召喚勇者は破滅を願う

イサ

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7話

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「おいそこの坊主待てよ、これはどういう状況だ?」

二階から出てきた厳つそうなおじさんがそう言った。
なんかのお偉いさんだろうか?
俺に話しかけたということは俺が何かをしたのはバレていると考えていいだろう。

「はい。 えーっとですね、さっき絡まれた上にいきなり殴り掛かられまして。 
攻撃されて反射で攻撃してしまいまして。 ね?仕方ないとは思いませんか?」

「おい、反射でそんなにもなるものか? おい!急いでそいつを手当てするんだ! それから教会に運ぶんだ!」

おじさんは職員に手当てをするように命じた。
その間に俺は武器屋の近くに転移した。

「あら?転移しても良かったのかしら?」

「うん。 別に問題ないでしょ。 
もしもの時はみんな殺る。 
そしたらその内僕は指名手配されるだろうね。 
でも、それでもいい。 
なら、僕を倒しに来る人をみんな倒せばいい。 
もしも僕を殺してくれるなら幸いさ。 
まあ、そんなことにはならないだろうけどね。 
だから、もしもの時はフランは逃げてね?」

俺がそう言うと、フランは俺の言葉を鼻で笑った。

「もしもの時? そんな事にはならないわ。 
それに、私が貴方を置いて逃げる訳ないじゃない。 貴方が死んだら私も後を追って死ぬは」

「確かに無いかもしれないね。 
でもね、僕の勘だけど僕は殺されないと思うよ? それにそもそも負けないと思うし...。 
ただね、封印されるのが危ないんだよ。 
もし不意打ちをくらって封印されれば僕が自分で封印を解くのは無理かもしれない。 
だから、その時はフランが解いてくれないか?」

フランはそれでもイマイチ納得していないようだが、渋々頷いた。

「そう...わかったわ。でも、それは相手が強かったらよ?弱いなら先に叩き潰すわ」

「うん。僕もそれでいいと思うよ。
それの、能力が不死だけとも限らないしね」

「それで、武器を作ってもらうの?」

「うん。迷宮で手に入れた鉱石があるからね」

「でも、作れるかしら?」

「うーん、それは行ってみないと分からないよ」

「それもそうね。なら行きましょ」

俺とフランは武器屋に向かった。
その途中で嫉妬や殺意の篭もった視線は普通に鬱陶しかった。
だから鬱陶しい視線を向けてくる連中にドヤ顔をしても問題ないだろう。
だが、それで殺意が増えるのは正直いい気分だ。
殴りかかってきた連中には空気を圧縮して放ってやった。

 少しすると武器屋に着いた。
扉を開けて中に入ってみると、男の人が店番をしていた。
だが、眠いようで椅子に座ってウトウトとしている。

 俺はその男性に近づいてみた。
だが、男性は起きそうにない。
さて、ここで起こそうかと思ったが、折角なら脅かしてやろうと思い、どうやって驚かそうかと考える。

普通に大きな音を立てて起こすのは普通だろう。
すると、フランが不思議そうな表情で俺を見た。

「起こさないの?」

「うーん、驚かそうかと思ったんだけど、どうやって驚かそうかなと思ってね」

「ふーん、ならいいわ」

それにしてもフランは美人だ。
一日経っているのにまだ少しドキドキとしてしまう。
きっとこの男性もフランに驚くだろう。
ならば、フランを使ってみてもいいかもしれない。

「ねえ、フラン。その男性に顔を近づけてから少し揺すってみて」

すると、フランは少し訝しげに俺を見ていたが、溜息を吐いてから顔を近づけた。
それから少し揺すると男性は目を開いた。

「う...うーん、ん?んん!?わぁぁぁ!」

青年は後ろに勢い良く倒れた。

「ん、いてて、だ、誰!?」

俺はその様子を見て少し苦笑した。
それから暇な時に練習した光学迷彩の魔法を使ってから気配を消した。
俺は幸い呼吸をしなくても問題ない。
だから、気配を消すのは造作もない。

「えっ、えーっとようこそいらっしゃいました。本日はどのような御用でござい致しましたか?」

 青年は顔を赤くして緊張気味にそんな事を言った。
俺はそんな青年の様子に吹きそうになったが、耐えて様子を見ることにした。

「あら?貴方...?」

 フランは俺が居ない事に驚いた表情を浮かべてキョロキョロとした。
青年はフランの顔をぼーっと見て顔を赤くしている。
そして、フランは青年の方を見ると、少し気まづそうにしていた。
俺も困った。
なんか変な空気になって出にくくなってしまった。
面白そうだから姿消したけど、そいえばフランが人と話しているところは滅多に見ていない。
どうしようか考えていると、青年が喋った。

「あ、あの!恋人はいますか?」

フランはそんな青年の様子に察しているのか溜息を吐いた。
人に化けるのは初めてでは無いんだろう。

「いえ、いないわよ」

 青年はその言葉を聞いた瞬間満面の笑みを浮かべた。
それからキョロキョロと辺りを見てから、決心したような表情になると、フランの目をしっかりと見た。

 なんだか浮気の現場を見ているような気分だ。
俺がそんな事を思うと、フランがこちらを睨みつけてきた。
何故バレたんだろう、と思いながら冷や汗を流した。
すると、フランはすぐに目を青年に向けた。

「あの!俺と付き合ってくれませんか!!」

「ごめん、無理。私結婚してるし」

フランのその言葉に青年はショックを受けたようで膝をついて項垂れた。
俺は少し居た堪れない気持ちになったため、転移しようとしたらフランに腕を掴まれた。
やはりいるのがバレていたようだ。
フランは俺を睨みつけている。

「ねえ、早く魔法解いたら?」

 俺はその言葉を聞くとすぐに魔法を解いた。
すると、フランは俺の腕を握りつぶした。
そしてから表情のない顔になって言った。

「いい度胸してるわね。貴方。
貴方がやれと言うからやったのに貴方は姿を消してなんだか浮気の見ているような気分だ、ですって?」

まずい、無表情の怒りはとても怖い。
女性が無表情になるとかなり怖い。
ここは急いで弁明した方がいいだろう。

「ごめん。
俺もこんな事にするつもりはなかったんだよ。
ただ、青年の驚いた様子と慌てた様子を見てから姿を表そうと思ったらなんか出づらい雰囲気になって。」

俺はそこでフランに近づいて行った。
そして抱きしめるとフランの耳元に顔を寄せてから言った。

「俺も大好きなフランの浮気を見ているような気持ちになって後悔していたんだ。
ごめんな、フラン」

 完璧だろう。
俺は自分で自分を褒め称えた。
だが、表情には出さない。
そして少し離れてフランの顔を見ると、真っ赤になっていた。
フランは目を閉じると俺に唇を差し出した。
俺はそれに応えてキスをした。
それだけで凄い快楽に溺れそうになる。
ずっとしていたくなる。
だが、先程から凄い殺気を感じているため、そろそろ終わって欲しいと思っているんだが中々終わらない。
横目でそれの根原を見てみると、親の仇のを見るような表情で俺を睨んでいた。
だが、フランが中々離してくれない。
このままずっと続くんではないかと感じるほどしてからやっと離れた。
それからやっとフランが青年を見ると、別になんとも無さそうな顔で俺の腕に抱きついていた。
青年は喋りそうにない。
ここは俺が話すべきだろうと思って話しかけようとすると、声が聞こえてきて話すのをやめた。

「おーい、グェンダルー!ちょっと手ぇかしてくれぇ!」

 青年はその声を聞くとそそすさと行ってしまった。
 これは、俺が悪いんだろう。
少し可哀想な事をしたが、あの青年は逆に失敗しても良かったんじゃないかと思う。
もしも俺がいないことを前提にして、成功していたら青年は機嫌を損ねる度に重度の怪我をおっていたんではなかろうかと思ってしまう。
それで、何が言いたいのかというと、俺は青年の命を助けた。
だから俺がしたことは許してくれてもいいだろう。
 俺は自分を正当化すると、青年が向かった所へと行くことにした。
別に問題はないだろう。
青年の向かったと思われる場所からは熱気が伝わってきた。
それから話し声が聞こえる。
俺とフランは普通に入っいくと、二人の前に立った。
青年は俺を見るとやはりさっきと同じ目で見てきた。
俺はそれからもう一人の方に目を向けると少しじっくりと見てしまった。
もう一人は身長が低いがかなりガタイの良さそうな人...いや、ドワーフだった。
見たことが無いわけじゃないが、やはり珍しいものはじっと見てしまうものだ。

「なんだ、アンタらは?何故ここにいる?」

「いや、剣を作ってもらおうかと思ったんだけど、青年があなたに呼ばれたあとすぐに行っちゃったので追いかけてきたんですよ」

俺がそう言うと、ドワーフは俺をじっと見てきた。

「店に置いてある剣じゃ駄目なんか?」

ふむ、そう言われると困るな。
店に置いてあるものって言ってもそんなに見てないし。

「うーん、正直見てないんだよね。
俺が作って欲しい剣はドラゴンの鱗を斬っても折れない剣かな」

俺がそう言うと、ドワーフは訝しげに俺を見ていた。
青年の方はずっと俺を睨んでいる。
たまにフランの方も見ているが。

「斬っても折れない剣ならたくさんあるぞ?」

確かにそうか。

「なら、斬れる剣ってある?重さなら結構重くても大丈夫だよ」

ドワーフは溜息混じりに俺を見た。
きっと俺みたいな事を言うやつに会ったことがあるんだろう。
だけど、あまりそういうふうに思われるのは好きじゃないな。

「傷なら付けれるだろうが斬るのは無理だ。
そもそも人間には無理だろう」

「いや、出来ると思うよ?なんなら試してもらってもいいよ?」

「わかった。
ならこの剣でそれを斬ってみろ」

 ドワーフはそう言って俺に鉄の剣を投げて渡した。
その剣は剣にしては少し重いが、俺にとってはまだまだ軽かった。
そして俺はドワーフが斬れと言ったものを見た。
それは何かの鉱石の塊だった。
 これくらいなら、鉄の剣さえ大丈夫なら斬れるだろう。
俺はそう思って斬ってみると以外にも剣は持ち堪えてくれて斬ることが出来た。
それを見たドワーフは驚きに目を見開いていた。

「ねえ、これでいいの? いいなら作ってくれないかな?」

俺がそう言うと、ドワーフは少し鋭い目で俺を見ていた。

「お前さん、今の全然本気じゃねえだろ」

「そうだけど...それに本気でやったら剣が持たないしね」

「お前さんどんなくらいまでなら振れる?身体強化は使えるか?」

「うん、使えるよ。
でも今回は使ってないよ」

 俺がそう言うとドワーフは何度か頷いた

「よし、ならいくつか剣を持ってくるから素と身体強化を使った状態、両方にあったのを選ぶ。少し待ってろ」

「うん。ありがとう」

俺がそう言うとドワーフはニヤッと笑った。

「こっちもここまで出来るやつは滅多に見ねえんだ。職人魂に火がつくってもんよ」

 俺はそれから結構な種類の剣をふって試した。
そして、3本の剣を作ってもらうことにした。
二刀流にするためだ。
2本の剣は普通のサイズより少し太くて大きめの剣を頼んだ。
そして、もう一本は俺の身長よりも二倍以上も大きな剣を作ってもらうことになった。
多分そのサイズでもなんなく振れるだろう。
それくらいあれば次は一撃でドラゴンも倒せるだろう。
そのあと、お金と鉱石を渡すと、2週間後にまた来てくれと言われた。
俺が試しに振ったり悩んだりしていると、フランは俺の様子をじっと見ていた。
目が合うとニコッと笑ってくれてかなり可愛かった。
そのため、集中するのが大変だった。
だが、そんな俺達の様子を見て青年がさらにやばい状態になったのは仕方のないことだろう。
そんな青年の様子をフランが冷めた目で見ていたのも仕方のないことだろう。

 それから2週間の間、フランとデートをしたり部屋でイチャイチャしたりして時間を潰したりした。
ただ、2週間何も起こらなかった訳では無い。
つっかかってくる何人かはお亡くなりになったし、
俺が女性と笑顔で話していると、俺ではなく女性が死にそうになったし、かなり焦った。
別に死んでも問題はないかもしれないが、自分と話したから死にましたなんてさすがに酷すぎる気がした。
女性が死ななくて本当に良かった。

 俺は2週間経ったため、剣を取りに行くことにした。
すると、向かっている途中でアイラとライラを発見した。
 
「あら、あなたルーアンじゃないの。
それで、腕は役に立った?」

 アイラはそう言ってこっちに近づいてきた。
ライラもそれを追ってすぐにこっちに来る。

「うん。お陰様で上手くいったよ。この間はありがとうね」

  俺がそう言うと、アイラは笑顔で頷いた。
すると、フランの方を向いてから首を傾げた。

「そちらの女性は彼女?」

「うん。彼女と言うか、妻だね。」

「ええ?あなた妻いたの!?じゃあそのために家を抜け出したの?」

「うーん、そういう訳ではないけど...そもそもフランと出会ったのはアイラ達と出会った後だね」

「ええ!?それなのにもう結婚したの?ねえねえ、ルーアンからプロポーズしたの?」

 そう言ってアイラが詰め寄ってきた。
その際、アイラは俺の服を掴んでかなり近づいていた。
そのため、俺は少し冷や汗をかきながらフランの方を見ないようにした。
ライラもアイラの言葉が気になるのかこっちをじっと見ている。

「うーん、どうなんだろう?なんか、なりいきで結婚することになったからどっちからもプロポーズはしていないね」

「そうなの...それで、私の名前はアイラ。
あなたの名前は?」

「私はフランよ。
それで、あなたはルーアンとどういう関係なのかしら?」

「ルーアンと私...?
ただの知り合いだけど...。」

 「そう...ならいいわ。」

俺は何も起こらないことに安堵した。
さて、これからどうしようか?
そう思っていると、アイラが聞いてきた。

「そ、そう...?
それで、ルーアンとフランはどこかに行く途中?」

「うん。 剣を作ってもらっててね...今から取りに行く所だんだったんだよ」

「剣...? あれ、ルーアンって戦えるの?」

「うん。 実はこれでもかなり強い自信があるんだよ。」

「へぇ、そうなんだ。
ねえ、今冒険者の大の大人があなたの顔を見て顔を真っ青にしてギルドに入っていくのが見てたんだけど...何かしたの?」

「うーん、したっちゃしたけど、ただの喧嘩だよ?」

「そう...それにしても、喧嘩であんなに真っ青になるのね」

「うーん、どうなんだろ。 でも、目立ちたくないし早く行こうかな。」

「なら、私たちもついて行くわ。
どうせこれから用もないし」

「わかった。 じゃあ行こうか」

俺はフランの機嫌が悪くなっているのを感じ、少し冷や汗を流しながら武器屋に向かった。
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