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10話
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「おーい、マリー! そろそろいくぞー!」
馬車の方からそんな声が聞こえた。
声からして男だろう。
「あ、一緒に行ってもいいか聞いてこないと...。 ちょっと待ってて下さいね」
そう言ってマリーと呼ばれた女性は馬車まで向かった。
それを見送るとフランが不機嫌そうな顔で俺を見ている。
「ねえ、貴方...どうして馬車なんかで一緒に行くことにしたの? まさかだとは思うけど.........あの女がいるからじゃないわよね?」
「うん、それも少し...いや、全くないけど」
俺が少しあるけどと言おうとするとものすごい殺気を感じた。
これは言ってはいけないみたいだ。
これからは正直に言うのはよそう。
「少しこの世界の事が知りたくてね。 僕達は賞金首みたいだし、誰が僕達を襲ってくる...とかね」
俺がそう言うと、フランは機嫌が多少は治ったようだ。
「そう...確かにその方が町中でデートしやすいわね」
「でも、聞かなくても、光学迷彩を使えばいいんだけどね。 でもそれだと走ったり出来ないんだよね。 少し歪んで見えてしまって歩いて移動する時くらいしか使えないんだ」
「そう...でも、別に私は人間の町なんかに入らなくても貴方と一緒ならどこでもいいわ」
フランはそう言ってまた潤んだ瞳で俺を見る。
そんな瞳を向けられると困る。
理性では抑えられなくなってしまうかもしれない。
感情を殺す事なら出来るが、そんな事をすればこの幸せな気分は味わえなくなってしまう。
ならば、ここは感情に身を任せれば良いだろう。
俺はフランに少しずつ顔を近づけていく。
すると、ここでまたしても邪魔が入った。
「そこぉー!!! なんですぐにイチャつきだすんですか! 発情期ですか!? いえ、発情期ですね!? ダメですよ! ここは他の人にも見えてます。 だから別の場所で...ではなくて! そう言った事は二人でこっそりしてください!」
女性はそう叫んだ。
フランは邪魔されたせいか不機嫌そうに顔を離すと、女性を思いっきり睨みつけた。
女性はその眼力の強さに怯んだのか、間違ったことは言っていないのに慌てだした。
「そ、そんなに睨まないでくださいよ...。 せめて馬車に乗ってください。 そろそろ出発するそうなので」
「なら、馬車で続きをしていいのかしら?」
フランの目に耐えられなかったのか、女性はその言葉に頷いた。
「ならいいわ。 早く行きましょう」
フランはそう言って俺の手を馬車まで引っ張っていった。
馬車まで近づくとさっき戦っていた四人と肥満体型の男性がいた。
もう一度言おう、肥満体型だ。
俺は見た目でその人を貶したりはしない。
だから心の中でもデブではなく肥満体型だ。
フランは明らかに蔑んだ視線を向けていたが、それは仕方がない。
俺はすぐに意見を変えた。
第一印象は大事だ。
それがとれない肥満体型の人はデブで良いだろう。
「初めまして、私はスヴェンと申します。
奴隷商人をしておりますが...もしよろしければどうですかな? そちらの奥様とは出来ないような事も出来ると思いますが...。」
フランとは出来ないような事も...。
俺は想像してしまい、唾を飲み込んで少し興奮してしまった。
その様子にフランは鋭く反応し、俺を睨みつけた。
俺は冷や汗をかきながらも、まだ想像してしまう。
日本には奴隷なんて居なかった。
ましてや自分が自由に扱ってもいい人間なんて...。
それが、今はいる。
欲しいと思ってしまうのは仕方がないのではないだろうか。
俺は懇願する目でフランを見つめた。
フランは俺をいつ殺してもおかしくはない目で睨んできた。
怖い。 正直、滅茶苦茶怖いが、フランはなんだかんだで俺には甘い。
懇願し続ければ行けるだろう。
そう思って見つめるがフランは変わらない。
「ねぇ、奴隷なんて手に入れて何がしたいのかしら? まさか、ナニなんて訳ないわよね?」
フランは本気で怒っているようだ。
「ま、まさか~。 なんとなくだよ。」
「なら要らないわよね?」
「はぃ、おっしゃる通りです...。」
「それにしても貴方、奥様とは出来ない所で反応していたわよね? 貴方がしたいならどんなプレイでもするから、奴隷なんかに手を出すのはやめてくれないかしら?」
「うぅ、ごめん。 珍しくてつい...ね。 もう大丈夫だからそんなに怒らないでよ」
「仕方がないわね...。 なら、後で私の気が済むまでしてもらおうかしら?」
「うん。 むしろそれはご褒美だよ」
「そう? なら別の事にしようかしら?」
フランはそう言って悩みだした。
俺はいらないことを言ってしまった気がするが、きっと問題ないだろう。
「ちょっと、そこの二人! またイチャついて...そろそろ馬車に乗らないかしら?」
「うん、そうしようか。 スヴェンさん、僕も結構戦えるから次襲われたときは僕が倒すよ」
「そうですか...。 ならば、そうしていただけますかな?」
「うん。 だからこっちもよろしく頼むね」
本当によろしく頼みたい。
もし、馬車でフランが始めても無視してもらえるとありがたい。
俺達はそれから馬車に乗っていった。
馬車は、真ん中が空いていて、左右に横長の椅子が置いてあった。
俺とフランは皆が乗ってから隣同士で座った。
フランは一番左端で、その横に俺が、そしてマリーと呼ばれた女性、その横にはさっきマリーと呼んだ男性だ。
そして、その向かい側には左から男性、そしてその右には女性残り二人だ。
スヴェンさんは御者席に座っていてこの場には居ない。
「いきなりだけど、自己紹介しない?」
剣を使っていたイケメンがそう言った。
「いいですね! 私もお二人の名前知りたいと思っていたんですよ! あ、私の名前はマリアンネと言います。 魔法が得意です! 気軽にマリーって呼んで下さいね!」
マリーと呼ばれた女性は俺の方を向いて笑顔でそう言った。
それに対してフランは鼻を鳴らして不機嫌そうにしている。
「俺はロニーって言って剣士だ。 これでもかなり自身があるんだぜ?。 俺の事も気軽にロニーでいいぜ」
イケメンはそう言った。
「次は俺でいいよな? 俺はカーシーって言う。 得意な事は槍だ。 よろしくな!」
少しごつい感じの男性はそう言った。
「次は私が言います。 私はマデリーネと言って、得意な武器は剣です。 よろしくお願いします」
マデリーネと言う女性は少しかたい感じの女性だった。
凛としていて美人だ。
少し観察していると、フランの視線が少し鋭くなってきたため、すぐに目を逸らした。
「最後は私っすね。 私はリンって言って武器は短剣っすね。 得意なことは細かい作業ですっ! よろしくっす」
リンと言う女性は全体的に凹凸が少なく、まだ少女に見えたが、間違っている可能性があるため子供だとは言いきれない。
「次はお二人の事が聞きたいです!」
「うん、わかった。 僕の名前はルーアン。 得意な事は剣と魔法かな? よろしくね」
「ルーアンさんって言うんですね! よろしくお願いしますっ! それで...剣と魔法両方使得るってことは魔法剣士ですか?」
「うん、多分そうだと思うけど...魔法剣士って悪いのかな?」
俺がそう聞くと、フランは気まづそうな顔をした。
「えーっと、はぃ。 戦闘中に魔法と剣で戦う人は本当に強くないと微妙なんですよ。 だから、Sランク冒険者とかじゃないと、魔法剣士と言われると強い感じがしないんですよね...。」
「へぇー、後で試してみる? 僕、これでもしばらく負けた事ないんだよね」
俺がそう言うと、男性二人とマデリーネの目が鋭くなった気がする。
いや、気のせいではないだろう。
だが、この人達の強さが冒険者では普通なんだろうか? 前までのが弱かっただかとか...?
「ねぇ、マリー達は冒険者なの?」
「はい、そうですよ?」
「ランクってあるよね? ランクは高いの?」
「直球に聞きますね...。 はい、そうですよ? これでもAランク冒険者ですからね」
「へぇ、Aランク冒険者なのか...。 Sランクはどれくらい強いのかな?」
「Sランクですか...? えーっと、強さと言っても戦っているところを見たことしかないですが、かなり強がったです。 Aランク冒険者が何人かで挑んでも返り討ちにされていましたね。 Aランクにも弱い人と強い人の差は大きくてですね、Sランクともなると、Aランクの中くらいの強さの人と比べるとかなり差ができています」
「へぇ、そんなにか...。 じゃあ、その戦っているところを見たSランク冒険者にマリー達が挑んで勝てる自身はある?」
「え、難しいところを聞きますね。 どうでしょう? 五分五分ではないでしょうか? それに、私達もSランク目指していますし、そのうち勝つつもりですから!」
「そうなんだね...そいえばマリー達はどこからファウル帝国に向かっているの?」
「迷宮都市からですね」
「へぇ、ねぇ…迷宮都市って殺人鬼がいるって聞いたんだけど、本当なのかな?」
「それは本当ですよ...。 その殺人鬼を倒す依頼はSランクになっていて、何人も挑んだんですが...。 その依頼にはSランクの人も何人も挑んだそうですが、全ての人が失敗したようです。 それからはSSランクの依頼になりました。 私たちもその殺人鬼に会うのは怖いので、ファウル帝国に行くことにしたんですよ」
「そうなんだ...。 僕も神聖ファウル帝国に行くことにして正解だったよ。 それにしても、そんな殺人鬼が普通に彷徨いているなんて怖いね」
「はい...ですが、いつか勇者が来て倒してくれますよ! 勇者はとても強いって聞きますし、会えるなら会ってみたいです!」
そうか...フランは運が良いのか悪いのか分からないな。
殺人鬼から逃げて普通に遭遇しているし、勇者に会いたいって言って本人は気づいてはいないが会っているし...。
いや、そうゆう肩書きのある人に会っても、気づかなければ会ったに入らないか。
ならば、フランはこれから勇者と会えるかもしれないし、不運ではないだろう。
俺がマリーと話している間、少しフランの目が怖かった。
話題の出し用によってはフランがいつ切れてもおかしくなかったため、俺はそんな話題以外をする勇気はなかった。
「なあ、そっちの美人さんの紹介がまだだぜ?」
イケメン君がそう言った。
ナイスだイケメン君! 俺もマリーと世間話以外をしようものなら危なくなっていたかもしれない。
世間話なんていくらでもあるだろう? そう思うかもしれないが、俺はあまりこの世界に詳しくはないのだ。
そのうち話す内容が無くなって相手や自分の事について話をしてしまう。
親しそうにそんな話をしていたらフランは間違いなくキレるだろう。
「私はフラン。 ルーアンの妻で、得意な事は魔法。 よろしくしてくれなくても構わないわ」
フランはそんな事を言った。
確かによろしくしなくても良いと言う人はたまにクラスなんかにいるだろう。
でも、あまりいい気はしない。
まさか妻がそんな性格だとは...分かりきってはいたが、本人の口から聞くと、こうこみ上げてくるものがある。
まあ、ラノベとかでは大抵そんな性格の女性はヒロインだが、ラノベと現実は違う。
確かに自分だけにデレてくれるのは嬉しい。
だが、そんな人は心配になるだろう。
それに、大抵そんな人は嫉妬が凄かったりする。
俺もフランが話してくれたら女性とは話さなくてもいいのかもしれないが(自分の感情を除いた場合)、フランが喋らないなら代わりに俺が話すしかないだろう。
それで嫉妬するのは、嬉しいが少し困るというものだ。
「うーん、フランは気難しくてね、可愛いやつなんだけど他人にはツンツンしているんだ。 だから少し棘のあることを言っても、見逃してくれると幸いかな?」
俺は空気が悪くなる前にそう言った。
俺は話しかけるときに僕を使う。
みんなは疑問に思っていた事だろう。
でも、これは仕方がない。
俺は普通に話していると、相手によって喋り方を替えていたんだが、何人か揃うとどの言葉にしようか迷って、人前では僕にした。
俺だと、無意識で僕にしたりすることもあって、何回か失敗してしまったからだ。
俺は人前では僕の方が使っている回数が多いため、僕になった。
みんなは人によって話し方を変えているだろうか?(教師とか目上の人を除いて)
馬車の方からそんな声が聞こえた。
声からして男だろう。
「あ、一緒に行ってもいいか聞いてこないと...。 ちょっと待ってて下さいね」
そう言ってマリーと呼ばれた女性は馬車まで向かった。
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「ねえ、貴方...どうして馬車なんかで一緒に行くことにしたの? まさかだとは思うけど.........あの女がいるからじゃないわよね?」
「うん、それも少し...いや、全くないけど」
俺が少しあるけどと言おうとするとものすごい殺気を感じた。
これは言ってはいけないみたいだ。
これからは正直に言うのはよそう。
「少しこの世界の事が知りたくてね。 僕達は賞金首みたいだし、誰が僕達を襲ってくる...とかね」
俺がそう言うと、フランは機嫌が多少は治ったようだ。
「そう...確かにその方が町中でデートしやすいわね」
「でも、聞かなくても、光学迷彩を使えばいいんだけどね。 でもそれだと走ったり出来ないんだよね。 少し歪んで見えてしまって歩いて移動する時くらいしか使えないんだ」
「そう...でも、別に私は人間の町なんかに入らなくても貴方と一緒ならどこでもいいわ」
フランはそう言ってまた潤んだ瞳で俺を見る。
そんな瞳を向けられると困る。
理性では抑えられなくなってしまうかもしれない。
感情を殺す事なら出来るが、そんな事をすればこの幸せな気分は味わえなくなってしまう。
ならば、ここは感情に身を任せれば良いだろう。
俺はフランに少しずつ顔を近づけていく。
すると、ここでまたしても邪魔が入った。
「そこぉー!!! なんですぐにイチャつきだすんですか! 発情期ですか!? いえ、発情期ですね!? ダメですよ! ここは他の人にも見えてます。 だから別の場所で...ではなくて! そう言った事は二人でこっそりしてください!」
女性はそう叫んだ。
フランは邪魔されたせいか不機嫌そうに顔を離すと、女性を思いっきり睨みつけた。
女性はその眼力の強さに怯んだのか、間違ったことは言っていないのに慌てだした。
「そ、そんなに睨まないでくださいよ...。 せめて馬車に乗ってください。 そろそろ出発するそうなので」
「なら、馬車で続きをしていいのかしら?」
フランの目に耐えられなかったのか、女性はその言葉に頷いた。
「ならいいわ。 早く行きましょう」
フランはそう言って俺の手を馬車まで引っ張っていった。
馬車まで近づくとさっき戦っていた四人と肥満体型の男性がいた。
もう一度言おう、肥満体型だ。
俺は見た目でその人を貶したりはしない。
だから心の中でもデブではなく肥満体型だ。
フランは明らかに蔑んだ視線を向けていたが、それは仕方がない。
俺はすぐに意見を変えた。
第一印象は大事だ。
それがとれない肥満体型の人はデブで良いだろう。
「初めまして、私はスヴェンと申します。
奴隷商人をしておりますが...もしよろしければどうですかな? そちらの奥様とは出来ないような事も出来ると思いますが...。」
フランとは出来ないような事も...。
俺は想像してしまい、唾を飲み込んで少し興奮してしまった。
その様子にフランは鋭く反応し、俺を睨みつけた。
俺は冷や汗をかきながらも、まだ想像してしまう。
日本には奴隷なんて居なかった。
ましてや自分が自由に扱ってもいい人間なんて...。
それが、今はいる。
欲しいと思ってしまうのは仕方がないのではないだろうか。
俺は懇願する目でフランを見つめた。
フランは俺をいつ殺してもおかしくはない目で睨んできた。
怖い。 正直、滅茶苦茶怖いが、フランはなんだかんだで俺には甘い。
懇願し続ければ行けるだろう。
そう思って見つめるがフランは変わらない。
「ねぇ、奴隷なんて手に入れて何がしたいのかしら? まさか、ナニなんて訳ないわよね?」
フランは本気で怒っているようだ。
「ま、まさか~。 なんとなくだよ。」
「なら要らないわよね?」
「はぃ、おっしゃる通りです...。」
「それにしても貴方、奥様とは出来ない所で反応していたわよね? 貴方がしたいならどんなプレイでもするから、奴隷なんかに手を出すのはやめてくれないかしら?」
「うぅ、ごめん。 珍しくてつい...ね。 もう大丈夫だからそんなに怒らないでよ」
「仕方がないわね...。 なら、後で私の気が済むまでしてもらおうかしら?」
「うん。 むしろそれはご褒美だよ」
「そう? なら別の事にしようかしら?」
フランはそう言って悩みだした。
俺はいらないことを言ってしまった気がするが、きっと問題ないだろう。
「ちょっと、そこの二人! またイチャついて...そろそろ馬車に乗らないかしら?」
「うん、そうしようか。 スヴェンさん、僕も結構戦えるから次襲われたときは僕が倒すよ」
「そうですか...。 ならば、そうしていただけますかな?」
「うん。 だからこっちもよろしく頼むね」
本当によろしく頼みたい。
もし、馬車でフランが始めても無視してもらえるとありがたい。
俺達はそれから馬車に乗っていった。
馬車は、真ん中が空いていて、左右に横長の椅子が置いてあった。
俺とフランは皆が乗ってから隣同士で座った。
フランは一番左端で、その横に俺が、そしてマリーと呼ばれた女性、その横にはさっきマリーと呼んだ男性だ。
そして、その向かい側には左から男性、そしてその右には女性残り二人だ。
スヴェンさんは御者席に座っていてこの場には居ない。
「いきなりだけど、自己紹介しない?」
剣を使っていたイケメンがそう言った。
「いいですね! 私もお二人の名前知りたいと思っていたんですよ! あ、私の名前はマリアンネと言います。 魔法が得意です! 気軽にマリーって呼んで下さいね!」
マリーと呼ばれた女性は俺の方を向いて笑顔でそう言った。
それに対してフランは鼻を鳴らして不機嫌そうにしている。
「俺はロニーって言って剣士だ。 これでもかなり自身があるんだぜ?。 俺の事も気軽にロニーでいいぜ」
イケメンはそう言った。
「次は俺でいいよな? 俺はカーシーって言う。 得意な事は槍だ。 よろしくな!」
少しごつい感じの男性はそう言った。
「次は私が言います。 私はマデリーネと言って、得意な武器は剣です。 よろしくお願いします」
マデリーネと言う女性は少しかたい感じの女性だった。
凛としていて美人だ。
少し観察していると、フランの視線が少し鋭くなってきたため、すぐに目を逸らした。
「最後は私っすね。 私はリンって言って武器は短剣っすね。 得意なことは細かい作業ですっ! よろしくっす」
リンと言う女性は全体的に凹凸が少なく、まだ少女に見えたが、間違っている可能性があるため子供だとは言いきれない。
「次はお二人の事が聞きたいです!」
「うん、わかった。 僕の名前はルーアン。 得意な事は剣と魔法かな? よろしくね」
「ルーアンさんって言うんですね! よろしくお願いしますっ! それで...剣と魔法両方使得るってことは魔法剣士ですか?」
「うん、多分そうだと思うけど...魔法剣士って悪いのかな?」
俺がそう聞くと、フランは気まづそうな顔をした。
「えーっと、はぃ。 戦闘中に魔法と剣で戦う人は本当に強くないと微妙なんですよ。 だから、Sランク冒険者とかじゃないと、魔法剣士と言われると強い感じがしないんですよね...。」
「へぇー、後で試してみる? 僕、これでもしばらく負けた事ないんだよね」
俺がそう言うと、男性二人とマデリーネの目が鋭くなった気がする。
いや、気のせいではないだろう。
だが、この人達の強さが冒険者では普通なんだろうか? 前までのが弱かっただかとか...?
「ねぇ、マリー達は冒険者なの?」
「はい、そうですよ?」
「ランクってあるよね? ランクは高いの?」
「直球に聞きますね...。 はい、そうですよ? これでもAランク冒険者ですからね」
「へぇ、Aランク冒険者なのか...。 Sランクはどれくらい強いのかな?」
「Sランクですか...? えーっと、強さと言っても戦っているところを見たことしかないですが、かなり強がったです。 Aランク冒険者が何人かで挑んでも返り討ちにされていましたね。 Aランクにも弱い人と強い人の差は大きくてですね、Sランクともなると、Aランクの中くらいの強さの人と比べるとかなり差ができています」
「へぇ、そんなにか...。 じゃあ、その戦っているところを見たSランク冒険者にマリー達が挑んで勝てる自身はある?」
「え、難しいところを聞きますね。 どうでしょう? 五分五分ではないでしょうか? それに、私達もSランク目指していますし、そのうち勝つつもりですから!」
「そうなんだね...そいえばマリー達はどこからファウル帝国に向かっているの?」
「迷宮都市からですね」
「へぇ、ねぇ…迷宮都市って殺人鬼がいるって聞いたんだけど、本当なのかな?」
「それは本当ですよ...。 その殺人鬼を倒す依頼はSランクになっていて、何人も挑んだんですが...。 その依頼にはSランクの人も何人も挑んだそうですが、全ての人が失敗したようです。 それからはSSランクの依頼になりました。 私たちもその殺人鬼に会うのは怖いので、ファウル帝国に行くことにしたんですよ」
「そうなんだ...。 僕も神聖ファウル帝国に行くことにして正解だったよ。 それにしても、そんな殺人鬼が普通に彷徨いているなんて怖いね」
「はい...ですが、いつか勇者が来て倒してくれますよ! 勇者はとても強いって聞きますし、会えるなら会ってみたいです!」
そうか...フランは運が良いのか悪いのか分からないな。
殺人鬼から逃げて普通に遭遇しているし、勇者に会いたいって言って本人は気づいてはいないが会っているし...。
いや、そうゆう肩書きのある人に会っても、気づかなければ会ったに入らないか。
ならば、フランはこれから勇者と会えるかもしれないし、不運ではないだろう。
俺がマリーと話している間、少しフランの目が怖かった。
話題の出し用によってはフランがいつ切れてもおかしくなかったため、俺はそんな話題以外をする勇気はなかった。
「なあ、そっちの美人さんの紹介がまだだぜ?」
イケメン君がそう言った。
ナイスだイケメン君! 俺もマリーと世間話以外をしようものなら危なくなっていたかもしれない。
世間話なんていくらでもあるだろう? そう思うかもしれないが、俺はあまりこの世界に詳しくはないのだ。
そのうち話す内容が無くなって相手や自分の事について話をしてしまう。
親しそうにそんな話をしていたらフランは間違いなくキレるだろう。
「私はフラン。 ルーアンの妻で、得意な事は魔法。 よろしくしてくれなくても構わないわ」
フランはそんな事を言った。
確かによろしくしなくても良いと言う人はたまにクラスなんかにいるだろう。
でも、あまりいい気はしない。
まさか妻がそんな性格だとは...分かりきってはいたが、本人の口から聞くと、こうこみ上げてくるものがある。
まあ、ラノベとかでは大抵そんな性格の女性はヒロインだが、ラノベと現実は違う。
確かに自分だけにデレてくれるのは嬉しい。
だが、そんな人は心配になるだろう。
それに、大抵そんな人は嫉妬が凄かったりする。
俺もフランが話してくれたら女性とは話さなくてもいいのかもしれないが(自分の感情を除いた場合)、フランが喋らないなら代わりに俺が話すしかないだろう。
それで嫉妬するのは、嬉しいが少し困るというものだ。
「うーん、フランは気難しくてね、可愛いやつなんだけど他人にはツンツンしているんだ。 だから少し棘のあることを言っても、見逃してくれると幸いかな?」
俺は空気が悪くなる前にそう言った。
俺は話しかけるときに僕を使う。
みんなは疑問に思っていた事だろう。
でも、これは仕方がない。
俺は普通に話していると、相手によって喋り方を替えていたんだが、何人か揃うとどの言葉にしようか迷って、人前では僕にした。
俺だと、無意識で僕にしたりすることもあって、何回か失敗してしまったからだ。
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