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彼氏が誕生日に求めたものは。
しおりを挟む「えー。自分の身体に真っ赤なリボン巻きつけて「ハイ、ダーリン」なんて演出するんじゃなかったの?」
「しません。仁嗣それ許してくれないし」
「何、おぬし彼氏さんがそうしろって言ったらするのかそんなえげれつなことを」
「仁嗣はそんなこと言わないもん」
「でも期待してたんじゃないの?」
今日の給食はカレーライスとツナサラダ。福神漬けは嫌いだから脇に追いやり、奈桐は級友たちの攻撃をかわす。
「してませんっ。ほんと君たち他人の恋路気にするよね、自分はどうなのさ」
「だってー、うち女子校だよ。素敵な出逢いなんてそう簡単に転がってるわけないの奈桐だってわかってるでしょ?」
「そうそ。せいぜい出会い系サイトで低俗な男たちとやるせないメールのやりとりするくらいしか能がないから、いい男捕まえた奴見るとちょっかい出したくなるわけ。ちっこいくせに奈桐よく見初められたよね」
「ちっこいは余計だ」
がっくりと肩をおろし、奈桐はスプーンを動かす。たしかに、刺激の少ない女子校生活だと、恋にエッチに憧れる年頃の少女としては少々物足りない日常なのかもしれない。飽き飽きするのもわかる。けど。奈桐は溜め息をつく。大学生の彼氏がいる、それだけで毎日毎日話題の標的にされる重圧を、彼女たちは知らない。奈桐を通して擬似恋愛をしている彼女たちを見ていると、自分も数ヶ月前まではそうだったんだもんなぁと呆れてしまう。
ただでさえ制服を着ていないと小学生と間違われる低身長なのだ。仁嗣が俺は犯罪者になりたくないと最後まで手を出さないのも理解できなくもない。けれど……
「で、初めての記念日は彼氏の誕生日ってわけか。……何が欲しいんだって?」
ばりばり、と福神漬けを咀嚼する音が、奈桐の物思いを切り上げさせる。友人たちに言えない彼の独特な性癖のことはひとまず置いておこう。
いまは誕生日に彼がしてほしいと言ったもうひとつの願望を叶えられるよう彼女たちから助言を得るのが先だ。
「手作りの誕生日ケーキ、だって……どうしようあたし作ったことないのに!」
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