極上御曹司は仮面の怪盗令嬢の素顔を暴きたい

ささゆき細雪

文字の大きさ
34 / 41
chapter,7

05. もどれないふたり




 ポケットに入っていた”白”がベッドサイドに転がり落ちる。
 服を脱がされロープで拘束された更紗は九条の手で拷問のような愛撫を受けて甘く啼いていた。

「あぁっ、黎さ……」
「更紗。なぜ」
「これ以上、巻き込みたくなかったのに……あぁん」

 九条は怒りにまかせて更紗を抱くようなことはせず、執拗に蕩けるような手戯で彼女の身体を責め立てる。両手足をひろげた状態でベッドの柱に縛られ、ロープで胸元を強調された更紗の身体が姿見に映し出されている。鉱石にあてられているわけでもないのに彼の手で淫らな姿にされた更紗は身動きのとれない状態で快楽を与えられ、戸惑いながら九条を受け入れていた。頬を赤らめ恍惚とした表情の更紗を前に、九条もまた、裏切られた怒りよりも彼女を誰にも渡したくない独占欲を滾らせ、敏感な場所へ舌を這わせていく。
 ぺちゃぺちゃといやらしい音を立てながら蜜口を舐め、秘芽をしゃぶる九条の両手は更紗の乳首を器用に擦りたてている。彼に抱かれるようになってから何度も教え込まれた快感を前に、更紗の身体はすっかりいやらしくなっていた。

「ソレ、だめぇえ~~~!」
「イったね」
「だって、黎さん……が」
「ああ。俺の方が悪いヤツだろ? 捕まえた怪盗をこんな風に監禁して、辱めて、嬲って、誰にも渡さないんだから」

 赤く勃ちあがった乳首は茱萸の実のようだとふたたび舐めしゃぶられ、ぬらぬらと妖しい光が尖端に灯る。

「あぁん!」

 展示期間中に公開されている”虹の輝き”を取り戻して怪盗キャリコを警察に突き出すことで、九条は評価を得られたはずだ。それなのに彼は何を思ったのか更紗を私宅へ連れ込んで、閉じ込めてしまった。弁解しようにも彼が更紗を快楽漬けにして、正気に返してくれない。
 カチャカチャとベルトの音とともに彼がズボンを脱ぎ捨てる。彼の手には場違いなナイフ――。

「今夜は俺にひどいことされて、泣いて眠ればいい」
「あっ――ぁっ!」

 更紗を拘束していた両手両足のロープが彼の持つナイフで切られ、ベッドに身体が沈み込む。
 彼女を掬い上げるように彼の腕が更紗を抱き留めた。そのまま九条の昂りが更紗のなかへずぶりと挿入される。
 息が詰まると同時にあたまのなかに星が散る。

「怪盗キャリコ――更紗。ひとりになどしない。君は俺のものだ」
「~~~!」

 絶頂にむせび泣く更紗をどこまでも追い詰めて、九条は腰を振りたてて彼女の身体を貪りつくす。
 ナイフのように鋭い彼の熱楔に狭い最奥を貫かれ、ふたたび蜜が溢れ出す。
 このままじゃいけないのに、彼に激しく求められて、身体はひどく歓喜していた。
 彼にすべてを暴かれて、更紗は絶望しながら快楽に溺れていく。
 この先にあるのが破滅しかないとあたまの片隅で理解していても――……。


   * * *


 九条の携帯が鳴ったのは、夜が明けきる直前だった。

「九条。状況報告だ」

 先方の声は落ち着いている。つまり、もう何かが共有されているも同然だった。

「昨夜の侵入は?」
「侵入は確認されていません」

 ベッドで眠っている更紗を横目に見ながら応える。
 事実、センサーは鳴っていない。

「――だが、白が入れ替わっている」
「展示物は無事です」

 これも事実だ。“展示物”が入れ替わったことなら以前もある。
 九条の言葉で察したのか、それ以上追及されることはなかった。通信の向こうで、紙をめくる音がする。

「怪盗キャリコの関与は?」

 九条は一拍、間を置いてから口をひらく。

「可能性は否定できません」
「追跡は?」
「屋上で痕跡は途切れました」

 そのまま静かな声で九条は報告を終えた。

「……以上です」
「分かった。引き続き頼む」

 通信が切れ、九条は、ようやく息を吐いた。

「うそつき」
「……起きていたのか」
「来ないで」

 身体を気遣うように九条が更紗に近づけば、彼女はぶんと首を振る。

「……更紗」
「わたしを匿ってどうするつもり」
「どう、って?」

 昨晩の彼の行為は更紗を愕然とさせただろう。それなのに、彼がそこまで追い詰められていたのだと知って、心が動いたのも事実なのだと更紗は伝える。

「警察に差し出せばいいのに」
「そんなことはさせない」
「なんで」

 九条は怯える更紗に近づき、掛布ごと彼女を抱きしめる。いまだはだかのままの更紗はビクりと身体を震わせているが、九条は彼女を怖がらせないよう髪を撫でながら耳元で囁く。

「警察が欲しているのは盗まない怪盗キャリコの身柄でも非現実的な呪われた鉱石でもないからだ」
「黎さ……」

 くいっ、と更紗の顎を持ち上げて九条はキスをする。昨晩の爛れた記憶を思い出し、身体の内側の熾火に熱が灯る。更紗が九条に身を預け、瞳を閉じる。
 九条はそのまま慈しむように彼女の唇を舐めつづけ、舌を差し込み、唾液ごと吸いつくす。口の端から銀の糸が垂れることも気にせず、無心になって口づける。

「んっ――ンン」
「更紗が心配する必要はなにもない――”白”はしかるべき場所に戻そう。そして、すべてを終わらせるんだ」

 キスですっかり腫れぼったくなった彼女の口唇を指先で優しく撫でて、九条は更紗の前で誓う。

「何があっても起こっても。俺は君を守るよ――」
感想 2

あなたにおすすめの小説

ひとつ屋根の下

瑞原唯子
恋愛
橘財閥の御曹司である遥は、両親のせいで孤児となった少女を引き取った。 純粋に責任を感じてのことだったが、いつしか彼女に惹かれていき――。

貧乏大家族の私が御曹司と偽装結婚⁈

玖羽 望月
恋愛
朝木 与織子(あさぎ よりこ) 22歳 大学を卒業し、やっと憧れの都会での生活が始まった!と思いきや、突然降って湧いたお見合い話。 でも、これはただのお見合いではないらしい。 初出はエブリスタ様にて。 また番外編を追加する予定です。 シリーズ作品「恋をするのに理由はいらない」公開中です。 表紙は、「かんたん表紙メーカー」様https://sscard.monokakitools.net/covermaker.htmlで作成しました。

憧れのあなたとの再会は私の運命を変えました~ハッピーウェディングは御曹司との偽装恋愛から始まる~

けいこ
恋愛
15歳のまだ子どもだった私を励まし続けてくれた家庭教師の「千隼先生」。 私は密かに先生に「憧れ」ていた。 でもこれは、恋心じゃなくただの「憧れ」。 そう思って生きてきたのに、10年の月日が過ぎ去って25歳になった私は、再び「千隼先生」に出会ってしまった。 久しぶりに会った先生は、男性なのにとんでもなく美しい顔立ちで、ありえない程の大人の魅力と色気をまとってた。 まるで人気モデルのような文句のつけようもないスタイルで、その姿は周りを魅了して止まない。 しかも、高級ホテルなどを世界展開する日本有数の大企業「晴月グループ」の御曹司だったなんて… ウエディングプランナーとして働く私と、一緒に仕事をしている仲間達との関係、そして、家族の絆… 様々な人間関係の中で進んでいく新しい展開は、毎日何が起こってるのかわからないくらい目まぐるしくて。 『僕達の再会は…本当の奇跡だ。里桜ちゃんとの出会いを僕は大切にしたいと思ってる』 「憧れ」のままの存在だったはずの先生との再会。 気づけば「千隼先生」に偽装恋愛の相手を頼まれて… ねえ、この出会いに何か意味はあるの? 本当に…「奇跡」なの? それとも… 晴月グループ LUNA BLUホテル東京ベイ 経営企画部長 晴月 千隼(はづき ちはや) 30歳 × LUNA BLUホテル東京ベイ ウエディングプランナー 優木 里桜(ゆうき りお) 25歳 うららかな春の到来と共に、今、2人の止まった時間がキラキラと鮮やかに動き出す。

4番目の許婚候補

富樫 聖夜
恋愛
愛美は家出をした従姉妹の舞の代わりに結婚することになるかも、と突然告げられた。どうも昔からの約束で従姉妹の中から誰かが嫁に行かないといけないらしい。順番からいえば4番目の許婚候補なので、よもや自分に回ってくることはないと安堵した愛美だったが、偶然にも就職先は例の許婚がいる会社。所属部署も同じになってしまい、何だかいろいろバレないようにヒヤヒヤする日々を送るハメになる。おまけに関わらないように距離を置いて接していたのに例の許婚――佐伯彰人――がどういうわけか愛美に大接近。4番目の許婚候補だってバレた!? それとも――? ラブコメです。――――アルファポリス様より書籍化されました。本編削除済みです。

絶体絶命!!天敵天才外科医と一夜限りの過ち犯したら猛烈求愛されちゃいました

鳴宮鶉子
恋愛
絶体絶命!!天敵天才外科医と一夜限りの過ち犯したら猛烈求愛されちゃいました

溺愛社長の欲求からは逃れられない

鳴宮鶉子
恋愛
溺愛社長の欲求からは逃れられない

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

俺様上司に今宵も激しく求められる。

藤白ましろ
恋愛
 鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。  蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。  ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。 「おまえの顔、えっろい」  神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。  ――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。 **2026.01.02start~2026.01.17end** ◆エブリスタ様にも掲載。人気沸騰中です! https://estar.jp/novels/26513389