【完結】王国魔法騎士団の赤い薔薇 〜男前騎士団長は幼馴染の聖女(男)から狙われてます〜

葉瀬満月(はせみつき)

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第43輪 新たな門出は二人で

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 本当の日常が戻り復興を祝う日の早朝。ローゼン家に戻ってきていたイグニスの部屋を叩く音で顔を出す。普段の団服と少し違って左肩から垂れる純白に金の糸で装飾されたペリース姿のイグニスは珍しく微笑んだ。

「早朝から申し訳ございません……お兄さま、とても素敵です!」

 青い薔薇をあしらったドレス姿のアクアは目を輝かせ両手を握る。イグニスが唯一笑顔を向けるほど溺愛している妹だ。グラキエスですら滅多に向けられず、悔しそうな表情で柱の陰から眺めている姿へ気づく。

「……変態聖女か」
「ひどい! 目に入れても痛くないアクアが、新調したドレスを見せたいって……」
「うふふ……大げさですよ、グラキエスお兄様」

 血の繋がりがあるイグニスのことは「お兄さま」と呼び、養子のグラキエスは「グラキエスお兄様」と変えている天使のような笑みを浮かべるアクアに、二人して顔が緩んだ。アクアにとってはどちらも物心ついたときからいる大好きな兄である。

 蝶のように舞ってみせる姿に思わず拍手する二人を、後ろから両親と使用人が笑顔を向けていた。父親もグラキエスの聖女の力によって傷すらなく完治し、枯れ果てた壮大な庭も元に戻っている。
 ただ、イグニスの告白を受けた翌日。穢れを取り込みすぎて一週間熱に冒された。そのあと、ご褒美を貰ったグラキエスは前以上に所構わずイグニスへ抱きつくことから、二人の知らないところで関係が知れ渡っている。

「二人共、これからも仲良くね」
「ああ、我が家はアクアが担ってくれるからな」
「はい! お兄さまたちは、末永くお幸せになってくださいね」

 両親とアクアには真剣交際を話していた。驚かれたのは、漸くグラキエスを受け入れたことの方で、イグニスが反対に面食らってしまう。
 それもそのはずで、小さい頃から「大好き」と言っているグラキエスの異常さで、両親はイグニス次第でとっくに認めていた。同性について驚かないのは、グラキエスのおかげと思うのも癪で言っていない。

 二人で家を出て王城へ向かうと、汗水垂らして訓練していたグロームに呼び止められる。

「ローゼン団長! メディシーナ副団長! お疲れ様です! 見てください! オレ、前より筋肉ついたと思いませんか?」

 団服を脱いで上半身を晒しているグロームの腕は以前より引き締まって見え、六つに割れていた腹筋は八つへ変貌していた。若者の成長は二人も驚くほどで、イグニスの頭にはラントの顔が浮かぶ。

「その肉体を見たら、ラントが腰を抜かしそうだな」
「あー……ラントのこと、壊しちゃ駄目だよー?」
「え? どういう意味ですか⁉ ラントさん、オレの肉体見たら壊れちゃうんですか⁉」

 天然なのか分かっていない様子に呆れながらグロームと別れて城内へ入ってすぐ、噂の人物を見つけた。
 地下で引きこもっていたはずのラントは、盛大に廊下で転倒して魔法具をぶち撒けている。あの事件をキッカケに、表に出てくることが増えたラントの後ろから散乱した魔法具を拾い上げた。

「うっ……ご、ごめん……あ! ローゼン団長……メディシーナ副団長、す、すみません……」
「相変わらずだな」
「まぁ、外で見る機会も増えたし、グロームのお陰かなぁ」

 グロームの名前を出すと肩を揺らす分かりやすさにグラキエスが笑う。あの事件からラントが作った呪いを防ぐバングルも好評で、隣国以外でも注文が殺到するほどだった。そのため、ラントはリトス王国一忙しくしているかもしれない。

「体には気をつけろよ」
「ひゃい⁉ ローゼン団長から、そ、そんな言葉……明日は雪でも」
「しばき倒すぞ……」

 グラキエスの愛を受け入れてからイグニスは周囲から丸くなったと言われていた。本人からは心配の種だと言って、前以上にイグニスの行くところグラキエス有りと言われている。

 国王のいる玉座へ向かうまで時間が少しあった二人は団長室に向かった。

 中に入ってすぐ閉められる扉は施錠される。イグニスが振り返る間も与えず、肩を掴まれソファーへ押し倒された。

「……おいっ。グラス、てめぇ……」
「だって、昨日は家だったから色々我慢してたし……」

 家族公認とはいえ、イグニスから制限されていたグラキエスは興奮した様子で唇を重ねてくる。

「んはぁ……ペリースが皺になる」
「……大丈夫だよ。魔法で伸ばせるし……イグニス、かわいい」

 再び重なる唇は、互いに開いた口から舌を絡め合い艶めかしい音が響いた。服の上から胸を撫でられると肩が揺れる。

 すでに何度も愛撫されている薄紅色の小さな花は、少し触れられるだけで反応するほど開発されていた。
 団服を着ているため、膨らんでも視覚で分からないからと揉むような手つきの両手を掴む。

「ハァ、ハァ……式典前に、盛ってんじゃねぇ……」
「大丈夫だって……イグニス、覚えてるし……下着も汚れないよ」
「うっ……あれは、てめぇのせいだろ……ぁっ! 待……んあっ」

 充分開発されたそこを重点に嬲られると、下半身が疼き始めた。服の上から感じてしまい羞恥心から腕で顔を隠すが、弄られてから数分で絶頂に達してしまう。

 ビクビクと体を震わせるが、イグニスの下着は濡れていない。グラキエスの言うとおり、あれから何度も抱かれたイグニスは完全に身体で覚えさせられてしまった。
 元々同性へ興味のなかったイグニスにとってはプライドを折られる行為であり、羞恥心でいっぱいになっている。

 だが、それと同時に何度でもイけることからしつこく愛撫された。

「ふぅ、ん……ゃ……何度も、イきたくな……ぁっ!」

 二回目も軽くイってしまったイグニスの顔は耳まで熱を帯びている。本気で嫌がっていないのを分かっているから強引に貪るグラキエスは止まらない。
 ただ、無情にも時間は過ぎていき、残り三十分ほどというところで漸く解放される。

 ぐしゃぐしゃになって虚ろな瞳を向けるイグニスへ軽く唇を触れ合わせたグラキエスだけが満足そうだった。

「――本当に、えっちな体だよね……。イグニス、時間まで残り三十分だよー?」
「ハァ……ぁ……三十分で、どうにかなると……思ってんじゃねぇ‼」

 グラキエスの本音は、弄ばれた体を鎮めることでいっぱいなイグニスには聞こえない。
 今日は城下町も復興した祝いだけじゃなく、国王から二人して勲章を賜るため呼ばれていた。

 羞恥心と怒りから力を振り絞ってグラキエスを突き飛ばすイグニスは、起き上がると乱れた服を整えていく。今日は二人にとっても新たな門出だった。
 特別な勲章を二人揃って貰うこと。恋人になってから一ヶ月記念日でもある。

 それなのに、この男は……。

「イグニス、式典終わったら記念のえっちしようねー」
「ぐっ……毎日のように盛ってんじゃねぇ‼」

 式典まで残り約二十分。グラキエスはイグニスの魔法で拘束されて泣き喚くことになった。


 ~END~
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