本当に悪役なんですか?

メカラウロ子

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「それでねー。アル様は教会側のラスボスとして出てくる訳よ!」

「他のキャラはアル様倒してハッピーエンドなんだけどぉ、アル様ルートのヒロインちゃんは薬による洗脳を愛の力で解いちゃうわけ!!これはもはやヒロイン!アル様がヒロインなの!!」

「覚醒後のアル様はそれはもう最強チートでバッサバッサ倒しまくる!見てこれ!!はぁ~さすが我が推し!!顔がいいわぁ。」




久しぶりに転生前の夢を見た。

これがアルフレッドが悪役と言われる所以。

各攻略対象者のラスボスであり隠しルートでヒロインの愛で覚醒する、要するに特撮ヒーロー物だとブラックポジションなのだ。

本当のシナリオでは、アルフレッドは洗脳され反王政派の王として君臨するはずだ。

アルフレッド本人のルートですら洗脳は免れないはずだった。


シナリオから外れている…?

そうなると今後どうなるか予想がつかない。
ゲームでは未然に防がれたクーデターも起きてしまう可能性はゼロではない。

もう一つ懸念事項がある。

元のクリスがアルフレッドに詰められていたあの夢はもう行動を起こした後で失敗したんじゃないか?

本来使うはずだった薬は手元にない。

トムとジャンが渡したと言っていたからクリスが持っていたのは間違いない。

そうなると情報を引き出され無用になったクリスは処刑されてもおかしくはない。

だけど…

アルフレッドを信じたいと思った。

あの面倒見がよく悪戯っぽく笑う彼に少しだけ惹かれていた。




「ふぅ…。」

話があるとアルフレッドを呼び出した談話室の前で深い息をつく。

まだだ、もう少し…。

扉の前で無限に止まない深呼吸をしていると、遅い。と言ってアルフレッドに引き摺り込まれた。



「話とはなんだ。」

「アルフレッド様は私の兄、マイクをご存じでしょうか。」

「ああ。よく知っている。」

コトッと金属質で、サイズにしては重厚な音の何かが机に置かれた。

万年筆…!授業中に借りたまま返しそびれていた。

色が違うみたいだからまさかこれを媒介に?



「も、もしかしてこれで盗聴してたんですか?アル様酷い!いじわるだ!!俺の鼻歌とかトイレの音とかいびきとかも聞いてたって事ですか?」

「そんな悪趣味な事するか!」

はぁ…と一息ついて

「だが、お前達が昨日何を話し、お前がこれから何を言うつもりかは理解している。」

「…ぐっ!俺は、兄がしようとしている事を密告するつもりです。その協力をしていただく事は可能でしょうか。」


「その前に、一つ明確にしておかなければならない問題があるな。お前が使用した薬の事だ。」

「やはり、俺はあの時薬を使っていたのですね。」

「ああ、だが聖女の加護で効果が発揮されなかった。学園自体が聖域となっているから呪いの効果が発動しないようになっているんだ。」

「そうだったんですか…あの人、本当に聖女なんですね。」

「俺に聞くな、その点に関しては俺も理解しかねる。」




「仮に密告したとして俺に無体を働いた者の言葉に効力があると思うか?それに前にも言ったが学生同士の会話なんて証拠にはならないんだ。もっと明確で確実なものでないと。」

「そんな…。」

絶望的な顔をしているだろう俺に、アルフレッドはいつもの意地悪そうな顔を向ける

「俺は協力しないとは言っていないぞ。むしろあの日、クリスに協力しろと言ったのは俺の方だ。」



「お前は既に知っているだろうが、俺はこの国の第二王子でな、兄上…第一王子のジュリウスから反王政派を探れと指示が出ていたんだ。

教会が怪しいとは睨んでいた。だが資金面を洗い出す事ができなくてな、中々尻尾を出さない。お前の兄は大した奴だよ。

どうにかしてお前の兄と教会の接点を見つける必要があった。俺が反王政派と噂を自分で流した。でも思うように進まない。

そんな時にクリスが俺の部屋に忍び込んできたんだ。」



「あいつが忍び込んできたという事はこちらとしては願ったりな状況だ。だが残念な事にプレッシャーに耐えられなかったようだな。」

アルフレッドは少し目を伏せた。

「中身がお前に変わった時、一目で分かったよ。なんていうか、本当に別人なんだ。」

「魔力が違うという話でしたよね?これは他の、例えばジュリウス様なんかも気付いたりするのでしょうか?」

「それに関して詳しく聞いた事はないが、恐らく気づいていないはずだ。接点があったなら別だが…。」


「お前と話して、こいつならマイクのいいなりにならないと確信した。しっかり自分の意見を持ち、何が正しいかを自分で判断できると。トムとジャンを説得したのは予想外だった。」


怒涛のような褒め言葉に気恥ずかしさを感じてなんと答えていいか分からなかった。

何とも言えない沈黙が流れる。


「それに、初めてだった。俺と同じ考え方の人間は。」

聞き取れない程小さな声でアルフレッドは呟く。



「前に今後は決して近付きません。と言っていただろう?」

ふいにアルフレッドは俺の手を引き体を寄せた。

「そんな事させるはずないだろ。この時をずっと待っていたんだからな。」
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