困ります!
目立たずモブとして生きたいのに、公爵様はなぜか私を執拗に追いかけてくる。
しかも、いつの間にか甘やかされ、独占欲丸出しで迫られる日々……!?
「君は俺のものだ。他の誰にも渡すつもりはない」
逃げても逃げても追いかけてくる腹黒公爵様から、私は無事にモブ人生を送れるのでしょうか……!?
身代わりで呪いの公爵に嫁ぎましたが、聖女の力で浄化したら離縁どころか国一番の溺愛妻になりました〜実家が泣きついてももう遅い〜
しょくぱん
恋愛
「お前のような無能は、死神の生贄にでもなっていろ」
魔力なしの無能と蔑まれ、家族に虐げられてきた伯爵令嬢レティシア。 彼女に命じられたのは、近づく者すべてを病ませるという『呪いの公爵』アレクシスへの身代わり結婚だった。
鉄格子の馬車で運ばれ、たどり着いたのは瘴気に満ちた死の城。 恐ろしい怪物のような男に殺される――。 そう覚悟していたレティシアだったが、目の前の光景に絶望よりも先に別の感情が湧き上がる。
(な、何これ……汚すぎるわ! 雑巾とブラシはどこ!?)
実は、彼女が「無能」と言われていたのは、その力が『洗浄』と『浄化』に特化した特殊な聖女の魔力だったから。
レティシアが掃除をすれば、呪いの瘴気は消え去り、枯れた大地には花が咲き、不気味だった公爵城はまたたく間にピカピカの聖域に塗り替えられていく。 さらには、呪いで苦しんでいたアレクシスの素顔は、見惚れるほどの美青年で――。
「レティシア、君は一体何者なんだ……? 体が、こんなに軽いのは初めてだ」
冷酷だったはずの公爵様から、まさかの執着と溺愛。 さらには、呪いが解けたことで領地は国一番の豊かさを取り戻していく。
一方で、レティシアを捨てた実家は、彼女の『浄化』を失ったことで災厄に見舞われ、今さら「戻ってきてくれ」と泣きついてくるが……。
「私は今、お城の掃除と旦那様のお世話で忙しいんです。お引き取りくださいませ」
これは、掃除を愛する薄幸令嬢が、その愛と魔力で死神公爵を救い、最高に幸せな居場所を手に入れるまでのお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる