6 / 13
6話
しおりを挟む
「それでなんだけどさ、フラン」
俺は女性のために勇気を振り絞って話しかけた。
「なあに?貴方♡」
かなりご機嫌だ。
これならいけるかもしれない。
「実はさ、俺はフランが一番大事なんだ。だからフランとこれからも過ごしていきたい。」
俺がそう言うと、フランは最高の笑顔になった。
「私も一緒よ?」
「だから...さ?その、無闇に人を殺して欲しくないんだよね」
「あら?でも私と貴方がいれば何が来ても大丈夫でしょ?」
「いや、俺みたいにヤバい能力持った勇者が来たらやばいじゃないか」
フランは唇に指を当てて考えてから言った。
「大丈夫だと思うわよ?」
「どうして?」
「勇者って一人で現れたの初めてだもの」
「どうゆう事だ?」
「だから、今まで何度も勇者召喚は行われてきたの。
そして、呼び出された勇者の数大体20から5人までしかないの。」
「それが何か問題があるのか?」
「えっとね、そこまでの資質と才能を併せ持った人間は今までいなかった。
みんな出来る分野が別れていたの。
例えば、5人の時は魔法が無詠唱で使えるのが1人、強い攻撃を可能とする力を持ったのが1人、回復の魔法を使えるのが1人、罠を貼ったり解除するのが1人、高い防御のできる力を持ったのが1人」
「え?なんでそんなに別れているんだ?」
「人は万能じゃない。
一人で出来ることなんてたかが知れている。
だから、それぞれ資質がある人が召喚されるの」
「待て、なら俺の場合はどうなる?俺には防御なんてないし、罠も貼れない。回復もみんなが詠唱すれば使える回復だけだぞ?」
「だから貴方にはそれ以上に強力な力を持っているじゃない。
それに加えて無詠唱。
それだけで能力はもういっぱいなんじゃないかしら?」
「そうか、じゃあ、20人の場合はどうなったんだ?」
「身体能力と魔力だけですって。かなり死んだみたいよ」
「そうか、でもよく乗り切れたな」
「いえ、別の国が勇者召喚を行ったみたいよ。少し力と魔力が強いだけの人なんて弱いものよ。」
そうなのか。
ならば、今回俺が行方不明になったことで、別の国で再度勇者召喚が行われている可能性があるのか。
なら、今はどうすることも出来ないし、20人の方を期待しておくかな。
「ありがとね。フラン、いろいろな事が知れたよ。」
「別に私達は夫婦なんだから、聞きたいことがあるならなんでも聞いていいのよ?」
「フランはよくそんなにも知ってるね」
「ええっと、それはね、迷宮の魔物に記憶を抜き取ったり出来る奴がいるのよ。
そいつから勇者について聞いたの」
「なるほどね。
ああ、それでなんだが、俺の都合を押し付けてしまうが、過ごすなら人の町が良いんだ」
「それで?」
「それで、出来るだけ殺さないようにしてくれないかな?」
「無理よ。貴方に取り付く悪い虫は消さないと行けないもの」
なんてことだ。
くそ、俺は山とかで過ごさないといけないのか?
さすがに娯楽が無いのは辛い。
「なら、フランの言うことをなんでも聞こう」
俺がそう言うと、フランの目が一瞬光った気がした。
「本当に?」
「ああ。本当だ」
「なら、私以外の女性を視界に入れないようにしたいところだけど、仕方無いから女性に触れない事と毎日私と一緒に寝るならいいわよ」
おっと、初めの奴は町中で無隠しプレイしながら歩けってことだよな。
良かったよ。
あと少しで変人扱いされるところだった。
それにしても、2つ目はどうせフランならお願い無しでもやっただろう。
問題は1つ目だ。
フランの事だから肩が当たっただけでも殺しそうだから怖い。
まじで気をつけないと。
「うん。いいよ。俺のわがままに付き合わせてごめんな」
俺がそう言うと、フランは笑顔で首を振った。
なんだか少し嫌な予感がするが、気にしないことにする。
「もう暗いがどうする?」
「人は宿に泊まるんでしょ?そこに行きましょ」
俺はさっき服を買いに行く途中に見つけた宿に行った。
ドア開けると、美人の女性がいた。
少し見惚れそうになったが、そうなった瞬間女性の首が飛びそうなため、理性で抑えた。
「ここでとまれるのかしら?」
フランが女性に話しかけた。
「はい。何泊のご予定でしょうか?」
「取り敢えず1泊よ」
「分かりました。夕食と朝食はどうなさいますか?」
「どちらもお願い」
「分かりました。それではお部屋は一部屋でしょうか?二部屋でしょうか?」
「人部屋でお願いするわ」
「分かりました。
ベッドはツインでしょうか?ダブルでしょうか?」
「ダブルよ」
「あらあら...うふふ、分かりました。
室内にお風呂がありますが、ご使用なられますか?使われるのでしたら魔道具をお使いしますが」
「お風呂ですか!?お願いします。
いやあ、しばらく入れていなかったので良かったですよ。
それと、魔法が使えるので魔道具は大丈夫ですよ?」
「あら?魔法使いだったのですか。
お若いのに凄いですね」
「いえいえ、僕なんてそんなことないですよ」
俺は美人女性の言葉に少し照れてしまった。
それがいけなかった。
俺の手が凄い力で握られている。
動かせないため、もう既に手はやられていると考えた方がいいだろう。
「あのう、代金はいくらでしょうか?」
俺は完璧な笑顔でそう言った。
「はい。えっと、大銀貨2枚になりますね」
俺はローブから出したように見せて2枚の大銀貨を渡すした。
その際に少し触れてしまったのは仕方ないだろう。
それによって右側では表情が消えてヤバそうな事になるのもまた仕方ないことだろう。
俺は自分の行動に後悔しながらもそのまま女性に案内してもらって部屋まで行った。
部屋に入ると、フランが俺を引っ張ってベッドの方まで連れてきた。
俺を押し倒すと、氷の如く冷たい目で俺を見つめてくる。
俺は目を逸らしたかったが出来なかった。
代わりに、現実から目を逸らす事に成功した。
「ねえ、さっき約束したわよね?」
「うん。したね。」
「手...少し触れたわよね?」
「あれ?そうだっけ?」
「そうよ」
やばい!本気で怒ってらっしゃる。
「それに、楽しそうに会話してたよね?私の目の前で」
「はい。」
「私、嫌って言ったよね?」
「はい。」
「なら、もう次からは絶対にしないで。
さっきのに追加で私の前ではできる限り女性と会話ししないで」
フランはそこで少し泣きそうになっていた。
俺はフランを抱き寄せて耳元で言った。
「わかった。今回は俺のミスだ。ごめんな」
俺はそう言ってからキスをした。
「うん。ねえ、先に身体を洗ってきてもいいかな?」
「わかった。ならお湯入れてくるよ」
俺はそう言って風呂場に向かった。
俺は水と火を合成させてお湯を作って入れた。
この魔法は無駄に勇者と多分魔王にしか使えない魔法だ。
それにしたも、魔王は強いんだろうか?
ゲームではかなり強いイメージがあるが、勇者がそやなに強くない気がしてきたし行けるだろう俺はそう思いながら風呂場をあとにした。
二人共風呂から上がりご飯を食べ終わると、しばらく無言でベッドの上にいた。
かなり気まづい。
俺は別にチキンとかヘタレでは無いからやるのだ。
でも、やっぱり失敗するのが怖い。
俺の身体はそもそもやれるのかとか、この気まづい空間とか。
まあ、こんな空気は初めにしか味わえないだろうが、俺はいつもやるように感情を一部殺した。
そして、フランの方に擦り寄るとそのままエッチをした。
その後はフランの声が大きくてちょっと大丈夫かな?とか焦りながらも、止めずに長い夜を過ごした。
その後、フランは寝たが俺は正直寝てもあんまり意味が無い。
それにしても今日は久しぶりに緊張感を味わったりして刺激的な1日だった。
俺はきっとフランと会えて良かったんだろう。
そうしなければ、中途半端に殺戮しまくっていたかもしれない。
フランのおかげで止まることも進むことも出来る。
でも、答えなら未来の俺が決めるだろう。
俺は自分に向かって時空間魔法を使って朝の7自辺りまで俺の時間が止まるように設定して発動した。
これは魔力をかなり使う魔法だろう。
だが、あまり俺には関係ない。
俺はそれを使う前に深呼吸してから使った。
朝だ。
横を見ると、綺麗な黒髪の絶世の美女が寝ていた。
でも、俺は焦りをほぼ感じないようにしているため、冷静に受け止めることが出来た。
そう、俺は冷静にイタズラをすることにした。
昨日知った敏感な場所を少しづつ責めていく。
すると、少しづつあえぎ声が聞こえるようになって来た。
起きないように慎重にしていると、俺が耐えきれず、そのままエッチをすることにした。
フランはすぐに起きて少し文句を言っていたが、すぐに昨日の続きが始まった。
着替えてから一階に向かうと、昨日の女性...女将さん(仮)少しいる女性らに、生暖かい目で見られた。
少しいる男性陣からは嫉妬と殺意の混じった目を向けられた。
俺は少し居た堪れない気持ちになったが、すぐに消して朝食を取る事にした。
フランは少しふらふら状態だ。
相当きつかったんだろう。
「フラン大丈夫?」
「ええ、誰かさんのせいで辛いけど大丈夫よ」
「あははははっ、フランが美人過ぎるのが悪い」
「あら?ふふっ、それなら仕方ないわね」
俺とフランは朝食を取り終えるとまず服屋に向かった。
この間の店とは別の店に行く。
店の中に入ると、服がたくさん置いてあった。
「フラン、服のサイズは分かる?」
「ええ、大丈夫よ」
「なら、良かった。待ってるから選んで...」
「あら?選んでくれないのかしら?」
「ええっと、うん、いいよ」
正直女性の買い物は大変だ。
適当に選んでもらいたいが、無理だろう。
しばらく服を選んでいると、やっと終わった。
店員さんは女性の人だった。
そのため、気を付けてお金を支払った。
そのあと、ご飯を食べることにした。
その時にお互いに食べさせあった。
すると、周りからの視線が痛いのは仕方のない事だろう。
少し鬱陶しくて周りの男性陣に向けて向けて大量の魔力のプレッシャーを与えるのも仕方のない事だう。
「次はどこに行くの?」
「うーん。お金が残り少ないからギルドで魔石を売りたいかな。あとは剣を作って欲しいかも。
ほら、この間迷宮で手に入れた石使ってさ。フランの鱗を斬っても折れないのが欲しい」
「あら?あまりその必要はないんじゃないかしら?貴方私の鱗殴ってヒビ入れていたじゃない。
普通は無理よ?」
「うーん。そうだけど、僕が得意なのは剣だし」
「ふーん、ならいいんじゃないかしら。でも、私はどうやって戦おうかしら?」
フラン...か。
取り敢えず何ができるんだろうか?
「フランは何が出来るの?」
「そうね・・・素手ででも戦えるわね。
あと、魔法も使えるわよ。
と言っても、人間の使ってる魔法は知らないけどね」
「人間の使ってる魔法じゃない...?」
「ええ、私は攻撃するくらいの魔法しか知らないけどね。
火を大量に出したり、光を凝縮して出したり、氷漬けにしたり...あとは浮いたりするくらいかしら?」
「それで、充分じゃないの?」
「ええ、充分よ。でも、貴方みたいに効かない人もいるし、封印する魔法も考えといた方がいいかしら?」
そうか。
俺は一様時間を止めて封印できる。
異空間に入れれば問題ない。
俺にもそれは効くだろう。
だけど、普段はそれをされないために身体に魔力を纏っている。
これをしていると、魔法に対して耐性がつく。
俺に当たる直前に魔力で打消してくれたりする。
これで少しでも時間が稼げれば時間を止める魔法は効かないだろう。
ただ、勇者の封印は何をしてくるかわからない。
用心しといた方がいいだろう。
敵では無く、味方として付けておく。
そうすれば特に問題はない。
対策を考えながらギルドに向かった。
ギルドに入ると、人はまあまあいた。
昼ご飯を食べているようだ。
依頼の報告もあるだろう。
すると、多くの人から殺気を感じた。
襲いかかられても面倒だから先に魔力を周りに放出した。
すると、全員が驚きに目を開いて武器を構えた。
しまったな。
冒険者だから魔力の放出を感じたら備える事は当たり前か。
まあ、無視すればいいだろう。
すると、大柄な男が下卑た笑みを浮かべながら俺に近づいてきた。
「なあ、お前。すごいべっぴんな女連れてるじゃねぇか?」
「まあ、そうですね。羨ましいでしょう?」
俺はニヤリと笑ってフランを抱き寄せた。
少し面白そうだから挑発してみよう。
俺の行動にフランは少し驚いた表情をしたが、すぐにくすくすと笑い出した。
すると、周りの冒険者達の殺気が増した。
目の前の男も目が殺してやる、と物語っている気がした。
俺はその様子を見て鼻を鳴らすと、小馬鹿にしたような勝ち誇った笑みをした。
これは作った訳ではなく素でやった。
どうやら俺は悪役の素質があるようだ。
きっと勇者はいろいろな素質をもっているんだろう。
「おい、てめぇちょっとツラ貸しな」
おっと、すぐには殴りかかって来なかった。
きっと相手も乗ったら終わりと分かっているんだろう。
「何でですか?俺、今から魔石の買取してもらわなくちゃいけないんですよ。少し待っていてくださいね」
「ああん?そんなの後でいいだろうが!」
「いえいえ、それこそ後でいいでしょう?」
「この糞ガキが。俺がまだ何も手を出していないからっていい気になりやがって。
お前はどうせ魔法使いだろう?だから出るまでに詠唱すればいいと思っているんだろうが、させると思うなよ?」
「いえ、何を言っているんですか?別にあなた程度なら魔法どころか武器すら使う必要も無いですよ?」
「ああクソ、もう我慢の限界だ!これだけ言われたんだ!俺が手を出してもギルドは何も文句はないだろう!」
そう言って男が殴りかかってきた。
俺はその手を掌で掴むと握り潰した。
「な!?ぐっぎゃああああ!!」
男は急いで手を引っ張って手を離させようとするが俺はずっと握り続けていた。
男は離れることを諦めたのか足で俺を蹴ろうとしたが、俺はその間に相手の股間目掛けて足を蹴り抜いた。
相手はまたも悲鳴をあげると涙を流しながら泡を吹いて気絶した。
その一部始終を見ていたギルドのメンバーは顔を青くしながら信じられないものを見る目で俺を見た。
俺はその様子に気分を良くして買取をしてもらうことにした。
買取をしてもらおうと受付嬢を見ると怯えた様子で俺を見ていた。
少しやり過ぎたかと俺は後悔しながら40階層以降の魔石を置くと、それを見た受付嬢が口をぱくぱくさせながら俺を見た。
魔石は全部で20個ぐらい置いた。
俺は固まってもらっていると進まないため、話しかけることにした。
「ねえ、買取してくれないのかな?」
「え、ふぁ、ふぁい。たりゃいま!え、えと申し訳ありませんでした。
だから殺さないで下さい」
受付嬢は涙を流しながら取り乱した様子でそう言った。
全く、これでは俺が悪役みたいじゃないか。
そんな俺をフランはにやにやしながら見てきた。
「全く怖いわねぇ、ここまで容赦無いとは思わなかったわ。
同じ人間だとは思えないわ」
フランはそう言いながらも上機嫌で俺に抱きついている。
しばらくフランと待っていると、お金を持ってやってきた。
「こ、こちらになります。ま、またの起こしを、お待ちしてます」
全く出来ていない作り笑顔でそう言った。
俺が帰ろうとギルドから出ようとしたその瞬間。
「おいそこの坊主待てよ、これはどういう状況だ?」
二階から出てきた厳つそうなおじさんがそう言った。
俺は女性のために勇気を振り絞って話しかけた。
「なあに?貴方♡」
かなりご機嫌だ。
これならいけるかもしれない。
「実はさ、俺はフランが一番大事なんだ。だからフランとこれからも過ごしていきたい。」
俺がそう言うと、フランは最高の笑顔になった。
「私も一緒よ?」
「だから...さ?その、無闇に人を殺して欲しくないんだよね」
「あら?でも私と貴方がいれば何が来ても大丈夫でしょ?」
「いや、俺みたいにヤバい能力持った勇者が来たらやばいじゃないか」
フランは唇に指を当てて考えてから言った。
「大丈夫だと思うわよ?」
「どうして?」
「勇者って一人で現れたの初めてだもの」
「どうゆう事だ?」
「だから、今まで何度も勇者召喚は行われてきたの。
そして、呼び出された勇者の数大体20から5人までしかないの。」
「それが何か問題があるのか?」
「えっとね、そこまでの資質と才能を併せ持った人間は今までいなかった。
みんな出来る分野が別れていたの。
例えば、5人の時は魔法が無詠唱で使えるのが1人、強い攻撃を可能とする力を持ったのが1人、回復の魔法を使えるのが1人、罠を貼ったり解除するのが1人、高い防御のできる力を持ったのが1人」
「え?なんでそんなに別れているんだ?」
「人は万能じゃない。
一人で出来ることなんてたかが知れている。
だから、それぞれ資質がある人が召喚されるの」
「待て、なら俺の場合はどうなる?俺には防御なんてないし、罠も貼れない。回復もみんなが詠唱すれば使える回復だけだぞ?」
「だから貴方にはそれ以上に強力な力を持っているじゃない。
それに加えて無詠唱。
それだけで能力はもういっぱいなんじゃないかしら?」
「そうか、じゃあ、20人の場合はどうなったんだ?」
「身体能力と魔力だけですって。かなり死んだみたいよ」
「そうか、でもよく乗り切れたな」
「いえ、別の国が勇者召喚を行ったみたいよ。少し力と魔力が強いだけの人なんて弱いものよ。」
そうなのか。
ならば、今回俺が行方不明になったことで、別の国で再度勇者召喚が行われている可能性があるのか。
なら、今はどうすることも出来ないし、20人の方を期待しておくかな。
「ありがとね。フラン、いろいろな事が知れたよ。」
「別に私達は夫婦なんだから、聞きたいことがあるならなんでも聞いていいのよ?」
「フランはよくそんなにも知ってるね」
「ええっと、それはね、迷宮の魔物に記憶を抜き取ったり出来る奴がいるのよ。
そいつから勇者について聞いたの」
「なるほどね。
ああ、それでなんだが、俺の都合を押し付けてしまうが、過ごすなら人の町が良いんだ」
「それで?」
「それで、出来るだけ殺さないようにしてくれないかな?」
「無理よ。貴方に取り付く悪い虫は消さないと行けないもの」
なんてことだ。
くそ、俺は山とかで過ごさないといけないのか?
さすがに娯楽が無いのは辛い。
「なら、フランの言うことをなんでも聞こう」
俺がそう言うと、フランの目が一瞬光った気がした。
「本当に?」
「ああ。本当だ」
「なら、私以外の女性を視界に入れないようにしたいところだけど、仕方無いから女性に触れない事と毎日私と一緒に寝るならいいわよ」
おっと、初めの奴は町中で無隠しプレイしながら歩けってことだよな。
良かったよ。
あと少しで変人扱いされるところだった。
それにしても、2つ目はどうせフランならお願い無しでもやっただろう。
問題は1つ目だ。
フランの事だから肩が当たっただけでも殺しそうだから怖い。
まじで気をつけないと。
「うん。いいよ。俺のわがままに付き合わせてごめんな」
俺がそう言うと、フランは笑顔で首を振った。
なんだか少し嫌な予感がするが、気にしないことにする。
「もう暗いがどうする?」
「人は宿に泊まるんでしょ?そこに行きましょ」
俺はさっき服を買いに行く途中に見つけた宿に行った。
ドア開けると、美人の女性がいた。
少し見惚れそうになったが、そうなった瞬間女性の首が飛びそうなため、理性で抑えた。
「ここでとまれるのかしら?」
フランが女性に話しかけた。
「はい。何泊のご予定でしょうか?」
「取り敢えず1泊よ」
「分かりました。夕食と朝食はどうなさいますか?」
「どちらもお願い」
「分かりました。それではお部屋は一部屋でしょうか?二部屋でしょうか?」
「人部屋でお願いするわ」
「分かりました。
ベッドはツインでしょうか?ダブルでしょうか?」
「ダブルよ」
「あらあら...うふふ、分かりました。
室内にお風呂がありますが、ご使用なられますか?使われるのでしたら魔道具をお使いしますが」
「お風呂ですか!?お願いします。
いやあ、しばらく入れていなかったので良かったですよ。
それと、魔法が使えるので魔道具は大丈夫ですよ?」
「あら?魔法使いだったのですか。
お若いのに凄いですね」
「いえいえ、僕なんてそんなことないですよ」
俺は美人女性の言葉に少し照れてしまった。
それがいけなかった。
俺の手が凄い力で握られている。
動かせないため、もう既に手はやられていると考えた方がいいだろう。
「あのう、代金はいくらでしょうか?」
俺は完璧な笑顔でそう言った。
「はい。えっと、大銀貨2枚になりますね」
俺はローブから出したように見せて2枚の大銀貨を渡すした。
その際に少し触れてしまったのは仕方ないだろう。
それによって右側では表情が消えてヤバそうな事になるのもまた仕方ないことだろう。
俺は自分の行動に後悔しながらもそのまま女性に案内してもらって部屋まで行った。
部屋に入ると、フランが俺を引っ張ってベッドの方まで連れてきた。
俺を押し倒すと、氷の如く冷たい目で俺を見つめてくる。
俺は目を逸らしたかったが出来なかった。
代わりに、現実から目を逸らす事に成功した。
「ねえ、さっき約束したわよね?」
「うん。したね。」
「手...少し触れたわよね?」
「あれ?そうだっけ?」
「そうよ」
やばい!本気で怒ってらっしゃる。
「それに、楽しそうに会話してたよね?私の目の前で」
「はい。」
「私、嫌って言ったよね?」
「はい。」
「なら、もう次からは絶対にしないで。
さっきのに追加で私の前ではできる限り女性と会話ししないで」
フランはそこで少し泣きそうになっていた。
俺はフランを抱き寄せて耳元で言った。
「わかった。今回は俺のミスだ。ごめんな」
俺はそう言ってからキスをした。
「うん。ねえ、先に身体を洗ってきてもいいかな?」
「わかった。ならお湯入れてくるよ」
俺はそう言って風呂場に向かった。
俺は水と火を合成させてお湯を作って入れた。
この魔法は無駄に勇者と多分魔王にしか使えない魔法だ。
それにしたも、魔王は強いんだろうか?
ゲームではかなり強いイメージがあるが、勇者がそやなに強くない気がしてきたし行けるだろう俺はそう思いながら風呂場をあとにした。
二人共風呂から上がりご飯を食べ終わると、しばらく無言でベッドの上にいた。
かなり気まづい。
俺は別にチキンとかヘタレでは無いからやるのだ。
でも、やっぱり失敗するのが怖い。
俺の身体はそもそもやれるのかとか、この気まづい空間とか。
まあ、こんな空気は初めにしか味わえないだろうが、俺はいつもやるように感情を一部殺した。
そして、フランの方に擦り寄るとそのままエッチをした。
その後はフランの声が大きくてちょっと大丈夫かな?とか焦りながらも、止めずに長い夜を過ごした。
その後、フランは寝たが俺は正直寝てもあんまり意味が無い。
それにしても今日は久しぶりに緊張感を味わったりして刺激的な1日だった。
俺はきっとフランと会えて良かったんだろう。
そうしなければ、中途半端に殺戮しまくっていたかもしれない。
フランのおかげで止まることも進むことも出来る。
でも、答えなら未来の俺が決めるだろう。
俺は自分に向かって時空間魔法を使って朝の7自辺りまで俺の時間が止まるように設定して発動した。
これは魔力をかなり使う魔法だろう。
だが、あまり俺には関係ない。
俺はそれを使う前に深呼吸してから使った。
朝だ。
横を見ると、綺麗な黒髪の絶世の美女が寝ていた。
でも、俺は焦りをほぼ感じないようにしているため、冷静に受け止めることが出来た。
そう、俺は冷静にイタズラをすることにした。
昨日知った敏感な場所を少しづつ責めていく。
すると、少しづつあえぎ声が聞こえるようになって来た。
起きないように慎重にしていると、俺が耐えきれず、そのままエッチをすることにした。
フランはすぐに起きて少し文句を言っていたが、すぐに昨日の続きが始まった。
着替えてから一階に向かうと、昨日の女性...女将さん(仮)少しいる女性らに、生暖かい目で見られた。
少しいる男性陣からは嫉妬と殺意の混じった目を向けられた。
俺は少し居た堪れない気持ちになったが、すぐに消して朝食を取る事にした。
フランは少しふらふら状態だ。
相当きつかったんだろう。
「フラン大丈夫?」
「ええ、誰かさんのせいで辛いけど大丈夫よ」
「あははははっ、フランが美人過ぎるのが悪い」
「あら?ふふっ、それなら仕方ないわね」
俺とフランは朝食を取り終えるとまず服屋に向かった。
この間の店とは別の店に行く。
店の中に入ると、服がたくさん置いてあった。
「フラン、服のサイズは分かる?」
「ええ、大丈夫よ」
「なら、良かった。待ってるから選んで...」
「あら?選んでくれないのかしら?」
「ええっと、うん、いいよ」
正直女性の買い物は大変だ。
適当に選んでもらいたいが、無理だろう。
しばらく服を選んでいると、やっと終わった。
店員さんは女性の人だった。
そのため、気を付けてお金を支払った。
そのあと、ご飯を食べることにした。
その時にお互いに食べさせあった。
すると、周りからの視線が痛いのは仕方のない事だろう。
少し鬱陶しくて周りの男性陣に向けて向けて大量の魔力のプレッシャーを与えるのも仕方のない事だう。
「次はどこに行くの?」
「うーん。お金が残り少ないからギルドで魔石を売りたいかな。あとは剣を作って欲しいかも。
ほら、この間迷宮で手に入れた石使ってさ。フランの鱗を斬っても折れないのが欲しい」
「あら?あまりその必要はないんじゃないかしら?貴方私の鱗殴ってヒビ入れていたじゃない。
普通は無理よ?」
「うーん。そうだけど、僕が得意なのは剣だし」
「ふーん、ならいいんじゃないかしら。でも、私はどうやって戦おうかしら?」
フラン...か。
取り敢えず何ができるんだろうか?
「フランは何が出来るの?」
「そうね・・・素手ででも戦えるわね。
あと、魔法も使えるわよ。
と言っても、人間の使ってる魔法は知らないけどね」
「人間の使ってる魔法じゃない...?」
「ええ、私は攻撃するくらいの魔法しか知らないけどね。
火を大量に出したり、光を凝縮して出したり、氷漬けにしたり...あとは浮いたりするくらいかしら?」
「それで、充分じゃないの?」
「ええ、充分よ。でも、貴方みたいに効かない人もいるし、封印する魔法も考えといた方がいいかしら?」
そうか。
俺は一様時間を止めて封印できる。
異空間に入れれば問題ない。
俺にもそれは効くだろう。
だけど、普段はそれをされないために身体に魔力を纏っている。
これをしていると、魔法に対して耐性がつく。
俺に当たる直前に魔力で打消してくれたりする。
これで少しでも時間が稼げれば時間を止める魔法は効かないだろう。
ただ、勇者の封印は何をしてくるかわからない。
用心しといた方がいいだろう。
敵では無く、味方として付けておく。
そうすれば特に問題はない。
対策を考えながらギルドに向かった。
ギルドに入ると、人はまあまあいた。
昼ご飯を食べているようだ。
依頼の報告もあるだろう。
すると、多くの人から殺気を感じた。
襲いかかられても面倒だから先に魔力を周りに放出した。
すると、全員が驚きに目を開いて武器を構えた。
しまったな。
冒険者だから魔力の放出を感じたら備える事は当たり前か。
まあ、無視すればいいだろう。
すると、大柄な男が下卑た笑みを浮かべながら俺に近づいてきた。
「なあ、お前。すごいべっぴんな女連れてるじゃねぇか?」
「まあ、そうですね。羨ましいでしょう?」
俺はニヤリと笑ってフランを抱き寄せた。
少し面白そうだから挑発してみよう。
俺の行動にフランは少し驚いた表情をしたが、すぐにくすくすと笑い出した。
すると、周りの冒険者達の殺気が増した。
目の前の男も目が殺してやる、と物語っている気がした。
俺はその様子を見て鼻を鳴らすと、小馬鹿にしたような勝ち誇った笑みをした。
これは作った訳ではなく素でやった。
どうやら俺は悪役の素質があるようだ。
きっと勇者はいろいろな素質をもっているんだろう。
「おい、てめぇちょっとツラ貸しな」
おっと、すぐには殴りかかって来なかった。
きっと相手も乗ったら終わりと分かっているんだろう。
「何でですか?俺、今から魔石の買取してもらわなくちゃいけないんですよ。少し待っていてくださいね」
「ああん?そんなの後でいいだろうが!」
「いえいえ、それこそ後でいいでしょう?」
「この糞ガキが。俺がまだ何も手を出していないからっていい気になりやがって。
お前はどうせ魔法使いだろう?だから出るまでに詠唱すればいいと思っているんだろうが、させると思うなよ?」
「いえ、何を言っているんですか?別にあなた程度なら魔法どころか武器すら使う必要も無いですよ?」
「ああクソ、もう我慢の限界だ!これだけ言われたんだ!俺が手を出してもギルドは何も文句はないだろう!」
そう言って男が殴りかかってきた。
俺はその手を掌で掴むと握り潰した。
「な!?ぐっぎゃああああ!!」
男は急いで手を引っ張って手を離させようとするが俺はずっと握り続けていた。
男は離れることを諦めたのか足で俺を蹴ろうとしたが、俺はその間に相手の股間目掛けて足を蹴り抜いた。
相手はまたも悲鳴をあげると涙を流しながら泡を吹いて気絶した。
その一部始終を見ていたギルドのメンバーは顔を青くしながら信じられないものを見る目で俺を見た。
俺はその様子に気分を良くして買取をしてもらうことにした。
買取をしてもらおうと受付嬢を見ると怯えた様子で俺を見ていた。
少しやり過ぎたかと俺は後悔しながら40階層以降の魔石を置くと、それを見た受付嬢が口をぱくぱくさせながら俺を見た。
魔石は全部で20個ぐらい置いた。
俺は固まってもらっていると進まないため、話しかけることにした。
「ねえ、買取してくれないのかな?」
「え、ふぁ、ふぁい。たりゃいま!え、えと申し訳ありませんでした。
だから殺さないで下さい」
受付嬢は涙を流しながら取り乱した様子でそう言った。
全く、これでは俺が悪役みたいじゃないか。
そんな俺をフランはにやにやしながら見てきた。
「全く怖いわねぇ、ここまで容赦無いとは思わなかったわ。
同じ人間だとは思えないわ」
フランはそう言いながらも上機嫌で俺に抱きついている。
しばらくフランと待っていると、お金を持ってやってきた。
「こ、こちらになります。ま、またの起こしを、お待ちしてます」
全く出来ていない作り笑顔でそう言った。
俺が帰ろうとギルドから出ようとしたその瞬間。
「おいそこの坊主待てよ、これはどういう状況だ?」
二階から出てきた厳つそうなおじさんがそう言った。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
不倫されて離婚した社畜OLが幼女転生して聖女になりましたが、王国が揉めてて大事にしてもらえないので好きに生きます
天田れおぽん
ファンタジー
ブラック企業に勤める社畜OL沙羅(サラ)は、結婚したものの不倫されて離婚した。スッキリした気分で明るい未来に期待を馳せるも、公園から飛び出てきた子どもを助けたことで、弱っていた心臓が止まってしまい死亡。同情した女神が、黒髪黒目中肉中背バツイチの沙羅を、銀髪碧眼3歳児の聖女として異世界へと転生させてくれた。
ところが王国内で聖女の処遇で揉めていて、転生先は草原だった。
サラは女神がくれた山盛りてんこ盛りのスキルを使い、異世界で知り合ったモフモフたちと暮らし始める――――
※第16話 あつまれ聖獣の森 6 が抜けていましたので2025/07/30に追加しました。
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる