これがあたしの王道ファンタジー!〜愛と勇気と装備変更〜

プリティナスコ

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前略、心配と申し出と

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「なんと言うか、流石って感じかな?」

 あれからすぐに炎は消え、お城のようだった学園が、瓦礫の集まりに姿を変えても。
 その中心部には人がいた、10人程だけど、確かにあの崩壊から生き残っていた。
 魔術的な防壁でも張ったのだろうか、キレイな見た目だ。

「はい、確かに少数ですが生きています」

 急ごう、あたし達はその集まりに向けて足を速めた。

「……まさに聞く耳を持ってもらえない」

 集団に合流することはできた、できたが。

「こちらに無関心、意に介さない様子です」

 そうなのだ、集団に残っていた人たちは、それぞれが言い争うばかりであたしたちには目もくれない。

「少し待とうか」

 とはいえ、力を借りないことにはどうにもならない。
 あたしとリリアンは集団が落ち着くまで待ってみることにした。

「なんか、思ってたのと違うな……」

 あれから1時間ほど経っただろうか、言い争いは終らない。
 魔術師というのはもっと落ち着いたものだと思っていた。

「全くです、それにとても不愉快です」

 それこそ全くだ、魔術師たちの会話はとてもじゃないがいい気分になるものではなかった。
 なぜなら、そのすべてがラルム君の悪口や、こんな事になった責任の押し付け合いだった。

 いや、非難されるのは当たり前だ、彼はそれだけのことをした。
 だけど、責任を押し付け合うのは違うと思う。

「……あんまりいい環境じゃなかったのかもね」
 
 ちらほらと、聞こえる単語。
 やはり完全に潰すべきだった、話を聞いてやるんじゃなかった、そもそもあんな……

 そのどれもが耳触りのいい言葉じゃなかった。
 
 庇うつもりはないけど、少しだけ可愛そうだ。
 もしもあたしが彼なら、この環境で夢を追えただろうか?
 こんな否定と非難に溢れた場所で。

 待てよ、なら本当に悪いのは……

「少し落ち着いて下さい」

 あたしの心の底に、少しづつ黒い感情が溜まっていく。
 それを解消したくて、魔術師たちのところへ行こうとした時、リリアンの声が聞こえた。

「どうしたのリリアン?あたしは落ち着いてるよ?」

「いえ、普通じゃありません。今にも殴りかかりそうで、心が不安定です」 

 ……おかしいな、顔には出してないはずなのに。
 止めないでほしい、少しうるさい。

「殴りかかるつもりはないよ、ちょっとお話し」

 うるさいうるさい。

「あの人たちを倒しても、なんの解決にもなりません」

 うるさいうるさいうるさい。

「だから、そんなつもりはないよ、聞きたいことがあるだけ」

うるさいうるさいうるさいうるさい。

「ダメです、落ち着くまで」

うるさいうるさいうるさいうるさいうるさい。

「うるさいな!落ち着いてるよ!」

 …………なんで苛立ってるんだ?
 リリアンに話が通じないからだ、いや、違うだろ、どう考えてもあたしが悪い。
 
 謝ろう、許してくれるかな……

「私はあなたが心配です」

 謝るよりも先に、リリアンが言う。
 あたしを責める言葉ではなく、あたしを思いやる言葉を。

「あなたがまた思い悩んで、恐怖して、自分を見失わないか心配です。心ない言葉で争うのが心配です、その心が折れてしまわないか心配です」

 続く、優しい言葉は。
 続く、思いやる言葉。
 続ける、複雑な表情で。

「あまり心配をかけないでください、誰も悲しませない物語なのでしょう?なら私を悲しませないでください」

「うん……ごめん、あと、ありがとう」 

 あんなに苛立っていた心が落ち着いていく、優しい気持ちでいっぱいになる。
 なんだか泣きそう、嬉しくて。

「そうだよね、今、ラルム君の知り合いだって言っても余計なトラブルの元だね」

「そのとおりです」

 さてどうしようか、しばらく2人で話し合う。

「そういえば、まだ誰とも話せてないんだよね、ひとまず話を聞いてくれて、協力してくれる人を探そうか」

「妥当ですね、戦力になってくれるとよいのですが」

「あのー、協力とか戦力とか、お困りですかー?」

 なんだなんだ、新キャラか?聞いたことのない声に振り返る。
 なんだかけだるそうな、間延びした声、他の魔術師たちとは違う呑気な響き。

「良ければ、お手伝いしますよー」 

「…………お断りします」

 あたしは断った、1人だけやけにカラフルな服装、大きな杖、ピンクの髪。
 その全てが、異質な存在からの手伝いの申し出。

 あまりにも怪しいその申し出を断った。
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