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3章 白いアレを求めて三千里
32話 男は港には一期一会が一杯あると格好を付ける
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ジャ○おじさん、顔が腫れて力が出ないよ~
何かを間違っているような気がするが気にせず、悲しげに俺は幼い頃に見て憧れたヒーローの歌を歌いながら涙を流す。
確かに憧れたのは間違いないけど、あんな顔になりたいと願った事はないぞ……
賑わい始めた通りをロッカクの冒険者ギルドに向かう、顔がパンパンに腫れた男がいた。
まあ、俺なんですけどね? 回復魔法を使って治したいが隣にいる鬼と化している嫁、ターニャが許してくれないのよ……
数時間前にあったあの事件の後、スイを無事回収して帰り、俺とスイの服に付いた血を見てターニャにはだいぶ心配をかけた。
色々と説明を始めた段階では、聞けば聞く程、心配そうな顔を見せたターニャであったが血の盟約者という言葉が出た辺りで豹変した。
正直、ハーフヴァンパイアすら良く分かってなかったし、スイが助かるならと確かに考えなしでやった事ではあったが、悪い事はしてないと胸を張るとマウントを取られて叩かれた。
平手だったら良かったがグゥだったのターニャらしい。
これは、俺は勿論、スイも知らなかった事らしいが、一般的には血の盟約者としての儀式を行う前に性行為をして高まりがある状態にするらしい。
その後で、俺とスイがしたような行為が必要らしく、たまたま、それが事前に行われたような形になっていたから助かった。
スイもそれを聞かされた時に赤面してる様子から、母親にそこまで聞かされてなかったようだ。
俺がハーレムを公言してるから、女の子が増えるのは容認出来るようだが、幼いスイに手を出したのが許せないとの事。
スイが無事に済んだから良かったけど、万が一があったらどうするつもりだったの!? と怒られたのだ。
血の盟約者をする以外に救う手立てはなかったはずだし、あの状況から考えて危険があるとしたら俺だけだったように思うんだけどな。
首を傾げる俺の後ろで昨日の事情説明をマロン達にしているスイがいる。ちなみにマロン達はスイがハーフヴァンパイアである事は聞かされてたようだ。
だが、女の子であれば初潮が来た段階でどっちに転がるというのは常識だったらしく、2人は気にしてなかったらしい。
もっと言うとヴァンパイアは理性を失っても同性を襲わないという常識もあったそうだ。
俺はどっちも知らなかったけどな。でも、男のヴァンパイアには襲われないというのは助かる。どうせ、襲われるなら美女のヴァンパイアだろ?
「でも、本当に良かったです~。正規の手順でスイちゃんが初体験してたら大変な事になってたかもですから~」
「だよな、シーナ先輩のアレ、でか過ぎだから」
思わず噴き出す俺とターニャ。
おやおや、何やら不穏な情報が流れているぞ! 良くある女子トークとかで漏れまくってるとかじゃないよな!
横にいるターニャを見て指を差すと、同じように疑っている表情をしているターニャが指を差していた。
お互いが心当たりがないらしい事を察して首を傾げる。
ん? 待てよ……まさか。
ターニャに近づいて耳打ちする。
「なぁ、俺はあんまり注意して見てなかったけど、宿屋の娘であるお前なら隙間風とか隣の壁とか実家と比べて見てたんじゃない? どうだった?」
「まあ、ウチもその辺りは気にしてザッと見たけど、大差……」
何かを察したらしいターニャの顔に汗が浮かび始める。
「ところで実家で興味があるカップルが入った客室の隣が空き室だったら、ターニャならどうするよ?」
プルプルと震えるターニャの頭をポンポンと叩く。
俺達が泊った部屋は階段を昇った所で、マロン達の部屋は反対側の奥だ。まず間違いなく、ターニャが俺とする為に意図的に間を空けたのだろう。
あの3人は初めての遠出でテンションが上がっていた。
素直に眠っただろうか?
いや、寝てないはずだ! 修学旅行の時、先生に消灯と言われておとなしく寝たか? 寝なかったはずだ!
しかも、客が俺達だけだった。静かだっただろう。
乱れに乱れ、よがり狂ったターニャの声は聞こえなかったという可能性はどれくらいだろうか。
そして、空き部屋の部屋の鍵が閉まっていただろうか。少なくとも自分達の部屋に入ろうとした時は空いていた。
この考えにはターニャも至っているようだ。
どうしたらいいか分からなくなってるターニャの背後では呑気なマロンの声がする。
「アタシの知り合いに体を売ってるヤツがいてさ? 路地裏でやってるの何回か見た事あるけど、男のアレってこれぐらいだった」
そう言って小さい手の親指をスイとキャウに見せる。
えらく小さいな……そっか、サンセェのはデカイってビッチは言ってたっけ? それが一般サイズか。
「そんなに違いがあるのですか~。でも、ターニャお姉さんのあの蕩けるような顔になるのだから……ちょっと怖いから、私が冒険者になれた頃にお嫁にしてださいね~?」
と俺の腕に抱きついてくるキャウ。
それを見たマロンが俺の胴に抱きつく。
「アタシもアタシも! だって、ターニャ姉ちゃん、涎だらだら流しながら「イグイグ」って言ってオシッ……」
俺に抱きついていたマロンを真っ赤な顔をしたターニャが引き剥がして口を塞ぐ。
バタバタと暴れるマロンの瞳を覗き込むターニャが言う。
「何も見てない、何も聞いてないよね?」
一瞬、俺に助けを求めるようにマロンに見られてたが、俺は遠くに見える朝市を開く準備をしてる人達を見つめる。
マロンを見捨てたんじゃない。本当に朝市に興味があったに過ぎない。俺の嫁、ターニャはいつも愛らしい健康美少女だ!
俺は見てはいけないものから、目を逸らしてコメがあるといいな、と思う。
マロンは俺がアテにならない事を悟り、口が塞がれているからガクガクと頷いてターニャに許しを乞う。
それを確認したターニャがスイとキャウを見つめる。
「分かった?」
若干、顔を青ざめた2人も同じようにガクガクと頷いたが駄目押しをしようとしてるのか近づく。
まあ、さすがに恥ずかし過ぎての事だろうが、それ以上は不味いだろ。
そう思った俺はターニャに近づいて耳打ちする。
「なぁ、ターニャ」
「何よ、ウチは忙しいんだけど」
「すぐ済むから……話は変わるんだけど、スイの覚醒のトドメを刺したのって、ターニャは無関係かな?」
俺にそう言われたターニャは、ウッと唸り、バツ悪そうな顔をする。
あの日、求めてきたのはターニャであり、いくら部屋を遠ざけたといえ、3人が寝るのを確認するまで様子を見ても良かったはずだ。
3人のテンションが上がっていたのも分かっていたのに、部屋に入ったと同時に求めてきたのはターニャだったのだから。
それを覗いてた3人娘の内のスイが性的興奮から目覚めてしまったのだろうとターニャでなくても考える。
溜息を吐いて落ち着きを取り戻したらしいターニャが3人娘に言う。
「見た事は内緒にするように。そして、その他諸々の話は……プリットに戻ってシーナがいない時にね?」
「「「は――い」」」
どうやら纏まったようだ。
ただ、俺が関知しない出来事が裏で暗躍すると宣言されているが、どうしたらいいだろうか?
どんな取り決めとか生まれたりするんとちゃうの!
絶対、俺が無関係でいられないよね!!
誰か、相談にのってくれん?
もう俺の手から離れて、どうしようもないんだろうな、と諦めからの溜息を吐きながら、こっそりと腫れた頬に手を当てて回復魔法を行使した。
依頼の手紙を手渡す相手であるロッカク冒険者ギルドへと運んだ俺達は、朝市を練り歩いていた。
朝食もまだだった事もあり、屋台にあった海鮮の串焼きを適当に買って、食べながら並べられている商品を眺めていた。
女の子達は、遠い異国の地から運ばれた宝石や珍しい布などを広げたり、眺めたりと忙しそうだ。
例外はいるようで、マロンは屋台を制覇すると意気込んで両手に一杯色んなものを買い込んでいる。
俺もそれなりには食べ物を買っている。俺が買う時は自分の分も注文してどさくさに紛れて俺に金を払わせていた。
ちゃっかりしたヤツだ。
俺に見つめられたマロンは、てへへ、と笑って見せて誤魔化す。
これぐらい逞しい方が冒険者として上手くいくと思うし、おそらく、こういう強かさがマロンの強みになると俺はなんとなく思っていた。
そう思っている俺の前に来たマロンが掌を俺に向ける。
「お小遣い頂戴!」
逞しさが必要だ。次は打たれ強さを身に付けて貰おう。
俺はマロンの後頭部をスパンと叩いた。
それから、しばらく朝市を練り歩いたが俺の目的のコメは発見出来ない。
「あれ~、あの話はデマだったのかな? スピアさんも噂としか言ってなかったし……」
「そうかもね」
少し疲れた声で言ってくるターニャであるが仕方がない。
人混みが多い、朝市を二往復するのを付き合ってくれたのだから。
ターニャにとって捜してるものがどんなものかはピンときてないし、興味がないものだから精神的に疲れるのはしょうがない。
ちなみに3人娘は中央にある噴水のある場所で、買い過ぎで食べれなくなって倒れているマロンの面倒を見ている。
頭を掻いて困っていると目の前にいた果物を売っている露店のおばさんが話しかけてくる。
「さっきも見たけど、何を捜してるんだい?」
「えーと、白い小さな粒で最近、遠い異国から入ったと噂を聞いたんですが……」
一生懸命、どんなものかと説明するとおばさんは心当たりがあったらしく、顔を顰める。
「ああ、あれね。焼いても食えない。煮れば食べれない事もないけど、金払ってまで食べたくはないね。あんなのが欲しいのかい?」
「うん、興味があってね」
「でも、あれって食えないとみんながソッポ向いたんで、家畜のエサに回されたって聞いたけど?」
思い出すように言うおばさんの言葉に絶望する。
そんな~聞いてる限り、コメ以外に有り得ないのに……食えないって調理法を知ってたら……
「なぁ、お姉さん、誰か在庫を抱えている人知らないかな?」
「アンタ、口が上手いね。なんとかしてあげたいけど……あっ、そう言えば、家畜のエサにするのを嫌がった商人がいたね」
「本当ですか!」
その商人の店の場所を地図に書いてくれるとの事でおばさんには感謝しきれない。
聞くと家畜のエサとして引き取られるのが一袋、銅貨1枚なのが納得出来なかったらしい。
ちなみに売られた時の値段は銅貨50枚と教えて貰えた。
良い事を聞かせて貰った。
向こうは手放したいが見切りが出来ない損をしたくないタイプの商人らしいので、興味がある俺に値上げをしてくるかもしれない。
別に金に困ってる訳じゃないが、暴利を見逃したい訳じゃない。
俺はおばさんが売ってる柑橘系を紙袋一杯分、注文する。
「なかなか分かってるじゃない?」
「いえいえ、美味しそうだったからですよ」
それは、最高の褒め言葉だ、とニッコリするおばさんから商品と地図を受け取ると代金を払う。
よし、マロン達を拾って、地図に記された店に行こう。
そして、合流したマロン達は食い倒れていた。
さすがにマロンはだいぶ食べれてたが買い過ぎで、スイとキャウは年相応の女の子だったようで、マロンの負の遺産は沢山残ってしまったようだ。
やれやれ、仕方がないな。
先程、買った果物と一緒にポシェットに仕舞った。
3人娘を回収した俺とターニャは地図に示された店を目指している最中にあった酒場から女性が男に押し出されるようにして転がり出てきた。
倒された女性が男に土下座をして必死に声を出す。
「どうか、働かせてください!」
「だから、人は足りてるし、異国のヤツは雇わないって決めてるんだ」
「そこをなんとか……」
男の足に縋りつこうとする女性を振り払うように蹴り飛ばす。
おいおい、ちょっとやり過ぎだろ!
俺は駆け寄って、倒れた女性を抱き抱える。
「さすがにやり過ぎじゃないか?」
「ちっ、うるせえな。俺だって好きでやってる訳じゃねぇよ。人を雇う余裕もないのも本当だし、そいつ昨日もそうやってきて商売の邪魔するから頭にきてんだよ!」
ペッと唾を吐く酒場の店主。
確かに、そうなら苛立つ気持ちも分かるが……
「そんなに金が欲しいなら体を売ってきたらいいだろうが! アンタなら人気も出るだろうさ!」
「アンタね! 何を言ってるの!」
ターニャが激昂するが、腕を引いて止める。
俺とターニャに睨まれて、バツが悪くなったらしい店主が「二度と来るな」と言って店に戻る。
抱き抱えている女性を見ると汚れてはいるが、栗色のウェブがかかった長い髪で美しい女性だった。目元にホクロがあり、成熟した色気が漂い、抱き抱える俺の胸に存在を主張する大きな胸が当たる。
確かにこの人に声をかけられたら、一度は……
ポンと俺の肩に手を置くターニャ。
「何を考えてるの?」
「な、何でもないのことよ?」
こ、怖い! どうしてこういう時のターニャのカンは鋭いの! タマタマがキュンってなっちゃう!
振り返るといた3人娘達の視線も理解したくない。
どうして、おいらをゴミやムシを見るようなオメメで見るのかな?
色々と言いたい事はあるが、一言だけ言わせて欲しい。
ごめんなさい!
などと見えない攻防を繰り広げていると幼い子の声が聞こえてくる。
「ママ、ママ~」
声がする方向に目を向けると幼い4,5歳のこの女性と同じ髪色の子供、男の子と女の子がふらつきながらやってくる。
女性もそれに気付くと俺の腕から離れて、女性もふらつきながら駆け寄る。
「ムク、メグ、出てきたら駄目と言ったでしょ?」
2人を抱き締めるのを見て、人妻だったか……と額の汗を拭いなら近づいて行くとふとした事に気付く。
駆け寄り、男の子の顔の肌のかさつきと息の匂いを確認する。そして、もう片方の女の子の肌や息を調べて顔が強張る。
これってもしかして船乗りに良くあるって言われる……
「えっと、名前知らないや! 先程の店主が言ってましたが異国から来られたんですよね? 貴方達は船でどれくらいの期間、乗ってられましたか? 食事はしっかり取ってましたか?」
「えっ、3カ月程だったと思います。密航だったので食事はまともには、それは今もですが」
そして、名前はルイーダだと女性は名乗ってくれた。
よく3カ月も見つからずに乗り込めたものだと思うが、今はそんな事はどうでもいい。
2人の子供を見て、男の子はズボンだったので諦めて女の子のワンピースを捲り上げる。
それに覗き込んだ俺の後頭部をターニャが叩く。
「そこまで射程範囲なの!」
「そんな訳ないだろう! 今はそんな馬鹿な事を言ってる場合じゃない! これを見ろ!」
女の子の大腿部にある痣を指差す。
俺の気迫に押されたターニャだったが俺が指差す場所の痣を見て女性、ルイーダを見つめる。
「そ、それはこの港に着く直前に出始めた痣で私も何なのか……」
「おそらく間違いなさそうだ。このままにしとくと危ない。ターニャ、宿に戻るぞ。俺はこの子達を連れていくから先に戻ってお湯を沸かせておいてくれ」
「ん、分かった!」
駆け出すターニャを見送るとルイーダが抱える子供達を受け取ろうとすると僅かに抵抗される。
「悪いようにはしない。この子達は病気に罹ってる。俺に任せろ」
「ほ、本当にですか?」
そう言ってくるルイーダに頷いてやると抵抗を止めて俺に受け取らせる。
2人の子供を抱え上げて立ち上がるとマロン達に目を向ける。
「俺は先に戻るけど、3人はルイーダさんを連れて戻って来てくれ。ルイーダさんも健康と言えなさそうだから無理させるなよ」
「うん、分かったっ!」
マロンが元気に返事をしてスイとキャウが頷くのを確認すると俺は子供達に走る振動がいかないように気を付けて走り出す。
ふぅふぅと辛そうな息を吐く子供達を見て俺は眉を顰める。
俺の素人判断だが……この子達の症状はおそらく壊血病だ。成人でも危ないが、こんな小さい子だとかなりマズイ。
一生懸命、壊血病の事を思い出しながら宿へと向かった。
何かを間違っているような気がするが気にせず、悲しげに俺は幼い頃に見て憧れたヒーローの歌を歌いながら涙を流す。
確かに憧れたのは間違いないけど、あんな顔になりたいと願った事はないぞ……
賑わい始めた通りをロッカクの冒険者ギルドに向かう、顔がパンパンに腫れた男がいた。
まあ、俺なんですけどね? 回復魔法を使って治したいが隣にいる鬼と化している嫁、ターニャが許してくれないのよ……
数時間前にあったあの事件の後、スイを無事回収して帰り、俺とスイの服に付いた血を見てターニャにはだいぶ心配をかけた。
色々と説明を始めた段階では、聞けば聞く程、心配そうな顔を見せたターニャであったが血の盟約者という言葉が出た辺りで豹変した。
正直、ハーフヴァンパイアすら良く分かってなかったし、スイが助かるならと確かに考えなしでやった事ではあったが、悪い事はしてないと胸を張るとマウントを取られて叩かれた。
平手だったら良かったがグゥだったのターニャらしい。
これは、俺は勿論、スイも知らなかった事らしいが、一般的には血の盟約者としての儀式を行う前に性行為をして高まりがある状態にするらしい。
その後で、俺とスイがしたような行為が必要らしく、たまたま、それが事前に行われたような形になっていたから助かった。
スイもそれを聞かされた時に赤面してる様子から、母親にそこまで聞かされてなかったようだ。
俺がハーレムを公言してるから、女の子が増えるのは容認出来るようだが、幼いスイに手を出したのが許せないとの事。
スイが無事に済んだから良かったけど、万が一があったらどうするつもりだったの!? と怒られたのだ。
血の盟約者をする以外に救う手立てはなかったはずだし、あの状況から考えて危険があるとしたら俺だけだったように思うんだけどな。
首を傾げる俺の後ろで昨日の事情説明をマロン達にしているスイがいる。ちなみにマロン達はスイがハーフヴァンパイアである事は聞かされてたようだ。
だが、女の子であれば初潮が来た段階でどっちに転がるというのは常識だったらしく、2人は気にしてなかったらしい。
もっと言うとヴァンパイアは理性を失っても同性を襲わないという常識もあったそうだ。
俺はどっちも知らなかったけどな。でも、男のヴァンパイアには襲われないというのは助かる。どうせ、襲われるなら美女のヴァンパイアだろ?
「でも、本当に良かったです~。正規の手順でスイちゃんが初体験してたら大変な事になってたかもですから~」
「だよな、シーナ先輩のアレ、でか過ぎだから」
思わず噴き出す俺とターニャ。
おやおや、何やら不穏な情報が流れているぞ! 良くある女子トークとかで漏れまくってるとかじゃないよな!
横にいるターニャを見て指を差すと、同じように疑っている表情をしているターニャが指を差していた。
お互いが心当たりがないらしい事を察して首を傾げる。
ん? 待てよ……まさか。
ターニャに近づいて耳打ちする。
「なぁ、俺はあんまり注意して見てなかったけど、宿屋の娘であるお前なら隙間風とか隣の壁とか実家と比べて見てたんじゃない? どうだった?」
「まあ、ウチもその辺りは気にしてザッと見たけど、大差……」
何かを察したらしいターニャの顔に汗が浮かび始める。
「ところで実家で興味があるカップルが入った客室の隣が空き室だったら、ターニャならどうするよ?」
プルプルと震えるターニャの頭をポンポンと叩く。
俺達が泊った部屋は階段を昇った所で、マロン達の部屋は反対側の奥だ。まず間違いなく、ターニャが俺とする為に意図的に間を空けたのだろう。
あの3人は初めての遠出でテンションが上がっていた。
素直に眠っただろうか?
いや、寝てないはずだ! 修学旅行の時、先生に消灯と言われておとなしく寝たか? 寝なかったはずだ!
しかも、客が俺達だけだった。静かだっただろう。
乱れに乱れ、よがり狂ったターニャの声は聞こえなかったという可能性はどれくらいだろうか。
そして、空き部屋の部屋の鍵が閉まっていただろうか。少なくとも自分達の部屋に入ろうとした時は空いていた。
この考えにはターニャも至っているようだ。
どうしたらいいか分からなくなってるターニャの背後では呑気なマロンの声がする。
「アタシの知り合いに体を売ってるヤツがいてさ? 路地裏でやってるの何回か見た事あるけど、男のアレってこれぐらいだった」
そう言って小さい手の親指をスイとキャウに見せる。
えらく小さいな……そっか、サンセェのはデカイってビッチは言ってたっけ? それが一般サイズか。
「そんなに違いがあるのですか~。でも、ターニャお姉さんのあの蕩けるような顔になるのだから……ちょっと怖いから、私が冒険者になれた頃にお嫁にしてださいね~?」
と俺の腕に抱きついてくるキャウ。
それを見たマロンが俺の胴に抱きつく。
「アタシもアタシも! だって、ターニャ姉ちゃん、涎だらだら流しながら「イグイグ」って言ってオシッ……」
俺に抱きついていたマロンを真っ赤な顔をしたターニャが引き剥がして口を塞ぐ。
バタバタと暴れるマロンの瞳を覗き込むターニャが言う。
「何も見てない、何も聞いてないよね?」
一瞬、俺に助けを求めるようにマロンに見られてたが、俺は遠くに見える朝市を開く準備をしてる人達を見つめる。
マロンを見捨てたんじゃない。本当に朝市に興味があったに過ぎない。俺の嫁、ターニャはいつも愛らしい健康美少女だ!
俺は見てはいけないものから、目を逸らしてコメがあるといいな、と思う。
マロンは俺がアテにならない事を悟り、口が塞がれているからガクガクと頷いてターニャに許しを乞う。
それを確認したターニャがスイとキャウを見つめる。
「分かった?」
若干、顔を青ざめた2人も同じようにガクガクと頷いたが駄目押しをしようとしてるのか近づく。
まあ、さすがに恥ずかし過ぎての事だろうが、それ以上は不味いだろ。
そう思った俺はターニャに近づいて耳打ちする。
「なぁ、ターニャ」
「何よ、ウチは忙しいんだけど」
「すぐ済むから……話は変わるんだけど、スイの覚醒のトドメを刺したのって、ターニャは無関係かな?」
俺にそう言われたターニャは、ウッと唸り、バツ悪そうな顔をする。
あの日、求めてきたのはターニャであり、いくら部屋を遠ざけたといえ、3人が寝るのを確認するまで様子を見ても良かったはずだ。
3人のテンションが上がっていたのも分かっていたのに、部屋に入ったと同時に求めてきたのはターニャだったのだから。
それを覗いてた3人娘の内のスイが性的興奮から目覚めてしまったのだろうとターニャでなくても考える。
溜息を吐いて落ち着きを取り戻したらしいターニャが3人娘に言う。
「見た事は内緒にするように。そして、その他諸々の話は……プリットに戻ってシーナがいない時にね?」
「「「は――い」」」
どうやら纏まったようだ。
ただ、俺が関知しない出来事が裏で暗躍すると宣言されているが、どうしたらいいだろうか?
どんな取り決めとか生まれたりするんとちゃうの!
絶対、俺が無関係でいられないよね!!
誰か、相談にのってくれん?
もう俺の手から離れて、どうしようもないんだろうな、と諦めからの溜息を吐きながら、こっそりと腫れた頬に手を当てて回復魔法を行使した。
依頼の手紙を手渡す相手であるロッカク冒険者ギルドへと運んだ俺達は、朝市を練り歩いていた。
朝食もまだだった事もあり、屋台にあった海鮮の串焼きを適当に買って、食べながら並べられている商品を眺めていた。
女の子達は、遠い異国の地から運ばれた宝石や珍しい布などを広げたり、眺めたりと忙しそうだ。
例外はいるようで、マロンは屋台を制覇すると意気込んで両手に一杯色んなものを買い込んでいる。
俺もそれなりには食べ物を買っている。俺が買う時は自分の分も注文してどさくさに紛れて俺に金を払わせていた。
ちゃっかりしたヤツだ。
俺に見つめられたマロンは、てへへ、と笑って見せて誤魔化す。
これぐらい逞しい方が冒険者として上手くいくと思うし、おそらく、こういう強かさがマロンの強みになると俺はなんとなく思っていた。
そう思っている俺の前に来たマロンが掌を俺に向ける。
「お小遣い頂戴!」
逞しさが必要だ。次は打たれ強さを身に付けて貰おう。
俺はマロンの後頭部をスパンと叩いた。
それから、しばらく朝市を練り歩いたが俺の目的のコメは発見出来ない。
「あれ~、あの話はデマだったのかな? スピアさんも噂としか言ってなかったし……」
「そうかもね」
少し疲れた声で言ってくるターニャであるが仕方がない。
人混みが多い、朝市を二往復するのを付き合ってくれたのだから。
ターニャにとって捜してるものがどんなものかはピンときてないし、興味がないものだから精神的に疲れるのはしょうがない。
ちなみに3人娘は中央にある噴水のある場所で、買い過ぎで食べれなくなって倒れているマロンの面倒を見ている。
頭を掻いて困っていると目の前にいた果物を売っている露店のおばさんが話しかけてくる。
「さっきも見たけど、何を捜してるんだい?」
「えーと、白い小さな粒で最近、遠い異国から入ったと噂を聞いたんですが……」
一生懸命、どんなものかと説明するとおばさんは心当たりがあったらしく、顔を顰める。
「ああ、あれね。焼いても食えない。煮れば食べれない事もないけど、金払ってまで食べたくはないね。あんなのが欲しいのかい?」
「うん、興味があってね」
「でも、あれって食えないとみんながソッポ向いたんで、家畜のエサに回されたって聞いたけど?」
思い出すように言うおばさんの言葉に絶望する。
そんな~聞いてる限り、コメ以外に有り得ないのに……食えないって調理法を知ってたら……
「なぁ、お姉さん、誰か在庫を抱えている人知らないかな?」
「アンタ、口が上手いね。なんとかしてあげたいけど……あっ、そう言えば、家畜のエサにするのを嫌がった商人がいたね」
「本当ですか!」
その商人の店の場所を地図に書いてくれるとの事でおばさんには感謝しきれない。
聞くと家畜のエサとして引き取られるのが一袋、銅貨1枚なのが納得出来なかったらしい。
ちなみに売られた時の値段は銅貨50枚と教えて貰えた。
良い事を聞かせて貰った。
向こうは手放したいが見切りが出来ない損をしたくないタイプの商人らしいので、興味がある俺に値上げをしてくるかもしれない。
別に金に困ってる訳じゃないが、暴利を見逃したい訳じゃない。
俺はおばさんが売ってる柑橘系を紙袋一杯分、注文する。
「なかなか分かってるじゃない?」
「いえいえ、美味しそうだったからですよ」
それは、最高の褒め言葉だ、とニッコリするおばさんから商品と地図を受け取ると代金を払う。
よし、マロン達を拾って、地図に記された店に行こう。
そして、合流したマロン達は食い倒れていた。
さすがにマロンはだいぶ食べれてたが買い過ぎで、スイとキャウは年相応の女の子だったようで、マロンの負の遺産は沢山残ってしまったようだ。
やれやれ、仕方がないな。
先程、買った果物と一緒にポシェットに仕舞った。
3人娘を回収した俺とターニャは地図に示された店を目指している最中にあった酒場から女性が男に押し出されるようにして転がり出てきた。
倒された女性が男に土下座をして必死に声を出す。
「どうか、働かせてください!」
「だから、人は足りてるし、異国のヤツは雇わないって決めてるんだ」
「そこをなんとか……」
男の足に縋りつこうとする女性を振り払うように蹴り飛ばす。
おいおい、ちょっとやり過ぎだろ!
俺は駆け寄って、倒れた女性を抱き抱える。
「さすがにやり過ぎじゃないか?」
「ちっ、うるせえな。俺だって好きでやってる訳じゃねぇよ。人を雇う余裕もないのも本当だし、そいつ昨日もそうやってきて商売の邪魔するから頭にきてんだよ!」
ペッと唾を吐く酒場の店主。
確かに、そうなら苛立つ気持ちも分かるが……
「そんなに金が欲しいなら体を売ってきたらいいだろうが! アンタなら人気も出るだろうさ!」
「アンタね! 何を言ってるの!」
ターニャが激昂するが、腕を引いて止める。
俺とターニャに睨まれて、バツが悪くなったらしい店主が「二度と来るな」と言って店に戻る。
抱き抱えている女性を見ると汚れてはいるが、栗色のウェブがかかった長い髪で美しい女性だった。目元にホクロがあり、成熟した色気が漂い、抱き抱える俺の胸に存在を主張する大きな胸が当たる。
確かにこの人に声をかけられたら、一度は……
ポンと俺の肩に手を置くターニャ。
「何を考えてるの?」
「な、何でもないのことよ?」
こ、怖い! どうしてこういう時のターニャのカンは鋭いの! タマタマがキュンってなっちゃう!
振り返るといた3人娘達の視線も理解したくない。
どうして、おいらをゴミやムシを見るようなオメメで見るのかな?
色々と言いたい事はあるが、一言だけ言わせて欲しい。
ごめんなさい!
などと見えない攻防を繰り広げていると幼い子の声が聞こえてくる。
「ママ、ママ~」
声がする方向に目を向けると幼い4,5歳のこの女性と同じ髪色の子供、男の子と女の子がふらつきながらやってくる。
女性もそれに気付くと俺の腕から離れて、女性もふらつきながら駆け寄る。
「ムク、メグ、出てきたら駄目と言ったでしょ?」
2人を抱き締めるのを見て、人妻だったか……と額の汗を拭いなら近づいて行くとふとした事に気付く。
駆け寄り、男の子の顔の肌のかさつきと息の匂いを確認する。そして、もう片方の女の子の肌や息を調べて顔が強張る。
これってもしかして船乗りに良くあるって言われる……
「えっと、名前知らないや! 先程の店主が言ってましたが異国から来られたんですよね? 貴方達は船でどれくらいの期間、乗ってられましたか? 食事はしっかり取ってましたか?」
「えっ、3カ月程だったと思います。密航だったので食事はまともには、それは今もですが」
そして、名前はルイーダだと女性は名乗ってくれた。
よく3カ月も見つからずに乗り込めたものだと思うが、今はそんな事はどうでもいい。
2人の子供を見て、男の子はズボンだったので諦めて女の子のワンピースを捲り上げる。
それに覗き込んだ俺の後頭部をターニャが叩く。
「そこまで射程範囲なの!」
「そんな訳ないだろう! 今はそんな馬鹿な事を言ってる場合じゃない! これを見ろ!」
女の子の大腿部にある痣を指差す。
俺の気迫に押されたターニャだったが俺が指差す場所の痣を見て女性、ルイーダを見つめる。
「そ、それはこの港に着く直前に出始めた痣で私も何なのか……」
「おそらく間違いなさそうだ。このままにしとくと危ない。ターニャ、宿に戻るぞ。俺はこの子達を連れていくから先に戻ってお湯を沸かせておいてくれ」
「ん、分かった!」
駆け出すターニャを見送るとルイーダが抱える子供達を受け取ろうとすると僅かに抵抗される。
「悪いようにはしない。この子達は病気に罹ってる。俺に任せろ」
「ほ、本当にですか?」
そう言ってくるルイーダに頷いてやると抵抗を止めて俺に受け取らせる。
2人の子供を抱え上げて立ち上がるとマロン達に目を向ける。
「俺は先に戻るけど、3人はルイーダさんを連れて戻って来てくれ。ルイーダさんも健康と言えなさそうだから無理させるなよ」
「うん、分かったっ!」
マロンが元気に返事をしてスイとキャウが頷くのを確認すると俺は子供達に走る振動がいかないように気を付けて走り出す。
ふぅふぅと辛そうな息を吐く子供達を見て俺は眉を顰める。
俺の素人判断だが……この子達の症状はおそらく壊血病だ。成人でも危ないが、こんな小さい子だとかなりマズイ。
一生懸命、壊血病の事を思い出しながら宿へと向かった。
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