これがあたしの王道ファンタジー!〜愛と勇気と装備変更〜

プリティナスコ

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前略、決着と告白と

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「あ、おはようございます」

「……負けたのか、私は」

 あたしの渾身の頭突きを受けたアニキさんは、5分間ほど眠り、ゆっくりと目を覚ました。

「負けた私はどうすればいい?この街を潰すのだろう?」

 そんなの……決まってる。

「えっと……わかんないです」

「はぁ?」

 決まってなかった。アニキさんから聞いたことのない声が溢れる。

「待ってくれ、君はこの街が気に入らなくて、それで潰そうとしたんじゃないのか?」

「気に入らないのは事実ですけど、潰すってまでは……」
 
 アニキさんは起き上がって、あたしに驚いたような目を向ける。
 あたしとしては、ただちょっと考え直してほしい、それだけだ。

「そんな事の為にお互い、こんなにボロボロになるまで戦ったのか?」

「まぁ、そうなりますね」

「そんな事を言う為に、この『テンカ』の要塞を爆破までしたのか?」

「まぁ、そうなっちゃいますね」

 マズい、ここだけ切り抜くとあたしの頭が足りないみたいだぞ。
 いろいろ考えてこうなったんだ、信じてほしい。

 お互い、しばらく沈黙。

「ぷっ」

 そのまま、どちらからとなく吹き出し、笑う。
 その声はだんだんに大きくなり、澄みきった青空に響いた。

「久しぶりにこんなに笑わせてもらった。私もまだまだ視野が狭い」

「違いますよ、視野が狭いんじゃなくて、世界が広いんです」

 たまにあたしみたいなのも降ってきますからね。
 ネオスティアは不思議で広い、だから自分で見て回れないのが、嫌なのかな?
 
 ここまでやって、あたしの中にそんな気持ちがあるのに気づく。
 なるほど、それは負けられない。

「疑問があるのだが」

「んん?なんでしょう?」

 そこまで言って思い当たる、やっぱり爆破はマズかったか……

「なぜ最初しか使わなかったんだ?その……君の必殺技を……」
  
 急に歯切れの悪いのアニキさん。
 そうですか、そんなにあたしの必殺技は恥ずかしくてダサいですか、口に出したくないほどに。
 許しましょう、勝者の余裕ってやつです。

「実は、自分の力だけで飛んでるわけじゃないんです、ちょいと特別なブーツを履いてまして」

 ヒョイ、っと足を上げてみる。それからブーツの性能と、1日に2回しか飛べない事を伝える。
 それと爆破の際に1回使った事も。
  
 それを聞いたアニキさんは、肩をすくめて。

「すると私はずっと、くるはずのないものを、警戒し続けていたわけか……」

「結果だけ見ればそうなりますね」

 だが実際に、万全の状態で戦ったらあと1回使えたんだ。当然の警戒だろう。

「いつかは自分の力だけで飛びたいです、その方が遠くまで手が届きますから」

 この街での成長で少しだけ、飛べるようになった。これからの期待と目指す目標を伝える。
 胸を張って言う、少しだけついた自信をそえて。

「飛べるさ、負けた私が保証しよう」

 嬉しい言葉と共にアニキさんは立ち上がって、あたしに手を差し出す。

「考え直そう、この街を。もう私は強いなんて言えないからな」

「何を言ってるんですか、強かったです。あたしよりも、ただ……」

 その手を握り返して、答える。自分でこんなこと言うのは、ちょっと恥ずかしいな……

「今回はちょっとだけ、あたしの方が強かったんです、あたしの思いの方が」

 やっぱり恥ずかしい、でも勝因はそこだと思う。
 心、信念、気持ち、思い、いろいろ例えはあるけど思いがしっくりとくる。

「おーーい!セツナーー!」

 少し遠くからギンが走ってくる、手を振りながら、あたしの近くまで。

「どうしたの?ボッコボコじゃん」

 見ればギンは、別れた時よりも傷だらけだった。あたしも人のこと言えないけどさ。

「そりゃ、セツナもだろ、まぁ男同士いろいろあんだよ」

 なるほどね、あたしにはわからない世界だけど、そのやりきった表情を見るに、必要なことなのだろう。
 
「それでよ、お互いボロボロなのに、言うことじゃねぇと思うんだが……」

 ギンは鼻を掻きながら、なんだか言いづらそうにしている。
 これは……フリかな?

「ごめん、告白なら後にして、疲れたよ」

「だからちげぇよ!お前それ何回目だよ!」

 3回目だ、まだまだ使おう。

「よし!言うぞ!」

 気持ちはほぐれたみたい、さてなんの話だろう?

「セツナ!俺と戦ってくれ!」

 あたしが今しがた、大きな戦いを終えた事を知ってるはずなのに。
 空気の読めないギンは、とても真剣な表情であたしに言った。
 多分、この金髪の中身はスッカスカなんだろう。
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