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#side ヴァンス ~大切な妹は、僕の初恋の人~
隣国の血
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「はぁぁ・・・。」
「初日からお疲れの様だね?・・・大丈夫?」
先程、僕の教室までやって来て・・・嫌がる僕をむりやり食堂まで連れて来た元気は何処へ行ってしまったのか・・・
隣の席でもう何度目になるか分からない深い溜息をつくフローラに、顔を覗き込んで声を掛けてみた。
「大丈夫・・・と言いたい所ですが・・・。」
「なるほど、大丈夫じゃないんだね?」
頭を優しく撫でれば、そのまま項垂れてしまったフローラの様子を見るからに・・・初日からかなり面食らってしまったみたいだ。
(女生徒が新入生首席を取ったのは、この学園始まって以来の事だ・・・。プライドの高い奴等に陰口を言われて、参ってしまったんだろうな・・・。)
それは自分自身にも心当たりがある事だった。
「嫌だ・・・あそこに居るのって・・・」
「穢らわしい、黒髪に赤い瞳・・・隣国の人間だわ。」
チラリと目線を上げれば、フローラ越しに僕を汚い物でも見るかの様な憎悪に満ちた瞳を向けて来ている女生徒二人が視界に入った。
(だから・・・食堂へは来たくなかったんだけど・・・。)
昼休憩と言えば・・・いつもなら他の生徒が居ない庭園の日陰のベンチで過ごすのが日課だった。
貴族しか居ないこのアカデミーで僕の居場所など無いに等しい。
このアカデミーに来て初めてのクラスは・・・実は、僕もAクラスだった。
同じ学年にルークフォン殿下がいらしゃった為、主席合格には届かなかったが・・・
何処からとも無く発生していく自分への憎悪と蔑む声は、今も忘れられない。
経験した人間にしか分からない、あの恐怖と居心地の悪さは・・・まさに地獄だ。
いくら鋼鉄の心臓を持つフローラとて、耐えられるものでは無かったのだろう。
「もしかして・・・Aクラスに馴染めないのでは無いか?」
「・・・!!どうして、お分かりなったのですか?!」
「ははっ・・・まぁ・・・何と無くね・・・。」
(やっぱり・・・僕と同じだ。クラスで僕と同じ様な状況になってしまっているに違いない・・・。)
「でも・・・次の定期テストで頑張らなければ良い話ですから・・・それ迄の辛抱だと思って耐えますわ。」
これも僕と同じ考えだった。
自分が居ても大丈夫なクラスまでわざと落ちた僕は・・・今や一番下のDクラスだ。
僕のクラスが落ちる度に少し悲しそうな顔をする母上と父上の顔は、今でも忘れられない。
(フローラにも同じ苦しみを味合わせて良いのものか・・・分からない・・・。)
「それで・・・本当に・・・良いのかい・・・?フローラは・・・。」
それは無意識にも近い内にポロリと零してしまっていた言葉だった。
「自分を殺して過ごすには長過ぎる時間だと思うよ・・・このアカデミーで過ごす時間は・・・。エレノア嬢も僕も殿下も、一緒に過ごしてあげられるのはたったの一年ぽっちだからね・・・。」
(そうだ・・・。僕はこの2年間、そうやって過ごして来て何度も後悔したんだ。)
「いや・・・恐らく僕は・・・アカデミーでは一緒に居てもきっとフローラの足を引っ張る事しか出来ないだろうし・・・」
きっと、ここまで伝えてしまえば・・・フローラでも僕の置かれている状況に気付いてしまうかもしれない。
そう思ったが、愛する妹が自分のせいで学園生活を楽しめないのは・・・嫌だった。
(それに・・・きっとフローラなら、Aクラスでもやっていける。殿下の寵愛を集め、あのエレノア嬢と友達になってしまった位なのだから・・・)
そうだ、フローラは僕とは違う。
きっと自分の足と実力で道を切り拓いていける女性だ。
「もしかして・・・お兄様もアカデミーで同じ様な目に遭っていらっしゃるのですか?」
やはり・・・と言うべきか、流石に・・・と言うべきか、フローラに言い当てられてしまった僕は俯く事しか出来ない。
「嫌だ・・・。黒髪に赤い瞳よ・・・、あれって隣国の・・・」
「目を合わせちゃ駄目よ!本当に・・・何であんなのが居るんだか・・・」
耳を澄ましていれば、また僕の事を蔑む生徒の声と視線を感じる。
(僕だって忌々しいよ・・・こんな隣国の血・・・。)
「父上と母上には内緒にしておいてくれな?心配を掛けたく無いんだ・・・」
フローラにそう精一杯の笑顔を向けてお願いして見るが・・・フローラは既に泣きそうになってしまっていた。
兄想いの優しい子だから、こんな状況で2年もアカデミーに通って居た僕に同情してくれているのだろう。
だが、両親にこんな下らない事で悩んで欲しくないし・・・屋敷の中で位、偽りでも楽しく過ごしたい。
そう思ってこの二年間ーーー・・・ひた隠しにして来た。
「お兄様・・・お父様とお母様には絶対に言いませんわ。だからーーー代わりに約束して欲しいんですの。」
先程まで涙を浮かべていたフローラは・・・力強くそう告げた。
口元を除けば、薄ら笑みを浮かべている。
(この一瞬の間に何が有ったと言うんだ・・・?!)
その表情、言葉に・・・嫌な予感が立ち待ち湧いて来る。
「勿論・・・僕に守れる事なら良いのだけれど・・・」
「ふふっ、とっても簡単な事ですから・・・大丈夫ですよ?」
フローラが上げた顔は、先程の悲しそうな苦しそうな様子は微塵も無くなっており・・・
自信に満ち溢れた、キラキラとした瞳になっていた。
「私がアカデミーで仕出かす事も絶対に二人には言わないで欲しいんです。」
嫌な予感が確信へと変わる。
(間違いない・・・!フローラは何かやらかすつもり満々だ!!)
「フローラ・・・一体・・・何をするつもりなんだい・・・?」
「いえ、婚約破棄する前に王妃候補として学園改革でも始めようかと思いまして」
僕の想像の遥か上のその発言に・・・思わず頭痛がしてしまい頭を抱えた。
フローラは、食欲が戻ったのか・・・そんな僕の事などお構いなしでサンドウィッチを食べ始めたのだから、本当に凄い子だと思う。
「初日からお疲れの様だね?・・・大丈夫?」
先程、僕の教室までやって来て・・・嫌がる僕をむりやり食堂まで連れて来た元気は何処へ行ってしまったのか・・・
隣の席でもう何度目になるか分からない深い溜息をつくフローラに、顔を覗き込んで声を掛けてみた。
「大丈夫・・・と言いたい所ですが・・・。」
「なるほど、大丈夫じゃないんだね?」
頭を優しく撫でれば、そのまま項垂れてしまったフローラの様子を見るからに・・・初日からかなり面食らってしまったみたいだ。
(女生徒が新入生首席を取ったのは、この学園始まって以来の事だ・・・。プライドの高い奴等に陰口を言われて、参ってしまったんだろうな・・・。)
それは自分自身にも心当たりがある事だった。
「嫌だ・・・あそこに居るのって・・・」
「穢らわしい、黒髪に赤い瞳・・・隣国の人間だわ。」
チラリと目線を上げれば、フローラ越しに僕を汚い物でも見るかの様な憎悪に満ちた瞳を向けて来ている女生徒二人が視界に入った。
(だから・・・食堂へは来たくなかったんだけど・・・。)
昼休憩と言えば・・・いつもなら他の生徒が居ない庭園の日陰のベンチで過ごすのが日課だった。
貴族しか居ないこのアカデミーで僕の居場所など無いに等しい。
このアカデミーに来て初めてのクラスは・・・実は、僕もAクラスだった。
同じ学年にルークフォン殿下がいらしゃった為、主席合格には届かなかったが・・・
何処からとも無く発生していく自分への憎悪と蔑む声は、今も忘れられない。
経験した人間にしか分からない、あの恐怖と居心地の悪さは・・・まさに地獄だ。
いくら鋼鉄の心臓を持つフローラとて、耐えられるものでは無かったのだろう。
「もしかして・・・Aクラスに馴染めないのでは無いか?」
「・・・!!どうして、お分かりなったのですか?!」
「ははっ・・・まぁ・・・何と無くね・・・。」
(やっぱり・・・僕と同じだ。クラスで僕と同じ様な状況になってしまっているに違いない・・・。)
「でも・・・次の定期テストで頑張らなければ良い話ですから・・・それ迄の辛抱だと思って耐えますわ。」
これも僕と同じ考えだった。
自分が居ても大丈夫なクラスまでわざと落ちた僕は・・・今や一番下のDクラスだ。
僕のクラスが落ちる度に少し悲しそうな顔をする母上と父上の顔は、今でも忘れられない。
(フローラにも同じ苦しみを味合わせて良いのものか・・・分からない・・・。)
「それで・・・本当に・・・良いのかい・・・?フローラは・・・。」
それは無意識にも近い内にポロリと零してしまっていた言葉だった。
「自分を殺して過ごすには長過ぎる時間だと思うよ・・・このアカデミーで過ごす時間は・・・。エレノア嬢も僕も殿下も、一緒に過ごしてあげられるのはたったの一年ぽっちだからね・・・。」
(そうだ・・・。僕はこの2年間、そうやって過ごして来て何度も後悔したんだ。)
「いや・・・恐らく僕は・・・アカデミーでは一緒に居てもきっとフローラの足を引っ張る事しか出来ないだろうし・・・」
きっと、ここまで伝えてしまえば・・・フローラでも僕の置かれている状況に気付いてしまうかもしれない。
そう思ったが、愛する妹が自分のせいで学園生活を楽しめないのは・・・嫌だった。
(それに・・・きっとフローラなら、Aクラスでもやっていける。殿下の寵愛を集め、あのエレノア嬢と友達になってしまった位なのだから・・・)
そうだ、フローラは僕とは違う。
きっと自分の足と実力で道を切り拓いていける女性だ。
「もしかして・・・お兄様もアカデミーで同じ様な目に遭っていらっしゃるのですか?」
やはり・・・と言うべきか、流石に・・・と言うべきか、フローラに言い当てられてしまった僕は俯く事しか出来ない。
「嫌だ・・・。黒髪に赤い瞳よ・・・、あれって隣国の・・・」
「目を合わせちゃ駄目よ!本当に・・・何であんなのが居るんだか・・・」
耳を澄ましていれば、また僕の事を蔑む生徒の声と視線を感じる。
(僕だって忌々しいよ・・・こんな隣国の血・・・。)
「父上と母上には内緒にしておいてくれな?心配を掛けたく無いんだ・・・」
フローラにそう精一杯の笑顔を向けてお願いして見るが・・・フローラは既に泣きそうになってしまっていた。
兄想いの優しい子だから、こんな状況で2年もアカデミーに通って居た僕に同情してくれているのだろう。
だが、両親にこんな下らない事で悩んで欲しくないし・・・屋敷の中で位、偽りでも楽しく過ごしたい。
そう思ってこの二年間ーーー・・・ひた隠しにして来た。
「お兄様・・・お父様とお母様には絶対に言いませんわ。だからーーー代わりに約束して欲しいんですの。」
先程まで涙を浮かべていたフローラは・・・力強くそう告げた。
口元を除けば、薄ら笑みを浮かべている。
(この一瞬の間に何が有ったと言うんだ・・・?!)
その表情、言葉に・・・嫌な予感が立ち待ち湧いて来る。
「勿論・・・僕に守れる事なら良いのだけれど・・・」
「ふふっ、とっても簡単な事ですから・・・大丈夫ですよ?」
フローラが上げた顔は、先程の悲しそうな苦しそうな様子は微塵も無くなっており・・・
自信に満ち溢れた、キラキラとした瞳になっていた。
「私がアカデミーで仕出かす事も絶対に二人には言わないで欲しいんです。」
嫌な予感が確信へと変わる。
(間違いない・・・!フローラは何かやらかすつもり満々だ!!)
「フローラ・・・一体・・・何をするつもりなんだい・・・?」
「いえ、婚約破棄する前に王妃候補として学園改革でも始めようかと思いまして」
僕の想像の遥か上のその発言に・・・思わず頭痛がしてしまい頭を抱えた。
フローラは、食欲が戻ったのか・・・そんな僕の事などお構いなしでサンドウィッチを食べ始めたのだから、本当に凄い子だと思う。
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