これがあたしの王道ファンタジー!〜愛と勇気と装備変更〜

プリティナスコ

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前略、共存と出発と

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「………はっ!」

 あたしはどうなったんだっけ?ボスと戦って、ノノちゃんに心を傷つけられて………

 て、こんな敵地で眠るのはまずいのでは!?思わず飛び起きる。猿たちは!?

「あ、セツナお姉さん、おはようだね」

「あ、うん。おはよう」

 もうとっくに昼だと思うけど、柔らかな笑顔に、ただあいさつを返すことしかできない。猿は……?
 周りを見渡すと、猿たちは山のように積まれ気絶していた。これが本当の猿山ってか。

 ていうかノノちゃんつよっ!
 思わず飛び起きる、確かに護衛の必要はなかったね……

「もう少し寝ててもよかったよ?」

 あたしを心配してくれるように声をかけてくれるノノちゃん。
 とってもありがたい話しだけど、サボってるわけにはいかない。
 今回の目的はみんなが笑ってることだから、ノノちゃんも村のみんなも猿たちも。

 少し離れたところにいたボスに駆け寄る。
 あたしに一騎打ちで負けたからか、もう敵意はないみたい。
 しゃがみ込み、目線を合わせて聞いてみる。言葉が通じるかわからないけど。

「どうして村を襲ったの?やっぱり食料の為とか?」

「ウキ、ウキキ」

 だめだやっぱり通じない。リリアンの言ってた新種だとかなんやらで、村を襲う理由があると思ったんだけどなぁ。

「仕方ない、こうなったら」

 立ち上がり、ボスに宣言するように。

「ジェスチャーだ!」

 言葉は通じなくてもあんなに戦ったんだ。
 身振り手振りでわかり合おう!まずは……

「自己紹介から!」

 ボスも乗ってくる、しばらくあたしたちは相互理解に興じる。
 あ な た の お な ま え は ?

「セツナお姉さん………」

 それを見ていたノノちゃん曰く、「セツナお姉さんまでお猿さんになっちゃったみたいで本当に怖かった」とのこと。いやぁ反省してます。

「おかえりなさい」

 しっかりと約束を守れたようですね、お疲れ様でした。帰ってきたあたしにリリアンからの労いの言葉、なんだか嬉しいな。

「ただいま、いろいろあったよ~」

 あたしもふらつきながらも、返事をする。
 そうだ、いろいろ伝えたい事もある、どんな戦いだったとか、必殺技ができた事とか。

「知ってます、見てましたから」

「見てましたから!?」

 驚き、思わず大声。
 いったいどこで?そしてどうやって?

「それで、ゴムザルとはわかりあえましたか?」

 あたしの疑問は華麗にスルー、まぁいいか、リリアンの不思議は今に始まった事じゃない。
 それにしても、ゴムザル?はて?

「あの猿たちです、私が名付けました」

 まぁ、それでいっか。いつまでも猿と呼び続けるのも、あまり印象よくないね。

 パニックを避けるため、外に待機させていたボスを呼ぶ。ここからが本題だ。

「えっと……ゴムザルたちは1ヶ月前くらいから突然現れて……」

 あたしは1時間弱のコミニュケーションで知り得た情報を伝える。2人の努力の成果を!

「それは知っています。ノノさんも言ってました」

「それはそうなんだけど、えっと……」

 う~ん……なんて言ったらいいのかな。

「ゴムザルたちもどこから来たのかわからないっていうか、突然現れたっていうか……」

 うまく伝わらない!身振り手振りで必死に伝えようとする。

「わたしの出番かね」

「誰だ!新キャラか!」

 健闘叶わず、思考がまとまらない中、突然の新しい声。今は邪魔しないで!
 振り返れば白衣を着て、スラリと背の高い女性が立ってた。ちょっと偉そうに。

 胸の名札には『ナナ』と書いてある。

「おねぇちゃん!おはよう!」

「うむ、おはよう。我が妹よ」

 勢いよく抱きつくノノちゃんと、それを受け止めるお姉さん、実に微笑ましい。
 ノノちゃんのお姉さんか、ゴムザルの脳みそ食べようとして返り討ちにあって気絶してた。
 うん、多分この人はポンコツだろう。間違いない。

「君が猿たちを連れてきてくれたのか、ありがとう」
 
 ノノちゃんのお姉さん…ナナさんはあたしとボスを交互に見て頷く。

「これを使うといい。自信作だ」

 そういって、ナナさんは輪っかのような機械を差し出してきた。これは……

「猿の言葉がわかる『サルリンガル』だ」

「サルリンガル!?それ大丈夫!?怒られたりしない!?」

 気にするな、とナナさんはボスの頭に、サルリンガルを乗せる。さぁどうなるかな?

「ワ、ワタシタチワ……」

「「おぉ!!」」

 片言だけど伝わる!これはスゴイ!しばらくあたしたちは、ボスの話しに耳を傾けた。

 話しをまとめると、ゴムザルたちは1ヶ月前に突然現れた。
 本当に突然、自分たちでもわからずに、ネオスティアに現れたのだと。魔物として縄張りを大きくすることもできず、結果、近くの村を襲う事になったらしい。

「そっか、ボスたちも大変だったんだね」

 手段は間違っていたけど、気持ちはわかる。誰だって生きたい。それは全生命の願いだろう。

「それじゃあ、いっぱい償わないとね」

 人生の良いところは、何度でもやり直せるところだろう。いや、猿生か?まぁでもどちらにせよ手遅れなんてない。

「受け入れてくれるまで、時間はかかるかもしれないけど、なんとかなるよ」

 あたしの言葉にボスはしっかり頷き返す。

「ゴメンナサイ」

 ボスはノノちゃんとナナさんに頭を下げる。これが和解への第一歩になるといいな。

「お猿さん…うん」

 ノノちゃんの『うん』には、いろいろな意味が含まれているんだろう。
 まだ少しだけ恐怖はあるみたいだけど、その表情からは確かに、歩み寄ろうとする意志を感じた。

 ボン!と小さく煙がでてサルリンガルが壊れる。

「ふむ、壊れたか……改良に努めよう」

 寝る。とナナさんは部屋に戻っていった。

「壊れちゃったか、まぁでも、いっか!」

 心で通じ合ってるあたしたちには必要ないだろう。

「とりあえずこの話しは終わりです」

 ぱんっ、と手を叩いて話を終わらせるリリアン。
 ご飯にしましょう、リリアンからそんな提案。
 ん?ご飯?

「カレーです」

 カレー……まぁ、あるか。問題は……

「リリアン、料理できないんじゃなかったっけ?」

「できないのではなく、やらないのです」

 キッパリ言い切るリリアン、なるほど確かに匂いはいい。

「だいたい、料理なんてしっかり材料を揃えておけば、そう難しいものではありません」

 コン、と皿が置かれるどれどれ?

「えっと……リリアンお姉さん?これは……?」

 ノノちゃんの疑問符もわかる、これは…

「ですから、カレーです、正確には『ゴロゴロ野菜の熟成カレー』です」

 なにその料理本みたいな名前。

 リリアンの置いた皿には、半面におかゆ、残りの半面にルー、そしてルーに浮かぶゴロゴロ野菜、もといそのまま野菜。

「なかなか自信作です」

 心なしか満足げな表情のリリアン。

「えっと…これ、味見とかした?」

「味見?必要ありません、完璧な出来です、ご飯が少し柔らかいですけど…まぁ、許容範囲でしょう」

 あ、これは料理できない人の考え方だ。

「世の中には、野菜の皮を向かずに調理をする愚か者がいるようですが、私は違います、洗いましたし、剥きました」

 そうか、それなら次からは、切ることも覚えたほうがいいよ。

「わ、わたしはあとでいいよ……今日1番頑張ってた、セツナお姉さんに食べてほしいな!」

「ノノちゃんさん!?」

 売られた!慌ててノノちゃんを見る、その目が語っている、死ぬなら1人で死ねと。

「それもそうですね。さぁ、食べなさい」

 見た目は酷いけどリリアンがあたしたちの為に作ってくれたんだ、恥をかかすわけにはいかないか……

 でも………食べる→死 食べない→死

 それなら食べて死のう。覚悟を決める。数時間前の死闘のように。

「ウキ!」

 突然肩に手を置かれる、ボス!お前!

 戦ってお互いにわかり合った戦友の目が語る。 「お前1人で、いかすかよ」って!


「よし!リリアンカレーをもう1皿頼むよ!」

「ゴロゴロ野菜の熟成カレーです」

 リリアンからの訂正、そんなことはどうでもいい。
 素早い動きで置かれる、もう一つのリリアンカレー。

「いただきまーす!!」

 戦友と2人、死地へのダイブ、そこから記憶が途切れる。
 カレーって甘いとか辛いとかだと思ってたけど、リリアンカレーはとてつもなく苦かった。ノノちゃんの薬草よりも。

 次の日起きたら、昨日までの痛みが嘘のように引いていた。
 あとで聞いた話しだと大量の薬草が入っていたらしい、そりゃ苦いよ。

 優しさの結果だろうか、いろいろ考えてみたけど、だとしたらカレーにする必要はない。

「本当にいっちゃうんだね」

 見送りに来たノノちゃんが、寂しそうに言う。
 ゴムザルとの共存とかは村のみんなに託す。まぁ問題ないと思うけど。

 ナナさんはいない、あれからずっと眠ってる、ノノちゃん曰く、いつものことらしい。
 それと『疾風のブーツまーくすりー』はもらった。ありがたい、これがないと『セツナドライブ』ができないし。

「ごめんね、やることがあるから」

 もっとゆっくりしたかったけど仕方ない、本当は昨日出発するはずだったし。

「またご飯食べにくるよ。約束」

 膝を折り、ノノちゃんと同じ目線に、指切りげんまん。これは破るわけにはいかないね。

「セツナお姉さんたちは、『青の領地』に行くんだよね、いつかわたしも遊びにいくよ!」 

 うん、待ってる。

「あと、薬草は食べちゃダメだよ?塗らないと意味ないよ?」

 ノノちゃんは心配そうに教えてくれた。
 あ、やっぱり?薄々気づいていたけど、あの時はいっぱいいっぱいだったんだ。

「またねーー!」

 ノノちゃんと、村のみんなと、ゴムザルたちに見送られ歩きだす。さて次はどんなことが起きるかな?

 これからの冒険の事を考えながら、足を進めていると。 

「それにしても、バカにつける薬がないから飲むなんて、驚きです」  

「うるさいよ!」
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