17 / 20
過去
1
しおりを挟む
「うわぁ!すごいや!」
倉庫の中を埋め尽くすチクタクに、チャールズは興奮しました。
そして、小部屋でチクタクを修理する操り人形をとてもカッコいいと思いました。
元々チャールズは模型を作ったりするのが大好きだったこともあり、衝動的にチクタクの修理屋になりたいと言ってしまいました。
うさぎと操り人形は何事か相談をしていましたが、しばらくして、うさぎが一枚の紙を持ってきました。
「さぁ、ここに名前を書くんだ。」
「なんで?」
「チクタクの修理屋になる契約書だ。
今まで人間で修理屋になった奴なんていないんだぞ。
感謝しろよ!」
見たこともないような文字で、なんと書かれているのかもわからないその紙に、チャールズは軽い気持ちで署名しました。
しばらくは物珍しさで楽しんでいたチャールズも、そのうちに家族のことが気にかかり始めました。
ですが、どんなに帰りたいと言っても、帰らせてもらえません。
ある夜、チャールズは倉庫から逃げ出しました。
ところが、森を抜けた途端、彼の姿は気味の悪いとかげに変わってしまったのです。
「わっ!な、なにっ!」
自分の手足の変化に気付いたチャールズの背中から聞き慣れたうさぎの声がしました。
「契約書に書いてあっただろ?
逃げ出したら、とかげに変わるってこと。」
「えっ!と、とかげ!?」
「そんな姿で帰っても、おまえがチャールズだなんて誰も信じてくれないぞ。
それどころか、魔物だと思われて……」
「やめてーー!」
チャールズは泣く泣く倉庫に戻りました。
そして、操り人形の弟子として働くことになったのです。
二人であちこちの森を渡り歩きながら、チャールズは壊れたチクタクの修理を習いました。
長い長い時が流れ、操り人形の木の足はすり減り、身体は朽ち果てて、ある日動かなくなりました。
その時から、チャールズはずっと一人でチクタクの修理屋として働いて来たのです。
倉庫の中を埋め尽くすチクタクに、チャールズは興奮しました。
そして、小部屋でチクタクを修理する操り人形をとてもカッコいいと思いました。
元々チャールズは模型を作ったりするのが大好きだったこともあり、衝動的にチクタクの修理屋になりたいと言ってしまいました。
うさぎと操り人形は何事か相談をしていましたが、しばらくして、うさぎが一枚の紙を持ってきました。
「さぁ、ここに名前を書くんだ。」
「なんで?」
「チクタクの修理屋になる契約書だ。
今まで人間で修理屋になった奴なんていないんだぞ。
感謝しろよ!」
見たこともないような文字で、なんと書かれているのかもわからないその紙に、チャールズは軽い気持ちで署名しました。
しばらくは物珍しさで楽しんでいたチャールズも、そのうちに家族のことが気にかかり始めました。
ですが、どんなに帰りたいと言っても、帰らせてもらえません。
ある夜、チャールズは倉庫から逃げ出しました。
ところが、森を抜けた途端、彼の姿は気味の悪いとかげに変わってしまったのです。
「わっ!な、なにっ!」
自分の手足の変化に気付いたチャールズの背中から聞き慣れたうさぎの声がしました。
「契約書に書いてあっただろ?
逃げ出したら、とかげに変わるってこと。」
「えっ!と、とかげ!?」
「そんな姿で帰っても、おまえがチャールズだなんて誰も信じてくれないぞ。
それどころか、魔物だと思われて……」
「やめてーー!」
チャールズは泣く泣く倉庫に戻りました。
そして、操り人形の弟子として働くことになったのです。
二人であちこちの森を渡り歩きながら、チャールズは壊れたチクタクの修理を習いました。
長い長い時が流れ、操り人形の木の足はすり減り、身体は朽ち果てて、ある日動かなくなりました。
その時から、チャールズはずっと一人でチクタクの修理屋として働いて来たのです。
0
あなたにおすすめの小説
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
冷遇妃マリアベルの監視報告書
Mag_Mel
ファンタジー
シルフィード王国に敗戦国ソラリから献上されたのは、"太陽の姫"と讃えられた妹ではなく、悪女と噂される姉、マリアベル。
第一王子の四番目の妃として迎えられた彼女は、王宮の片隅に追いやられ、嘲笑と陰湿な仕打ちに晒され続けていた。
そんな折、「王家の影」は第三王子セドリックよりマリアベルの監視業務を命じられる。年若い影が記す報告書には、ただ静かに耐え続け、死を待つかのように振舞うひとりの女の姿があった。
王位継承争いと策謀が渦巻く王宮で、冷遇妃の運命は思わぬ方向へと狂い始める――。
(小説家になろう様にも投稿しています)
龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜
クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。
生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。
母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。
そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。
それから〜18年後
約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。
アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。
いざ〜龍国へ出発した。
あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね??
確か双子だったよね?
もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜!
物語に登場する人物達の視点です。
【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる