これがあたしの王道ファンタジー!〜愛と勇気と装備変更〜

プリティナスコ

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前略、依頼とイケメンと

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 初めての酒場で美味しいスイーツショップの場所を聞いてきたあたしは、孤高なる暗黒騎士と共に目的地へ急ぐ。
 それをリリアンに伝えると複雑そうな顔をして見送ってくれた。

 道中、孤高なる暗黒騎士から足音がしないことを不思議に思い、聞いてみる。あんなに重そうなのに。

「生業ゆえな、もし時間があれば伝授しよう」

「嬉しいな、楽しみにしてるよ!」

 元の世界に戻っても便利そう。ほら、抜け出すときとか。それにしても。

「プリンとか食べるんだね」

 まぁ、世界共通にして、万能の食べ物であるゆえに、我ながら愚問なのだが。
 それでも、男性?そもそも人間?が食べるイメージはあまり浮かばない。いや、些細な問題か。

「我自身はあまり食料を必要とはせぬ、しかし」

 遠くを見るような、孤高なる暗黒騎士。

「子供たちがな、食べてみたいと、所謂おつかいである」

 その視線彼方には、子供たちが待っているのだろう。

「いい人なんだね、子供好きなの?」

 だんだんとプリンによるテンションのブーストが落ちてきて、少しだけ生まれていた恐怖は話す内に薄れていた。
 プリンに関わる人に悪人はいない。至言である。
 あたしは答えのわかっている質問をしてみる。もちろん、嫌いなはずがないだろう。

「うむ、宝である」

 予想よりも強い肯定、だからあたしにも優しいのかな?

「故に、その背のカゴ。誰かに強要されてるなら話しをつけてやろう」

 あたしの背負う石入りのカゴをみて言う。やっぱり優しい、ちょっと怖いけど。

 強要といえば強要だけど、強くなれたのも事実だ、自分からやめる気はない。

「ありがと、でも大丈夫!特訓だから」

「鍛錬か、幼いのによくやる」

 しばらくの間そんな話しに花を咲かせる。口調は硬いけど、孤高なる暗黒騎士は意外に話し上手だった。

「ここかな?」

 酒場で描いてもらった簡単な地図、その地図の✕印の場所までたどり着く。
 店の看板には『街のお菓子屋さん』これもまた、あたしの世界で見るような小さなお店だった。

 さぁ、行こう!と入ろうとしたが、孤高なる暗黒騎士が入れない。身体が大きいから。

 仕方なく、あたしが代わりを努めようと提案したところ、店員さんが店先まできて対応してくれた。まさに神対応である。

 孤高なる暗黒騎士が店員と話してる間に、リリアンからもらったお小遣いで自分の分を買う。約1週間ぶりのプリンだった。

「幸せだぁ~」

 少しだけ、知ってる味と違いはあるけど、紛れもなくプリンだった。

 卵が違うからだろうか?そこからしばらく、あたしは新しい味を堪能し続けた。

 買い物を終えて、出てきた孤高なる暗黒騎士に別れを告げる。また会えたらいいな。

 リリアンのもとに帰ろうと、酒場を目指す。その途中、曲がり角でなにかにぶつかる。

「おわっ……ととっ」

 ギリギリ踏みとどまる。石入りのカゴを背負いつづけたバランス感覚を、なめないでほしい。

 いやそれよりも。

「ごめんごめん、前を見てなかったよ」

 駆け寄り、倒してしまった人に謝る。ただその外見をみて少し後悔する。

 パツキンの不良だった。金色の髪と少しはだけたYシャツ、学生服のズボンと完全に夏服の不良だった。しまったなぁ。

「いや、こっちこそ急いでたからな、わりぃ」

 ザッと頭を下げる不良。いい不良だった、きっと雨の日に捨て猫を拾う系だろう。

「オイ!ギン!何してんだ!」

 後ろから一回り大きな不良。学ラン付きだった。

「すんませんス!」

 ずんずん、とこちらに近づいてくる。
 おっと、こっちの不良は許してくれないやつかな?

「女の子に倒されてんじゃねぇよ!むしろお前が受け身をとってやんな!」

 一見、熊のような印象を持つ不良は、そんなことを言う、この街は暖かい人ばっかりで楽しい。

「すんません!次こそは!」

 楽しい流れにあたしも便乗したくなる。

「そうだぞ、精進しろよギン」

「何様だお前!?」

「「ははははは!」」

 仲良くなれそうだ、しばらく談笑して自己紹介を済ませる。
 どうやらギンは銀一、後ろの大きな人はタイザンさんと言うらしい。

「セツナか……格好いいじゃねぇか!」

 名前を褒められる、悪い気はしないね。

 聞けば2人はギルド活動の一環でこの街に寄り、もう出発するところらしい。

「それじゃあ引き止めちゃいけないね」

「おう、気にすんな」

 少し調子に乗ってしまった、タイザンさんのきのいい返事が嬉しい。

「今度、俺らの拠点にしてる街まで遊びにこいよ。『テンカ』って街だからよ!」

「了解、連れの悪魔の気が向けば絶対に行くよ。」

 別れをすませて、今度はゆっくりと急ぐ、またぶつかったらいけない。
 さて、そろそろリリアンの方も終わったかな。

「おかえりなさい。ゴムザルの申請はつつがなく終了しました」

 しっかりとやってくれたみたい。お礼をして、いつ出発するのかを聞く。

「いえ、まだこの街をでません。あなたにお仕事です」

「お仕事?」

 珍しい、いつも出発を急かすのに。

「やることができたのでその間の特訓にと。パーティーを組み、その人の護衛です」

 もしかして、あたしがパーティーに憧れるって言ったからかな?だとしたら嬉しいな。

「おっけー、依頼人は?」

「こちらです」

 リリアンの視線の先には……

「どうも、魔術師のラルムです。セツナさんよろしくお願いしますね」

「イケメンだぁーー!」

 ネオスティアにきてからおそらく、初めてみるまともなイケメンに驚きを隠せなかった。
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