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底辺召喚士
入学試験
しおりを挟む白地に水色のアーガイル柄のノースリーブワンピース。
膝下の白のソックスには赤いリボンが付いている。
綺麗なセミロングの金髪はそのままに、小さな白いミニハットを乗せている。
エスペランサーはホルスターに収め、黒のベルトごと装着していた。
「よしっ!」
これはメイが持っている唯一マシな格好であった。
ハルバート時代には良く着ていた格好に近い。
貴族の通う学園でもそんなに目立つ事は無いだろう。
高く聳える学園の門を前にし、意気込んだ。
門番は事前に配布されていた学生証を見せると簡単に通してくれた。
後は立て看板に沿って順路を進むだけで試験会場に着く。
どうやらメイは結構出遅れていたらしい。
道中にはちらほら試験目当てであろう人物は居たが、恐らくグラウンドに当たる試験会場は、既に多くの人々(100人は超えないだろうが)で溢れていた。
教職員であろう人達が指示を出し、いくつかの列を作り出している。
メイもそれに習って並んだ。
その列と対面する形で、他の教職員達が並んでいる。
真ん中には簡易的なステージがあり、教壇が置かれていた。
一般的な入学式とほぼ変わらない形式だろう。
大小は勿論、肌色から人種まで雑多な集まりはしばらく喧騒を生み出していたが、1人の人物がステージに立つと次第に収まっていく。
『入学希望者諸君。本日は御足労頂き、真に感謝する。』
アンソロポジー魔術学園の副校長と名乗る黒スーツに長髪の男。
男は手短に注意事項を述べた後、壇上を去る。
どうやら今作られている列ごとに、座学・魔力・体力のテストを順次行う様だ。
メイはどうやら体力かららしい。
所属する列が教員の指示でグラウンドの一角へと動き始めた。
そして番号札が配られる。
「私が体力の試験を担当するラファルだ。よろしく頼む。」
ラファルと名乗ったクリーム色の長髪の男。
銀色に輝く全身を覆う鎧が眩しい。
手には同じく銀色のレイピア。
籠柄と護拳が鷲を模している。
「あれって聖騎士ラファルじゃね?」
「うおっ!本物のラファルだ!」
「ラファル様に会えるなんて!!!」
どうやらラファルは有名人の様だ。
確かに風貌も体格も装備も一般人とは格が違う。
「この試験は私と君達との1対1だ。どちらかが一撃貰うまで続ける。」
番号札の順番に戦うらしい。
武器は持ち前の物でOKらしいので、その点は助かった。
「さ、1番から、どうぞ?」
ラファルは微笑み、最初の生徒を促した。
その後は凄まじかった。
恐らく既に20戦は行われたであろう。
ラファルの実力はかなりの物で、誰一人として一撃を与えた者はいない。
だが教員としても一流らしく、皆『良い所』まではいくのだ。
「さぁ、次の人、どうぞ!」
汗一つかかずに、次の生徒を促す。
勿論戦闘後の生徒達は汗だくで、立っている者は少ない。
「テンニーン・アインホルム。参ります!!」
金色両刃の少し歪んだ大剣を携えた赤髪の青年が一礼し、前へ出る。
黒いズボンに髪色と同じ赤色のジャケットを着ていた。
「よろしく頼むぞ、青年。」
ラファルの応答を合図に、審査員の声が上がる。
「体力試験、始めッッ!!!」
先に動いたのはテンニーン。
金色の大剣を上段に構え、走り出す。
「ははっ、横がガラ空きだぞ青年よ!」
ラファルは他の生徒へした様に、脇腹へレイピアを叩き込む。
が、それは空振る。
テンニーンが跳躍し、そのまま回転斬りを叩き込んだ。
ドゴォン...!!!
とてつもない轟音が響き、大剣をレイピアが防いでいた。
しかし、衝撃はそのまま下へ流れて地面を砕く。
「なっ、なかなかやるな!」
ギリギリと掌に食い込むレイピアを見て、ラファルが苦言を漏らす。
「先生こそ!」
一旦距離を取りながらも、テンニーンは笑っていた。
ラファルの頬を冷や汗が滴る。
そして両者はまた激突した。
金色の大剣の切っ先がラファルの胸元を狙う。
その刀身をレイピアの3連撃が弾く。
金属音と共に大きく打ち上がった大剣を、勢い殺さず回転し下段から切り上げた。
「ハッ!!!」
ラファルの右足が大剣を踏みつけ、レイピアがテンニーンの側頭部を狙って打ち付けられる。
通常ならばここで試験終了のはずだった。
「そんな攻撃じゃあ『聖騎士ラファル』の名が泣きますよ、先生?」
安い挑発を送るテンニーンの右手は、レイピアをしっかりと掴んでいる。
「骨のある若者が現れてくれて嬉しいよ。」
レイピアを引き抜き、距離を取るラファル。
正直、苦笑いが隠せなかった。
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