ステータス表記を変えて貰ったら初期設定に戻ってたー女神公認のハーレム漫遊記ー

ささやん

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4章 求められる英雄、欲しない英雄

43話 奴は不死身なのか? きっとそれは違いますと男は答える

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 申し訳ありませんが、近況ボードの閲覧をお願いします。まったく良い話ではありませんが最悪、更新どころではない話になる事なのでよろしくお願いします。



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 農場で朝食を終えた俺は、マロン達5人を集めて指示を出していた。

 今朝の訓練を見て、そろそろ次のステップもいいかな、と思い始めたからだ。

 エルとレティアが加入した事で、戦力の厚みも増したからである。

「という訳で、お前達だけで街の外の依頼を受けるのを限定で認めようかと思う」
「やったー!」
「当然の結果です」

 拳を突き上げて喜びを露わにするマロンと澄ました顔で前髪を弄るレティアが真っ先に反応を示す。

 2人の反応を見て、俺は溜息を零す。

 そんな2人の額をポンとチョップすると叩かれた額を抑えてブーたれられる。

「いいか? 俺の一番の不安材料はお前達2人だからな? すぐに調子に乗りそうだからな!」

 ええ――! と不貞腐れる2人から視線を外して残る3人のスイとキャウとエルを見つめて頷く。

「お前達がこのパーティの良心だ。信じてるぞ!」
「はい、お任せください、先輩」
「頑張りますぅ~」
「先輩、ボク、期待に応えるからね!」

 スイとキャウの肩を掴んで「頼んだぞ!」と縋るような目で見つめ、エルは頭をワシャワシャと撫でる。

 本当にこの3人がいなかったら、あの2人は俺の手元に居る限り、外の依頼は一切受けさせないな!

 その評価はおかしい、とブーブーと騒ぐ2人だったが「今日の依頼はなしの方がいいか?」と問うとウソみたいにおとなしくなった。

 現金な奴だ。

「今回やって貰おうと思うのは『薬草採取』だ」

 このパーティの良心の3人はウンウンと頷いているが、問題児の2人はショボイと騒ぐ。

 その問題児を無視して話を続ける。

「冒険者見習いの『薬草採取』は一定数しか受け取ってくれないが、今回は気にせずに採れるだけ採って来ていい。余剰分は俺が買い取るからな。後、制限時間はお昼ご飯までだ」
「ええっ! 短いよ!」

 予想通りに真っ先にマロンが不満を口にするが、当然、理由があるので受け入れる気はない。

「辺りを警戒しながら採取というのが思いの外、疲れるもんだ。短い時間で集中してやる事で魔物の接近、不意打ちを防ぐ事に繋がる。反論は聞かないぞ」

 不満そうにする2人を余所に考え事をする3人だったが、スイが質問してくる。

「先輩達が居られないという事は魔物に遭遇した場合はどうしたら?」
「それは、相手がゴブリンなら1匹で、周りに他にいないと確認が出来た時のみ、交戦を認める。確認出来ない場合や2匹いた場合は逃げろ、これは命令だ」

 スイとキャウとエルは素直に「分かりました」と頷いているが相変わらずの2人は不満顔だ。

 だが、すぐに何かに気付いた様子のマロンがレティアに耳打ちすると顔を見合わせて悪い顔をしているのに気付いた俺は溜息を零す。

 近くに寄って、2人の可愛らしい鼻を軽く抓んで上に引っ張ると痛がる2人の顔を俺の顔を近づける。

「何を思い付いたかなんて聞く気もないが、これだけは覚えておけ? 1つでも守れなかったら、お前達が冒険者見習いである限り、俺が絶対に外の依頼は受けさせない。例え、俺達が同行出来たとしてもな!」

 いやだぁ――! と叫ぶ2人の高い声にやられた俺は耳を抑えてるとスイとキャウがマロンの頭をコツンと叩き、エルも軽く叩いたつもりだろうが、身長差と小柄なレティアには強過ぎたようで半泣きにさせた。

 3人が2人を諭しにかかる。

「レティアちゃん、他の冒険者見習いが外の依頼を同行して貰ったという話を聞いた事なかったでしょ? 1回だけでもモヒンさんが同行で連れて行って貰えたというだけで羨ましがられたのを忘れた?」
「わ、忘れてないけど……」
「なら、感謝こそすれど文句は言わない。ボクは別に街中の仕事でも文句ないんだよ?」

 ごめんなさい、とエルに謝るレティアだが、謝る相手が違うと渋々俺に謝ってくる。

 まあ、冒険者の花形である魔物退治とかを夢見る気持ちは分かるんだがな……

 マロンもスイとキャウに説教されているのを見て、スイ、キャウ、エルを招き寄せて3人同時に抱き寄せる。

「ありがとうな、本当なら俺が嫌われる事を覚悟して言わないといけない事を言ってくれて……本当に助かる」

 真っ赤になって俯く3人の頭をポンポンと叩いて行き、ちょっと不貞腐れ気味2人も強引に抱き寄せて、2人の顔の間に俺の顔を挟む。

「これだけは分かって欲しい。俺はお前達が嫌いで言ってるんじゃない。むしろ大好きだからこその言葉なんだ。怪我せずに帰って来て欲しいってな。怪我して帰ってきたら俺は泣くかもしれないぞ?」

 俺の頬に双方から熱さが伝わる。

「……うん、分かった」
「もう! 分かりました!」

 俺はマロンとレティアを解放すると指切りをしようと小指を出す。指切りを知らない2人にどういうものかと説明した後、恥ずかしそうにする2人と指切りをした。

 それを見てたスイ達が頬を膨らませて「私達も!」と言ってきたので結局は5人とする結果になったが、まあいいか。

 手をパンと叩いて注目を集める。

「じゃ、準備が済み次第行っておいで。お昼までだからな?」

 各々で返事をすると俺達の家の隣にある小屋に目指して走って行った。

 そういや、気付いたらエルとレティアも小屋に住みついてたんだよな……家主の俺に一言ぐらいあっても良くねぇ?

 逞しい後輩を見送っているとターニャが話しかけてくる。

「行っちゃったね。どうせ過保護のシーナの事だから探査でずっと確認してるんでしょ?」

 チラッと見てくるターニャの言葉に俺は肩を竦めて誤魔化す。

 俺を見つめる瞳が半眼になり、嘆息するターニャの言葉に噴き出さされる。

「無茶しない約束ねぇ。ウチはあっさりと破られたけど?」
「ご、ごめん! この事はあの子達にはご内密にっ!!」

 抱きついて「ねっねっ?」とおねだりをするとどこか照れた様子でソッポ向くターニャ。

「しょうがない理由もあったし、もう怒ってないし?」
「ターニャ、愛してるぅ!」

 頬にキスを降らせると「もう、止めてよ!」と言っているが表情は満更ではない。

 ターニャとイチャイチャしていると後ろで咳払いされる。

「んっ! この後の予定を話したいのだが?」

 赤面して口がへの字になっているパメラが立っていた。

 俺はターニャから離れて、パメラにゴメンと2人で言うが、芳しい反応が返ってこない。

 ターニャに耳打ちで「パメラにも頬にキスしてあげて」と言われて実行する事にした。

 こんな事で機嫌が直るのか?

 キスするとへの字だった口が逆に弧を描き、俺達に向き合う。

「こんな事で気を良くしたりはしないが、時間は有限だ。話を進めよう」

 嬉しそうな声音のパメラを見て思う。

 パメラ、ちょろくないっすか? でも可愛いぞぉ!

 ちょっとからかいたくなったがグッと堪えて、今日の予定を話し始める。

「今日は3人で魔物退治で金策だっ! と言いたいが……」

 離れた位置にある木のところに立っている青髪の眼鏡少女、トリルヴィを見るとターニャとパメラが納得したように頷く。

「今朝の訓練の時から遠くから見ていたな」
「ええっ、そんな早い時間から?」
「そうなんだ、昨日、スラムで別れて、夕方ぐらいから監視されてて離れる様子がないんだ。だから、悪いけど、狩りは2人にお願いしていいか? 俺はポーション作りや農場の手伝いしてるから」

 しょうがないな、と眉尻を下げるターニャが嘆息し、パメラは予想してたようで素直に頷いてくれる。

 想定してたより、用意する者が多くて出費が激しいので、どうしても稼ぎの良い魔物退治をしないといつか資金が枯渇する。

 じゃ、行ってくるね、と2人に返礼のような頬にキスされて、俺は2人を頬に手をやりながら見送る。

 落ち着いて考えれば、2人に挟むようにキスされたのって初めてだ……妙にドキドキするなっ!

 と、いつまでもデレデレしてるほど俺も暇ではない。

 俺は、ザッと農場を見回り、何事もなさそうならポーション作りを勤しもうかと思って、歩き始めると俺を呼ぶ声が聞こえてくる。

 声の主を捜すとどうやらルイーダさんのようで息を切らしながら豊かな胸を揺らして走ってくる。

 俺も駆け寄ると息絶え絶えではあったが必死に説明してくる。

「も、モヒンさんが大変なんです。す、すぐに来てください」
「分かりました、行きましょう!」

 走り出そうとしたが、まだ体力が戻り切ってないのか、その場で膝を付くのを見て俺は抱き抱える。

 お姫様抱っこされて目を大きく見開いて、ワタワタして下ろして欲しいと言われるが、時間を優先と伝えるとモヒンの事を思い出したのか恥ずかしいのを我慢してくれた。

 抱えながらルイーダさんの案内で向かうと河原から湯気が立ち昇り、そこからお湯、おそらく温泉が沸き上がる傍でモヒンが全身真っ赤にして転がっていた。

 近くにいた小さな子供達がモヒンに川の水を浴びせてるのを見て察した。

「この河原から温泉が出そうだと伝えるとモヒンさんが掘り始めたんです。私は土魔法が使える人を呼ぼうと言ったんですが……」

 きっと、ルイーダさんに良い所を見せたかったんだろうな……分かるけど、無茶が過ぎてるよ。

 つまり、掘り出した温泉が噴き出したのか、溜まり出した温泉に落ちたかのどちらかだろう。

 ピクピクと体を震わせるモヒンを見て、河原の傍の温泉じゃなかったら死んでたかもな、と思いながら近寄る。

「こ、コーハイ、俺は不死身だ……カクッ」
「せ、先輩っ!! これは思ったより酷いかも!!」

 慌てて、俺はモヒン先輩にヒールをかけながら、ルイーダさんと子供達に水をもっと持ってくるように指示を飛ばした。
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