ステータス表記を変えて貰ったら初期設定に戻ってたー女神公認のハーレム漫遊記ー

ささやん

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3章 白いアレを求めて三千里

33話 それいけ、ダ○シュ村と男は心で思う

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 宿へと向かって走る俺は、壊血病の事を必死に思い出していた。

 えーと、確か、船乗りゲームで壊血病の事を見て、調べた時の知識だとビタミンCが足らなくなるとなる病気だったか?
 それを10日間ぐらい時間をかけて与えて安静にしてたらいいんだっけ?

 となると、さっき買った柑橘系の果物をジュースにすれば摂取しやすいな。

 漸く、宿に着くと俺達の部屋に駆け込む。

 2人をベッドに寝かせるとターニャが部屋に入ってくる。

「今、沸かし始めたからもうちょっと時間がかかるよ」
「有難う。それを待っている間にこれをジュースにしておいてくれるか?」

 ポシェットから露店で買った柑橘系の果物をターニャに手渡す。

「ジュースにしてどうするの? お腹に溜まらないけど」
「子供達に飲ませるんだ。罹ってる病気に必要な栄養だから」
「ウチ達だったらそれでいいけど、子供には酸味が強過ぎて飲めないんじゃない? 水で薄めたら多少マシだと思うけど」

 さすがターニャ、宿屋で食堂で飯を出してるモノの経験値が違う。

 確かに、子供に柑橘系の酸っぱい飲みモノを飲ませようとしたら、もどしそうになるかもしれない。
 しかも、あの様子では食事もまともに取れてなく、胃が弱ってそうだから無理そうだ。

「さすがターニャだ。もうひとっ走りして甘味の強い果物を買ってくる。それとルイーダさんを連れて3人が帰ったら、白湯を飲ませた後、これを食べさせておいて」

 更にポシェットからマロンの負の遺産、屋台で買い過ぎたものをテーブルに置く。

 まあ、消化に悪いモノもあるだろうけど、ターニャならマシなのを選んでくれるだろう。

「分かった、後はウチに任せておいて」
「ああ、頼んだ!」

 そう言って宿から再び、飛びだして、途中でマロン達とも会ったが手を上げただけで走り抜ける。

 先程、買ったおばちゃんの露店に駆け込む。

「おやおや、どうしたんだい、コメを買いに行ったんじゃないのかい?」
「それは後回し! それより、ジュースに出来そうな甘みが強い果物はあるかい?」
「それだったら、これとこれかね?」

 そう言った果物をナイフで切ってくれて試食させてくれる。

 うん、最初のは桃みたいなのだな……2つ目のはバナナぽい。

「うん、これでいい。包んでくれる?」
「あいよ、毎度あり」

 果物を包んで貰い、代金を払うとおばちゃんに手を振って、宿へと走り出した。

 しかし、桃はまだいいけど、バナナはジュース状にするのは難しいな……

 分かってるよな? ちゃんと伝わってるよな!

 かむひあ~ スキル製造機ぃぃ!!

 ピコン

 風魔法

 分かってるやん! それと魔力制御のある俺なら出来るはずだ!

 しかし、スキル製造機って女が絡むとえらく俺に協力的な気がする……お前、実は♂だろ?

『……』

 いつもお得意のダンマリを決めるスキル製造機。

 ちっ、都合が悪くなると相変わらず黙りやがる、ってコイツを相手にしてる場合じゃなかった。

「ガキンチョが危ないんだった、急ごう!」

 朝市で賑わう人混みを縫うように俺は走り抜けた。


 宿に戻ると入口のところでルイーダさんが土下座で出迎えられたりして大変だった。

 3人娘に部屋に引きずって連れて行かせて、マロンには体を拭くのを手伝わせて、スイとキャウにお金を預けて、あの親子の服を適当に見繕わせる為に古着屋へと買いに行かせた。

 体を拭いても、またあの服を着せたら意味ないからな……体が弱ってる時は衛生状態が大事だしな。

 調理場に行くとターニャがビールジョッキ―、一杯分の果汁を用意して待っていてくれた。

「これでいい?」
「充分だ。俺も続きのをサクッとしちまうな」

 俺もターニャを習ってビールジョッキ―に桃とバナナをナイフで切り落とし、ターニャが作ってくれた果汁を1/4ほど入れて蓋をする。

 ようし、やってやる。

 俺は魔力制御で繊細なイメージでジョッキー内で小さな竜巻を発生させる。

 ふっふふ、普通ならジョッキーを粉砕したり、内部を切り刻んだりするが魔力制御Lv10が仕事をしてくれる!

 それをもうワンセット作り終える。

 ガキンチョ達に飲ませるぞ、と俺は部屋に駆け込むと丁度、ルイーダさんが上着を着終えた所であった。

 惜しいとか思ってませんよ? せめて、15秒早ければとか思ってないから……

 微妙にダメージを受けている俺とターニャで手分けしてガキンチョ達にジュースを飲ませていく。

 俺が男の子を担当して、上半身を起こして飲ませようとするが、なかなか上手くいかない。

 すると、ルイーダさんが近寄って来て、

「私がやります。慣れてますので」
「あっ、お願いします」

 代わるとさすが母親というべきか、上手に飲ませていく。飲んで美味しさを理解した男の子ががっつくが、それをいなして少しずつ飲ませていくのは匠の技であった。

 息子にジュースを与えるルイーダさんの様子を見る限り、子供達とは違って大丈夫そうだ。

 大人だった分、体力的に耐えれたんだろうな……ルイーダさん、20代前半ぽいしな。

 ここで茫然と経過を見ていても仕方がないので、俺は後片付けをする為に下に降りて行った。

 まあ、すぐに良くなったりはしないだろうけど……あっ、回復魔法と並行してすれば治りが早いかな? 体の負担を考えてプチヒールぐらいで様子を見るか。

 下に行くと宿の店主が居り、俺が「急に調理場を借りて悪かった」と銅貨10枚を握らせると後片付けはしといてくれると言ってくれた。

 お言葉に甘えて、残った果汁の入ったジョッキーを持って部屋に戻ろうとしたところで宿の店主に声をかけられる。

「アンタ、あの親子の面倒を見てやる気かい?」
「出来る限りのつもりだけど……職を見つけてあげられたらと思ってる」
「それは難しいだろうな、ここは港町だ。異国な奴等を雇って痛い目に合ってるヤツは腐るほどいる。ここで住む奴等は雇わないと思うぜ?」

 どうやら酒場の店主だけのパターンではないようだ。

 店主に「健闘祈るぜ」と背中を叩かれて俺は部屋へと戻って行った。

 戻ってから、余ったジュースを飲んで騒ぐマロンをチョップしたり、マロンに煽動されたスイとキャウがバナナを買いに飛びだしたりなどがあった。

 嵐の如くの出来事を見送って俺は柑橘系の果物だけのジュースをベッドに腰かけるルイーダさんに手渡し、対面の女の子が寝るベッドの端に俺とターニャが腰をかける。

「子供達のと違って酸っぱいでしょうが、ルイーダさんも飲んでおいてください」
「はい、有難うございます」

 酸っぱそうにするが、ちびちびと飲んでいるルイーダさんに話しかける。

「飲みながらでいいので、話を聞かせて頂きたいのですが、先程、ルイーダさんが言ってましたがどうして密航などを?」
「はい、実は……」

 話を聞くと散々な話であった。

 ルイーダさんの国で内乱が起き、そして、トドメと言わんばかりに疫病が蔓延したらしい。

 このままいったら、食糧難で死ぬか、疫病になって死ぬかの2択だったので思い切って密航という手段を取ったらしい。

「それで、旦那さんは?」
「主人は内乱で……」

 あうち!

 気が付かなかったという意味でもだが、ルイーダさんから見えないようにターニャに足を踏まれた。

 今のは完全に俺が悪かった。でも悲鳴を上げなかった俺を自分自身で褒めたい。

 状況を考えれば、聞かなくても分かりそうなものだったしな。

 ゴホンと咳払いをして、俺は話を再開する。

「先程、ちょっと小耳に挟んだんですが、あの酒場に限らず、ロッカク、この港街では異国の人を雇う事を嫌う風習があるようですね」
「はい、どこでも雇ってくれなくて……」

 どうしようもなかった、と涙を滲ませて言う様子から限界寸前だったようだ。

 隣に座るターニャが俺の太股に手を置いて見つめてくる。

 分かってるさ、見捨てたりしないから!

「今日、俺達は隣町、俺達のホームであるプリットに戻ろうと思ってるんですが、ご一緒にどうですか? 向こうであればご紹介出来る仕事もあると思うんですが?」
「本当に良いんですか? 私、何でも頑張ります!」

 本当に嬉しかったのか身を乗り出すルイーダに苦笑する俺達。

 落ち着いてと告げるターニャが質問する。

「何でもはいいですけど、出来れば得意分野でされたらどうですか? ねっ、シーナ」
「そうですね、お国では何をされてましたか?」
「そ、そうですね、私は農家で畑や田んぼをしてました」

 今度は逆に俺が身を乗り出す。

「田んぼですか? 出来るんですか?」
「えっ、は、はい。田んぼが出来る土地と条件さえ揃えれば」

 確か、家を建てる為に土地の値段を調べてた時の記憶では、田んぼを作る為の広さを買うととてもじゃないが割に合わない。そのうえ、水路など水を引くのが無理があった。

 しかしだ、これが城門の外であれば二束三文で土地は買えるし、しかも城門の周りには川が流れていて、プリットを覆うようにお堀が出来ているぐらいに水を引くのも容易だ。

 後は、城門の外であるので安全面だが……

 ピコン

 結界術

 やっぱり、お前ならやると思ったぜ! 相手は色っぽい未亡人の美人さんだからな!

 俺の中でスキル製造機は♂でムッツリと確信した!

 不敵に笑う俺はサムズアップしてルイーダさんにキラリと歯を輝かして言う。

「その条件、俺が揃えてみせます。俺の為にコメを作ってください! 他にも出来れば作っていきましょう。収穫までは俺が雇う形で給金も払いますから!」
「いいんですか……そんな厚遇して頂いて……」
「いえいえ、むしろ、俺にとっても渡りに船という感じで、コメの安定供給になりますんで!」

 申し訳なさそうに、お世話になります、と言ってくるルイーダさんを見て、俺は膝を叩くと立ち上がる。

「じゃ、早速、コメを買いに行きましょう! 食べたいというのもあるけど、種としてもいるから!」
「あっ、売られたコメは手渡す時に精米されたので……種としては……」

 駆け出そうとした俺はつんのめってこける。

 な、なんだと、俺の幸せ白いご飯計画がぁぁぁ!!

 頭を抱えて仰け反る俺にルイーダさんが言う。

「あの~、種籾なら私が少々、持っていますが」
「愛してる、ルイーダさん!」

 地獄から天国に引っ張り上げられた俺はルイーダさんに抱きつくと顔を真っ赤にして「私は主人に……」と言われて、ターニャに拳骨で止められる。

「シーナ、反省!」
「ごめんなさい、あんまりに嬉しかったんで」

 ルイーダさんに土下座して謝ったら、涙目にはなっていたが何とか許して貰えた。

 危ない、勢いだけで生きるのは不味いな……ちょっと自制しよう。

 出来るか分からない自制を胸に改めて立ち上がり、出かけようとする。

「収穫まで時間かかるから、コメを売って貰いに行こう」
「あの……重ねて申し上げにくいのですが、精米されてから2週間は経ってますし、この湿気の多い港町で管理状態が悪ければ……腐ってるかも?」

 その言葉を聞いた瞬間、俺はルイーダさんをお姫様抱っこする。

 キャッと可愛らしい声を上げるルイーダさんを相手にせずにターニャに言う。

「急いで行ってルイーダさんに確認して貰う!」
「シーナっ! まったく反省してない!」

 宿を飛びだした俺をターニャが追いかけてくるが俺は止まれない。

 だって、俺がコメを食えるかの死活問題だから!

 怒っているターニャに追いかけられながらも俺は露店のおばちゃんに教えて貰った店へと駆けて行った。



 店に行ったら確かに在庫はあった。(ちなみに、到着してルイーダさんを下ろしたところでターニャに殴られた)

 しかし、ルイーダさんの危惧通り、管理状態が悪くて酷い有様であったが、ルイーダさんの目利きでは2袋だけ無事だったようで、泣き崩れる店主が可哀想だったので値引き交渉をせずに1袋、定価の銅貨50枚で買い取った。

 買ったはいいが、ルイーダさん曰く、その2袋も長くはもたないらしい。

 まあ、ポシェットに仕舞って必要量だけ取り出せば問題ないだろう。腐らないしな。

 色々とバタバタとしたが、俺達は馬車を用意して子供達が寝られるように微改造してロッカクの街を後にする。

 プリットに戻ったら土地の買い取りなど忙しくなるな、と思いつつ、馬車を走らせた。


 ロッカクでの収拾してポシェットに仕舞われてるもの


○コメ 2袋

○パメラへお土産 (桃の蜂蜜漬け)

○バナナ  いっぱい
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