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chapter,5
03. 愛欲に毒されて
一度、関係を持ったのなら、二度も三度も同じこと。
食事をした後に画廊へ”雌黄”を封じに行くはずだった更紗は、なぜか九条とともにホテルの一室にいた。
誘ったのは九条だが、応じたのは更紗である。
すでに時刻は夜の二十二時をまわっていた。明日も仕事だが、互いに身体が求めあう異常事態から逃れるため一夜を過ごすことを選んだのだ。
「ああ、君が欲しくてたまらない!」
「黎、さん――ンっ」
部屋のドアが閉まると同時に深いキスを与えられ、更紗の身体に炎が灯る。”虹”の毒耐性を持つ更紗ですら”雌黄”の神経毒を自覚しているのだ、耐性がない九条の場合、その作用はいかなるものか。すぐさま生命に危険を与える毒ではないが、”雄黄”と”雌黄”は人間の感情と選択をおかしくしてしまう。古来の霊薬や錬金術で使用された鉱石という歴史もあるため、時代によっては媚薬や魔除けに使われていたという。
その甘美な毒性を現在も潜ませているものの、愛好家のあいだでは橙や黄色の美しい鉱石として流通している。”虹”のように毒性が強いものの方が稀だからだ。
「これは硫化ヒ素の神経毒で……」
「わかってる。わかっているけど理屈じゃないんだ。君だってそうだろう?」
「でも」
「更紗。君しかいないんだ。俺を鎮めてくれるのは」
「わ、わたしも」
「ならば問題ない。このまま朝まで君を――」
啄むようにキスをして、更紗の着ていた服を素早く脱がした九条は、頬を赤らめる彼女を一糸まとわない姿にする。更紗が抵抗する間もなく九条は獣のように彼女をベッドの上へ押し倒し、貪り始める。初めて抱かれた夜よりも情熱的で刹那的な彼の前戯を、更紗の身体も歓迎していた。理性が使い物にならない状態で、更紗は九条の手と口で執拗に快楽を教え込まれていく。
「あぁぁあんっ!」
「いい声で啼くね。もっと聞かせて?」
「だめっ、胸ばっかりいじっちゃ……ぁあ」
「可愛い。俺なしではいられない身体に、順調に成長してる」
「はぁうんっ」
ベッドの上で九条は更紗の反応を試すように指戯を繰り返す。両手首をネクタイで背中越しに拘束され、胸元を強調された彼女の両方の乳房を包み込むように両手が入り込み、揉みしだかれる。そのまま乳首を彼の指先が捏ね上げていく。あっという間に勃ちあがり紅色に染まった尖端は、彼の舌先になぞられてぬらぬらといやらしく光っていた。更紗の鋭敏になっている身体はまだふれられていない下肢がすでに濡れていることに気づいていない。
「ぅ……」
「今度はこっちを可愛がってあげる」
両脚をひらいた状態にされて、九条のあたまが更紗の鼠径部に迫る。胸への愛撫だけで愛蜜を垂らしている敏感な場所は、九条の口淫によってあっけなく陥落した。
ぷっくりと膨らんだ秘芽をぢゅっと下品な音を立てて吸い上げられたかと思えば、れろれろと溢れ出る蜜を舐めしゃぶられ、更紗は絶頂に身体を震わせ、涙を零す。
「やぁ、あぁ~!」
「綺麗だ。とても……」
ビクビクと身体をしならせる更紗を恍惚とした表情で見つめる九条は引き続き彼女の蜜口へ己の指を挿入し、蜜洞を耕していく。キュン、と疼く下腹部を宥めるように内側からトントン、と彼の指で刺激を受けて、更紗の膣奥からどぷりと蜜が溢れ出す。
「黎、さ……ぁん」
「俺の指でイったね。もっと太いのが欲しいんじゃない?」
「ん……」
素直に頷いて、更紗は九条の前で瞳を潤ませる。初めて抱かれたときのことを思い出しながら、彼女は自分の口から彼を求めていた。ふだんなら恥じらってしまうであろうはしたない言葉で。
「黎さんの……太くて硬い、の……欲し――ァアアッ!」
更紗の身体が彼の熱楔に貫かれ、脳裡に星が散るほどの快感に彼女は絶叫する。更紗の子宮まで串刺しにされたかのような強烈な快楽に、九条は激しいピストンで呼応する。がっしりと腰を掴まれ、なかを素早くかき回していく彼の分身が膣洞を穿っていく都度、更紗は甘く啼く。恋愛感情の帰結というよりも、本能的な性交にふたりは溺れていた。
「アァ、れい、さ――」
「更紗。ごめん、止まらないっ!」
「~~~!」
獣のように呻きながら九条が射精する。ドクドクと心臓が高鳴っていた。スキン越しに彼の熱が注がれ、更紗もうっとりした表情で受け止める。
恍惚とした表情の更紗を抱きしめて、九条はもどかしそうに言葉を紡ぐ。
「――足りない」
「黎さん?」
きょとんとした更紗を見る九条の瞳は濁っていた。もっと彼女を穢したいと、彼の心の奥底に秘められていた昏い想いを映し出しているような瞳に射られ、更紗は硬直する。
「な、にを」
「君を――直に感じたい」
「え……んっ」
ずるりと抜けた肉楔はいまも勃ちあがったまま。舌を絡ませるキスをしながら、愛液に濡れたスキンを素早く外した九条はそのままの状態で彼女に覆いかぶさる。
「!?」
「ああ……やっぱり直接肌にふれると気持ちいいな。更紗もそう思うだろう?」
「え、でも――アッ」
ふたたび挿入され、ゆるゆると腰を動かしはじめた彼を更紗の身体は素直に受け入れている。物足りないと感じていたのは自分もだとでも言いたそうに、下腹部がキュンキュン疼く。
「ああんっ!」
「更紗。さらさ……君のなかはこんなにも熱くて、柔らかい……っ」
「黎さんダメっ、イっちゃうからっ!」
「いいよ。どんな更紗でも俺は嬉しい。もっと俺に溺れて。俺のカタチをしっかり覚えて……」
「はぅううんっ!」
強く腰を打ちつけられ、絶頂を教え込まれた更紗は涙をこぼしながら美しく乱れる。縛られている手首がもどかしい。彼を抱きしめてあげたい。それなのに九条は更紗を求めながらも彼女が快楽に囚われた姿に興奮している。
「このまま孕ませたいくらい――って、泣かないで。なかには出さないから」
「ほんとう?」
「ああ。それにもしそうなってしまったとしても……責任は取るからっ!」
そう言いながら九条が更紗の身体を突き放す。悦楽で弛緩する身体に彼の白濁が雪のようにかけられて、更紗は絶句する。
「あぁ……黎、さ」
「ひどいことをしてるってあたまのなかでは理解してる。でも、美しい君を俺で穢したかった――ああ、思った通りだ」
更紗の裸体に降りかけられた精液を指で掬い、九条は満足そうに彼女を見つめる。
一瞬、何をされたのかわからない更紗は九条の行為に凍りつく。
「幻滅した?」
「……すこし」
「更紗は正直だな」
クスクス笑いながら手首の戒めを解かれ、更紗はようやく息をつく。彼の精液を身体中に浴びてべたべたしているが、九条は気にすることなく彼女を抱き上げ、浴室へ連れていく。
「俺が全身洗うよ」
「え」
「俺の性癖につきあってくれたんだ。今度は俺が君を、奉仕する」
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