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三話
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「起きて! いつまで寝てるのよ!?」
俺の布団はマリヤによって剥ぎ取られた。 目を擦りながら体を起こすと、怒った様子のマリヤが居た。
「昨日は寝ててもいいって言ったけど、どうしてご飯も食べに来ないの!? 死ぬわよ!」
「あ、そいえばご飯食ってないなぁ。 なんかお腹空かないんだよなぁ」
「ほら、元気出して! それと、ハヤトのせいで変な噂がたったじゃない!」
「変な噂?」
「昨日私とハヤトがその、ベッドで横になってたじゃない。 それで、周様が私とハヤトがいい仲だって言っちゃって」
「広まっちゃったの? まぁいいんじゃないの? 噂は噂だし」
「え? ハヤトはいいの?」
「何が? たかだか噂だろうに」
「で、でも勘違いされてるのよ?」
「あ、それだとやっぱり困るな」
「ど、どうして?」
「だって、この城のメイドさん美人ばっかじゃん。 ここで誰かと付き合えたら人生勝ち組じゃん。 だけどマリヤとの噂があると、それが邪魔になってしまう気がする」
「・・・・・・」
マリヤがめっちゃ冷めた目で見てくる。 これは男がみんな考えてることじゃないか。 何がいけないんだ。 あ、口に出したことか。
「どうしたんだよ。 どうせ女も変わらんだろ。 周と付き合えたらラッキーてな感じなんだろ?」
「それはっ! 確かにそうかもだけど」
「ほら。 あ、いいこと思いついた! 俺が周にマリヤを紹介するからマリヤも俺に誰か紹介してくれよ!」
「嫌よ。 てか、叩いていい? いや、叩くわね。 誰があなたみたいな自墜落な人間紹介するのよ!」
なんか本気で叩かれた。 これ、日本だったらアウトだよ? 多分こっちでもアウト・・・・・・じゃないかも。 くそう。
「あーあ。 じゃあ俺も特訓するから、そしたら誰か紹介してくれよ!」
「誰か? 誰でもいいの?」
「あ、女だけな。 あとは美人で性格よくて器量がいい人」
「わかったわ。 だからさっさと行ってきて」
「あー、はい。 わかりました。 それでどこに行けば・・・・・・」
「はぁ。 ついてきて」
俺はイライラしているマリヤについて行った。 少しすると外に出て、庭っぽいところに連れてこられた。 そこには召喚された四人が居て、それぞれ何かしている。
「おぉ、なんかすげぇ!」
俺が少し大きめに叫ぶと、打ち合いをしていた周がこっちに来た。
「やっと部屋から出たんだね! 昨日はその、ありがとう」
「いいってことよ。 お互い利益になることだ」
「うん」
「てか、おいお前その木の剣ヒビが入ってんじゃん。 馬鹿力だなぁ」
「そんなことないよ。 さっき夏綺だってこの木の剣折ってたもん。 なんか身体強化のやり方覚えたんだって」
「へぇ。 周は覚えないのか?」
「僕は先に別のからかな。 身体能力よりも先に技術と色々な魔法覚えようと思って」
「ふーん。 それはまたなんで?」
「だって、今の身体能力でも怪我しそうなんだよ? なのにこれよりも早くなったら受け身とか対応出来なくなるからね」
「ほー。 流石は勇者様。 色々考えておられますね」
「そんなことないよ。 昨日隼人に言われて僕も考えて動こうと思ったんだよ。 僕の行動一つで人が死ぬかもしれないんだからね」
わーお。 カッコイイ。 なんか男としての格の違いを見せつけられるな。 いや、待てよ。 ここでマリヤを紹介すれば、メイドがマリヤじゃなくなるかもしれない。 そうすれば寝られるかもだし、新たな出会いでバンザイだ。 さすがは俺。 賢いぜ。
「なぁ、そういえばうちのメイドのことどう思う?」
「なっ!」
「メイド? 昨日一緒に寝てた人かい? 美人で隼人にお似合いだと思うよ」
むむ、変な勘違いをしているのか。
「ああ、それなんだけど、違う違う。 あれは布団を引っ張った拍子に倒れただけなんだよ。 それに、あれは周がだグハッ!」
俺はいきなり背中を殴られて倒れた。 そして殴った張本人を睨みつける。
「何をする! いい機会だったじゃないか! お礼を言われるならわかるが殴るのは照れ隠しにしてもやりすぎだぞ!」
「あなたこそ何を言っているんですか! 大きなお節介です!」
「しゅ、周。 暴力的だが、悪いやつじゃないんだ。 信じてやってくれ・・・・・・バタッ」
「今ハヤト様自分でバタッて言いましたよね? そろそろ怒りますよ? 反省してください」
「あははっ、仲良いんだね。 やっぱりお似合いだと思うよ」
「周。 お前は見る目がないな。 このっ! 女性との関わりが長いだけの童貞め!」
「待って。 色々待ってね。 なんで会って三日目でそんなこと知ってるのかな? 確かに告白とかよくされるけど・・・・・・。 というよりも、それは僕の言葉じゃないかな? 見る目がないのも童貞なのもハヤトでしょ?」
「べ、別にそんなことねーし。 俺非童貞だし!」
「ここでその叫びはどうかと思うよ? それになんか嘘っぽいし、本当なの?」
「うん! もちろん! 俺はやったことあるもん!」
「隼人。 悪いことは言わないからやめよう! メイドさんが・・・・・・ああ、僕じゃもう隼人を助けられないよ」
「ああ? メイドさん・・・? 待て! まさかメイドさんが居たのか!? まずい! 俺の変な噂が流れてしまう! 俺の恋人作ろうけいかくがぁ!」
「大丈夫! メイドさんは一人だから! ただ、そのメイドさんが隼人を凄い目で見てるよ! 隼人、殺されないように気をつけてね!」
俺が膝をついて絶望していると、そこに誰かが来た。 顔を上げて見てみると、甲冑姿の人がいた。
「あなたがハヤト様ですか?」
甲冑の中から高い声が聞こえた。 これは女性の声だ。
「はい! 私が隼人です!」
俺は元気よく立ち上がって返事をした。 後ろから殺気を感じる。 これは無視して忘れよう。
「そ、そうですか。 それではこれから剣術を教えようと思いますが、大丈夫ですか?」
「はい! もうガンガン教えちゃってください!」
「わかりました。 元気がいいですね。 それではまず、ハヤト様の腕がどれくらいか知りたいので、この木剣で」
「あー、俺剣持ったこともないんで、初歩の初歩からでお願いします」
「そうですか。 わかりました。 ではまずこう持ってですね」
「あ、すいません。 少し離れた場所でやりません?」
「え? ああ、ええ。 もちろんいいですよ」
幸い、剣を教えるのは一人だけではないようなので少し離れてやることにした。 すると、またマリヤから殺気を感じたが、まぁ無視で良いだろう。
「誰も居ないからって襲ってきちゃダメですからね?」
「あははっ、もちろんわかってますよ」
俺と甲冑姿の女性は少し離れた所に行くと、剣の稽古を始めた。 俺が少し皆から離れたのは集中するためだ。 やるならやるし、やらないならやらない。 そこはハッキリしておきたいのだ。 だから決して二人っきりで仲良くしたいなんて・・・・・・少ししか思っていない。 しばらく剣の稽古をすると、甲冑姿の女性は頭の兜を取った。
甲冑の下は金髪で、声の通り顔は整っていた。
「はぁ、はぁ、今日の剣の稽古はこのくらいにしときましょう。 それにしても上達が早いですね。 こちらとしても、教えがいがあります」
「えっ? そうですか? ふっふっふ。 もっと褒めてくれても良いんですよ? そしたらもっと頑張っちゃいますよ?」
「そうですか? わかりました。 本当に良かったですよ。 筋がかなりいいです。 これなら魔王も倒せそうですね」
「本当ですか? でも、俺は魔王を倒すよりもナタリアさんと恋人になりたいです!」
「冗談でもそう言ってくれると嬉しいです」
「冗談じゃないですよ。 綺麗ですし、強くてカッコイイじゃないですか」
「・・・でも、傷だって多いですし、手だってゴツゴツしてて」
「だからどうしたんですか。 俺はいいと思いますよ? ナタリアさんみたいな女性。 謙虚で芯があって、優しいところもありますよね? きっと世の中の男性の9割以上は結婚したいと思いますよ!」
「・・・・・・」
「嘘じゃないですよ? 言ってることは嘘っぽいですけど、これは本当のことですよ?」
「わ、わかってます! それじゃあ戻りますよ! ハヤトはこれから魔法の授業もありますから」
そう言ってナタリアは足早に戻って行った。 俺は周の元へ向かった。 周のところに着くと、周は地面に座り込んで休んでいた。
「よう。 魔法やりに行こうぜ」
「隼人は疲れてないの? 僕はもうヘトヘトだよ」
「え? ああ、俺は基礎の部分が多かったからな」
「そうなんだ。 はぁ、ふぅ。 よし、行こうか」
「あ、おい。 魔法をここで教えてもらえば良くないか? あっちはあっちで使ってるし、周の魔法に巻き込まれたら可哀想だろう」
「待って。 どうしてそうなるの? むしろ僕よりも隼人の方がやばいと思うよ?」
「はぁ? どうして?」
「だって、隼人の魔力のせいで僕達大変だったんだから」
「はぁ?」
「あれ? 説明されてないの? 隼人が召喚されたとき、僕達押しつぶされかけたんだよ?」
「どういうことだ?」
「なんかね。 魔力がおかしいんだって」
「おかしい?」
「うん。 魔法を壊して魔力を吸収するだって」
「はぁ? なんかの間違いじゃねぇの?」
「いや、僕達は目の前で見てたからね。 結界とかを何重にも張って、その間に指輪を取ってくる。 そして膨大な量になって物質化していた魔力を身体強化魔法と付与魔法と結界張って無理やり近づいて指輪を嵌めて魔力を押さえ込んだって」
「おい、なんかやばそうじゃねぇか。 俺魔法つかえんの?」
「それ以前に指輪が外せないかもって言ってた。 それと、普通なら死ぬ体質だって言ってて、実験体に欲しいって言ってたね」
「おい! やめろよ! なんか怖いだろ! それに体質? なんか他に知ってるのか?」
「うん。 僕達も死にかけたからね。 詳しく説明してもらったよ」
「へぇ。 で、なんて言ってた?」
「うん。 稀に見る体質なんだって。 魔力を吸収する体質は。 ただ、お腹の中で直ぐに死んでしまうみたいで、生きている体質の人は初めて見たって」
「マジかよ。 おい。 吸収? 絶対やばいだろ。 てか、お前ら気絶しなかったのかよ。 俺召喚されたとき気絶したんだよ」
「うん、多分だけど、その体質のせいなんじゃないのかな? 隼人の体血まみれだったよ?」
「うぉーい、聞きたくなかった。 俺死んでたの? いや、待て、もしかして治ったのか? なぁ、ひとつ聞きたいんだけど、地球にいた頃、怪我ってどんなくらいで治った?」
「え? どんなくらいの?」
「擦り傷とか」
「擦り傷? あんまり覚えてないけど、何日かかかったよ」
「マジか。 俺昼に怪我したら夜治ってたんだよ」
「本当!? それ凄いね! よく地球で実験体にされなかったね!」
「おい! お前なんか怖くないか? 実はサイコパス? 勇者サイコパスさんですか?」
「違うよ。 でも、そうか。 多分その異能のおかげなのかもね。 なんかこの世界では稀に異能の人が居るんだって。 でも、魔力を多く消費するのとかあるって聞くから、地球では異能とか分かんないのかもね。 それと、隼人の魔力が多いから僕か隼人どちらが勇者か分からなかったんだよ。 だけど、聖剣っていうの触ったら僕に反応してね」
そう言って周はポケットから短剣を出した。
「おい、まさかその短剣が聖剣なんて言わないよな? もしそうなら俺が名前を付けてやろう」
「ああ、いや、なんか聖剣は形を変えれてね。 長い剣とかに出来るんだよ」
「ほー。 ってことは色々法則無視してそうだな。 くくくっ、研究者の血が騒ぐ」
「いつから研究者になったの?」
「俺の祖先が研究者だったんだよ」
「なるほど」
「で、周は魔法使えるの?」
「え? うん。 詠唱はいるけどね」
そう言って呪文を唱えると隼人の手の上に火の玉が出た。
「なぁ、それ熱くないの?」
「え? 暑いよ?」
「・・・・・・」
「ど、どうたんだい?」
「ねぇ、呪文恥ずかしくないの?」
「恥ずかしいよ?」
「・・・・・・俺魔法いいや」
「待って待って待って! そんなに悪いもんじゃないよ! 確かに呪文は痛いし魔法暑いけど、熱くないのとかあるから!」
「ふーん、でも、俺ファイアーパンチしたかったのに」
「ごめん、ファイアーパンチのどこに魅力感じたのかな?」
「おい! 人の感性を否定するなんていい度胸してんな。 買ってやろう。 その安い挑発を買ってやろう!」
「ご、ごめん! 挑発したつもりはないんだ! ただ、思ったことをそのまま言っただけで・・・・・・」
「もっと悪いじゃねーか! もういいし! 俺がお前に必殺ファイアーパンチを御見舞してやらぁ!」
「ま、待って! ファイアーパンチなら僕がするから。 だからそんなに怒らないで!」
「くそがぁー! てめぇ、人がカッコイイと言ったものを否定した上にさらに使うだと!? 外道だ。 勇者はとんだ外道だ! 俺がご近所さんに触れ回ってやる!」
「ごめん! なんかよく分からないけどごめん!」
「みなさーん! 勇者は外道でーす!」
「待って! なんかみんなこっち見てるから! あっ、ちょっと無視した人目がけて走っていかないで!」
俺は勇者に羽交い締めにされた。
「くそっ! 何をする! この外道な勇者め! 俺に自由も与えないつもか!」
「なんで怒ってるの!? 怒りたいの僕なんだけど!」
そんなこんなで魔法の授業になった。
俺の布団はマリヤによって剥ぎ取られた。 目を擦りながら体を起こすと、怒った様子のマリヤが居た。
「昨日は寝ててもいいって言ったけど、どうしてご飯も食べに来ないの!? 死ぬわよ!」
「あ、そいえばご飯食ってないなぁ。 なんかお腹空かないんだよなぁ」
「ほら、元気出して! それと、ハヤトのせいで変な噂がたったじゃない!」
「変な噂?」
「昨日私とハヤトがその、ベッドで横になってたじゃない。 それで、周様が私とハヤトがいい仲だって言っちゃって」
「広まっちゃったの? まぁいいんじゃないの? 噂は噂だし」
「え? ハヤトはいいの?」
「何が? たかだか噂だろうに」
「で、でも勘違いされてるのよ?」
「あ、それだとやっぱり困るな」
「ど、どうして?」
「だって、この城のメイドさん美人ばっかじゃん。 ここで誰かと付き合えたら人生勝ち組じゃん。 だけどマリヤとの噂があると、それが邪魔になってしまう気がする」
「・・・・・・」
マリヤがめっちゃ冷めた目で見てくる。 これは男がみんな考えてることじゃないか。 何がいけないんだ。 あ、口に出したことか。
「どうしたんだよ。 どうせ女も変わらんだろ。 周と付き合えたらラッキーてな感じなんだろ?」
「それはっ! 確かにそうかもだけど」
「ほら。 あ、いいこと思いついた! 俺が周にマリヤを紹介するからマリヤも俺に誰か紹介してくれよ!」
「嫌よ。 てか、叩いていい? いや、叩くわね。 誰があなたみたいな自墜落な人間紹介するのよ!」
なんか本気で叩かれた。 これ、日本だったらアウトだよ? 多分こっちでもアウト・・・・・・じゃないかも。 くそう。
「あーあ。 じゃあ俺も特訓するから、そしたら誰か紹介してくれよ!」
「誰か? 誰でもいいの?」
「あ、女だけな。 あとは美人で性格よくて器量がいい人」
「わかったわ。 だからさっさと行ってきて」
「あー、はい。 わかりました。 それでどこに行けば・・・・・・」
「はぁ。 ついてきて」
俺はイライラしているマリヤについて行った。 少しすると外に出て、庭っぽいところに連れてこられた。 そこには召喚された四人が居て、それぞれ何かしている。
「おぉ、なんかすげぇ!」
俺が少し大きめに叫ぶと、打ち合いをしていた周がこっちに来た。
「やっと部屋から出たんだね! 昨日はその、ありがとう」
「いいってことよ。 お互い利益になることだ」
「うん」
「てか、おいお前その木の剣ヒビが入ってんじゃん。 馬鹿力だなぁ」
「そんなことないよ。 さっき夏綺だってこの木の剣折ってたもん。 なんか身体強化のやり方覚えたんだって」
「へぇ。 周は覚えないのか?」
「僕は先に別のからかな。 身体能力よりも先に技術と色々な魔法覚えようと思って」
「ふーん。 それはまたなんで?」
「だって、今の身体能力でも怪我しそうなんだよ? なのにこれよりも早くなったら受け身とか対応出来なくなるからね」
「ほー。 流石は勇者様。 色々考えておられますね」
「そんなことないよ。 昨日隼人に言われて僕も考えて動こうと思ったんだよ。 僕の行動一つで人が死ぬかもしれないんだからね」
わーお。 カッコイイ。 なんか男としての格の違いを見せつけられるな。 いや、待てよ。 ここでマリヤを紹介すれば、メイドがマリヤじゃなくなるかもしれない。 そうすれば寝られるかもだし、新たな出会いでバンザイだ。 さすがは俺。 賢いぜ。
「なぁ、そういえばうちのメイドのことどう思う?」
「なっ!」
「メイド? 昨日一緒に寝てた人かい? 美人で隼人にお似合いだと思うよ」
むむ、変な勘違いをしているのか。
「ああ、それなんだけど、違う違う。 あれは布団を引っ張った拍子に倒れただけなんだよ。 それに、あれは周がだグハッ!」
俺はいきなり背中を殴られて倒れた。 そして殴った張本人を睨みつける。
「何をする! いい機会だったじゃないか! お礼を言われるならわかるが殴るのは照れ隠しにしてもやりすぎだぞ!」
「あなたこそ何を言っているんですか! 大きなお節介です!」
「しゅ、周。 暴力的だが、悪いやつじゃないんだ。 信じてやってくれ・・・・・・バタッ」
「今ハヤト様自分でバタッて言いましたよね? そろそろ怒りますよ? 反省してください」
「あははっ、仲良いんだね。 やっぱりお似合いだと思うよ」
「周。 お前は見る目がないな。 このっ! 女性との関わりが長いだけの童貞め!」
「待って。 色々待ってね。 なんで会って三日目でそんなこと知ってるのかな? 確かに告白とかよくされるけど・・・・・・。 というよりも、それは僕の言葉じゃないかな? 見る目がないのも童貞なのもハヤトでしょ?」
「べ、別にそんなことねーし。 俺非童貞だし!」
「ここでその叫びはどうかと思うよ? それになんか嘘っぽいし、本当なの?」
「うん! もちろん! 俺はやったことあるもん!」
「隼人。 悪いことは言わないからやめよう! メイドさんが・・・・・・ああ、僕じゃもう隼人を助けられないよ」
「ああ? メイドさん・・・? 待て! まさかメイドさんが居たのか!? まずい! 俺の変な噂が流れてしまう! 俺の恋人作ろうけいかくがぁ!」
「大丈夫! メイドさんは一人だから! ただ、そのメイドさんが隼人を凄い目で見てるよ! 隼人、殺されないように気をつけてね!」
俺が膝をついて絶望していると、そこに誰かが来た。 顔を上げて見てみると、甲冑姿の人がいた。
「あなたがハヤト様ですか?」
甲冑の中から高い声が聞こえた。 これは女性の声だ。
「はい! 私が隼人です!」
俺は元気よく立ち上がって返事をした。 後ろから殺気を感じる。 これは無視して忘れよう。
「そ、そうですか。 それではこれから剣術を教えようと思いますが、大丈夫ですか?」
「はい! もうガンガン教えちゃってください!」
「わかりました。 元気がいいですね。 それではまず、ハヤト様の腕がどれくらいか知りたいので、この木剣で」
「あー、俺剣持ったこともないんで、初歩の初歩からでお願いします」
「そうですか。 わかりました。 ではまずこう持ってですね」
「あ、すいません。 少し離れた場所でやりません?」
「え? ああ、ええ。 もちろんいいですよ」
幸い、剣を教えるのは一人だけではないようなので少し離れてやることにした。 すると、またマリヤから殺気を感じたが、まぁ無視で良いだろう。
「誰も居ないからって襲ってきちゃダメですからね?」
「あははっ、もちろんわかってますよ」
俺と甲冑姿の女性は少し離れた所に行くと、剣の稽古を始めた。 俺が少し皆から離れたのは集中するためだ。 やるならやるし、やらないならやらない。 そこはハッキリしておきたいのだ。 だから決して二人っきりで仲良くしたいなんて・・・・・・少ししか思っていない。 しばらく剣の稽古をすると、甲冑姿の女性は頭の兜を取った。
甲冑の下は金髪で、声の通り顔は整っていた。
「はぁ、はぁ、今日の剣の稽古はこのくらいにしときましょう。 それにしても上達が早いですね。 こちらとしても、教えがいがあります」
「えっ? そうですか? ふっふっふ。 もっと褒めてくれても良いんですよ? そしたらもっと頑張っちゃいますよ?」
「そうですか? わかりました。 本当に良かったですよ。 筋がかなりいいです。 これなら魔王も倒せそうですね」
「本当ですか? でも、俺は魔王を倒すよりもナタリアさんと恋人になりたいです!」
「冗談でもそう言ってくれると嬉しいです」
「冗談じゃないですよ。 綺麗ですし、強くてカッコイイじゃないですか」
「・・・でも、傷だって多いですし、手だってゴツゴツしてて」
「だからどうしたんですか。 俺はいいと思いますよ? ナタリアさんみたいな女性。 謙虚で芯があって、優しいところもありますよね? きっと世の中の男性の9割以上は結婚したいと思いますよ!」
「・・・・・・」
「嘘じゃないですよ? 言ってることは嘘っぽいですけど、これは本当のことですよ?」
「わ、わかってます! それじゃあ戻りますよ! ハヤトはこれから魔法の授業もありますから」
そう言ってナタリアは足早に戻って行った。 俺は周の元へ向かった。 周のところに着くと、周は地面に座り込んで休んでいた。
「よう。 魔法やりに行こうぜ」
「隼人は疲れてないの? 僕はもうヘトヘトだよ」
「え? ああ、俺は基礎の部分が多かったからな」
「そうなんだ。 はぁ、ふぅ。 よし、行こうか」
「あ、おい。 魔法をここで教えてもらえば良くないか? あっちはあっちで使ってるし、周の魔法に巻き込まれたら可哀想だろう」
「待って。 どうしてそうなるの? むしろ僕よりも隼人の方がやばいと思うよ?」
「はぁ? どうして?」
「だって、隼人の魔力のせいで僕達大変だったんだから」
「はぁ?」
「あれ? 説明されてないの? 隼人が召喚されたとき、僕達押しつぶされかけたんだよ?」
「どういうことだ?」
「なんかね。 魔力がおかしいんだって」
「おかしい?」
「うん。 魔法を壊して魔力を吸収するだって」
「はぁ? なんかの間違いじゃねぇの?」
「いや、僕達は目の前で見てたからね。 結界とかを何重にも張って、その間に指輪を取ってくる。 そして膨大な量になって物質化していた魔力を身体強化魔法と付与魔法と結界張って無理やり近づいて指輪を嵌めて魔力を押さえ込んだって」
「おい、なんかやばそうじゃねぇか。 俺魔法つかえんの?」
「それ以前に指輪が外せないかもって言ってた。 それと、普通なら死ぬ体質だって言ってて、実験体に欲しいって言ってたね」
「おい! やめろよ! なんか怖いだろ! それに体質? なんか他に知ってるのか?」
「うん。 僕達も死にかけたからね。 詳しく説明してもらったよ」
「へぇ。 で、なんて言ってた?」
「うん。 稀に見る体質なんだって。 魔力を吸収する体質は。 ただ、お腹の中で直ぐに死んでしまうみたいで、生きている体質の人は初めて見たって」
「マジかよ。 おい。 吸収? 絶対やばいだろ。 てか、お前ら気絶しなかったのかよ。 俺召喚されたとき気絶したんだよ」
「うん、多分だけど、その体質のせいなんじゃないのかな? 隼人の体血まみれだったよ?」
「うぉーい、聞きたくなかった。 俺死んでたの? いや、待て、もしかして治ったのか? なぁ、ひとつ聞きたいんだけど、地球にいた頃、怪我ってどんなくらいで治った?」
「え? どんなくらいの?」
「擦り傷とか」
「擦り傷? あんまり覚えてないけど、何日かかかったよ」
「マジか。 俺昼に怪我したら夜治ってたんだよ」
「本当!? それ凄いね! よく地球で実験体にされなかったね!」
「おい! お前なんか怖くないか? 実はサイコパス? 勇者サイコパスさんですか?」
「違うよ。 でも、そうか。 多分その異能のおかげなのかもね。 なんかこの世界では稀に異能の人が居るんだって。 でも、魔力を多く消費するのとかあるって聞くから、地球では異能とか分かんないのかもね。 それと、隼人の魔力が多いから僕か隼人どちらが勇者か分からなかったんだよ。 だけど、聖剣っていうの触ったら僕に反応してね」
そう言って周はポケットから短剣を出した。
「おい、まさかその短剣が聖剣なんて言わないよな? もしそうなら俺が名前を付けてやろう」
「ああ、いや、なんか聖剣は形を変えれてね。 長い剣とかに出来るんだよ」
「ほー。 ってことは色々法則無視してそうだな。 くくくっ、研究者の血が騒ぐ」
「いつから研究者になったの?」
「俺の祖先が研究者だったんだよ」
「なるほど」
「で、周は魔法使えるの?」
「え? うん。 詠唱はいるけどね」
そう言って呪文を唱えると隼人の手の上に火の玉が出た。
「なぁ、それ熱くないの?」
「え? 暑いよ?」
「・・・・・・」
「ど、どうたんだい?」
「ねぇ、呪文恥ずかしくないの?」
「恥ずかしいよ?」
「・・・・・・俺魔法いいや」
「待って待って待って! そんなに悪いもんじゃないよ! 確かに呪文は痛いし魔法暑いけど、熱くないのとかあるから!」
「ふーん、でも、俺ファイアーパンチしたかったのに」
「ごめん、ファイアーパンチのどこに魅力感じたのかな?」
「おい! 人の感性を否定するなんていい度胸してんな。 買ってやろう。 その安い挑発を買ってやろう!」
「ご、ごめん! 挑発したつもりはないんだ! ただ、思ったことをそのまま言っただけで・・・・・・」
「もっと悪いじゃねーか! もういいし! 俺がお前に必殺ファイアーパンチを御見舞してやらぁ!」
「ま、待って! ファイアーパンチなら僕がするから。 だからそんなに怒らないで!」
「くそがぁー! てめぇ、人がカッコイイと言ったものを否定した上にさらに使うだと!? 外道だ。 勇者はとんだ外道だ! 俺がご近所さんに触れ回ってやる!」
「ごめん! なんかよく分からないけどごめん!」
「みなさーん! 勇者は外道でーす!」
「待って! なんかみんなこっち見てるから! あっ、ちょっと無視した人目がけて走っていかないで!」
俺は勇者に羽交い締めにされた。
「くそっ! 何をする! この外道な勇者め! 俺に自由も与えないつもか!」
「なんで怒ってるの!? 怒りたいの僕なんだけど!」
そんなこんなで魔法の授業になった。
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ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。
しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。
ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。
激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。
男:女=1:10000の世界に来た記憶が無いけど生きる俺
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突然公園で目覚めた青年「優心」は身辺状況の記憶をすべて忘れていた。分かるのは自分の名前と剣道の経験、常識くらいだった。
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