これがあたしの王道ファンタジー!〜愛と勇気と装備変更〜

プリティナスコ

文字の大きさ
53 / 72

前略、嵐と勝利と

しおりを挟む
 剣撃がやまない、あたしは振るう。刃のない剣を
 鉄拳はやまない、アニキさんの信念と正義の拳は

「なんだか、楽しいですね!」

 押されてる、前と同じく、でも振るう。
 諦めない、前とは違う、だから振るう。

「私は真剣なんだが」

 あたしもです!打つ、受ける、躱す。そんなキレイな流れじゃない。
 打つ打つ打つ打つ打つ打つ打つ打つ打つ打つ。
 お互いに止まらない、止まれない。押されてる分は、装備変更で補う。
 
 【ウエポンチェンジ2】に変わってから持ち替えがさらに早くなった気がする。
 もとからまばたきよりも早かったけど、それよりも
 それで硬直を消せる身としてはありがたい、これなら本当はまだまだ弱くても戦える!!

 少しづつアニキさんの拳はあたしを捉え始める。
 少しづつあたしの剣はアニキさんに届き始める。

 お互いに知ってる、それぞれの必殺を

 アニキさんはあたしに距離をとらせない。
 あたしだってアニキさんに構えさせない。

 斬る、その懐に一太刀入れる、何食わぬ顔。
 打つ、それを受けた剣が軋み、ひびが入る。

 蹴る、大剣に持ち替えてキッチリ受ける、笑う。
 突く、スキが見えたのでカウンター、驚かせる。

 笑う、笑う、傷つきながら、わかり合いながら。

「やってくれる……せっかくの下ろし立てが台無しだ」

「やってくれましたね、せっかく直してもらったのに」

 というか、あたしは武器を交換しながら戦っているけど、ずっと打ち合ってるアニキさんの拳はいったいなんなんだ。

「そろそろ終わらそう、まだこいつは破られてない」

「そろそろ終わらしましょう、今からそれを破って」

 たしか『百八神拳』とか言ってたっけ?前回は8発目くらいで意識が飛んだけど今度は捌く!
 ……結構ダサくない?『百八神拳』

 武器は両手剣にする。最初が肝心。

「『百八神拳』」

「そんじゃあいっちょいきますかー!」

 繰り出される右の拳。対応する両手剣。
 繰り出される左の拳。対応する双剣の左。
 右!左!右!左!右!右!左!右!左!右!左!右!左!右!左!右!左!右!左!右!左!右!

 加速する百八の拳。加速するあたしの剣。
 耐える!耐える!耐える!打つ!打つ!打つ!
 考えるな、考えろ、感じるな、感じろ、見るな、見ろ、動くな、動け、諦めるな!諦めるな!
 頭の中はめちゃくちゃで心臓もバクバクだ。
 
「でも、それでいい!それが心地いい!!」

 まだ!速く!速く!速く!速く!速く!速く!
 あぁ、最初にこの技に破れた時とはまるで違う、心が!感覚が!本能が!
 あたしの背中を押す。ここで下がるなって。

 身体が、技術が、スキルが、あたしを支える。
 真正面から勝ち取れと!!!

 しばらく…といっても数十秒間その流れに身を任せる。
 意識が完全に戻った時は、108番目の拳をあたしの剣が弾いた瞬間だった。 
 
「なん……だと……」

 そのセリフもお決まりだ。一瞬、アニキさんの動きが止まる。

「もう終わりですか」
 
 耐えた、捌いた、弾いた。
 さぁ、ここからはあたしの時間だ。

「あたしはまだまだ止まらないぞ!!!」

 メインは双剣。苦手意識はあるけど1度の装備変更で2本持てるのは偉い。
 振る、変える、振る、変える、振る、変える
 反応は許さない、反応しても叩き潰す!

 右!左!突!左!打!右!突!左!右!左!右!左!右!突!右!打!左!右!斬!斬!左!打!右!左!右!左!斬!突!左!左!左!斬!左!右!打!打!左!右!右!左!右!斬!右!左!右!打!左!右!左!右!突!右!左!斬!右!左!右!斬!左!右!右!左!打!右!打!右!右!斬!右!左!右!左!突!右!左!右!左!

 止まらない止まらない止まらない!
 アニキさんの拳を受け続けた剣が軋み、ひびが入り、亀裂が走る。
 それでもこの嵐を止めたくない!!!

 何度目か、何十回目か、何百回目か、双剣はもう折れた片手剣と何かの柄、両手剣は根本から折れ、片手剣にもひびが入ってる。
 あたしの時間もそろそろ終わりだ。

「とどめ……です!」

 もうあたしもボロボロだ、そろそろ終わらせよう。
 装備変更、亀裂の入った大剣へ。ここ1番の大振りで!!!

 倒した!……と思ったんだけど……

「し、しぶとい!」

 あたしの全力を受けてなお、アニキさんは立っていた。
 まるで諦めない主人公のように。

「まだ、私は……!」

 とんでもない執念だ、あたしも他の人からみたらこんな感じなのかな?
 でも……!

「今回はあたしの勝ちです!」

 ボロボロのスーツの首を掴む!実は得意技なんだよね!

「頭突き!!!」

 ゆっくりと、アニキさんの身体が倒れる。
 この場に立っているのはあたし1人だけ。泥臭くとも、誰の目からみてもあたしの勝利だった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

最強令嬢とは、1%のひらめきと99%の努力である

megane-san
ファンタジー
私クロエは、生まれてすぐに傷を負った母に抱かれてブラウン辺境伯城に転移しましたが、母はそのまま亡くなり、辺境伯夫妻の養子として育てていただきました。3歳になる頃には闇と光魔法を発現し、さらに暗黒魔法と膨大な魔力まで持っている事が分かりました。そしてなんと私、前世の記憶まで思い出し、前世の知識で辺境伯領はかなり大儲けしてしまいました。私の力は陰謀を企てる者達に狙われましたが、必〇仕事人バリの方々のおかげで悪者は一層され、無事に修行を共にした兄弟子と婚姻することが出来ました。……が、なんと私、魔王に任命されてしまい……。そんな波乱万丈に日々を送る私のお話です。

アワセワザ! ~異世界乳幼女と父は、二人で強く生きていく~

eggy
ファンタジー
 もと魔狩人《まかりびと》ライナルトは大雪の中、乳飲み子を抱いて村に入った。  村では魔獣や獣に被害を受けることが多く、村人たちが生活と育児に協力する代わりとして、害獣狩りを依頼される。  ライナルトは村人たちの威力の低い攻撃魔法と協力して大剣を振るうことで、害獣狩りに挑む。  しかし年々増加、凶暴化してくる害獣に、低威力の魔法では対処しきれなくなってくる。  まだ赤ん坊の娘イェッタは何処からか降りてくる『知識』に従い、魔法の威力増加、複数合わせた使用法を工夫して、父親を援助しようと考えた。  幼い娘と父親が力を合わせて害獣や強敵に挑む、冒険ファンタジー。 「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載しています。

企業再生のプロ、倒産寸前の貧乏伯爵に転生する 

namisan
ファンタジー
数々の倒産寸前の企業を立て直してきた敏腕コンサルタントの男は、過労の末に命を落とし、異世界で目を覚ます。  転生先は、帝国北部の辺境にあるアインハルト伯爵家の若き当主、アレク。  しかし、そこは「帝国の重荷」と蔑まれる、借金まみれで領民が飢える極貧領地だった。  凍える屋敷、迫りくる借金取り、絶望する家臣たち。  詰みかけた状況の中で、アレクは独自のユニーク魔法【構造解析(アナライズ)】に目覚める。  それは、物体の構造のみならず、組織の欠陥や魔法術式の不備さえも見抜き、再構築(クラフト)するチート能力だった。  「問題ない。この程度の赤字、前世の案件に比べれば可愛いものだ」  前世の経営知識と規格外の魔法で、アレクは領地の大改革に乗り出す。  痩せた土地を改良し、特産品を生み出し、隣国の経済さえも掌握していくアレク。  そんな彼の手腕に惹かれ、集まってくるのは一癖も二癖もある高貴な美女たち。 これは、底辺から這い上がった若き伯爵が、最強の布陣で自領を帝国一の都市へと発展させ、栄華を極める物語。

魔力値1の私が大賢者(仮)を目指すまで

ひーにゃん
ファンタジー
 誰もが魔力をもち魔法が使える世界で、アンナリーナはその力を持たず皆に厭われていた。  運命の【ギフト授与式】がやってきて、これでまともな暮らしが出来るかと思ったのだが……  与えられたギフトは【ギフト】というよくわからないもの。  だが、そのとき思い出した前世の記憶で【ギフト】の使い方を閃いて。  これは少し歪んだ考え方の持ち主、アンナリーナの一風変わった仲間たちとの日常のお話。  冒険を始めるに至って、第1章はアンナリーナのこれからを書くのに外せません。  よろしくお願いします。  この作品は小説家になろう様にも掲載しています。

ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活

天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――

処理中です...