織田信長の妹姫お市は、異世界でも姫になる

猫パンダ

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第一章 異界からの姫君

第四話

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 しばらくして、レイムホップが三人の女を連れて戻って来た。すると、壁際でじっとしていた里奈が、小走りで駆け寄っていくではないか。

 「レイムホップさん!助けて下さい!」

 「どうなされました。リナ様」

 「あの二人が、私の事を虐めるんです!」

 ギョッとして、市と久実は顔を見合わせた。いきなり何を言い出すのかと思えば。市を怒らせて怖がっていた癖に……この子は頭が悪いのだろうかと、久実は頭を抑えた。そして、早くこの茶番を終わらさなければと口を開く。

 「虐めただなんて、人聞きの悪い!私もお市ちゃんも、品川さんのことを虐めた覚えはないわ!」

 「うそよ!二人して私を除け者にしたじゃない!……レイムホップさん、私……凄く傷付いたんです」

 すんすん、と鼻を鳴らして、目の膜に涙を滲ませる里奈。その瞳には媚びた色か浮かんでおり、レイムホップの顔色をうかがっている。レイムホップは無感情に、里奈と市達を交互に見ると、小さく息を吐いた。

 「同じ姫君同士、どうにか仲良くして頂けませんかね」

 てっきり、庇ってくれるものだと思っていた里奈は、レイムホップの素っ気ない反応に、唇を尖らせる。

 「そうは言うけど……あの人達、私と仲良くする気ないみたいなんだもの」

 「それは、こっちのセリフだっつーの!」

 久実が怒り半分、呆れ半分に突っ込んだ。里奈は、久実の突っ込みを無視して、レイムホップの腕に絡み付く。その際に、ムギュっと音がしそうなほど胸を押し付けていて、ギョッとした。老人相手に何をしているのか。市は、珍獣でも見るような目で里奈を見てしまう。

 「ねえ、レイムホップさん……あの二人は、姫として相応しくないと思うわ」

 レイムホップの老人らしく薄い胸にしなだれかかりながら、里奈は人差し指をつーっとなぞらせた。唇を薄く開き、甘えるようにレイムホップを見上げている。

 市は、むしろ里奈はいい機会を与えてくれたと思った。

 「その通りじゃ。私はここの姫として、相応しくないらしくてな。大変残念だが、元の世へ帰してくれぬか?」

 「相応しくないというのも、あなた様方が決めることではございません。それも、ヘンタドリム大陸を司る神、ラ・ムーが決めること。今のところ……神からそのようなお告げは受けておりませんが。……それと、そろそろ、腕を離して頂きたいのですが?」

 ちらりと里奈を見下げたレイムホップの瞳は、何の感情も無く、深い闇のような薄暗さがある。見ていると吸い込まれそうなその瞳に、里奈は怖気付いたようだった。レイムホップの腕から体を離し、拗ねたように壁にもたれ掛かる。市は、そう簡単に帰しては貰えないかと、同じように拗ねながら頬を膨らませた。

  レイムホップが咳払いをすると、後ろに控えていた女達が、素早い動きで市達三人の前に頭を垂れる。すでに、誰の専属かを決められていたのか、三人の女達は迷うことなく、市と、久実、里奈の前に、それぞれ分かれて移動したようだった。肌の色の違う三人の女は、出身国が違うのか、着ている衣装も異なっている上に、頭の下げ方も違う。

 里奈の前に頭を垂れる女は、夕陽色の髪を団子のように纏め上げ、フリルがあしらわれたエプロンドレスを着ていた。肌の色は、桜がかった白色をしており、頬には薄らとソバカスが散っている。瞳の色は、目が伏せられているため見えなかったが、睫毛の色も、髪と同じ夕陽色のようだ。市には、物珍しい姿の女に見えたが、平成の時代から来た二人は違った。西洋映画でよく見る、白人のメイドだ。

 女は足を折り、胸元に片手を当てるという、市にとっては、考えられない挨拶の仕方をしていた。 

 ーーなんと、変わったお辞儀じゃ。兄上様の家臣達はみな、平蜘蛛のように這いつくばって頭を垂れていたというに……。
 
 信長ならば、無礼者と斬り捨てていただろう。しかし、里奈は、自分に頭を下げる存在に優越感を抱いたのか、満更でもなさそうな顔で、女をニヤニヤと見下ろしていた。

 久実の前で頭を下げる女は、薄暗い茶髪を、耳の位置で二つに団子状に結っている。首元から足元までピッタリと張り付いたような衣装は、太ももから大胆に切れ目が入っていた。チャイナドレスというやつだ。市は、破廉恥だと思ったが、里奈の格好よりも品の良さを感じていた。肌の色は馴染み深い、象牙色をしており、顔立ちもあっさりとしていて、市達のものと似ている。西洋の次は中華風らしい。久実は、ごちゃ混ぜな世界ねと内心で呟いた。

 女の礼は、片膝を立て、胸元で握り拳を作るというものだった。先程から頭の位置が高過ぎる礼に、市はまたも驚かされる。久実は、侍女となる女におずおずと声を掛けた。それを横目に、市はようやく、自分の前で頭を下げる女に目を向ける。

 薄い菫色の髪を、三つ編みにして背中に流した市の侍女は、三人の中で一番肌が白かった。透き通るようなそれは、先に会った王子という男達の中にいた、青い髪の男のものと似通っているように見える。

 透けそうなほど繊細な作りの衣を身にまとい、金の帯のようなもので留めていた。その帯の細工のなんと見事なものなのだろう。手彫りしたのだろう、細やかな絵が彫られている。足元まで伸びた衣から覗く草履は、変わった造りをしており、つま先の部分がクルンと上を向いていた。女の姿はまさに、古代ローマやエジプト、ヒッタイトという国が混ざったものだったが、市にそれがわかるはずもない。

ーーなんと、変わった衣じゃ。肌の色が透けそうではないか……。

 女の顔がどのようなものか見ることは出来ない。何故なら、女は正座をし、地に額を付けんばかりに上半身を折り曲げて、両手を浮かせながら、真っ直ぐに伸ばすというお辞儀の仕方だったからだ。
 
 「面を上げよ」

 市が声をかければ、女は畏れ多いとばかりに躊躇する素振りを見せ、やがてゆっくりと顔を上げた。

 髪の色よりも濃い紫をした瞳が、澄んだ輝きを宿して市を見上げる。細い柳眉に、アーモンド型の瞳。スっと鼻筋の通った高い鼻。厚めの唇。女は唇を開くと、低くも心地よい綺麗な声を響かせた。

 「本日より、イチ様付きの侍女となりました。ラビアと申します。不束ものではございますが、宜しくお願い致します」

 再び額を地につけんばかりに、自己紹介を始めた女の姿は、兄の家臣達の礼とよく似ていた。

 「らびあ……。そなたのことは、らびと呼ぼう。こちらの者の名は、何とも言いにくくて適わぬ」

 「イチ様の好きな様に、お呼び下さいませ」

 「私は、何としても元の世界に帰りたいと思っておる。だが……私の侍女となったからには、そなたのことは、大切に致そう」

 そう言えば、ラビアは弾かれたように顔を上げ、ハッとして頬を赤らめて顔を伏せた。

 「有難いお言葉にございます……帰りたいと仰るイチ様には申し訳ありませぬが、どうか、この世界を好きになって頂けますよう……精一杯努めます」

 緊張からか、伸ばした両手を震わせて、ラビアは頭を垂れた。初めて目にした自分の主人となる女の美しさに、思わず頬が紅潮した。この美しい人を、ぜひ自国の王子と引き合わせたい……!ラビアは、固く拳を握って、自国の聡明な王子の顔を思い浮かべる。

 「姫君方よ。ご自身の侍女とは打ち解けられましたかな?その侍女は、姫君方の筆頭侍女としてこれから務めていく者でございます。とても優秀な人材を揃えましたので、ご心配なさらず。何でも頼られるとよろしいでしょう」

 レイムホップが市達三人を見渡しながら、声を上げた。

 「姫君方を自室に案内して差し上げなさい」

 侍女達への命令の言葉に、ラビアはコクリと小さく頷くと、ゆっくりと立ち上がった。その時、市は思わず目を見開いて、ラビアを凝視する。

 「そなた……驚くほど背が高いのじゃな」

 「そうでしょうか?」

 ラビアは市よりも、頭一つ半ほど高かった。久実と里奈の侍女も、なかなかスラッとした長身であることから、この世界の人間は、背丈が高いものなのかもしれない。そういえば、王子という男達もなかなか大柄そうに見えた。

 「では、私について来て下さいませ」

 ラビアについて部屋を出ると、天井の高い、広々とした廊下が真っ直ぐに続いていた。その中央に大きな階段があり、螺旋のように上へと伸びている。

 「姫君方のお部屋は、それぞれ離れておりますので、ここからは別行動となります」
 
 慣れない絨毯の感触を不思議がりながら、市はこてりと首を傾げた。その間も、両足でフカフカの絨毯を踏み締めている。

 「なぜに、部屋を離す必要があるのじゃ?」

 せっかく、久実と友人になれたのだ。部屋が離れているのは、面白くない。市は、不満げに眉を下げる。するとラビアは、何やら意味あり気な笑みを浮かべた。

 「王子様からの求愛や、はたまた……愛を確かめ合うのには、部屋が近すぎると気まずうございましょう?」

 「な……っ私は、そのような……」

 ーー王子とやらと、恋仲になろうなどと思ってはいない……!

 愛を確かめ合うという言葉に、思わず口をもごもごさせる市。その白い頬は、段々と赤く染まっていく。ラビアはクスリと微笑ましげに笑った。

 久実達と別れた市は、ラビアのあとを追いながら、初めて見る異国の空間に目を輝かせる。柔らかい絨毯も、透明の窓ガラスも、大理石の床も、何もかもが市にとっては、新しい。

 「らび、あの天井にくっついておるのは、ではないか!なぜに、あのように光っておる?」

 「びーどろ……?ガラスのことでしょうか。あれは、シャンデリアでございます。太陽神アメン・メラスの加護をもって、あのように光っておるのです」

 南蛮から渡ったを、兄が面白そうに見せに来たのを思い出す。あの時のものよりもずっと大きく、美しく、芸術的な造りのそれは、まるで太陽のような光を宿してキラキラと輝いていた。

 「なんと、美しい……。部屋の中に、日輪があるようじゃ……」

 思わず口をパカッと開けたまま、惚けたように、シャンデリアを見上げた。建物の造りも素晴らしいが、この美しいが気に入った。市は目を輝かせて、兄を思った。

 ーーできることなら、兄上様にお見せしたかった。

 「らび、あれは何じゃ?」

 「それは、この白薔薇宮殿をお造りになられたという王の絵画でございます」

 「これが、絵じゃと?まるで、人が紙の中に吸い込まれたようではないか」

 あまりにも鮮明な筆遣いに、驚いて目を丸くする。髭を生やし、勇ましげに仁王立ちする男は、頭に金色の輪のようなものを被っていた。男の目は猛禽類のように鋭く、まるで見られているような気分になってしまう。市は、怖々とその男の肖像画と睨めっこした。

 「しかし、らびよ」

 「はい?」

 「あまりにも鮮明なこの絵。まさか、その王とやらが閉じ込められているわけではあるまいな?」

 むむむ、と眉間にシワを寄せて、真剣な眼差しで絵の中の男を凝視する市。昔、兄に、人の魂を閉じ込める巻物というのを聞いたことがある。もしや、この絵画もそうなのでは?と、ラビアを見やると、ポカンとした顔が返ってきた。市は、肖像画と睨めっこをした後の間抜けな顔で、ラビアと数秒見詰め合う。

 「ぷっ!くくっ……!」

 どこからか笑いを押し殺すような声が聞こえてくる。市は、サッと顔を赤く染め、慌てて肖像画から離れた。

 「誰じゃ!?」

 「すまぬ。あまりにそなたの反応が面白かったのだ……許せ」

 スっと角から現れたのは、青い髪をした男だった。
 男の姿を認めて、ラビアが素早く頭を下げて後ろに下がる。

 「あなたは、先程の……」

 鮮やかな髪色を持つ男達の中でも、一番肌の色が白かった男だ。やはり、その白さはどこか、ラビアのものと似ている。

 「シュッタイト帝国の第1王子。エイサフ・ヘットゥシリだ」

 エイサフは冷たく見える顔に、そっと微笑を浮かべた。王子とは、異国の若君という意味だそうで、この男はいずれ、国を治める主となるのだろう。市は、じっとエイサフを見上げた。なんと、大きな男。兄よりも大きいのでは?市の頭三つほどある。兄とはまた違った、人を惹き付けるような魅力と威厳を、彼は持っていた。人形のように美しい顔に、第1王子という貫禄。この要素だけでも、そこらに転がっている女などは、喜んで引っ付いてくるだろう。

 エイサフの聡明そうな瞳の輝きは、好奇心で溢れていた。

 「名はなんと申す。異界からの姫君よ」

 「市と申しまする」

 「イチ……不思議な響きだな」

 エイサフは市の髪の毛をひと房取り、サラサラと感触を確かめる。市は、そのままエイサフの好きにさせながら、目の前の青い瞳を見つめ返した。市の瞳が一心に自分に向くのを、エイサフは悪くないと内心で呟く。

 「……そなたの髪は、何にも混じらぬ美しい漆黒をしている。瞳の色も、同じように黒い。異界からの姫君の髪と瞳は黒いと聞いたが、姫君の中でも、そなたの色がより美しく見える」

 まるで、漆黒という色を初めて見たとでも言うように、エイサフは見惚れたように瞳を細めた。

 異界からの姫君が、国の王妃となると聞いていたのに、彼は本当に黒い色を持つ人を見たことがないのだろうか。

 「貴方のお母上は、異界からの姫君ではないのですか?」

 「私の母上は、純粋なシュッタイト人だ。……我が父上には、異界からの姫君を口説くのには荷が重かったらしい。見事に、この白薔薇宮殿で振られたそうだ」

 市の髪から手を離し、彼は口角を上げる。

 「私は、父上のような失態はせぬ……せっかく、そなたのような凛と美しい姫に出会えたのだ」

 「ふふ……そのようなことを仰って。まさか、私を口説いておるのですか?」

 「ああ。口説いている」

 はっきりとした物言いに、思わず口を詰まらせる。この男は、どこまで本気なのだろう。エイサフの瞳は、今のこの状況を楽しんでいるように細められ、市の反応を試しているようにも見えた。

 「お戯れを……。まだ会ったばかりではありませぬか」

 「そうだな。会ったばかりだ。だが……そなたは、魅力的なほどに美しい。美しいと思った女を口説いてみたくなるのは、男の性よ」

 フッと唇の端を吊り上げる表情が、なんとも艶っぽい。唇の横にあるホクロが、色気を際立たさせている。ーー男の方こそ、美しいではないか。市はじっと、目の前に立つエイサフの顔を見上げた。海のように深い青色の瞳が、市を映す。光が当たると、緑色に変わるその瞳は、一種の芸術品のように、いつまでも見つめていられそうだ。同色の真っ青な髪は、見るからに手触りが良さそうで、思わず触れてみたくなる。きめ細やかな肌は、陶器のように滑らかで、シミ一つない。見れば見るほど、惚れ惚れする男よ……と感心しながら、市はゆっくりと手を伸ばした。

 「貴方の御髪おぐしこそ、美しいと思いまする。手触りも……思っていた通り、とてもよいです!」

 想像してた通りの、さらりとした感触に、市は無邪気にニッコリと笑みを浮かべる。口説き文句に対する対応を知らない市は、褒められたら褒め返せば良いと考えた。動きの止まったエイサフの事など気にもしないで、次に褒めれそうな場所を探す。

 「あなたの、その瞳も……深い海のようで私は好きです!それと、その美しい人形のような顔も!まるで芸術品のようです!それに、この大きな手!!」

 勢い付いた市は、エイサフの良い所を探すのに夢中になった。元々、凛と気丈な性格に子供っぽさを合わせ持っていた市。ここに来てなりを潜めていた天真爛漫な一面が、にょきりと出て来てしまったようだ。市はエイサフの手を取って、輝くような笑顔を向けた。それは、エイサフにとって、ハッと目を見張るものだった。猫のような瞳を柔らかく細めて、涙袋がぷっくりと浮き出ている。頬は愛らしく桜色に染まり、果実のような唇からは、白い歯が覗いた。方頬にだけできた笑窪。思わず、エイサフは眩しそうに市を見つめる。

 「この大きな手は、兄上様よりも大きいです!剣だこも沢山あります!きっと、若君は剣がお強いのでしょうね……」

 エイサフの手の平を、確かめるように撫でる市。白魚のような手が自身の武骨な手の平を撫でるのを見て、エイサフは何とも言えない気持ちになった。
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