神は制服を着る 彼女は笑い、俺は嘆く 

織部

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「晴明が、まだ見つからぬだと!」

葛葉の声は雷鳴のように広間を震わせ、そこに控える眷属の狐たちを震え上がらせた。

「はい、日の本を隈なく探しております。もちろん、他の一族にも触れを回しております」

葛葉の片腕である八尾の狐――長い白髪を垂らした立派な老人が、額を低く垂れて答える。目の前には、中学生ほどの少女の姿をした葛葉が立っていた。

空気が揺れ、狐たちは畳に額を擦り付けながらも、彼女の一言一句を逃すまいと耳を澄ませる。

「私が現世に戻ったのは、あの子に会うためじゃ。あの子は言った。一千年後に必ず戻る、と」

「はい。その言葉は我らのみならず、晴明様の式神や十二天将も信じております」

葛葉は視線を遠くに投げる。
「ならば、意図して隠されておるのだ。我らに、そして私にすら、見つからぬように――」

信田森にある彼女の住まい。そこには、彼女に仕える高位の狐たちが余すところなく集められていた。

「よいか! 我らは神の使いではない。一族の誇りである、我が子・晴明を守れるのは我らだけじゃ。愛宕山と比叡山は?」

「太郎坊様、僧正坊様にはすでに使いを出しております。もう、その時期が来たのか、案ずるなと仰せでした」

「耄碌したクソ天狗どもめ!」

この世界では、強大な霊力を持つ者や異能を有する者は例外なく監視・管理される。
だが、安倍晴明の生まれ変わりは未だ見つからない。それは、誰かの手による国への――いや、この世への反逆の兆しであった。

葛葉もまた、この国の運営する学園に通い、神やもののけと時を同じくして生を受けている。
「これが……晴明が予見した世界なのだろう」

冷たい冬の風が森を吹き抜け、葉をざわめかせる。
新たな、混沌とした神代が、今、静かに始まりつつあった――。
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