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4章 求められる英雄、欲しない英雄
44話 お風呂は命の洗濯と申しますが男はホドホドが大事だと訴える
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火傷をしたモヒンの治療を終えたが気絶したままだったので、冒険者見習い待ちで働きに来てる男の子にモヒンの定宿に運んで貰っている間に俺とルイーダさんと河原にいた。
「このモヒンさんが掘ってくれてお湯が出てきてますが、浸かるには少な過ぎです。もうちょっと掘ったら、もっと出てくると思います?」
「そうですね、試さないと分かりませんが、お風呂は入りたいですか? やっぱりお国では日常的に?」
俺もそうだったんです、と告げると恥ずかしそうに肩を触りながら「ええ、私も毎日とは言いませんが入ってました。肩コリしやすいので入れると助かります」とルイーダさんは言ってくる。
そりゃ、凝るでしょうな……
ルイーダさんに標準装備されているメロン2つを見つめながら俺は思う。
俺がオッパイを見てた事に気付いたルイーダさんが慌てて胸を隠して「恥ずかしいのでご勘弁を……」と頬に朱を差して俯く。
「ご、ごめんなさい! とりあえず試してみましょう」
「……はい」
まだ俯いているルイーダさんは耳まで赤いのが分かる。
話と意識を余所に向けないと!
ジワジワとお湯が沸く場所に土魔法を行使して掘り進める。一気にやると万が一噴き出してきたらモヒンの二の舞でなので慎重に進めた。
すると、コンコンとお湯が沸き出し、溢れるように出始めたのでその周りを土魔法で生み出した土壁で覆う。
覆われた中でお湯の水位がどんどん上がっていき、溢れだしてきた。
それを見たルイーダさんが両手を合わせて目を輝かす。
「このままだと熱過ぎて入れないでしょうけど、川の水を利用すれば……」
「いやいや、これじゃ情緒がありませんし、どうせなら足を伸ばして入りたくありませんか? 俺に任せて下さい」
「出来るんですか!」
俺の言葉で期待が膨らんだのかルイーダさんが目をキラキラとさせてくる。
ルイーダさん、貴方だけでなく、俺もお風呂大好き種族の出です。前々からお風呂の事は頭にあったんですよ。
家を建てる時に拘るつもりで我慢してたけど、ここで試作しちゃいましょう!
「どんと任せて下さい!」
目をキラキラさせたルイーダさんが、嬉しそうに唇を震わせて半泣きだ。
そこまで、風呂を切望してたのか……
俺の手を両手で掴んで上下に揺するルイーダさんが「よろしくお願いします」と言ってくるとルイーダさんを呼ぶ声がする。
「ルイーダさん。そろそろ、昼食の準備しないといけない時間なんですけど?」
スラムからやってきた30歳ぐらいの女性がルイーダさんを呼ぶ。
呼ばれて、空を見上げて太陽の位置から納得したようで「すぐ行きます!」と返事をすると俺にペコペコ頭を下げる。
そして、この場を離れていく途中で振り返るルイーダさんが少女のような笑みを浮かべて手を振る。
「楽しみにしてますねっ!」
手を振ってくれているルイーダさんに俺も手を振り返す。
うむ、大人な人が垣間見せる幼さ、想像以上の破壊力でした……
膝が笑っている俺は、ニヒルな笑みを浮かべる。
もうちょっとで立ってられなくなるとこだったぜぇ。
ギリギリ耐えた俺は、期待に応えるべく、早速作業に取り掛かる。
まず、湯船を作る場所は温泉のお湯が引ける位置と川から水を引ける位置の中間地点で尚且つ、河原から少し距離が取れている場所を選定する。
場所決めが決まると土魔法を駆使して20人が同時に入れそうな湯船サイズ、所謂、旅館の屋内温泉サイズをイメージして掘り下げ、地面からお湯が沸かないように土を固めながら進めた。
掘り終えると岩を砕いて砂状にした後、板状に固めてたのを敷き詰めていく。イメージは大理石のようなものの上に微細な粒々を付けて滑り止めになるように調整していく。
そして洗い場も足下が滑り難いように作って、湯船の外で体を洗ったりしたお湯や、お風呂のお湯はかけ流しなので溢れたお湯が流れる排水路も作る。
とゆのようなものを作って先程作った温泉のお湯が溜まる場所と川からと同時に引く。
そのついでに横から溢れ出るお湯をバケツで受け取れるように穴を開けておく。
この温泉、硫黄臭くないから、きっと、洗濯や洗い物が楽になるだろう。特に冬の時にも重宝されそうだ。
溜まり始めるのを見るが溜まるまでだいぶかかりそうなので、壁作りを始める。
一気に土魔法で土壁で覆うが、どうも見た目が良くないので外はレンガ調、中はパネル調に作り変える。勿論、表面だけのメッキみたいな感じではあるが。
調子にのって脱衣場も作ってしまう。
それらの製作が終わると湯船にお湯が溜まっていた。
お湯に手を浸けると場所によって熱さにばらつきがあった。
水が流れる場所は温くて、お湯が流れる場所は熱い。当然といえば当然の結果ではある。
俺は木の板を持ってくると湯船に浸けると船頭さんのモノマネをするように動かし始める。
「いい感じの温度になったな」
ある程度混ぜたところで手を突っ込むと丁度良い温度に混ざり合う。
きっと、40℃!
出来に満足していると後ろから声をかけられる。
「先輩、お昼ご飯ですと呼びに来たのですが……これはなんですか?」
「すげぇぇ!」
振り返るとマロン達の姿があり、空を見上げて太陽の位置からお昼である事を知る。
「おかえり、お風呂を作ってて丁度、出来上がった所だ」
そう言うとマロン、エル、レティアは物珍しそうに中に入ってくる。どうやらお風呂自体が初めてらしい。
少し、驚いてはいるが冷静な2人、スイとキャウに聞く。
「2人は初めてじゃないんだね?」
「ええ、昔、入れてた時期がありましたので……でも、このお風呂の大きさはビックリしました」
スイが答えて、キャウも良く似た境遇らしく以前に何度か入った事があるようだ。
2人の髪に草木が付いているのに気付いて取ってあげる時に気付く。
綺麗だと思ってた2人の髪も良く見ると意外と汚れている。勿論、普段の水浴びなどで丁寧に洗い流してるだろうが、それだけで何とかなるのは限界がある。
やっぱり、女の子だし、綺麗な方が嬉しいだろうな。
「よし、昼飯を食べたら、石鹸とシャンプーの材料とトリートメントの材料を買いに行くぞ!」
「しゃんぷー? とりーとめんと?」
「それ、食べれるんですか? 先輩、ボクそれ食べてみたいです!」
まあ、食べれるけど食べないでね、エル? と思いつつ苦笑いを浮かべる俺は5人を連れて昼飯を食べる為に風呂場を後にした。
昼飯を食べ終えるとマロン達は冒険者ギルドへ薬草を納めに行く用事があり、俺もそこにある人がいる事を期待して付いて行った。
到着すると丁度、冒険者ギルドで食事中だった熊の獣人のベアさんを発見する。
「ベアさん、蜂蜜を売ってる場所知りませんか? 非加熱のが欲しいんですが」
「どうして、俺に聞く? 熊が蜂蜜が好きだから、熊の獣人である俺も好きだとか思ってる口か? 熊は蜂蜜が好きなんじゃねぇ、ハチノコが好きで食ってんだ! 何より、熊の獣人と熊は別物だっ!」
まったく! とブツブツと言うベアさんだったが、北東の町外れに養蜂をしてる者がいると教えてくれた。
しかし、熊が蜂蜜好きだと思ってたけど違ったんだな……でもベアさんは蜂蜜好きであったようだが。
何故なら、養蜂を営んでる夫婦が「ああ、お得意さんのベアさんの知り合い? お値段勉強させてもらいますね。何せ、『毎週』、蜂蜜を買いに来てくれるんですもの」だそうだ。
とりあえず、非加熱の蜂蜜をゲットして、後はオリーブオイルと柑橘系で今回はレモンのようなモノを選び、最後に石鹸を買って帰る。
帰るとまずはシャンプーの製作に取り掛かる。
ぬるま湯、お風呂に入る温度より高いお湯に先程買ってきた非加熱の蜂蜜を投入して溶かす。
これで終わりである。
余談だが、とても簡単だが、現実にやろうとした場合、私達の周りで出回っている蜂蜜は、ほぼほぼ加熱済みなので注意だ。
加熱するのは雑菌処理と思われているが実は違う。熟成を早めるのが理由らしい。
加熱された蜂蜜はえぐみが出たり、特有の匂いが出たりするので、そんなので頭を洗ったら……お分かりだと思いますが、万が一真似する場合はご注意を!
話が逸れたが、次にトリートメントを作る。
オリーブオイルを流しこんで、柑橘系の果汁を垂らす。
これで終わりである。
すまんっ! 簡単過ぎてマジですまんっ!
どっちもそのまま口に入れても問題ないものだから、アレルギーなどない限り、体に優しい。
石鹸はって? それは単純に体を洗う為のモノで捻りがなくてごめんよ?
「出来たから、みんなに使い方を説明してくるか」
俺は陽が傾き、夕方に近づき始めた農場で後片付けをしているみんなの下へと向かった。
俺は今、ルイーダさんの家のダイニングでポーション作りに勤しんでいる。
外はもう真っ暗で、本来なら既に家に帰っている頃だ。
も、勿論、このままルイーダさんの家で泊って行こうとか思ってないからねっ!
誰に言ってるんだろうと思いつつ、お風呂がある方向に耳を傾けると楽しげな黄色い声が響く。
どうやら、ルイーダさんは勿論、農場で働く女の子の琴線に温泉が響きまくったようで、しかもシャンプーやトリートメントの破壊力を語るのが止まらないようだ。
かれこれ、2時間以上、入っているんじゃないか? さすがに浸かりっぱなしというのはないだろうけど……
それから更に1時間後、2人の子供の濡れた髪を拭きながら帰ってきたルイーダさんが申し訳なさそうに謝ってくる。
「シーナさん、すいません。余りに気持ち良くて長湯しちゃました。それにシャンプーとトリートメントの皆さんの感動が凄くてなかなか話が切れずに……」
「まあ、お風呂が初めての人もいたでしょうし、女の子として髪が綺麗になって良い香りがするのが嬉しくない人も珍しいでしょうしね」
でも、明日以降は短めでお願いします、と告げると申し訳なさそうにするがどことなく嬉しそうだ。
やはり、お風呂に入れるのが嬉しいようだ。
「私が最後なのを確認してきましたので、どうぞ、シーナさんも入って来てください」
「はい、お風呂を頂いてきます。後、お子さんの髪を拭いたらルイーダさんもしっかり乾かして下さいね?」
そう俺が言うと照れ臭そうに頷くルイーダさんを見ながら、ポーションの道具を片付け始めた。
俺はかけ湯をしてから、湯船に入る。
し、沁みるなぁ~
何ヶ月ぶりかの風呂で、この感覚を久しく忘れてたな……これはルイーダさんが我を忘れて楽しんでも責められん。
このまま浸かっていたいけど、体も洗わないとな。
思わず、鼻歌が漏れそうになり、重い腰を上げかけたところで入口の方から誰かが来るのに気付く。
誰だ? 全員、入ったはずだが?
そちらに目を向けているとオレンジ色の髪を背中ぐらいまで伸ばした、どことなくお嬢様を連想させる少し強気な瞳をする少女が前をタオルで隠して現れた。
「えっと……ラフィか?」
「アタイ以外の何に見えるっていうのよ」
拗ねたように唇を尖らせる事で表情を誤魔化そうとしているように見えるが、顔が真っ赤になっているのは筒抜けであった。
これってどういう状態?
俺は風呂から出る事も戻る事も出来ずに中腰の中途半端な体勢で固まった。
「このモヒンさんが掘ってくれてお湯が出てきてますが、浸かるには少な過ぎです。もうちょっと掘ったら、もっと出てくると思います?」
「そうですね、試さないと分かりませんが、お風呂は入りたいですか? やっぱりお国では日常的に?」
俺もそうだったんです、と告げると恥ずかしそうに肩を触りながら「ええ、私も毎日とは言いませんが入ってました。肩コリしやすいので入れると助かります」とルイーダさんは言ってくる。
そりゃ、凝るでしょうな……
ルイーダさんに標準装備されているメロン2つを見つめながら俺は思う。
俺がオッパイを見てた事に気付いたルイーダさんが慌てて胸を隠して「恥ずかしいのでご勘弁を……」と頬に朱を差して俯く。
「ご、ごめんなさい! とりあえず試してみましょう」
「……はい」
まだ俯いているルイーダさんは耳まで赤いのが分かる。
話と意識を余所に向けないと!
ジワジワとお湯が沸く場所に土魔法を行使して掘り進める。一気にやると万が一噴き出してきたらモヒンの二の舞でなので慎重に進めた。
すると、コンコンとお湯が沸き出し、溢れるように出始めたのでその周りを土魔法で生み出した土壁で覆う。
覆われた中でお湯の水位がどんどん上がっていき、溢れだしてきた。
それを見たルイーダさんが両手を合わせて目を輝かす。
「このままだと熱過ぎて入れないでしょうけど、川の水を利用すれば……」
「いやいや、これじゃ情緒がありませんし、どうせなら足を伸ばして入りたくありませんか? 俺に任せて下さい」
「出来るんですか!」
俺の言葉で期待が膨らんだのかルイーダさんが目をキラキラとさせてくる。
ルイーダさん、貴方だけでなく、俺もお風呂大好き種族の出です。前々からお風呂の事は頭にあったんですよ。
家を建てる時に拘るつもりで我慢してたけど、ここで試作しちゃいましょう!
「どんと任せて下さい!」
目をキラキラさせたルイーダさんが、嬉しそうに唇を震わせて半泣きだ。
そこまで、風呂を切望してたのか……
俺の手を両手で掴んで上下に揺するルイーダさんが「よろしくお願いします」と言ってくるとルイーダさんを呼ぶ声がする。
「ルイーダさん。そろそろ、昼食の準備しないといけない時間なんですけど?」
スラムからやってきた30歳ぐらいの女性がルイーダさんを呼ぶ。
呼ばれて、空を見上げて太陽の位置から納得したようで「すぐ行きます!」と返事をすると俺にペコペコ頭を下げる。
そして、この場を離れていく途中で振り返るルイーダさんが少女のような笑みを浮かべて手を振る。
「楽しみにしてますねっ!」
手を振ってくれているルイーダさんに俺も手を振り返す。
うむ、大人な人が垣間見せる幼さ、想像以上の破壊力でした……
膝が笑っている俺は、ニヒルな笑みを浮かべる。
もうちょっとで立ってられなくなるとこだったぜぇ。
ギリギリ耐えた俺は、期待に応えるべく、早速作業に取り掛かる。
まず、湯船を作る場所は温泉のお湯が引ける位置と川から水を引ける位置の中間地点で尚且つ、河原から少し距離が取れている場所を選定する。
場所決めが決まると土魔法を駆使して20人が同時に入れそうな湯船サイズ、所謂、旅館の屋内温泉サイズをイメージして掘り下げ、地面からお湯が沸かないように土を固めながら進めた。
掘り終えると岩を砕いて砂状にした後、板状に固めてたのを敷き詰めていく。イメージは大理石のようなものの上に微細な粒々を付けて滑り止めになるように調整していく。
そして洗い場も足下が滑り難いように作って、湯船の外で体を洗ったりしたお湯や、お風呂のお湯はかけ流しなので溢れたお湯が流れる排水路も作る。
とゆのようなものを作って先程作った温泉のお湯が溜まる場所と川からと同時に引く。
そのついでに横から溢れ出るお湯をバケツで受け取れるように穴を開けておく。
この温泉、硫黄臭くないから、きっと、洗濯や洗い物が楽になるだろう。特に冬の時にも重宝されそうだ。
溜まり始めるのを見るが溜まるまでだいぶかかりそうなので、壁作りを始める。
一気に土魔法で土壁で覆うが、どうも見た目が良くないので外はレンガ調、中はパネル調に作り変える。勿論、表面だけのメッキみたいな感じではあるが。
調子にのって脱衣場も作ってしまう。
それらの製作が終わると湯船にお湯が溜まっていた。
お湯に手を浸けると場所によって熱さにばらつきがあった。
水が流れる場所は温くて、お湯が流れる場所は熱い。当然といえば当然の結果ではある。
俺は木の板を持ってくると湯船に浸けると船頭さんのモノマネをするように動かし始める。
「いい感じの温度になったな」
ある程度混ぜたところで手を突っ込むと丁度良い温度に混ざり合う。
きっと、40℃!
出来に満足していると後ろから声をかけられる。
「先輩、お昼ご飯ですと呼びに来たのですが……これはなんですか?」
「すげぇぇ!」
振り返るとマロン達の姿があり、空を見上げて太陽の位置からお昼である事を知る。
「おかえり、お風呂を作ってて丁度、出来上がった所だ」
そう言うとマロン、エル、レティアは物珍しそうに中に入ってくる。どうやらお風呂自体が初めてらしい。
少し、驚いてはいるが冷静な2人、スイとキャウに聞く。
「2人は初めてじゃないんだね?」
「ええ、昔、入れてた時期がありましたので……でも、このお風呂の大きさはビックリしました」
スイが答えて、キャウも良く似た境遇らしく以前に何度か入った事があるようだ。
2人の髪に草木が付いているのに気付いて取ってあげる時に気付く。
綺麗だと思ってた2人の髪も良く見ると意外と汚れている。勿論、普段の水浴びなどで丁寧に洗い流してるだろうが、それだけで何とかなるのは限界がある。
やっぱり、女の子だし、綺麗な方が嬉しいだろうな。
「よし、昼飯を食べたら、石鹸とシャンプーの材料とトリートメントの材料を買いに行くぞ!」
「しゃんぷー? とりーとめんと?」
「それ、食べれるんですか? 先輩、ボクそれ食べてみたいです!」
まあ、食べれるけど食べないでね、エル? と思いつつ苦笑いを浮かべる俺は5人を連れて昼飯を食べる為に風呂場を後にした。
昼飯を食べ終えるとマロン達は冒険者ギルドへ薬草を納めに行く用事があり、俺もそこにある人がいる事を期待して付いて行った。
到着すると丁度、冒険者ギルドで食事中だった熊の獣人のベアさんを発見する。
「ベアさん、蜂蜜を売ってる場所知りませんか? 非加熱のが欲しいんですが」
「どうして、俺に聞く? 熊が蜂蜜が好きだから、熊の獣人である俺も好きだとか思ってる口か? 熊は蜂蜜が好きなんじゃねぇ、ハチノコが好きで食ってんだ! 何より、熊の獣人と熊は別物だっ!」
まったく! とブツブツと言うベアさんだったが、北東の町外れに養蜂をしてる者がいると教えてくれた。
しかし、熊が蜂蜜好きだと思ってたけど違ったんだな……でもベアさんは蜂蜜好きであったようだが。
何故なら、養蜂を営んでる夫婦が「ああ、お得意さんのベアさんの知り合い? お値段勉強させてもらいますね。何せ、『毎週』、蜂蜜を買いに来てくれるんですもの」だそうだ。
とりあえず、非加熱の蜂蜜をゲットして、後はオリーブオイルと柑橘系で今回はレモンのようなモノを選び、最後に石鹸を買って帰る。
帰るとまずはシャンプーの製作に取り掛かる。
ぬるま湯、お風呂に入る温度より高いお湯に先程買ってきた非加熱の蜂蜜を投入して溶かす。
これで終わりである。
余談だが、とても簡単だが、現実にやろうとした場合、私達の周りで出回っている蜂蜜は、ほぼほぼ加熱済みなので注意だ。
加熱するのは雑菌処理と思われているが実は違う。熟成を早めるのが理由らしい。
加熱された蜂蜜はえぐみが出たり、特有の匂いが出たりするので、そんなので頭を洗ったら……お分かりだと思いますが、万が一真似する場合はご注意を!
話が逸れたが、次にトリートメントを作る。
オリーブオイルを流しこんで、柑橘系の果汁を垂らす。
これで終わりである。
すまんっ! 簡単過ぎてマジですまんっ!
どっちもそのまま口に入れても問題ないものだから、アレルギーなどない限り、体に優しい。
石鹸はって? それは単純に体を洗う為のモノで捻りがなくてごめんよ?
「出来たから、みんなに使い方を説明してくるか」
俺は陽が傾き、夕方に近づき始めた農場で後片付けをしているみんなの下へと向かった。
俺は今、ルイーダさんの家のダイニングでポーション作りに勤しんでいる。
外はもう真っ暗で、本来なら既に家に帰っている頃だ。
も、勿論、このままルイーダさんの家で泊って行こうとか思ってないからねっ!
誰に言ってるんだろうと思いつつ、お風呂がある方向に耳を傾けると楽しげな黄色い声が響く。
どうやら、ルイーダさんは勿論、農場で働く女の子の琴線に温泉が響きまくったようで、しかもシャンプーやトリートメントの破壊力を語るのが止まらないようだ。
かれこれ、2時間以上、入っているんじゃないか? さすがに浸かりっぱなしというのはないだろうけど……
それから更に1時間後、2人の子供の濡れた髪を拭きながら帰ってきたルイーダさんが申し訳なさそうに謝ってくる。
「シーナさん、すいません。余りに気持ち良くて長湯しちゃました。それにシャンプーとトリートメントの皆さんの感動が凄くてなかなか話が切れずに……」
「まあ、お風呂が初めての人もいたでしょうし、女の子として髪が綺麗になって良い香りがするのが嬉しくない人も珍しいでしょうしね」
でも、明日以降は短めでお願いします、と告げると申し訳なさそうにするがどことなく嬉しそうだ。
やはり、お風呂に入れるのが嬉しいようだ。
「私が最後なのを確認してきましたので、どうぞ、シーナさんも入って来てください」
「はい、お風呂を頂いてきます。後、お子さんの髪を拭いたらルイーダさんもしっかり乾かして下さいね?」
そう俺が言うと照れ臭そうに頷くルイーダさんを見ながら、ポーションの道具を片付け始めた。
俺はかけ湯をしてから、湯船に入る。
し、沁みるなぁ~
何ヶ月ぶりかの風呂で、この感覚を久しく忘れてたな……これはルイーダさんが我を忘れて楽しんでも責められん。
このまま浸かっていたいけど、体も洗わないとな。
思わず、鼻歌が漏れそうになり、重い腰を上げかけたところで入口の方から誰かが来るのに気付く。
誰だ? 全員、入ったはずだが?
そちらに目を向けているとオレンジ色の髪を背中ぐらいまで伸ばした、どことなくお嬢様を連想させる少し強気な瞳をする少女が前をタオルで隠して現れた。
「えっと……ラフィか?」
「アタイ以外の何に見えるっていうのよ」
拗ねたように唇を尖らせる事で表情を誤魔化そうとしているように見えるが、顔が真っ赤になっているのは筒抜けであった。
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