Messiah~底辺召喚士の異世界物語~

小泉 マキ

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開闢の始まり

異変2

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「とりあえずエドガー、またよろしくね。」

「あぁ、ありがとう。人並みには戦えると自負しているよ。」

笑顔でお互い握手をする。
そして、湖の方へ向き直った。

作戦はこうだ。
先ずは龍人2人、そしてフェイリス、デミドラン、メイの順で大きく横に広がり突撃する。
そして、メイが各々をフォローしながら裏へ回り込み不気味な物体への一撃を加える。
そういう手筈になっていた。

龍人2人組とデミドランのフォローを同時にこなすにはフェイリスの冷静さが必要であるし、メイが裏取りへ動いてもデミドランが殿だ。
普段連携を取らない魔物達に陣形を崩される可能性は低いだろう。
それに龍人2人の瞬発力は凄まじい。
先鋒を飾るには相応しいはずだ。


皆を尻目に大きく跳躍したエドガーとテンニーン。
テンニーンの身体は真紅の龍鱗が身体の大部分を覆い、鋭い爪、牙、角が生える。
対してエドガーも、鈍色の龍鱗が身体の大部分を覆い、同じく鋭い爪、牙、角が生える。
2人同時の『龍化』だ。

2人は着地ざまにオークの首をその爪で切り裂く。
そして湖に向かいつつ、魔物達を翻弄していった。

「さて、私も行くか。」

次に動いたのはデュランダルを眼前に構えたフェイリス。
銀髪が一瞬輝いたかと思うと、既に遠方でリザードマンの首を撥ねていた。

「若者のパーティーに連れていかれる保護者の気分だ。」

デミドランは今夜の晩餐が無いと知り落ち込んでいたが、一瞬で消える。
フェイリスを襲おうとしていたオーガによる凶刃を手刀で防いでいた。

「お嬢様、ナンパにご注意を。」

「大丈夫だ。自分で倒せる。」

デュランダルがオーガの顔を貫き、お互い振り向きざまに別のオーガへと一撃を加える。


「よしっ、みんな持ち場を維持してるね。」


未だ火口壁の上で戦場を眺めるメイ。
ハーユン村を襲っていた魔物が5000体程だとすると、この火口壁の内側にはその10倍は蠢いている。
この数分では全然と言っていい程減ってはいないが、出だしは上々と言えよう。
メイもデミドランの左方へと走った。

走りながらも、足裏から伝わる感触に違和感を覚える。
幾つもの破片の上を走っている様な感覚。
恐らく、無残にも此処で散っていった者達の遺骨なのだろう。

( ...『宵の三日月』のみんなも、此処で...。)

メリルは多くを語らなかったが、そういう事なのだろう。
思わず握り締めた右拳に力が入る。
それがめり込んだオークの顔は、ズパンッという音と共に破裂した。







そうして何時間戦ったのだろう。
既に日は顔を隠し、辺りを月光が照らしていた。

テンニーンが豪火を放ち、敵を焼く。
エドガーが地面を割り、敵を陥れる。
フェイリスが三度剣を振れば、数十の首が飛ぶ。
デミドランが紫色の熱線を放てば、数百の命が散る。
メイがエスペランサーとインビジブルを振るい、多くの魔物が消滅する。

全員の倒した数を合わせれば、軽く最初の数を超えてくるだろう。
しかし倒しきれていない。
湖から沸いてくるのだ。
湖に近づく程強くなる臭気によって、体力も奪われている。

「げ、限界だァッ!」

地面に倒れ込んだのはエドガー。
肩で息をしながら、仰向けに寝転ぶ。
そしてその横にテンニーンがドサッと座った。

「こっちはもうッ...!敵あんま来ないから!大丈夫!」

2人とも龍化を維持出来ぬ程に消耗していた。

「私もっ...!これ以上は...っ!」

フェイリスもデュランダルを地に突き立て寄りかかり、息を切らせていた。
しかし目前に迫るはリザードマンの剣。

「お嬢さん、まだ寝るには早いんじゃねぇの?」

デミドランが間一髪でリザードマンを蹴り砕き、それを防いだ。

「メイッ!早くしねぇとヤバいぞ!!」

オーガを切伏せながらデミドランが叫ぶ。


5人は既に湖の目前までは来ていた。
メイもやっと後ろに回り込んだ所だ。
しかし、こうも魔物が量産されていては湖の中央に浮かぶピンク色の球体には中々手を出せなかったのだ。
火口壁から外へと繋がるトンネルに一匹でも通せば、外の世界のどこかで犠牲者が出てしまうのだから。


「わかってるっ!!!もう塞ぐよ!!!!!」



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