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底辺召喚士
入学試験2
しおりを挟む( さて、どうしたものか。)
ラファルは珍しく焦っていた。
こんなにも実力のある生徒は初めてである。
試験的には目的は果たせているが、制限時間を決めなかった事を悔やむ。
「来ないなら、こちらから行きますよ!」
テンニーンがまたも突っ込む。
今回は金色の大剣が僅かに朱く染まっていた。
ラファルのレイピアと接触すると、小規模な爆発が起こる。
『爆炎刃!!!』
テンニーンの叫びと共に轟音が響き渡り、爆煙が視界を塞いだ。
「ほう、『エンチャント』とは体力テストだというのになかなか酷い仕打ちだ。」
煙が晴れてくると、無事だったラファルが苦言を呈す。
「先生こそ、『魔法』使ってるじゃないですか!」
爆煙が、レイピアのひと振りで一気に晴れる。
無傷のラファルを護るように淡い緑の魔力が行き交い、籠を形成していた。
「実戦では、こういう戦い方をするのだよ。」
「本物の『風絶』だ!!」
「あれが...『風絶』!」
「『風絶』をこの目で見られるなんて!」
生徒達がより一層盛り上がる。
元々テンニーンが善戦している時点で、ボルテージは上がっていた。
そこに有名人ラファルの有名な技が出れば歓声すら上がる。
「一応風絶が発動してしまった以上、私が一撃貰ったという事になる。合格だ、テンニーン。素晴らしい!」
握手をし、抱きしめる。
テンニーンも満足した様子で受け入れていた。
生徒達からはとめどない拍手が送られた。
「さて、次の生徒は誰かな?」
整地をし、乱れた防具や服装等を直し準備を整えてから次の生徒を呼ぶラファル。
「私ですっ!」
金髪碧眼の少女が前へ出る。
次の生徒はメイ。
「メイと申します。」
一礼し、顔を上げる。
ラファルは10歳程の少女が出てきた事に少し驚いたが、すぐに気を取り直しレイピアを構えた。
メイもホルスターに手をかける。
「さぁ、行くよ!」
レイピアを突きの姿勢に構え、駆け寄る。
正直、油断していた。
素早く抜き放たれた二丁の装飾銃。
そこから放たれた魔弾が3発、ラファルの鎧を掠める。
咄嗟に避けた為に熱で焦げる程度で済んだが、次は無いと気を引き締める。
そのまま駆け寄り、レイピアの刀身を幼き少女に打ち込んだ。
ガキィン!
寸止めするつもりではいたが、予想外に装飾銃によってレイピアは弾かれた。
しかし威力はほぼ皆無。
そのままもう一度、レイピアを叩き込む。
ガキィン!
またもや弾かれた。
ラファルは目を白黒とさせながらも、素早く3撃目を振りかざす。
ガキィン!
ガキィン!
ガキィン!
幾度と無く攻撃を浴びせた。
4...5...6...と。
しかし全て軽く弾かれる。
右と左の装飾銃が、絶え間なく襲い来るレイピアをいとも簡単に交互に弾いてみせる。
「やるなっ!だが、防御だけでは勝てないぞ!それっ!」
軽い音が2度響き、装飾銃がメイの手から離れる。
地面に落ちたエスペランサーは手の届かない所まで滑って行ってしまった。
「あっ!」
メイも油断していたのだ。
余りにも軽く受け流せるレイピアに。
「そこだッッ!!」
ここぞとばかりにレイピアを振りかざし、踏み込もうとした瞬間だった。
ドスッ
鈍い音がし、ラファルの足が止まる。
「なっ、なんだこれは!?」
ラファルの右足を後ろから貫く魔力の鎖。
メイが魔物と戦う時に見せた技だ。
ドスッ ドスッ
もう一方の足と腹部も鎖が貫き、動きを止める。
魔物の時と違うのは肉体に損傷を生じてない点だ。
対象の魔力だけを縛り付けている。
「だが、腕は動く!!!」
振りかざしたままのレイピアを、そのままメイの脇腹目掛けて打ち抜く。
キィンッッ
予定では、軽く脇腹を小突いて終わる筈だった。
例え先程のテンニーンの様に防御されようと突破出来る。
それに、か弱い少女がそれを出来るとも思わなかった。
しかし何だ。
今目の前で起こっている事象は。
突如現れた細身で漆黒の刀身。
それがメイの頬辺りから現れた魔法陣から半分程出現し、銀色のレイピアを防いでいる。
「あ、やべっ!」
そして少女は何故か焦っていた。
「でも、武器は1つじゃなくてもいいんですよね?」
申し訳無さそうに尋ねてくる少女。
ラファルは最早頷くしか出来なかった。
それを見て、少女は唱える。
「よしっ!おいで!『無刀-インビジブル-』!」
魔法陣から抜き出されたのは、柄頭から切っ先まで等しく漆黒の日本刀。
レイピアを弾き、中段で構える。
そしてひと振り。
漆黒の巨大な衝撃波が地面を裂きながらラファルの横を通り過ぎた。
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