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本章・わくわくえちえち編
#31・【???回】ロボっ娘が禁忌を宿すとどうなるのか?
しおりを挟む「――奴を始末しろ!
あの禁忌は必ず処分するんだ!」
「「「了解です!!」」」
ここは、とある森の中。
そこら中生い茂る木々が美しい緑を魅せる森。
快晴が効いた空であれば、
心地よい暖かさを持った木漏れ日を
浴びて和んでる所だろう。
今となっては豪雨に身を潜める恰好の場である。
血眼で私を探す研究員の声も、
拾えなくなる程遠くへ行った。
安堵した私は腰を落とし背を樹に預けた。
「はぁ……はぁ。どうして私がこんな目に。」
自分の悲劇を嘆いたって、
帰ってくるのは豪雨の鳴らす雨音だけ。
その音だけが、今はお友達。
沈んだ気を誤魔化すよう、
雨雲を仰いで過去を振り返った。
*
私は貧しい家庭ながらも、
何不自由なく生きていけた。
両親の愛情と苦労があるからだろう。
そして、キッカケは唐突に訪れたんだ。
「アイリャ、うちのポストに
これが届いたんだが行く気はあるかい?」
「……どれ。」
父が怪しげなチラシを渡して来た。
♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢
●アンドロイド族対象・急募!!
・アップデートコアの治験
・日給3万~6万
・住み込みバイト(期間1ヶ月)
優しい研究員達と楽しく過ごそう!!
場所・●●●●●●●
問い合わせ先・●●●●●●●
♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢
見るからに怪しいチラシだ。
「家庭が貧しいんだ。アイリャ、分かるよな。」
「私からも頼めるかしら。
辛いだろうけど、帰ったら少し贅沢しましょ。」
父母両方から頼りにされる事は、あまりない。
ここまで必死に頼まれたら、断れない。
違う。断りたくない。
私が今に至るまで何不自由なく
生きていけたのは両親のおかげなんだ。
まともに親孝行した覚えがない私にとって
それは、感謝を示すチャンスでもあった。
これで少しでも両親の負担が減るなら、
怪しいとか以前に頑張らなくちゃという
気持ちの方が強く出る。
そんな流れで、
私は同意の上で治験バイトを受ける事になった。
報酬はちゃんと両親の口座に
振り込まれているそうで、
毎晩感謝の電話がかかってくる。
この時は、ただ嬉しかった。
けどやっぱり、美味しいだけの話はない。
私は実験の果てに 〈禁忌の機核〉を
内蔵されたらしい。
他のバイトが治験不適正で辞めていく中、
彼らの満足する結果を出してしまった。
夜に興味本位でほっつき歩かなければ、
気が付かぬまま洗脳されていた。
……その事実が、とても怖かった。
彼らの操り人形になるのだけは嫌で、
全力で逃げ出した。
*
そうして今に至る。
私が偶然にも宿してしまった禁忌。
それは〈崩壊〉の概念を司る機核らしい。
そんな恐ろしい力を持った被験者が
自我をもって行動するんだ。
側からみれば歩く破壊兵器そのもの。
研究員らの対処は当然である。
命を絶てば終わる話だけど、死にたくない。
まだ私にはやりたい事が沢山あるんだ。
「あーあ、でも行くアテなんてないよね。
本当ワガママでどうしようもないや。」
「本当にそうつらか?」
「――でゅえっ!?」
不味い。研究員に見つかった?
いや、でも白衣も着てないしバッチもない。
通りがかりの……一般人?
「どうしたつら、私の事をマジマジ見て。
不思議つらか?」
この様子だと、研究員ではなさそうだ。
確かに、不思議と言われれば不思議な子だ。
雨が彼女を避けてるように見えるし、
彼女自身も逆さに浮遊している。
それにこの魔力量。
明らかに只者じゃない。
「ご、ごめん。
逆さに浮いてる子を見慣れてなくて……」
「見慣れてる方が可笑しいつら。」
よりにもよって
初対面の子に変人扱いされちゃったよ。
ついてないなぁ。
「あのぉ、待って下さい。貴女は?」
「私は魔王軍幹部『面吊るし人』の
シギャク・ツルシュ。
それ以上でも以下でもないつら。」
「私はアンドロイドのアイリャっていいます!
少しの間だけでいいので匿ってくれませんか!」
このチャンス。逃すもんですか。
魔王軍幹部を用心棒にすればこの先
どう生きるか考える時間を安全に得られる。
「いいつらよ。」
「ほ、本当ですか!」
「困ってる子を野放しにすると
ファミリーに怒られちゃうつら。」
動機がしょぼいですよ幹部ちゃん。
「ほいっ。そうと決まれば行くつら。
――第七転移魔術式展開〈セーブ〉」
彼女の放つ術式の光に私は包まれた。
*
「………という訳で、連れてきたつら。」
「という訳で。じゃねーだろ!!
平然と人攫いしてんじゃねーよ鶴!!」
「オノ君、それって私が
優し過ぎるという意味つら。」
「逆だよ! 今すぐ親御さんの所に返せ!」
転移早々、事情を話した幹部ちゃんに
納得しない男との言い争いが始まった。
彼の言い分もご尤もである為、口出し出来ない。
夕食時だというのに空気が悪くなる一方だ。
やっぱ他の人の所に行った方がいいのかな。
「はは、やっぱり私は邪魔者ですよね。
いいですよ。
貴方が不快になるのであれば他を当たります。」
「ア゛ー、アイリャだっけ。ちょっと待てよ。」
「へ?」
てっきり私の意見に肯定すると思いきや、
引き留められた。
「見た感じ親御さんの所に戻るのが嫌そうだな。
他にも事情があるんだろ。
理由次第では住まわせてやるよ。」
「もうっ、オノ君は素直じゃないつらね。」
「うっせー!
悩める奴の話を聞いて何が悪いんだよ!」
「分かりました。私の全てをお話します。」
*
事細かに経緯を話した。
「現実っつーのは残酷だな。
いいぞ、家政夫が部屋を手配してやっから
しばらくの間亡命の準備を整えておけ。」
「はいっ! ありがとうございます!」
良かった。これで目先の問題は解決。
後は彼が言ったように、
亡命計画を立てておくべきだろう。
都会寄りなこの国より、
農耕大国の田舎を狙った方が良さそうだ。
「さ、話も夕食も一通り済んだ事だし。
アイリャちゃん、姉たん。歯磨きして
一緒にれっつ入浴つら。」
「ご、ごめんね鶴ちゃん。
私は今日、後ででいっかな~。」
「つまりオノ君と一緒に入りたいと?」
「ちっ、違うわよ!?
ほら私ってアイリャちゃんと初対面だし、
いきなり裸を見るのはどうかな~って……」
「……あのぉ、幹部さん。
この人って私とお風呂に入るのが嫌なんですか。」
そうだよね。
どこの馬の骨とも知らない私に無防備な
状態を晒したくないよね。
寝首をいつ掻かれるか分かったもんじゃないし。
「それとは違うつらね~。初対面の女の子と
入浴するのに慣れてないだけつら。
私の時も同じような反応だった。」
「何それ、極度の人見知り?」
「人見知りなのは大当たりだけど、
それとは別つら。姉たんは前世の記憶に
囚われた可哀想な女の子つらよ。」
「前世の記憶? トラウマでも抱えてるの。」
「前世がモテない冴えないエロガキの三拍子が
揃ったお手本のような
陰キャ男子高校生だったつらから。」
「あー、何となく察したわ。
残念美人ここに極まれりって感じね。」
「2人とも~、さっきから私に対して
失礼な事考えてないかなぁ~?」
「「――考えてません!!」」
幹部のお姉さん怖。
これからは変に刺激しないでおこう。
そんなかんやで、風呂も終わり時間が空いた。
幹部のお姉さんは勉強会なるものをやるそうで、
私と同じく予定が開くのは
幹部ちゃんだけのようだ。
彼女に案内され、しばらくお世話に
なるであろう借り部屋へ入る。
ベットや姿見、クローゼットの中には衣服も
用意されていた。部屋もめちゃくちゃ清潔だ。
「私がこんないい部屋借りていいんですか?」
「いいに決まってるつら。
アイリャちゃんは私達の新しいファミリーだから、
みんな大歓迎つらよ!!」
「――宜しくお願いします!!」
私は深々と頭を下げた。
「こちらこそ、宜しくつら。」
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