Messiah~底辺召喚士の異世界物語~

小泉 マキ

文字の大きさ
18 / 85
底辺召喚士

入学試験

しおりを挟む


白地に水色のアーガイル柄のノースリーブワンピース。
膝下の白のソックスには赤いリボンが付いている。
綺麗なセミロングの金髪はそのままに、小さな白いミニハットを乗せている。
エスペランサーはホルスターに収め、黒のベルトごと装着していた。

「よしっ!」

これはメイが持っている唯一マシな格好であった。
ハルバート時代には良く着ていた格好に近い。
貴族の通う学園でもそんなに目立つ事は無いだろう。
高く聳える学園の門を前にし、意気込んだ。


門番は事前に配布されていた学生証を見せると簡単に通してくれた。
後は立て看板に沿って順路を進むだけで試験会場に着く。

どうやらメイは結構出遅れていたらしい。
道中にはちらほら試験目当てであろう人物は居たが、恐らくグラウンドに当たる試験会場は、既に多くの人々(100人は超えないだろうが)で溢れていた。
教職員であろう人達が指示を出し、いくつかの列を作り出している。
メイもそれに習って並んだ。

その列と対面する形で、他の教職員達が並んでいる。
真ん中には簡易的なステージがあり、教壇が置かれていた。
一般的な入学式とほぼ変わらない形式だろう。
大小は勿論、肌色から人種まで雑多な集まりはしばらく喧騒を生み出していたが、1人の人物がステージに立つと次第に収まっていく。

『入学希望者諸君。本日は御足労頂き、真に感謝する。』

アンソロポジー魔術学園の副校長と名乗る黒スーツに長髪の男。
男は手短に注意事項を述べた後、壇上を去る。
どうやら今作られている列ごとに、座学・魔力・体力のテストを順次行う様だ。

メイはどうやら体力かららしい。
所属する列が教員の指示でグラウンドの一角へと動き始めた。
そして番号札が配られる。

「私が体力の試験を担当するラファルだ。よろしく頼む。」

ラファルと名乗ったクリーム色の長髪の男。
銀色に輝く全身を覆う鎧が眩しい。
手には同じく銀色のレイピア。
籠柄と護拳が鷲を模している。

「あれって聖騎士ラファルじゃね?」
「うおっ!本物のラファルだ!」
「ラファル様に会えるなんて!!!」

どうやらラファルは有名人の様だ。
確かに風貌も体格も装備も一般人とは格が違う。

「この試験は私と君達との1対1だ。どちらかが一撃貰うまで続ける。」

番号札の順番に戦うらしい。
武器は持ち前の物でOKらしいので、その点は助かった。

「さ、1番から、どうぞ?」

ラファルは微笑み、最初の生徒を促した。



その後は凄まじかった。
恐らく既に20戦は行われたであろう。
ラファルの実力はかなりの物で、誰一人として一撃を与えた者はいない。
だが教員としても一流らしく、皆『良い所』まではいくのだ。

「さぁ、次の人、どうぞ!」

汗一つかかずに、次の生徒を促す。
勿論戦闘後の生徒達は汗だくで、立っている者は少ない。

「テンニーン・アインホルム。参ります!!」

金色両刃の少し歪んだ大剣を携えた赤髪の青年が一礼し、前へ出る。
黒いズボンに髪色と同じ赤色のジャケットを着ていた。

「よろしく頼むぞ、青年。」

ラファルの応答を合図に、審査員の声が上がる。

「体力試験、始めッッ!!!」

先に動いたのはテンニーン。
金色の大剣を上段に構え、走り出す。

「ははっ、横がガラ空きだぞ青年よ!」

ラファルは他の生徒へした様に、脇腹へレイピアを叩き込む。
が、それは空振る。
テンニーンが跳躍し、そのまま回転斬りを叩き込んだ。

ドゴォン...!!!

とてつもない轟音が響き、大剣をレイピアが防いでいた。
しかし、衝撃はそのまま下へ流れて地面を砕く。

「なっ、なかなかやるな!」

ギリギリと掌に食い込むレイピアを見て、ラファルが苦言を漏らす。

「先生こそ!」

一旦距離を取りながらも、テンニーンは笑っていた。
ラファルの頬を冷や汗が滴る。
そして両者はまた激突した。

金色の大剣の切っ先がラファルの胸元を狙う。
その刀身をレイピアの3連撃が弾く。
金属音と共に大きく打ち上がった大剣を、勢い殺さず回転し下段から切り上げた。

「ハッ!!!」

ラファルの右足が大剣を踏みつけ、レイピアがテンニーンの側頭部を狙って打ち付けられる。
通常ならばここで試験終了のはずだった。

「そんな攻撃じゃあ『聖騎士ラファル』の名が泣きますよ、先生?」

安い挑発を送るテンニーンの右手は、レイピアをしっかりと掴んでいる。

「骨のある若者が現れてくれて嬉しいよ。」

レイピアを引き抜き、距離を取るラファル。
正直、苦笑いが隠せなかった。


しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

底辺から始まった俺の異世界冒険物語!

ちかっぱ雪比呂
ファンタジー
 40歳の真島光流(ましまみつる)は、ある日突然、他数人とともに異世界に召喚された。  しかし、彼自身は勇者召喚に巻き込まれた一般人にすぎず、ステータスも低かったため、利用価値がないと判断され、追放されてしまう。  おまけに、道を歩いているとチンピラに身ぐるみを剥がされる始末。いきなり異世界で路頭に迷う彼だったが、路上生活をしているらしき男、シオンと出会ったことで、少しだけ道が開けた。  漁れる残飯、眠れる舗道、そして裏ギルドで受けられる雑用仕事など――生きていく方法を、教えてくれたのだ。  この世界では『ミーツ』と名乗ることにし、安い賃金ながらも洗濯などの雑用をこなしていくうちに、金が貯まり余裕も生まれてきた。その頃、ミーツは気付く。自分の使っている魔法が、非常識なほどチートなことに――

ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜

KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞 ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。 諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。 そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。 捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。 腕には、守るべきメイドの少女。 眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。 ―――それは、ただの不運な落下のはずだった。 崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。 その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。 死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。 だが、その力の代償は、あまりにも大きい。 彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”―― つまり平和で自堕落な生活そのものだった。 これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、 守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、 いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。 ―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

ちっちゃくなった俺の異世界攻略

ちくわ
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた! 精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~

深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】 異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

勝手に召喚され捨てられた聖女さま。~よっしゃここから本当のセカンドライフの始まりだ!~

楠ノ木雫
ファンタジー
 IT企業に勤めていた25歳独身彼氏無しの立花菫は、勝手に異世界に召喚され勝手に聖女として称えられた。確かにステータスには一応〈聖女〉と記されているのだが、しばらくして偽物扱いされ国を追放される。まぁ仕方ない、と森に移り住み神様の助けの元セカンドライフを満喫するのだった。だが、彼女を追いだした国はその日を境に天気が大荒れになり始めていき…… ※他の投稿サイトにも掲載しています。

転生無双なんて大層なこと、できるわけないでしょう! 公爵令息が家族、友達、精霊と送る仲良しスローライフ

幸運寺大大吉丸◎ 書籍発売中
ファンタジー
アルファポリス様より書籍化! 転生したラインハルトはその際に超説明が適当な女神から、訳も分からず、チートスキルをもらう。 どこに転生するか、どんなスキルを貰ったのか、どんな身分に転生したのか全てを分からず転生したラインハルトが平和な?日常生活を送る話。 - カクヨム様にて、週間総合ランキングにランクインしました! - アルファポリス様にて、人気ランキング、HOTランキングにランクインしました! - この話はフィクションです。

処理中です...