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四章 狂いの真相
7 八月十四日午後五時……
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蒼空の推理が終わると、暫し静寂が訪れた。もしかしたら間違ってるとも思われる。これで違っていたら、もう諦めるしかない。
冷や汗をかいて事態を待つ。
「見事だ」
御堂六郎は拍手すると、蒼空は安堵して深く息を吐いた。
「よかったぁぁ……」その場へ座り込む。
「神絡みの奇異は人間に正しい形を突き止めてもらわなければ元に戻れないという条件があるのでな。意地悪のように要所要所で質問させてもらった。楸蒼空。確かに風変わりな三枝日和が一目置く存在。なかなかの知恵者だ」
「買いかぶりすぎです。電車の時刻表と人身事故の電車遅れでようやく気づいたようなものですから。それに、日和の部分なんて、考えただけでも偶然が多いし、行き当たりばったりみたいで。話していて生きた心地がしなかったですよ」
加賀見茜は徐に立ち上がった。
「けど見事に解いた。本当に凄い事よ。それに強運でもあるわね」
「え?」
「だって、明香ちゃんは八月十四日に死ぬとあるのよ。だけどまだ生き残っている。感心するわ」
「音奏のおかげですよ。あいつが都市伝説に組み込まれなかったら今朝で双木三柱市民全員が死んでいたから。あいつもあいつで凄すぎる」
『誘いの行列』は時間と場所を選ばない都市伝説。条件として会いたいと想う強さがある。
明香も翔真と会いたい想いはあったが、死の恐怖と不安が大いに勝っていた。だから駿平に会いたい想いが強かった音奏が巻き込まれた。
明香が明朝に都市伝説に巻き込まれる肩代わりを音奏が担った結果に至る。
「ふふ、愛の力って偉大ね。とんでもない結果を導き出すのですから」
音奏の事を指しているが、加賀見茜は蒼空と日和の関係も籠めて視線を向けた。しかし蒼空は気づいていない。
「もし今日ギリギリまで生き残れても、最後はお兄さんの都市伝説が前園さんを襲い、自殺か事故に見せかけた死を迎える。そんなところですか?」
反論しない二人の様子を見る限り、それが正解だと思わせる。
「けど、点数を付けるなら八十五点が良いところかもね。合格点ではあるけど、ちょっとしたところが抜けているわ」
加賀見茜の言葉に「え?」と返す。
「四番目の都市伝説。私達の監視役としてるけど……」
四番目の都市伝説『嗤う鬼』
その鬼に会うと行いを試される。幸運だからといってそれを喜んではいけない。後に想像を絶する不幸があるかもしれない。逆も然り。
鬼は対象者の反応を静観し、ゆっくり苦難の沼に沈むのを嗤いながら楽しんむ。
「違いました?」
答えたのは御堂六郎であった。
「お前が度々、あらゆる場面で偶然偶然と言っていただろ? そうではない。都市伝説の奇異に巻き込まれた時点で挑戦者は奴の手中だ。罰らしい罰も、目立った変化も無い。偶然に見せかけて選択を提示し、行動を見届ける都市伝説だ。奇跡側も挑戦者関係者も、三枝日和や前園翔真のような曖昧な奴らであってもな」
「けど、日和ちゃんも見事に蒼空君を頼り、夢の中で重要な助言も出来た。蒼空君も色んな所で解決に繋がる重要な手がかりを見つけて答えを導き出した。絞り出せた、のほうが合ってるのかもね」
始めから都市伝説の渦中にいた。どれ一つを見逃しても、考察を怠けても、この解決には至らなかった。
つくづく恐ろしい現象に巻き込まれたのだと、改めて恐ろしく感じた。
気疲れがどっと押し寄せる。
助かったから良かったが、かなり恐ろしい立場に立たされていたのだと痛感する。八十五点。電車内で浮かんだ些細な謎も推理に含んでいれば良かったのだろうかと、蒼空は考えてしまった。
ふと、始めから時々気になっていた疑問が思い出された。聞こうと思っていたが、電車を降りたときから今まで忘れていた。
「あの、どうしても分からないんですけど、加賀見さんが加賀見茜を名乗ってから御堂六郎と名乗りましたよね。どういうことですか?」
なぜそこに気づかないのか分からない二人は、大笑いしてしまった。
「え!? なんで?」
「あー可笑しい。蒼空君の推理を聞いてて不思議だったのよね。私、てっきりこの名前に気づいたから儀造君と夏美ちゃんの夢に気づいたと思ったのに」
落ち着きを取り戻した御堂六郎が話した。
「なんてことはない。涼城儀造の繋がりがまだあると意味してるだけだ。加賀見茜として繋がりがあるなら俺様もそう名乗らなければならない」
「逆も然りよ。彼が御堂六郎を名乗ったなら私は加賀見茜を名乗らなければならない。儀造君と接触した共通する都市伝説は私達二人ですから。もっと言うなら、その時から翔真君が挑戦者になるまで誰も巻き込まれてないのよ」
たしかに気づきそうなものだが、他で頭がいっぱいの蒼空には気づかなかった。
冷静に考えてみれば、儀造が夏美の絵を描いた時点で、”四十一番目の都市伝説が絶対ある状態”というのだから、儀造の時代で数が合っていなければ法則がかなり狂う危険を孕んでいる。儀造の時代で四十一番目まであるのが自然な形だ。
大事なテストで知っていた答えを書き損じた悔しい心境と同じ気持ちになり、「ああぁぁ……」と低い声を漏らして蒼空は立ち上がる。
「……なんか悔しい」
「そういうものよ。まあ、分からない謎が、橙也君がどうして翔真君を見れた? だと思ったけど。違ったわね」
「俺なりに考えましたけど、俺には日和、涼城さんには橙也君って、奇跡側でちょっとした情報提供役みたいなのを傍に据え置いたのかなって。さっきの話からだと『嗤う鬼』が」
「じゃあ、明香ちゃんは?」
「後で何か異変が起きたのかもしれませんね。俺と涼城さんは御堂さんと加賀見さんに会ってるから、前園さんも加賀見さんに会えば何かあったのかも。けど、本人の意思か、忙しかったから会わなかったのかもしれません」
御堂六郎は鼻で笑った。
「つくづくおかしな奴だ。そこまで読めて、どうして俺等の名前に気づかなかったか不思議でしかないな」
「それだけ余裕が無かったのね。けどお見事よ」
褒め言葉を聞き、安心と落ち着きを取り戻した蒼空は、新たに二人への疑問が浮かんだ。
「……お二人のその容姿って、それも何かの法則ですか?」
御堂六郎が答えた。
「人としての容姿、それは全て罰を受けた人間の形だ。ただの使い回しにすぎん。まあ今回は涼城儀造と会った時の容姿だがな」
平然と語るもそれは恐ろしかった。『四の崩壊』がなければ明香と日和の姿も使われる事になると考えるだけで寒気が走る。
「ねぇ蒼空君」
恐ろしく感じている時に話しかけられ、「は、はい」と、畏まって返す。
「あなたはこの何十年、誰も解けなかった難問を見事に解いた。非常に素晴らしい事よ。彼から聞いてるでしょうけど、あなたには願い事が一つ叶う権利を与えられているわ。もう決まってるでしょうし、何を望むかも分かるわ。けどいいの? それを叶えてしまうと元の平々凡々な、こんな不思議な出来事を経験した事すら忘れてしまう退屈な日々に戻ってしまうよ。もしかしたら、みんなとも会えない寂しい世界が待っているかも。もっと欲張って他の願いでも良いんじゃないかしら」
悩むほどの質問ではなかった。
「怖いから止めます。生きてたら別の形で会えるでしょうし、みんな生き返ってほしい想いの方が強いし。それに、今までの生け贄の人達を救えるならそれに越したことはないです。救われたい気分は俺もここに来るまで味わってましたから。それよりも気になるのは、これがパラレルワールドってことで、実はみんな死んだ世界線とかになりますか? そうなったら後味悪くて嫌なんですけど」
御堂六郎は平然と答える。
「それはない。パラレルワールドや並行世界という概念はお前達人間が作り上げた、証明しようのない架空にすぎんからな。神絡みの異変にはそもそも存在せん概念。在り方を根本から変える事に力を注ぐだけだ」
途轍もなく危険な謎解きに巻き込まれていた。推理を終えてからずっと、身体の震えが止まらない。
「やっぱり怖いですね。みんなを助ける願いにします」
「あら、本当は日和ちゃんを助けたいからじゃないかしら?」
出会った時からこうした揶揄いを交えると蒼空が頬を赤らめる。加賀見茜は最後の最後まで恋愛感情として捉えていた。余程、若者の青春と恋愛が好きなのだろう。
「も、もういいですよね」
照れ隠しで強引に進められた。まんざらでもないのは濃厚であった。
「俺の願いは都市伝説を元の言い伝えに戻して、こんな奇怪な事が二度と起きないようにしてください。五柱も神様がいるから朝飯前ですよね」
強気の御堂六郎に、仕返しとばかりの些細な煽りも入れた。
強めの風が吹き付ける中、姿勢正した二人は蒼空と向かい合った。
「貴殿の願い承った。ではさらばだ、楸蒼空」
「じゃあね、蒼空君」
言い残すと、御堂六郎と加賀見茜は眩く発光した。二人の光は次第に広がり、町全体、さらには世界全体にまで広がった。
◇◇◇◇◇
日和に助けられた夏美と明香は、遠くから眩い光が迫るのを目撃し、互いに手を握り合った。
「ねえ、涼城夏美ちゃん?」
「は、はい」
日和は温和な表情で訊いた。
「蒼空君、すごく頼り甲斐あるでしょ」
「え? あ、うん」
戸惑いながら頷く。
「選んで良かった」
笑顔で応えると、やがて迫る光が全員を包み込んだ。
八月十四日午後五時十分。
四十二の都市伝説は完全に消えた。
冷や汗をかいて事態を待つ。
「見事だ」
御堂六郎は拍手すると、蒼空は安堵して深く息を吐いた。
「よかったぁぁ……」その場へ座り込む。
「神絡みの奇異は人間に正しい形を突き止めてもらわなければ元に戻れないという条件があるのでな。意地悪のように要所要所で質問させてもらった。楸蒼空。確かに風変わりな三枝日和が一目置く存在。なかなかの知恵者だ」
「買いかぶりすぎです。電車の時刻表と人身事故の電車遅れでようやく気づいたようなものですから。それに、日和の部分なんて、考えただけでも偶然が多いし、行き当たりばったりみたいで。話していて生きた心地がしなかったですよ」
加賀見茜は徐に立ち上がった。
「けど見事に解いた。本当に凄い事よ。それに強運でもあるわね」
「え?」
「だって、明香ちゃんは八月十四日に死ぬとあるのよ。だけどまだ生き残っている。感心するわ」
「音奏のおかげですよ。あいつが都市伝説に組み込まれなかったら今朝で双木三柱市民全員が死んでいたから。あいつもあいつで凄すぎる」
『誘いの行列』は時間と場所を選ばない都市伝説。条件として会いたいと想う強さがある。
明香も翔真と会いたい想いはあったが、死の恐怖と不安が大いに勝っていた。だから駿平に会いたい想いが強かった音奏が巻き込まれた。
明香が明朝に都市伝説に巻き込まれる肩代わりを音奏が担った結果に至る。
「ふふ、愛の力って偉大ね。とんでもない結果を導き出すのですから」
音奏の事を指しているが、加賀見茜は蒼空と日和の関係も籠めて視線を向けた。しかし蒼空は気づいていない。
「もし今日ギリギリまで生き残れても、最後はお兄さんの都市伝説が前園さんを襲い、自殺か事故に見せかけた死を迎える。そんなところですか?」
反論しない二人の様子を見る限り、それが正解だと思わせる。
「けど、点数を付けるなら八十五点が良いところかもね。合格点ではあるけど、ちょっとしたところが抜けているわ」
加賀見茜の言葉に「え?」と返す。
「四番目の都市伝説。私達の監視役としてるけど……」
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その鬼に会うと行いを試される。幸運だからといってそれを喜んではいけない。後に想像を絶する不幸があるかもしれない。逆も然り。
鬼は対象者の反応を静観し、ゆっくり苦難の沼に沈むのを嗤いながら楽しんむ。
「違いました?」
答えたのは御堂六郎であった。
「お前が度々、あらゆる場面で偶然偶然と言っていただろ? そうではない。都市伝説の奇異に巻き込まれた時点で挑戦者は奴の手中だ。罰らしい罰も、目立った変化も無い。偶然に見せかけて選択を提示し、行動を見届ける都市伝説だ。奇跡側も挑戦者関係者も、三枝日和や前園翔真のような曖昧な奴らであってもな」
「けど、日和ちゃんも見事に蒼空君を頼り、夢の中で重要な助言も出来た。蒼空君も色んな所で解決に繋がる重要な手がかりを見つけて答えを導き出した。絞り出せた、のほうが合ってるのかもね」
始めから都市伝説の渦中にいた。どれ一つを見逃しても、考察を怠けても、この解決には至らなかった。
つくづく恐ろしい現象に巻き込まれたのだと、改めて恐ろしく感じた。
気疲れがどっと押し寄せる。
助かったから良かったが、かなり恐ろしい立場に立たされていたのだと痛感する。八十五点。電車内で浮かんだ些細な謎も推理に含んでいれば良かったのだろうかと、蒼空は考えてしまった。
ふと、始めから時々気になっていた疑問が思い出された。聞こうと思っていたが、電車を降りたときから今まで忘れていた。
「あの、どうしても分からないんですけど、加賀見さんが加賀見茜を名乗ってから御堂六郎と名乗りましたよね。どういうことですか?」
なぜそこに気づかないのか分からない二人は、大笑いしてしまった。
「え!? なんで?」
「あー可笑しい。蒼空君の推理を聞いてて不思議だったのよね。私、てっきりこの名前に気づいたから儀造君と夏美ちゃんの夢に気づいたと思ったのに」
落ち着きを取り戻した御堂六郎が話した。
「なんてことはない。涼城儀造の繋がりがまだあると意味してるだけだ。加賀見茜として繋がりがあるなら俺様もそう名乗らなければならない」
「逆も然りよ。彼が御堂六郎を名乗ったなら私は加賀見茜を名乗らなければならない。儀造君と接触した共通する都市伝説は私達二人ですから。もっと言うなら、その時から翔真君が挑戦者になるまで誰も巻き込まれてないのよ」
たしかに気づきそうなものだが、他で頭がいっぱいの蒼空には気づかなかった。
冷静に考えてみれば、儀造が夏美の絵を描いた時点で、”四十一番目の都市伝説が絶対ある状態”というのだから、儀造の時代で数が合っていなければ法則がかなり狂う危険を孕んでいる。儀造の時代で四十一番目まであるのが自然な形だ。
大事なテストで知っていた答えを書き損じた悔しい心境と同じ気持ちになり、「ああぁぁ……」と低い声を漏らして蒼空は立ち上がる。
「……なんか悔しい」
「そういうものよ。まあ、分からない謎が、橙也君がどうして翔真君を見れた? だと思ったけど。違ったわね」
「俺なりに考えましたけど、俺には日和、涼城さんには橙也君って、奇跡側でちょっとした情報提供役みたいなのを傍に据え置いたのかなって。さっきの話からだと『嗤う鬼』が」
「じゃあ、明香ちゃんは?」
「後で何か異変が起きたのかもしれませんね。俺と涼城さんは御堂さんと加賀見さんに会ってるから、前園さんも加賀見さんに会えば何かあったのかも。けど、本人の意思か、忙しかったから会わなかったのかもしれません」
御堂六郎は鼻で笑った。
「つくづくおかしな奴だ。そこまで読めて、どうして俺等の名前に気づかなかったか不思議でしかないな」
「それだけ余裕が無かったのね。けどお見事よ」
褒め言葉を聞き、安心と落ち着きを取り戻した蒼空は、新たに二人への疑問が浮かんだ。
「……お二人のその容姿って、それも何かの法則ですか?」
御堂六郎が答えた。
「人としての容姿、それは全て罰を受けた人間の形だ。ただの使い回しにすぎん。まあ今回は涼城儀造と会った時の容姿だがな」
平然と語るもそれは恐ろしかった。『四の崩壊』がなければ明香と日和の姿も使われる事になると考えるだけで寒気が走る。
「ねぇ蒼空君」
恐ろしく感じている時に話しかけられ、「は、はい」と、畏まって返す。
「あなたはこの何十年、誰も解けなかった難問を見事に解いた。非常に素晴らしい事よ。彼から聞いてるでしょうけど、あなたには願い事が一つ叶う権利を与えられているわ。もう決まってるでしょうし、何を望むかも分かるわ。けどいいの? それを叶えてしまうと元の平々凡々な、こんな不思議な出来事を経験した事すら忘れてしまう退屈な日々に戻ってしまうよ。もしかしたら、みんなとも会えない寂しい世界が待っているかも。もっと欲張って他の願いでも良いんじゃないかしら」
悩むほどの質問ではなかった。
「怖いから止めます。生きてたら別の形で会えるでしょうし、みんな生き返ってほしい想いの方が強いし。それに、今までの生け贄の人達を救えるならそれに越したことはないです。救われたい気分は俺もここに来るまで味わってましたから。それよりも気になるのは、これがパラレルワールドってことで、実はみんな死んだ世界線とかになりますか? そうなったら後味悪くて嫌なんですけど」
御堂六郎は平然と答える。
「それはない。パラレルワールドや並行世界という概念はお前達人間が作り上げた、証明しようのない架空にすぎんからな。神絡みの異変にはそもそも存在せん概念。在り方を根本から変える事に力を注ぐだけだ」
途轍もなく危険な謎解きに巻き込まれていた。推理を終えてからずっと、身体の震えが止まらない。
「やっぱり怖いですね。みんなを助ける願いにします」
「あら、本当は日和ちゃんを助けたいからじゃないかしら?」
出会った時からこうした揶揄いを交えると蒼空が頬を赤らめる。加賀見茜は最後の最後まで恋愛感情として捉えていた。余程、若者の青春と恋愛が好きなのだろう。
「も、もういいですよね」
照れ隠しで強引に進められた。まんざらでもないのは濃厚であった。
「俺の願いは都市伝説を元の言い伝えに戻して、こんな奇怪な事が二度と起きないようにしてください。五柱も神様がいるから朝飯前ですよね」
強気の御堂六郎に、仕返しとばかりの些細な煽りも入れた。
強めの風が吹き付ける中、姿勢正した二人は蒼空と向かい合った。
「貴殿の願い承った。ではさらばだ、楸蒼空」
「じゃあね、蒼空君」
言い残すと、御堂六郎と加賀見茜は眩く発光した。二人の光は次第に広がり、町全体、さらには世界全体にまで広がった。
◇◇◇◇◇
日和に助けられた夏美と明香は、遠くから眩い光が迫るのを目撃し、互いに手を握り合った。
「ねえ、涼城夏美ちゃん?」
「は、はい」
日和は温和な表情で訊いた。
「蒼空君、すごく頼り甲斐あるでしょ」
「え? あ、うん」
戸惑いながら頷く。
「選んで良かった」
笑顔で応えると、やがて迫る光が全員を包み込んだ。
八月十四日午後五時十分。
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