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学園生活2
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「どうした?勝手に毛をむしった事怒ってるのか?」
「いや、その事はもう気にしてないんだけど……」
学園生活が始まり、ドキドキワクワクなはずなのに、なんだかモヤモヤする。
原因が分からないから余計に不安な気持ちになってくる。
「……図書室、行ってみるか?」
「えっ!!!いいの?」
思わずぴこぴこ尻尾を振る。
「ははっ、ゲンキンなやつ」
図書室は前世で体験型イベントがあったのに、体調が悪くてどうしても行けなくて、泣く泣く諦めたのだ。
空飛ぶ本、喋る本、中の動物達が駆け回る本など、魔法の世界らしいファンタジーなものから、呪いの書、闇の書、光の書(という名の、可哀想。楽に殺してあげないと)なんて恐ろしいものもある。
原作ではレイニーとクラスメイト達は、テスト前になると図書室に籠って勉強をしていた。
時々先生にヒントをもらったりなんかして、追試回避に勤しんでいた。
作中で最も出番の多い学校の施設だろう。
だから体験型イベントは大人気で全国巡業して、あまりの人気っぷりに延長したくらいだ。
「……!!!!!!」
図書室の扉を開けた瞬間、乾いた紙のにおいが鼻を抜ける。
生徒たちが長机に座り、それぞれ目的の本を積み上げながら必死に勉強している。
ヒソヒソと教えを乞う者、教師に頭を下げる者、飽きて伏せ寝している者。
ああ、これだよコレコレ!
レイニー・ザ・ウィザードだからってだけじゃない。僕は治療しながら本をよく読んでいたけれど、大体が自宅か病院だった。
頼んだ本をそのまま持ってきてもらえたけれど、こうして実際本物を手にとって選ぶ事も醍醐味なんだ。
「うっ……うぅ…」
「な、なんだ。どうしたんだ」
感涙のあまり言葉にならない僕を、若干引き気味でレイニーは眺めている。
いつものように、手作りの鞄に押し込められ、それぞれの棚を順番に見ていく。
「ここは、地理の棚」
「ここは、魔法史の棚」
「「ここは、法律書の棚」」
レイニーと言葉が被った。
「さすが、ファンはどこに何があるかまで覚えてんのか」
そんなはずない。
さすがのファンだって、設定以外の事は知る由もないのだ。
それなのに、何故か僕はここを知っている。
映画を何度も見ていたからじゃない。さっきからずっと妙な既視感がある。
「あの棚は……」
「あの棚から奥は閲覧禁止ですよ」
クラウズリー先生!
入学式から何かと目をつけられている気がするから余計な事言わないようにしないと。
「なんで学校に閲覧禁止の棚があるんだよ」
うわぁ、僕もそれ思ってた。
「それは、学園は学び舎でもあり、研究機関でもあるからです」
ほうほう、その裏設定は知らないぞ。
「禁止なんて。こっそり見てくれと言っているようなもんだ」
た、確かに!男子生徒なんて、ダメダメってものこそ気になって仕方ないよねー。
押すなよ?押すなよ??って言われているようなものだ。
「心配しなくても、普通の生徒じゃ立ち入りできない仕掛けがしてあります」
へぇ、そうだったんだぁ!!だけど、六年生編では普通に読んでた記憶があるけどな。後半になると、問題が起きて、困ったらすぐ禁書へGOだったっけ。
「だけど数年前、ある一人の生徒が突破しましてねぇ……」
クラウズリー先生がちらっと僕を見たような気がした。
な、何で?僕何も知らないぞ!そもそも原作じゃこんな設定なかったんだから!!
「それが俺たちに何の関係があるんですか、先生?」
うわー、ピリッとした空気だぁ。
「いえ、貴方のような優秀な生徒が増えたので……セキュリティを強化すべきと進言した。それだけの事です」
クラウズリー先生は、では、ご機嫌よう。と言って去って行った。
「ノア、何か変わった事があればすぐ俺に言えよ?」
「へ?クラウズリー先生は原作では味方で……」
「あいつの事は関係ない。それに、原作とやらの事もだ!!お前がおかしいと思ったら俺に言え。いいな?」
「う、うん。分かったよ……」
***
その夜。
「……っ」
まただ。
お腹の奥がムズムズする変な感じ。
誰かに身体の中を弄くり回されているような変な感じ。
前よりぼんやりとした視界が開けてきた。
レイニーが僕の側に立っている。
どうしてそんな悲しそうな顔をしているの?僕のぽわ毛撫でる?
「レ、イニー?」
「─────ア?」
もぞもぞと手を動かそうとするが、全く力が入らない。
何か話しかけられているがよく分からない。
「───るな。─────だから」
レイニーはまた少し寂しそうな顔をして、優しく頭を撫でてくれる。
こんなレイニー初めて見る。あったかくて、心地良い……。
僕はまた目の前が真っ暗になった。
「いや、その事はもう気にしてないんだけど……」
学園生活が始まり、ドキドキワクワクなはずなのに、なんだかモヤモヤする。
原因が分からないから余計に不安な気持ちになってくる。
「……図書室、行ってみるか?」
「えっ!!!いいの?」
思わずぴこぴこ尻尾を振る。
「ははっ、ゲンキンなやつ」
図書室は前世で体験型イベントがあったのに、体調が悪くてどうしても行けなくて、泣く泣く諦めたのだ。
空飛ぶ本、喋る本、中の動物達が駆け回る本など、魔法の世界らしいファンタジーなものから、呪いの書、闇の書、光の書(という名の、可哀想。楽に殺してあげないと)なんて恐ろしいものもある。
原作ではレイニーとクラスメイト達は、テスト前になると図書室に籠って勉強をしていた。
時々先生にヒントをもらったりなんかして、追試回避に勤しんでいた。
作中で最も出番の多い学校の施設だろう。
だから体験型イベントは大人気で全国巡業して、あまりの人気っぷりに延長したくらいだ。
「……!!!!!!」
図書室の扉を開けた瞬間、乾いた紙のにおいが鼻を抜ける。
生徒たちが長机に座り、それぞれ目的の本を積み上げながら必死に勉強している。
ヒソヒソと教えを乞う者、教師に頭を下げる者、飽きて伏せ寝している者。
ああ、これだよコレコレ!
レイニー・ザ・ウィザードだからってだけじゃない。僕は治療しながら本をよく読んでいたけれど、大体が自宅か病院だった。
頼んだ本をそのまま持ってきてもらえたけれど、こうして実際本物を手にとって選ぶ事も醍醐味なんだ。
「うっ……うぅ…」
「な、なんだ。どうしたんだ」
感涙のあまり言葉にならない僕を、若干引き気味でレイニーは眺めている。
いつものように、手作りの鞄に押し込められ、それぞれの棚を順番に見ていく。
「ここは、地理の棚」
「ここは、魔法史の棚」
「「ここは、法律書の棚」」
レイニーと言葉が被った。
「さすが、ファンはどこに何があるかまで覚えてんのか」
そんなはずない。
さすがのファンだって、設定以外の事は知る由もないのだ。
それなのに、何故か僕はここを知っている。
映画を何度も見ていたからじゃない。さっきからずっと妙な既視感がある。
「あの棚は……」
「あの棚から奥は閲覧禁止ですよ」
クラウズリー先生!
入学式から何かと目をつけられている気がするから余計な事言わないようにしないと。
「なんで学校に閲覧禁止の棚があるんだよ」
うわぁ、僕もそれ思ってた。
「それは、学園は学び舎でもあり、研究機関でもあるからです」
ほうほう、その裏設定は知らないぞ。
「禁止なんて。こっそり見てくれと言っているようなもんだ」
た、確かに!男子生徒なんて、ダメダメってものこそ気になって仕方ないよねー。
押すなよ?押すなよ??って言われているようなものだ。
「心配しなくても、普通の生徒じゃ立ち入りできない仕掛けがしてあります」
へぇ、そうだったんだぁ!!だけど、六年生編では普通に読んでた記憶があるけどな。後半になると、問題が起きて、困ったらすぐ禁書へGOだったっけ。
「だけど数年前、ある一人の生徒が突破しましてねぇ……」
クラウズリー先生がちらっと僕を見たような気がした。
な、何で?僕何も知らないぞ!そもそも原作じゃこんな設定なかったんだから!!
「それが俺たちに何の関係があるんですか、先生?」
うわー、ピリッとした空気だぁ。
「いえ、貴方のような優秀な生徒が増えたので……セキュリティを強化すべきと進言した。それだけの事です」
クラウズリー先生は、では、ご機嫌よう。と言って去って行った。
「ノア、何か変わった事があればすぐ俺に言えよ?」
「へ?クラウズリー先生は原作では味方で……」
「あいつの事は関係ない。それに、原作とやらの事もだ!!お前がおかしいと思ったら俺に言え。いいな?」
「う、うん。分かったよ……」
***
その夜。
「……っ」
まただ。
お腹の奥がムズムズする変な感じ。
誰かに身体の中を弄くり回されているような変な感じ。
前よりぼんやりとした視界が開けてきた。
レイニーが僕の側に立っている。
どうしてそんな悲しそうな顔をしているの?僕のぽわ毛撫でる?
「レ、イニー?」
「─────ア?」
もぞもぞと手を動かそうとするが、全く力が入らない。
何か話しかけられているがよく分からない。
「───るな。─────だから」
レイニーはまた少し寂しそうな顔をして、優しく頭を撫でてくれる。
こんなレイニー初めて見る。あったかくて、心地良い……。
僕はまた目の前が真っ暗になった。
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