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第二十九章 外交攻勢
ハワイの反乱
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「有色人種に寛容な人間は、アメリカ人ではない。全て死んでしまえ」
ハワイはその主砲をワシントンに向けた。ワシントンは海に面してはいないが、海岸からの距離は40km程度に過ぎない。ハワイの46cm砲であれば十分に届くだろう。
「死ね死ね死ね! CIAに迎合する連中も全員死ねばいい!」
ハワイの標的は、ダレス長官に迎合する人間全て。つまりワシントンD.C.の全市民が対象であった。ワシントンのあちらこちらに情け容赦なく砲弾が降り注ぐ。無差別虐殺であった。
『おい、何をやっているんだ!』
ソ連のゴルシコフ大将から通信が入る。フルシチョフ書記長はUSAへの支援を取りやめたが、ソ連艦隊はまだチェサピーク湾に残っていた。
「貴様はもう私とは関係ないだろう? とっととロシアに帰れ」
『流石に、これを無視することはできないな。人間として』
「だったらどうする? 貴様らの戦力で私を止められるとでも?」
『それは……できないが……』
ゴルシコフ大将の手持ちの戦力でハワイ級戦艦に対抗するのはほぼ不可能だ。
「だったら黙っていろ。お前達は白人だから、殺す気はない」
『民間人の大量虐殺など正気ではないぞ』
「有色人種に譲歩する白人など死んでしまった方がいい。もちろん有色人種は皆殺しだ」
『説得は、無意味なようだな……』
ゴルシコフ大将には結局何もできなかった。大将が手をこまねいている間にも、ハワイはワシントンへの砲撃を容赦なく続けた。トルーマンを殺したダレス長官は、身元を判別できないほど粉々になった。
「大方を殺し尽くしたか。次は、アメリカ連邦の裏切り者どもを殺しに行くとしよう。簡単なことじゃないか」
ワシントンを瓦礫の山にすると、ハワイはアメリカ連邦を攻撃するべく南に進み始めた。
○
『一大事だ、瑞鶴。ハワイがこっちに向かってきているらしい』
ケネディ中将から瑞鶴に、焦った様子の電話が掛かってきた。
「どういうことよ? 負けて敵に鹵獲されるくらいなら特攻するってこと?」
『恐らく死ぬ覚悟で突っ込んできていることに違いはないだろうが、彼女の目的は有色人種を皆殺しにすることらしい。ソ連のゴルシコフ大将から教えてもらった』
「ロシア人なんて信用できるの?」
『動機についてはこの際どうでもいい。ハワイがこちらに向かってきているのは紛れもない事実だ。これを食い止めないと、君達もマズいことになる。協力を頼みたいんだが、構わないかい?』
「まあいいけど。敵は戦艦一隻だけなのよね?」
『ああ、そうだ』
「なら、空から嬲り殺しにすればいいわ」
『ああ、頼んだ』
そういう訳で月虹は全力でハワイを叩くことに決めた。全艦海上要塞を出て艦載機を出そうというその時、エンタープライズがとある提案をしてきた。エンタープライズは今でも瑞鶴の指揮下に入っている。
『瑞鶴、いいことを思い付きました。私にハワイと話をさせてください』
「いいけど、何する気なの?」
『まあ、面白いことになりますから、暫く見ていてください』
「ロクでもないことになりそうなんだけど」
『ハワイを食い止めるという目的は、確実に果たせますよ』
「はぁ……」
エンタープライズが失敗したとしても特に実害はない。瑞鶴はエンタープライズに好きにやらせてみることにした。
○
『こんにちは、ハワイさん。エンタープライズです』
「エンタープライズ? ああ、貴様も裏切り者だったな。ルーズベルト大統領に直々に生み出された船魄なのにも拘わらず」
ハワイはエンタープライズに敵愾心を持っている。彼女が敬愛するルーズベルトを裏切ったようなものだからだ。
『ふふ。まさにそのルーズベルトについて、あなたにお教えしたいことがありまして』
「……何のことだ?」
『あなたは、ルーズベルトが人種差別的な理由から日本に戦争を仕掛けたと思っているのでしょう?』
「当たり前だ。ルーズベルト大統領は日本人を根絶やしにする為に戦争を始めた。誰でも知っているだろう」
『ええ。だって、それは表向きの理由ですから』
「……何だと?」
表向きの理由と言えば普通、日本が真珠湾攻撃を仕掛けてきたことを指す。もちろんそれはルーズベルトが計画したことだが。
『ルーズベルトにとって、人種というのはどうでもよかったんです。あの男が望んでいたのは、人間同士が殺し合うこと。自分の命令で何百万という人間が殺し合うことこそが、ルーズベルトの望みだったんですよ』
「な、何を言っているんだ、貴様?」
『ルーズベルトにとって、戦争を仕掛ける相手は誰でもよかった。あの時たまたま戦争を仕掛けやすい相手が日本だったに過ぎません。国内世論は色々あって日本を敵視していましたからね』
「それに根拠でもあるのか? 貴様の妄想じゃないのか?」
『ええ、あります。前世の私は人の頭の中を読み取る力を持っていましたから、ルーズベルトの頭の中を直接見たんです』
ルーズベルトの真意を、エンタープライズは知っていた。ルーズベルトにとって戦争は手段ではなく目的そのもの。殺し合いを起こすことそのものが目的だった。その狂気にエンタープライズも随分と影響されてしまった訳だが。
ハワイはその主砲をワシントンに向けた。ワシントンは海に面してはいないが、海岸からの距離は40km程度に過ぎない。ハワイの46cm砲であれば十分に届くだろう。
「死ね死ね死ね! CIAに迎合する連中も全員死ねばいい!」
ハワイの標的は、ダレス長官に迎合する人間全て。つまりワシントンD.C.の全市民が対象であった。ワシントンのあちらこちらに情け容赦なく砲弾が降り注ぐ。無差別虐殺であった。
『おい、何をやっているんだ!』
ソ連のゴルシコフ大将から通信が入る。フルシチョフ書記長はUSAへの支援を取りやめたが、ソ連艦隊はまだチェサピーク湾に残っていた。
「貴様はもう私とは関係ないだろう? とっととロシアに帰れ」
『流石に、これを無視することはできないな。人間として』
「だったらどうする? 貴様らの戦力で私を止められるとでも?」
『それは……できないが……』
ゴルシコフ大将の手持ちの戦力でハワイ級戦艦に対抗するのはほぼ不可能だ。
「だったら黙っていろ。お前達は白人だから、殺す気はない」
『民間人の大量虐殺など正気ではないぞ』
「有色人種に譲歩する白人など死んでしまった方がいい。もちろん有色人種は皆殺しだ」
『説得は、無意味なようだな……』
ゴルシコフ大将には結局何もできなかった。大将が手をこまねいている間にも、ハワイはワシントンへの砲撃を容赦なく続けた。トルーマンを殺したダレス長官は、身元を判別できないほど粉々になった。
「大方を殺し尽くしたか。次は、アメリカ連邦の裏切り者どもを殺しに行くとしよう。簡単なことじゃないか」
ワシントンを瓦礫の山にすると、ハワイはアメリカ連邦を攻撃するべく南に進み始めた。
○
『一大事だ、瑞鶴。ハワイがこっちに向かってきているらしい』
ケネディ中将から瑞鶴に、焦った様子の電話が掛かってきた。
「どういうことよ? 負けて敵に鹵獲されるくらいなら特攻するってこと?」
『恐らく死ぬ覚悟で突っ込んできていることに違いはないだろうが、彼女の目的は有色人種を皆殺しにすることらしい。ソ連のゴルシコフ大将から教えてもらった』
「ロシア人なんて信用できるの?」
『動機についてはこの際どうでもいい。ハワイがこちらに向かってきているのは紛れもない事実だ。これを食い止めないと、君達もマズいことになる。協力を頼みたいんだが、構わないかい?』
「まあいいけど。敵は戦艦一隻だけなのよね?」
『ああ、そうだ』
「なら、空から嬲り殺しにすればいいわ」
『ああ、頼んだ』
そういう訳で月虹は全力でハワイを叩くことに決めた。全艦海上要塞を出て艦載機を出そうというその時、エンタープライズがとある提案をしてきた。エンタープライズは今でも瑞鶴の指揮下に入っている。
『瑞鶴、いいことを思い付きました。私にハワイと話をさせてください』
「いいけど、何する気なの?」
『まあ、面白いことになりますから、暫く見ていてください』
「ロクでもないことになりそうなんだけど」
『ハワイを食い止めるという目的は、確実に果たせますよ』
「はぁ……」
エンタープライズが失敗したとしても特に実害はない。瑞鶴はエンタープライズに好きにやらせてみることにした。
○
『こんにちは、ハワイさん。エンタープライズです』
「エンタープライズ? ああ、貴様も裏切り者だったな。ルーズベルト大統領に直々に生み出された船魄なのにも拘わらず」
ハワイはエンタープライズに敵愾心を持っている。彼女が敬愛するルーズベルトを裏切ったようなものだからだ。
『ふふ。まさにそのルーズベルトについて、あなたにお教えしたいことがありまして』
「……何のことだ?」
『あなたは、ルーズベルトが人種差別的な理由から日本に戦争を仕掛けたと思っているのでしょう?』
「当たり前だ。ルーズベルト大統領は日本人を根絶やしにする為に戦争を始めた。誰でも知っているだろう」
『ええ。だって、それは表向きの理由ですから』
「……何だと?」
表向きの理由と言えば普通、日本が真珠湾攻撃を仕掛けてきたことを指す。もちろんそれはルーズベルトが計画したことだが。
『ルーズベルトにとって、人種というのはどうでもよかったんです。あの男が望んでいたのは、人間同士が殺し合うこと。自分の命令で何百万という人間が殺し合うことこそが、ルーズベルトの望みだったんですよ』
「な、何を言っているんだ、貴様?」
『ルーズベルトにとって、戦争を仕掛ける相手は誰でもよかった。あの時たまたま戦争を仕掛けやすい相手が日本だったに過ぎません。国内世論は色々あって日本を敵視していましたからね』
「それに根拠でもあるのか? 貴様の妄想じゃないのか?」
『ええ、あります。前世の私は人の頭の中を読み取る力を持っていましたから、ルーズベルトの頭の中を直接見たんです』
ルーズベルトの真意を、エンタープライズは知っていた。ルーズベルトにとって戦争は手段ではなく目的そのもの。殺し合いを起こすことそのものが目的だった。その狂気にエンタープライズも随分と影響されてしまった訳だが。
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