7 / 13
5
しおりを挟む
「それでねー。アル様は教会側のラスボスとして出てくる訳よ!」
「他のキャラはアル様倒してハッピーエンドなんだけどぉ、アル様ルートのヒロインちゃんは薬による洗脳を愛の力で解いちゃうわけ!!これはもはやヒロイン!アル様がヒロインなの!!」
「覚醒後のアル様はそれはもう最強チートでバッサバッサ倒しまくる!見てこれ!!はぁ~さすが我が推し!!顔がいいわぁ。」
久しぶりに転生前の夢を見た。
これがアルフレッドが悪役と言われる所以。
各攻略対象者のラスボスであり隠しルートでヒロインの愛で覚醒する、要するに特撮ヒーロー物だとブラックポジションなのだ。
本当のシナリオでは、アルフレッドは洗脳され反王政派の王として君臨するはずだ。
アルフレッド本人のルートですら洗脳は免れないはずだった。
シナリオから外れている…?
そうなると今後どうなるか予想がつかない。
ゲームでは未然に防がれたクーデターも起きてしまう可能性はゼロではない。
もう一つ懸念事項がある。
元のクリスがアルフレッドに詰められていたあの夢はもう行動を起こした後で失敗したんじゃないか?
本来使うはずだった薬は手元にない。
トムとジャンが渡したと言っていたからクリスが持っていたのは間違いない。
そうなると情報を引き出され無用になったクリスは処刑されてもおかしくはない。
だけど…
アルフレッドを信じたいと思った。
あの面倒見がよく悪戯っぽく笑う彼に少しだけ惹かれていた。
「ふぅ…。」
話があるとアルフレッドを呼び出した談話室の前で深い息をつく。
まだだ、もう少し…。
扉の前で無限に止まない深呼吸をしていると、遅い。と言ってアルフレッドに引き摺り込まれた。
「話とはなんだ。」
「アルフレッド様は私の兄、マイクをご存じでしょうか。」
「ああ。よく知っている。」
コトッと金属質で、サイズにしては重厚な音の何かが机に置かれた。
万年筆…!授業中に借りたまま返しそびれていた。
色が違うみたいだからまさかこれを媒介に?
「も、もしかしてこれで盗聴してたんですか?アル様酷い!いじわるだ!!俺の鼻歌とかトイレの音とかいびきとかも聞いてたって事ですか?」
「そんな悪趣味な事するか!」
はぁ…と一息ついて
「だが、お前達が昨日何を話し、お前がこれから何を言うつもりかは理解している。」
「…ぐっ!俺は、兄がしようとしている事を密告するつもりです。その協力をしていただく事は可能でしょうか。」
「その前に、一つ明確にしておかなければならない問題があるな。お前が使用した薬の事だ。」
「やはり、俺はあの時薬を使っていたのですね。」
「ああ、だが聖女の加護で効果が発揮されなかった。学園自体が聖域となっているから呪いの効果が発動しないようになっているんだ。」
「そうだったんですか…あの人、本当に聖女なんですね。」
「俺に聞くな、その点に関しては俺も理解しかねる。」
「仮に密告したとして俺に無体を働いた者の言葉に効力があると思うか?それに前にも言ったが学生同士の会話なんて証拠にはならないんだ。もっと明確で確実なものでないと。」
「そんな…。」
絶望的な顔をしているだろう俺に、アルフレッドはいつもの意地悪そうな顔を向ける
「俺は協力しないとは言っていないぞ。むしろあの日、クリスに協力しろと言ったのは俺の方だ。」
「お前は既に知っているだろうが、俺はこの国の第二王子でな、兄上…第一王子のジュリウスから反王政派を探れと指示が出ていたんだ。
教会が怪しいとは睨んでいた。だが資金面を洗い出す事ができなくてな、中々尻尾を出さない。お前の兄は大した奴だよ。
どうにかしてお前の兄と教会の接点を見つける必要があった。俺が反王政派と噂を自分で流した。でも思うように進まない。
そんな時にクリスが俺の部屋に忍び込んできたんだ。」
「あいつが忍び込んできたという事はこちらとしては願ったりな状況だ。だが残念な事にプレッシャーに耐えられなかったようだな。」
アルフレッドは少し目を伏せた。
「中身がお前に変わった時、一目で分かったよ。なんていうか、本当に別人なんだ。」
「魔力が違うという話でしたよね?これは他の、例えばジュリウス様なんかも気付いたりするのでしょうか?」
「それに関して詳しく聞いた事はないが、恐らく気づいていないはずだ。接点があったなら別だが…。」
「お前と話して、こいつならマイクのいいなりにならないと確信した。しっかり自分の意見を持ち、何が正しいかを自分で判断できると。トムとジャンを説得したのは予想外だった。」
怒涛のような褒め言葉に気恥ずかしさを感じてなんと答えていいか分からなかった。
何とも言えない沈黙が流れる。
「それに、初めてだった。俺と同じ考え方の人間は。」
聞き取れない程小さな声でアルフレッドは呟く。
「前に今後は決して近付きません。と言っていただろう?」
ふいにアルフレッドは俺の手を引き体を寄せた。
「そんな事させるはずないだろ。この時をずっと待っていたんだからな。」
「他のキャラはアル様倒してハッピーエンドなんだけどぉ、アル様ルートのヒロインちゃんは薬による洗脳を愛の力で解いちゃうわけ!!これはもはやヒロイン!アル様がヒロインなの!!」
「覚醒後のアル様はそれはもう最強チートでバッサバッサ倒しまくる!見てこれ!!はぁ~さすが我が推し!!顔がいいわぁ。」
久しぶりに転生前の夢を見た。
これがアルフレッドが悪役と言われる所以。
各攻略対象者のラスボスであり隠しルートでヒロインの愛で覚醒する、要するに特撮ヒーロー物だとブラックポジションなのだ。
本当のシナリオでは、アルフレッドは洗脳され反王政派の王として君臨するはずだ。
アルフレッド本人のルートですら洗脳は免れないはずだった。
シナリオから外れている…?
そうなると今後どうなるか予想がつかない。
ゲームでは未然に防がれたクーデターも起きてしまう可能性はゼロではない。
もう一つ懸念事項がある。
元のクリスがアルフレッドに詰められていたあの夢はもう行動を起こした後で失敗したんじゃないか?
本来使うはずだった薬は手元にない。
トムとジャンが渡したと言っていたからクリスが持っていたのは間違いない。
そうなると情報を引き出され無用になったクリスは処刑されてもおかしくはない。
だけど…
アルフレッドを信じたいと思った。
あの面倒見がよく悪戯っぽく笑う彼に少しだけ惹かれていた。
「ふぅ…。」
話があるとアルフレッドを呼び出した談話室の前で深い息をつく。
まだだ、もう少し…。
扉の前で無限に止まない深呼吸をしていると、遅い。と言ってアルフレッドに引き摺り込まれた。
「話とはなんだ。」
「アルフレッド様は私の兄、マイクをご存じでしょうか。」
「ああ。よく知っている。」
コトッと金属質で、サイズにしては重厚な音の何かが机に置かれた。
万年筆…!授業中に借りたまま返しそびれていた。
色が違うみたいだからまさかこれを媒介に?
「も、もしかしてこれで盗聴してたんですか?アル様酷い!いじわるだ!!俺の鼻歌とかトイレの音とかいびきとかも聞いてたって事ですか?」
「そんな悪趣味な事するか!」
はぁ…と一息ついて
「だが、お前達が昨日何を話し、お前がこれから何を言うつもりかは理解している。」
「…ぐっ!俺は、兄がしようとしている事を密告するつもりです。その協力をしていただく事は可能でしょうか。」
「その前に、一つ明確にしておかなければならない問題があるな。お前が使用した薬の事だ。」
「やはり、俺はあの時薬を使っていたのですね。」
「ああ、だが聖女の加護で効果が発揮されなかった。学園自体が聖域となっているから呪いの効果が発動しないようになっているんだ。」
「そうだったんですか…あの人、本当に聖女なんですね。」
「俺に聞くな、その点に関しては俺も理解しかねる。」
「仮に密告したとして俺に無体を働いた者の言葉に効力があると思うか?それに前にも言ったが学生同士の会話なんて証拠にはならないんだ。もっと明確で確実なものでないと。」
「そんな…。」
絶望的な顔をしているだろう俺に、アルフレッドはいつもの意地悪そうな顔を向ける
「俺は協力しないとは言っていないぞ。むしろあの日、クリスに協力しろと言ったのは俺の方だ。」
「お前は既に知っているだろうが、俺はこの国の第二王子でな、兄上…第一王子のジュリウスから反王政派を探れと指示が出ていたんだ。
教会が怪しいとは睨んでいた。だが資金面を洗い出す事ができなくてな、中々尻尾を出さない。お前の兄は大した奴だよ。
どうにかしてお前の兄と教会の接点を見つける必要があった。俺が反王政派と噂を自分で流した。でも思うように進まない。
そんな時にクリスが俺の部屋に忍び込んできたんだ。」
「あいつが忍び込んできたという事はこちらとしては願ったりな状況だ。だが残念な事にプレッシャーに耐えられなかったようだな。」
アルフレッドは少し目を伏せた。
「中身がお前に変わった時、一目で分かったよ。なんていうか、本当に別人なんだ。」
「魔力が違うという話でしたよね?これは他の、例えばジュリウス様なんかも気付いたりするのでしょうか?」
「それに関して詳しく聞いた事はないが、恐らく気づいていないはずだ。接点があったなら別だが…。」
「お前と話して、こいつならマイクのいいなりにならないと確信した。しっかり自分の意見を持ち、何が正しいかを自分で判断できると。トムとジャンを説得したのは予想外だった。」
怒涛のような褒め言葉に気恥ずかしさを感じてなんと答えていいか分からなかった。
何とも言えない沈黙が流れる。
「それに、初めてだった。俺と同じ考え方の人間は。」
聞き取れない程小さな声でアルフレッドは呟く。
「前に今後は決して近付きません。と言っていただろう?」
ふいにアルフレッドは俺の手を引き体を寄せた。
「そんな事させるはずないだろ。この時をずっと待っていたんだからな。」
761
あなたにおすすめの小説
乙女ゲームが俺のせいでバグだらけになった件について
はかまる
BL
異世界転生配属係の神様に間違えて何の関係もない乙女ゲームの悪役令状ポジションに転生させられた元男子高校生が、世界がバグだらけになった世界で頑張る話。
【新版】転生悪役モブは溺愛されんでいいので死にたくない!
煮卵
BL
ゲーム会社に勤めていた俺はゲームの世界の『婚約破棄』イベントの混乱で殺されてしまうモブに転生した。
処刑の原因となる婚約破棄を避けるべく王子に友人として接近。
なんか数ヶ月おきに繰り返される「恋人や出会いのためのお祭り」をできる限り第二皇子と過ごし、
婚約破棄の原因となる主人公と出会うきっかけを徹底的に排除する。
最近では監視をつけるまでもなくいつも一緒にいたいと言い出すようになった・・・
やんごとなき血筋のハンサムな王子様を淑女たちから遠ざけ男の俺とばかり過ごすように
仕向けるのはちょっと申し訳ない気もしたが、俺の運命のためだ。仕方あるまい。
クレバーな立ち振る舞いにより、俺の死亡フラグは完全に回避された・・・
と思ったら、婚約の儀の当日、「私には思い人がいるのです」
と言いやがる!一体誰だ!?
その日の夜、俺はゲームの告白イベントがある薔薇園に呼び出されて・・・
ーーーーーーーー
この作品は以前投稿した「転生悪役モブは溺愛されんで良いので死にたくない!」に
加筆修正を加えたものです。
リュシアンの転生前の設定や主人公二人の出会いのシーンを追加し、
あまり描けていなかったキャラクターのシーンを追加しています。
展開が少し変わっていますので新しい小説として投稿しています。
続編出ました
転生悪役令嬢は溺愛されんでいいので推しカプを見守りたい! https://www.alphapolis.co.jp/novel/687110240/826989668
ーーーー
校正・文体の調整に生成AIを利用しています。
【完結】「婚約を破棄する!」から始まる話は大抵名作だと聞いたので書いてみたら現実に婚約破棄されたんだが
ivy
BL
俺の名前はユビイ・ウォーク
王弟殿下の許嫁として城に住む伯爵家の次男だ。
余談だが趣味で小説を書いている。
そんな俺に友人のセインが「皇太子的な人があざとい美人を片手で抱き寄せながら主人公を指差してお前との婚約は解消だ!から始まる小説は大抵面白い」と言うものだから書き始めて見たらなんとそれが現実になって婚約破棄されたんだが?
全8話完結
悪役令息の兄って需要ありますか?
焦げたせんべい
BL
今をときめく悪役による逆転劇、ザマァやらエトセトラ。
その悪役に歳の離れた兄がいても、気が強くなければ豆電球すら光らない。
これは物語の終盤にチラッと出てくる、折衷案を出す兄の話である。
悪役を幸せにしたいのになんか上手くいかないオタクのはなし
はかまる
BL
転生してみたものの気がつけば好きな小説のモブになっていてしかもストーリーのド終盤。
今まさに悪役が追放されそうになっているところを阻止したくなっちゃったオタクの話。
悪役が幸せに学園を卒業できるよう見守るはずがなんだか――――なんだか悪役の様子がおかしくなっちゃったオタクの話。
ヤンデレ(メンヘラ)×推しが幸せになってほしいオタク
転生したけどやり直す前に終わった【加筆版】
リトルグラス
BL
人生を無気力に無意味に生きた、負け組男がナーロッパ的世界観に転生した。
転生モノ小説を読みながら「俺だってやり直せるなら、今度こそ頑張るのにな」と、思いながら最期を迎えた前世を思い出し「今度は人生を成功させる」と転生した男、アイザックは子供時代から努力を重ねた。
しかし、アイザックは成人の直前で家族を処刑され、平民落ちにされ、すべてを失った状態で追放された。
ろくなチートもなく、あるのは子供時代の努力の結果だけ。ともに追放された子ども達を抱えてアイザックは南の港町を目指す──
***
第11回BL小説大賞にエントリーするために修正と加筆を加え、作者のつぶやきは削除しました。(23'10'20)
**
悪役側のモブになっても推しを拝みたい。【完結】
瑳来
BL
大学生でホストでオタクの如月杏樹はホストの仕事をした帰り道、自分のお客に刺されてしまう。
そして、気がついたら自分の夢中になっていたBLゲームのモブキャラになっていた!
……ま、推しを拝めるからいっか! てな感じで、ほのぼのと生きていこうと心に決めたのであった。
ウィル様のおまけにて完結致しました。
長い間お付き合い頂きありがとうございました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる